2024年 12月 31日
2024年12月12日発売:本橋哲也『鈴木忠志の演劇――騙る身体と利賀の思想』本体2,400円。 2024年12月05日発売:長崎浩『他力という力――叛乱論終章』本体3,200円。 2024年11月27日発売:H・G・ウェルズ『モダン・ユートピア』本体3,400円、叢書・エクリチュールの冒険、第25回配本。 ◆最新刊(書籍の発売日は、取次への搬入日であり、書店店頭発売日ではありません) 2024年10月30日発売:ゲルハルト・クリューガー『カントの批判における哲学と道徳』本体5,400円、シリーズ・古典転生第31回配本(本巻30)。 2024年10月24日発売:中山幸雄『暴動の時代に生きて――山谷 '68-'86』本体3,200円。 2024年09月18日発売:『多様体6(第1期終刊号)特集:展開/分岐』本体2,600円。 2024年09月02日発売:ジュディス・バトラー『改訳決定版 権力の心的な生』本体3,200円。 2024年07月25日発売:東京藝術大学未来創造継承センター『Creative Archive vol.1』本体1,500円。 2024年06月05日発売:表象文化論学会『表象18:皮膚感覚と情動――表象から現前のテクノロジーへ』本体2,000円。 2024年05月16日発売:谷川雁『筑豊からの報告――大正行動隊から退職者同盟へ』本体3,600円。 2024年04月30日発売:ジョヴァンニ・ジェンティーレ『純粋行為としての精神の一般理論』本体5,400円、シリーズ・古典転生第30回配本(本巻29)。 2024年04月30日発売:アンヌ・ソヴァニャルグ『ドゥルーズと芸術』本体3,600円。 2024年04月10日発売:江川隆男『内在性の問題』本体4,300円。 2024年03月21日発売:『平岡正明著作集』上下巻、各3,200円。 2024年02月16日発売:シャルロット・デルボー『無益な知識――アウシュヴィッツとその後2』本体2,400円。 2024年02月06日発売:アルベール・カミュ『結婚』本体2,000円、叢書・エクリチュールの冒険第24回配本。 2024年01月18日発売:ジュディス・バトラー『新版 自分自身を説明すること』本体2,700円。 2024年01月09日発売:近藤和敬『人類史の哲学』本体3,800円。 2023年12月01日発売:アンジェロ・ポリツィアーノ『シルウァエ』本体5,400円、シリーズ・古典転生第29回配本(本巻28)。 2023年12月01日発売:石川義正『存在論的中絶』本体2,600円。 2023年11月17日発売:小田原のどか/山本浩貴編『この国(近代日本)の芸術――〈日本美術史〉を脱帝国主義化する』本体3,600円。 2023年11月09日発売:渡辺由利子『ふたりの世界の重なるところ――ジネヴラとジョルジョと友人たち』本体2,200円、シリーズ〈哲学への扉〉第10回配本。 ◆販売情報(重版・品切・サイン本、等々) ◎重版出来: 2024年06月19日:小田原・山本編『この国の芸術』2刷(2023年11月初刷) 2024年07月24日:マルム『パイプライン爆破法』2刷(2021年12月初刷) 2024年08月01日:モリス『小さな芸術』2刷(2022年11月初刷)
◆出版=書店業界情報:リンクまとめ ◎業界紙系:「新文化 ニュースフラッシュ」「文化通信」 ◎一般紙系:Yahoo!ニュース「出版業界」「電子書籍」「アマゾン」 ◎話題系:フレッシュアイニュース「出版不況」「電子書籍」「書店経営」 ◎新刊書店系:日書連 全国書店新聞 ◎雑談&裏話:5ちゃんねる 一般書籍 ※このブログの最新記事は当エントリーより下段をご覧ください。 ※月曜社について一般的につぶやかれている様子はYahoo!リアルタイム検索からもご覧になれます。月曜社が公式に発信しているものではありませんので、未確定・未確認情報が含まれていることにご注意下さい。ちなみに月曜社はtwitterのアカウントを取得する予定はありませんが、当ブログ関連のアカウントはあります。 #
by urag
| 2024-12-31 23:59
| ご挨拶
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2024年 11月 24日
★最近出会いのあった新刊を列記します。最初の『夢は人類をどう変えてきたのか』のみまもなく発売で、そのほかは発売済です。 『夢は人類をどう変えてきたのか――夢の歴史と科学』シダルタ・リベイロ(著)、須貝秀平(監訳)、北村京子(訳)、作品社、2024年11月、本体4,500円、四六判並製584頁、ISBN978-4-86793-054-0 『失われたスクラップブック』エヴァン・ダーラ(著)、木原善彦(訳)、ルリユール叢書:幻戯書房、2024年11月、本体5,200円、四六判変上製584頁、ISBN978-4-86488-310-8 『ひとごと――クリティカル・エッセイズ』福尾匠(著)、河出書房新社、2024年11月、本体2,500円、46判並製280頁、ISBN978-4-309-23160-0 『日本人の条件――東アジア的専制主義批判』大杉重男(著)、書肆子午線、2024年10月、本体4,500円、A5判上製536頁、ISBN978-4-908568-45-9 ★『夢は人類をどう変えてきたのか』は、ブラジルの神経科学者シダルタ・リベイロ(Sidarta Tollendal Gomes Ribeiro, 1971-)の著書『O oráculo da noite: A história e a ciência do sonho』(Companhia das Letras, 2019)の、 Daniel Hahnによる英訳版『The Oracle of Night: The History and Science of Dreams』(Pantheon, 2021)からの重訳。訳者によれば本書は「「夢とは何か、夢を見ることを人類はどのように利用し、それは人類をどのように変えてきたのか」を解き明かすべく、人類史の始まりから最新の研究成果に至るまで、夢にまつわる歴史、文学、宗教、科学の世界を余すところなく探求」したもの。「世界的ベストセラー」と帯に謳われています。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。 ★「これからの数十年間で、夢を見ることが何をわれわれの存在に取り戻してくれるのか、あるいは何になるのかについての、包括的な理解がもたらされるだろう。夢とはすなわち、必要に応じて展開され、継続的な行動適応を促進する、洗練された心理生物学的ギアボックスだ」(第18章「夢みることと運命」454頁)。「われわれは太古の昔から夢を見てきた人々の末裔だ。都市文明において、夢が社会機能にとって不可欠なものではなくなったのが事実だとしても、多くの先住民文化では、そうした変化は一度も起こっていない。今日に至るまで、夢は狩猟採集民の心の中に生き、これを照らし続けている。彼らは、われわれの祖先がほぼ例外なく採用していた生活様式の、現代における後継者だ。狩猟採集民の夢の視点を理解することは、われわれをここまで導いてきた道筋と、われわれが直面している課題とを説明するうえで欠かすことができない」(同455頁)。 ★『失われたスクラップブック』は、〈ルリユール叢書〉第41回配本(60冊目)。本名、年齢ともに不詳でフランス在住とも言われる作家エヴァン・ダーラ(Evan Dara)のデビュー作『The Lost Scrapbook』(Aurora, 1995)の初訳。「ピリオドなしに476頁続く独り言」(訳者解題、566頁)。「作品は全編、匿名の(そしてしばしば身元のはっきりしない)人物の発話と内的独白から成っていて、しかも、その語り手が数行から十数ページごとに)しばしば段落や文の途中で)突然切り替わるという奇妙かつ独特な仕方で綴られている」(同)。「本書のクライマックスは、終盤100ページほどで急に焦点が当たる物語、ミズーリ州イソーラという一つの街が写真関連の大企業オザーク社に滅ぼされる物語だ。それゆえにこの小説は現代における環境問題を扱った最重要作品の一つとされることがある」(訳者解題、575~576頁)。同書はウィキペディアでは「ポストモダニズム」「エコフィクション」と分類されています。 ★「俺はその最中に、面白いことが起きているのに気づいた みんな、しゃべるときにただひとりごとを言っているみたいだったんだ――つまり、誰か特定の聞き手に向かってしゃべっているのじゃなく、自分の言葉を暗いリビングに向かってつぶやいているだけ 声は宙吊りのまま、孤独にそこに存在しているだけ、けれどもなぜか逆説的に、その孤独性がすごく人を引きつける だから俺はまた気を緩めて耳を傾けた」(63頁)。「音はただ消滅する これもまた一つの悲しさだ というのも、多くのものが失われるから 多くのものが失われる 実際、今も、俺が立っている場所でその過程が進行するのが見える――ここ、屋根の上で だって、こうして屋根に上って、たそがれる空を見ていると、世界中の音の波が静かに拡散していくのが見えるような気がするからだ――すべての音が力なく遠方の雲に吸い込まれ、すべてを一様化する夜の中に消えていく……」(65頁)。 ★『ひとごと』は、哲学者で批評家の福尾匠(ふくお・たくみ, 1991-)さんの『眼がスクリーンになるとき――ゼロから読むドゥルーズ『シネマ』』(フィルムアート社、2018年;河出文庫、2024年8月)、『非美学――ジル・ドゥルーズの言葉と物』(河出書房新社、2024年6月)に続く3冊目の単独著。『日記〈私家版〉』(2022年4月)を含めると4冊目になります。「2017年以降に書いてきた批評とエッセイ(と、インタビューがひとつ)収められている。30篇ほどの文章を並べるにあたって〔…〕まず「スモーキング・エリア」という全5回の連載エッセイをチャプターの区切りとして採用し、それぞれの回となんとなく(あくまでなんとなく)の内容の共通性がある文章を章のうちに配分するというかたちを採ることとした」(まえがき、16頁)。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。 ★「本書の文章が書くことを試みているのは〔…〕何かが〈作品として現れてくる〉その瞬間をつかまえることである。批評とは、仮にそれがすでに作品として社会で了解されているものであっても、自分が出会ったものを新たなしかたで〈作品にする〉行為である」(同13頁)。「倫理なくして創造はなく、創造なくして倫理はない。〔…〕誰かを大切にするということはたんにその人を大切にすることではなく、そのひとから受け取ったものをもとに何か作らないとその人を大切にしたことにはならない」(18頁)。「触発と自律、あるいは倫理と創造ということで私が言おうとしているのは、まさしくドゥルーズの「差異と反復」の私なりの言い換えである。そして『ひとごと』を通して、一見ひどく高踏的な『非美学』のテーゼの身近さは、より実感しやすくなるのではないかと思う。/〔…〕『非美学』は『ひとごと』に収録されている様々な機会に書かれた文章を通して考えられたことなしには書かれなかった」(19頁)。 ★『日本人の条件』は、文芸評論家で東京都立大学大学院教授の大杉重男(おおすぎ・しげお, 1965-)さんの『小説家の起源――徳田秋聲論』(講談社、2000年)、『アンチ漱石――固有名批判』(講談社、2004年)に続く3冊目の単独著。「本書を構成する各章は、もともと雑誌や紀要、同人誌に書かれた論文を、多くの場合根底的に大幅に書き換え、加筆したものからなっている。その過程で大半は論旨が変更になったり修正されている」(あとがき、471頁)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。 ★「最初の本『小説家の起源』は、柄谷行人と蓮實重彦の批評に影響を受けつつも、それらとは異なる古典的な意味での文芸批評への自分なりのオマージュであったと、今はふりかえることができる。二冊目の『アンチ漱石』は、「夏目漱石」という日本近代文学の唯一的固有名の解体を目指した本であり、そのことにおいて従来の批評の枠組みや前提からの離脱を志向した」(同、466頁)。その後「次第に私の考えている問題を「東アジア的専制主義」批判と「東アジア同時革命」の理念の必要性という形で捉え直すようになった」(同、467頁)。「日本と「東アジア」の他の地域との間には深い隔たりがある。しかしその隔たりにもかかわらず、日本は常にすでに「東アジア」であり、それ以外のものではなかった」(470頁)。「私は「東アジア」としての日本について、まず第一部では歴史認識と漢字の問題から思想的に考察し、それから第二部では主に近代文学的テクストの転覆的読解によって問題の核心を探った。最後の覚書〔終章:東アジア同時革命についての走り書き的覚書〕は本書の結論であると同時に、それを破壊して未来に開くための架け橋のつもりである」(471頁)。
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by urag
| 2024-11-24 15:22
| ENCOUNTER(本のコンシェルジュ)
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2024年 11月 21日
2024年12月13日取次搬入予定:芸術・図録 しないで、おくこと――芸術と生のアナキズム 豊田市美術館(編) 月曜社 本体2,600円 A5判並製全頁4色(356頁+口絵4頁、天地210mm×左右123mm×束幅26mm、重量580g) ISBN:978-4-86503-199-7 C0070 芸術=創造とは、いまだ了解されない認識や知覚の領野を拡張していく営みであり、ゆえに芸術とは、「芸術」として名づけられ、回収され、制度化され、統治されてしまうことへの抵抗と逃走=〈アナキズム〉をあらかじめ内包している。表現や日常的な振る舞いにおいて行われている、さまざまなアナキズム的芸術実践、芸術の本来的な力としてのアナキズムの軌跡と同時代的試みを紹介する。 ※豊田市美術館「しないで、おくこと――芸術と生のアナキズム」公式図録(2025年2月14日まで開催中)。日本では断片しか知られていない活動を含む貴重な一冊。収録図版500点余、解説論考7本収録(千葉真智子、石谷治寛、杉田敦、家成俊勝、ルーカス・ハーベルコルン、生熊源一、エミリー・ラバージ)。 【紹介する運動体と作家たち】 1.19世紀末、近代化と背中合わせに気運の高まったアナキズム運動に共感した「新印象主義」の画家たち。 2.第一次世界大戦と前後して、社会の中心から逃れ、スイスの「モンテ・ヴェリタ」に集った芸術家たちやその仲間たち。 3.第二次世界大戦後、急進する資本主義体制をかいくぐり日常の革命を試みた「シチュアシオニスト・インターナショナル」とその重要メンバーの「アスガー・ヨルン」。 4.ソ連時代から現在まで、野外や自室で非公式芸術としてのアクションを展開し続けるロシアの「集団行為」。 5.家庭内労働の場での制作と自主展覧会の運営を実践した「マルガレーテ・ラスペ」。 6.共同スタジオを運営し水平的な場を創造する「コーポ北加賀屋」。 7.DIY的・ブリコラージュ的な手触りの芸術実践を行うアーティスト集団「オル太」。 8.生活も制作も発表の場を、自在に往来し続ける「大木裕之」。 #
by urag
| 2024-11-21 17:17
| 近刊情報
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2024年 11月 21日
2024年12月12日取次搬入予定:芸術・演劇 鈴木忠志の演劇――騙(かた)る身体と利賀(とが)の思想 本橋哲也(著) 月曜社 本体2,400円 46判並製320頁(天地188mm×左右130mm×束幅21mm、重量350g) ISBN:978-4-86503-198-0 C0074 富山県利賀村を拠点とする劇団SCOTを主宰し、演劇の実践をとおして、同時代を生きる人間像を描き、世界水準の舞台を作り続けている演出家・鈴木忠志。その仕事を、「利賀から世界へ」を主題とする〈理論編〉と、代表的舞台を身体(演技)、言語(戯曲)、集団(劇団)、空間(劇場)、思想(歴史)というテーマのもとに詳細に分析した〈作品編〉とによって検証する。ポストコロニアリズムとシェイクスピア演劇研究の第一人者による力作批評。上演写真などカラー32点掲載。 目次 序 戦後文化人としての鈴木忠志 第一部 理論編――東京から利賀へ、利賀から世界へ 第一章 「タリア賞」と「シアター・オリンピックス」 第二章 先行研究と本書の視座 第三章 スズキ・トレーニング・メソッド 第四章 五つのテーゼとプロブレマティーク 第二部 作品編――鈴木演劇を問う 第五章 身体――演技とは何か(『エレクトラ』) 第六章 言語――戯曲とは何か(『リア王』『シラノ・ド・ベルジュラック』『サド侯爵夫人(第二幕)』) 第七章 集団――劇団とは何か(『ディオニュソス』) 第八章 空間――劇場とは何か(『シンデレラ』) 第九章 思想――歴史とは何か(『トロイアの女』『講談・からたち日記由来』『世界の果てからこんにちはⅠ』『世界の果てからこんにちはⅡ』) 結 利賀ふたたび 付録 1 鈴木忠志略年譜 2 鈴木忠志構成・演出作品 初演年譜 3 本書で分析対象とした舞台作品の出演者リスト 4 鈴木忠志主要著作一覧(単行本のみ) 5 鈴木忠志関連書籍一覧(単行本のみ) あとがき 初出原稿発表先リスト 本橋哲也(もとはし・てつや):1955年生まれ。東京経済大学教授。著書:『本当はこわいシェイクスピア』(講談社選書メチエ、2004年)、『ポストコロニアリズム』(岩波新書、2005年)、『侵犯するシェイクスピア』(青弓社、2009年)、『思想としてのシェイクスピア』(河出ブックス、2010年)ほか。訳書:レベッカ・ウィーバー=ハイタワー『帝国の島々』(法政大学出版局、2020年)ほか多数。 ※アマゾン・ジャパンにて予約受付中。 #
by urag
| 2024-11-21 16:41
| 近刊情報
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2024年 11月 18日
★注目新刊書および既刊書を列記します。 『死の瞬間――人はなぜ好奇心を抱くのか』春日武彦(著)、朝日新書、2024年11月、本体900円、新書判並製232頁、ISBN978-4-02-295287-5 『編集宣言――エディトリアル・マニフェスト』松岡正剛(著)、工作舎、2024年10月、本体1,600円、四六判変型上製152頁、ISBN978-4-87502-569-6 『霊的最前線に立て!――オカルト・アンダーグラウンド全史』武田崇元/横山茂雄(著)、国書刊行会、2024年10月、本体3,600円、A5判上製462頁、ISBN978-4-336-07638-0 『Outlying――僻遠の文化史』武邑光裕(著)、rn press、2024年10月、本体3,600円、四六判並製452頁、ISBN978-4-910422-19-0 『美術の物語 ポケット版』エルンスト・H・ゴンブリッチ(著)、天野衛/大西広/奥野皐/桐山宣雄/長谷川宏(訳)、河出書房新社、2024年10月、刊行記念特価本体3,990円(2025年1月末まで、かつ、初回生産分限定)、46変形判上製1048頁、ISBN978-4-309-25746-4 『シュレーディンガー詩集――恋する物理学者』エルヴィン・シュレーディンガー(著)、宮岡絵美(訳・編)、書肆侃侃房、2024年9月、本体1,900円、四六判並製96頁、ISBN978-4-86385-637-0 『口に関するアンケート』背筋(著)、ポプラ社、2024年9月、本体550円、A6変型判並製63頁、ISBN978-4-591-18225-3 ★『死の瞬間』は、精神科医の春日武彦(かすが・たけひこ, 1951-)さんが様々なフィクションやドキュメント、映画やコミックを含む作品群を引き合いに「死」を論じたもの。「死ぬ瞬間」「「永遠」は気味が悪い」「見知らぬ世界」「取り返しがつかない」「死体の件」「死と悪趣味」の6章立て。「本書でわたしは、ヒトが「死」に好奇心を寄せるその有りようを図鑑のように挙げ、論じてみたい。そのようなことをする背景には、死には三つの大きな要素が絡んでいると思っているからである」。春日さんはその三つの要素を〈グロテスク〉〈呪詛〉〈根源的な不快感〉とまとめておられます。 ★『Outlying』は、メディア美学者の武邑光裕(たけむら・みつひろ, 1954-)さんによる初めての自伝。本文が序盤、中盤、終盤と違う色で刷られており、銀色の表紙とあいまって存在感が抜群です。装丁は藤田裕美さんによるもの。中盤中ほどにはカラーの図版頁もあります。特別付録として宇川直宏(DOMMUNE)さんと若林恵(黒鳥社)さんの対談「サイケデリックの行方」という投げ込み小冊子(24頁)が付いています。 ★「マンハッタンに廃墟の住処がなくなろうとする80年代後半に至るまでの、ほぼ10年間にわたるNYでの経験から、そこから90年代以降のサンフランシスコ、そして京都、東京、札幌を挟み、ベルリンとヨーロッパへと向かうことになる私の約40年以上に及ぶ旅の記憶を紡いでいこうと思う。〔…〕インターネットの普及後、コミュニケーションの利便性は圧倒的に変化したが、自身が世界で出会う人物との遭遇は、e-メールやSNSで済まされるものではない。世界が縮小し、出会うべき人との距離が短縮されたとしても、リアルな出会いと対話の記憶を超えることはない。〔…〕この旅のほぼすべてを開示することで、僻遠の異界との関わりをめざす人々に、何らかの刺激を届けられれば幸いである」(序章、19頁)。 ★同書の刊行記念に、著者と若林恵さんによるトークイベントが来たる11月29日(金)、青山BC本店にて行われます。詳細はリンク先をご覧ください。版元の株式会社rn press(アールエヌ・プレス)は、2021年に設立。書店への卸は、直取引かトランスビュー経由とのことです。代表の野口理恵(のぐち・りえ, 1981-)さんは複数の出版社を経て独立した編集者であり著述家。自社から今年5月に『私が私らしく死ぬために』という実用エッセイを上梓されています。「何か「学び」に関する本をずっと作りたいと思っていました。それならば第一弾は「死に方かな」と思い、死をいろいろな角度から取り上げることにしました。死を想うことで、強くなると信じて」(まえがきより)。出発点がすごい。 ★『編集宣言』は、8月12日に逝去された松岡正剛(まつおか・せいごう, 1944-2024)さんが工作舎の月報「土星紀」で連載されていた「エディトリアル・マニフェスト」(1979年8月号~1981年12月号)を中心に、『遊』誌時代の「編集」をめぐるエッセイ2本「遊学する編集」「「別の仕事」との関係から」と、工作舎編集長の米澤敬さんによる「編集者あとがき」が収められています。このあとがきでは米澤さんの前口上に続いて松岡さんによる「遊線放送局」第一回が抄録されています。 ★1979年の「エディトリアル・マニフェスト」第1回から引用します。「編集は闘争でもあった。/そこで、「編集」を「エディトリアル・ワーク」と言い換えておくことにする」(18頁)。「いわゆる“編集者”が著者と版元の間を守る芸者を演ずる時代は終わった。H芸〔編集芸〕からE闘争〔エディトリアル闘争〕へ」(19頁)。この言葉から45年経過した今も、編集は闘争であり続けています。真実と嘘が見極め難い時代に、編集は諸刃の剣としていよいよ危うい段階に入りつつあります。「ただ私が何を言いたかったのか、そのことを手短かにまとめておくことにする。「君たちはようするに何をしているのかね?」「いや、別のことをしているのさ!」」(136頁)。こうした「別のこと」の可能性について自問したいと思います。同書の刊行記念に、デザイナーの祖父江慎さんと工作舎編集長の米澤敬さんによるトークイベント「『遊』と松岡正剛の時代」がジュンク堂書店池袋本店にて11月27日に行われます。 ★『霊的最前線に立て!』は、八幡書店社主の武田崇元(たけだ・すうげん, 1950-)さんと、英文学者で作家の横山茂雄(よこやま・しげお, 1954-)さんの対談本。目次は書名のリンク先をご覧ください。附録として『復刊 地球ロマン』と『迷宮』の2誌の総目次を併録。400頁を超える大著ですが、巻末には人名索引があるので、興味があるところから拾い読みで始めることもできます。武田さんと横山さんが出会ったのは70年代半ばとのこと。日本のオカルト・ムーヴメントを振り返りつつ、お二人の自伝的側面もある一冊です。先述した松岡正剛さんとの関わりでは第5章「横山茂雄の遍歴」に「松岡正剛と工作舎の近辺」(156~160頁)という興味深いパートがあります。横山さんは工作舎に出入りし、大学院生時代にバラード『残虐行為展覧会』(法水金太郎名義、工作舎、1980年、現在品切)を上梓しています。 ★『美術の物語 ポケット版』は、オーストリアに生まれ英国で活躍した美術史家エルンスト・H・ゴンブリッチ(Sir Ernst Hans Josef Gombrich, 1909-2001)のベストセラー『The Story of Art』(Phaidon, 1950/…/1995)の訳書で、日本での出版事業から撤退したファイドンが2011年に刊行したポケット版の再刊となります。ファイドンのポケット版は単行本版よりも古書市場で高額希少本となっていたため、今回の再刊を待望していた読者は多かったことでしょう。「累計800万部突破、35ヶ国で翻訳、世界一読まれている美術史の本」(帯文より)。日本ではまず、友部直訳『美術の歩み』(上下巻、美術出版社、1972年、改訂新版1983年、改訂3版1992年)が出版され、その後、ファイドンより現行訳(単行本版2007年、ポケット版2011年)が出て、それを河出書房新社が再刊(単行本版2019年、ポケット版2024年)した、という流れです。奥付には「本書は2011年10月にファイドン株式会社より刊行された同タイトルの本を一部修正のうえ、新装したものです」とあります。序文が差し替えになり(出版者リチャード・シュラッグマンの文章からゴンブリッチの孫レオニー・ゴンブリッチの文章に。長谷川宏訳)、いくつかの誤植訂正を行った、と版元さんから聞きました。 ★「Web河出」2024年8月14日付特設ページ「【800万部超!世界で一番読まれている美術の名著】『美術の物語』、幻の「ポケット版」が、装いを新たに今秋発売決定!」によれば、本体3,990円は刊行記念特価で「2025年1月末まで、かつ、初回生産分限定」とのことでした。現在版元在庫はなしで重版中ですから、書店店頭で並んでいる在庫のみが特価なのだろうと思います。重版(マレーシアで印刷製本)では通常価格の本体4,990円になるはずです。版元さんの公式Xでも、11月12日付のポストで「【お詫び】世界一売れている美術の本の画期的なコンパクト版『美術の物語 ポケット版』。遂に全ネット書店で完売です。もう1,000円安い特価で買えるのは、いま店頭にある分だけです。想定より1年くらい早かったので河出の在庫はゼロです…。迷っている方、今のうちに書店にお出かけを!!!」と告知されています。 ★『シュレーディンガー詩集』は、オーストリア出身の理論物理学者エルヴィン・シュレーディンガー(Erwin Rudolf Josef Alexander Schrödinger, 1887-1961)の唯一の詩集『Gedichte』(1949年)を初めて訳したものです。恋愛を歌った作品が多いことに驚きを覚えます。彼が自身の思索について語った『わが世界観』(中村量空ほか訳、共立出版、1987年;ちくま学芸文庫、2002年、現在品切)を理解する上でのヒントが、この詩集には含まれているように思われます。 ★『口に関するアンケート』は、『近畿地方のある場所について』(KADOKAWA、2023年8月)や『穢れた聖地巡礼について』(KADOKAWA、2024年9月)とヒット作を次々と飛ばしているホラー作家の背筋(せすじ)さんによる小品。手のひらサイズで、小さな本が大好きな方々にも刺さるのではないかと思います。ネタばれナシで最低限の注意を促しておくと、巻末の「アンケート」を最初に見ては絶対にいけないということと、自分がしたこととの関連性を考えすぎない方がいいということです。割と硬い紙で作られていて開きにくいので、紙版を大切にしたい方は保存用と読書用に2冊買うか、電子書籍も買った方がいいかと思います。電子書籍版を確認したことがないのですが、本文の色はどうしているんでしょうか。
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by urag
| 2024-11-18 03:19
| ENCOUNTER(本のコンシェルジュ)
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