2004年 08月 30日
1ヶ月ほどブログをお休みさせていただいておりました。そのあいだに、『UK77』を朝日新聞の書評で都築響一さんに絶賛していただきまして、よく売れています。感謝感激です。 ところで例の青山BCの件は進展しましたね。洋書輸入卸販売大手の洋販(日本洋書販売)の株式買収により破産確定の危機を脱し、本格的に再建されることになりました。9月29日午前10時に青山本店が、同日午後2時には六本木店が再オープンすることに。取次は大阪屋です。品揃えは従来通りで、社員さんたちも以前のままです。洋販系列の東京ランダムウォークが、青山BCの再開準備を大阪屋とともにサポートしています。 洋販は青山BCの社員を動員して、本日30日から来月9月11日まで、六本木店で「青山BC再生支援フェア」を実施する予定でしたが、実際はどうなるのでしょう。洋書の割引セールが中心だと報道されていました。 ちなみに他支店ですが、新宿店とルミネ2店は、8月1日より阪急ブックファーストが引き継いでいます。取次はやはり大阪屋。9月24日より自由が丘店を引き継ぐのもブックファーストです。広尾店は9月11日に洋販系列の流水書房の支店としてリニューアル。帳合は青山BC時代と同じくトーハンです。橋本店は、完全な閉店のようですね。その昔、天王洲アイル店というのもありましたが、ここは、今回の騒動の前に撤退していました。 再スタートを切る青山BC、はたして売上がどう推移していくのか、注目されます。 以前投稿した書店論について、コメントやトラックバックをしてくださった皆様、あらためて感謝申し上げます。 #
by urag
| 2004-08-30 02:12
| ご挨拶
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2004年 07月 24日
私が知る限りでは、exblogはなぜかトラックバックの履歴を一覧表示する機能がなくて、自分の記事を巡回してチェックするしかないようなのですが、トラックバックしていただいた皆さんのブログには必ず訪問して閲覧させていただいています。しばしば足跡を残さないままでごめんなさい。 幾度かトラックバックしていただいている「生活日報」さんが、私の「ルミネ〈書店横町〉化」案に的確なコメントを寄せてくださっているので、「生活日報」さんのご意見に応答するかたちで、私なりの書店横町案とその周辺情報を補足させていただきます。「生活日報」さん、いつもありがとうございます。 まず、オープンまで日にちがないのは、やはりルミネの要望(というか都合)かと思います。たしかに、あれだけの売場が消えてしまったわけですから。「生活日報」さんが予測されている通り、什器は青山BCのものを流用せざるをえないのでは、と私も見ています。 なお、超特急の商品調達については、出版社に頼るのではなく、大阪屋さんの流通倉庫、すなわちKBC(関西ブックシティ)やTBC(東京書籍流通センター)がフル活用される模様です。そりゃ、そうですよね。土日を除く営業日で数えれば、あと5日しかないのですから。私の先の杞憂(というよりは、いつかは一言物申したいと目論んでいたのをたまたま今回口にしただけか)は、回避されるのでしょう。 私の「ルミネ〈書店横町〉化」案は、二通りを考えていました。まずは、個性派の小規模書店を複数誘致すること。そして、それが叶わないならば、ブックファースト自体が従来の大書店的手法を改革して、いくつかの社内プロジェクトチームによる群島的な小規模売場で構成されるコンプレックス(複合体)になること。 ついでにひとつ前の私の投稿を繰り返せば、そうした書店横町化が、ポスト「大書店」時代の戦略であろう、と能書きを垂れておきました。 個性派の小規模書店を複数誘致する、ということについてはもちろん時間がたりません。ルミネにとっても時間がないし、小規模書店のオーナーにとっても無理な話だったでしょう。時間の問題以前にこうした構想自体に懐疑的であるかもしれません。 けれど、「生活日報」さんがお書きになっている通り、「新星堂とスターバックスを活用したうえでの本屋横丁案」であるならば、けっこう面白いんじゃないか、というのは、本当だと思います。それが書店利用客の正直な願望ではないでしょうか。私はないものねだりだと分かっていても、そうした願望というか欲望には正直でありたいと思うのです。 駅ビルや百貨店のような場所は、客の欲望を満たすことに敏感でなければやっていけないはずです。今、書店を利用する顧客のひそかな欲望のひとつには、特色ある特化型小書店が広めのワンフロアに隣り合っていれば楽しいだろうし、便利だろうし、冒険もできるだろう、という夢があるように思います。のっぺりと果てしなく続くような大フロアは、どこか退屈だからです。 いみじくも、「生活日報」さんは、ルミネ1店が「文化を楽しむ」フロアとして生まれ変われないだろうか、と述べていらっしゃいます。「文化を楽しむ」というのは重要なキーワードですね。手練れのデベロッパーさんなら、そんな言葉は一昔以上前からある、と仰るかもしれない。でも、文化というのはたえず変転し続けるものですから。「文化を楽しむ」という志向性は常に新しい、と私は思います。 さて、そこでブックファーストの脱大書店化についてです。これとてすぐ実行できるわけではないでしょう。それにそもそも、もとから棚はジャンル別に担当者がいるじゃないか、つまりはそれが群島とかコンプレックスのイメージなんじゃないの。 いいえ、違います。先に言ったプロジェクトチームは、それぞれゆるやかな(あるいは目的によってははっきりした)役割分担をもちながら採算も商品展開も独立型を志向し、それにともなってプロジェクトチーム単位で棲み分けた売場ごとに内装も什器も変えるのです(ここはもうちょっと詳説が必要ですね)。 普通こうしたことをするには予算がかさむのを覚悟しなければなりませんが、内装や什器はこうでなきゃ、という先入観を捨てれば、色々な工夫ができるはずではなかろうかと愚考します。 また、ある売場は始終、同人誌ばかりを売る、というように、従来の大フロアで満たしえなかったニーズにも積極的に応えるよう挑戦して欲しいとも思います。 どだいそれは無理、と言ってしまうのではなく、利用客の欲望をどこまで実現できるかを追求すべき時だろうと思います。イマジネーションを自分で膨らませることができないなら、お客に聞けばいい。突拍子もない意見に耳を傷めることになるかもしれないけれど、そこに来たるべき真実があるかもしれない。私の膨らんだ素人妄想については、きりがないので今晩はこの辺で。放談にて失礼いたしました。 #
by urag
| 2004-07-24 01:27
| 販売情報
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2004年 07月 23日
ルミネの2店舗は立地的に言って、他書店も欲しいであろうテナントでした。逆に、六本木店や青山本店はなかなか引継ぎ手は見つからないものと予想されます。 業界人の方はおおかたご存知だろうと思いますが、この秋、新宿にはジュンク堂が進出します。そこで、紀伊國屋とジュンク堂の「新宿頂上対決」が始まるはずでしたが、ここでいきなりブックファーストの殴りこみ。風雲急を告げるとはこのことです。 ブックファーストにとって問題はいくつかあります。彼らのスタンスとしては、紀伊國屋とジュンク堂の「新宿頂上対決」にはあえて参戦しないほうがいいに決まっています。彼らと戦うための戦略を練る準備期間が、今回はないに等しいし、あくまでも私見ですが、彼らと張り合うほどブックファーストは書店として成熟していない。真正面から張り合うのではなく、譬えて言うならば、超大型店という恐竜同士の戦いを尻目に、彼らの足元を縫い歩いて生き抜くちっぽけな哺乳類であるほうが有効だと、私には思われます(ちっぽけな哺乳類というのは、私にとって否定的なイメージではなく、むしろその逆です)。 しかし、ご承知の通り、ブックファーストはジュンク堂ほどではないにせよ、「大型」書店の部類に入ります。私のイメージでは、ブックファーストは恐竜たちのあとにも生き残るようなちっぽけな哺乳類ではない。 世の中には、小規模ながら個性的な品揃えの本屋さんはたくさんあります。私としては、ルミネには、個性派小書店を10店舗ほど引き入れて、本屋横町みたいになってほしかった。タコシェとか、シェルフとか、フィクショネスとか、ナディッフとか。出来れば古本屋さんも入って欲しい。株式会社ルミネに、そういう開発ができる人材がいたらよかったのに。まあ、ないものねだりですが。 もうひとつの問題。8月1日の開店に間に合うように商品を調達するためには、なにより、出版社が快く、しかも超特急で出品することが大前提になります。各社がどれほど素早く協力できるかどうか。レスポンスの遅い出版社もあるでしょうから、そういう不着品があるだろうことも見越して、売場に置ききらない冊数を発注することになるでしょう。足りないよりかはマシです。しかし、新規店およびその支援取次はおおかたこうした過剰発注をいままでしてきましたから、出版社は注文品の全冊を漏らさずに納品するのを渋る可能性がある。 こんな体験があります。某書店チェーンの新規出店に伴い、大量の発注が入って、それを出荷した。で、開店後の現場に行って自社商品を探すと一冊もなかった。 書店の立場からすれば仕方ないことですが、出版社にとってこれほど徒労なことはありません。おそらく、ブックファーストほどの書店さんであるならば、発注した商品は極力返品せずに大事に陳列してくださるだろう。しかし、本当にそうしてくださるかどうか、今回はあまりにも時間がなさ過ぎる。 今、私は「ブックファーストほどの書店さんであるならば」と書きました。しかし、本音を言えば、これは正直な声ではありません。「ブックファーストのXXさんや**さんであるならば」と言い換えましょう。出版社の営業マンは、本屋さんのブランドを頼るほどナイーブではない。お店の大小は関係なく、信じられる書店員さんがいればこそ、その書店に肩入れしようとも思うのです。 大書店というブランドは捨てて、ブックファーストは、店員の個性を前面に出し、思い切ってその店員を中心にいくつかのプロジェクトチームを組み、そのプロジェクトチームがそれぞれパーティションで区切られた売場を持つ、というくらいの「革命」を期待したい。もちろんクリアせねばならない様々な課題はありますが、これ、本気で提案したいのです。一元的で大陸的な大書店ではなく、多元的で群島的な複合体。ポスト「大書店」時代の戦略は、そういうイマジネーションの中に潜在しているのではないか、と愚考しています。 皆さんはどう思われますか。 #
by urag
| 2004-07-23 15:12
| 販売情報
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2004年 07月 23日
はやばやと新文化に速報が出てしまったので、もう明らかにしてよいだろうと思いますが、青山BC新宿店(ルミネ1)と、同ルミネ2店の空きテナントに、阪急ブックファーストが入ることになりました。 なんと開店は8月1日。どう考えてもメチャクチャなスケジュールです。まったくのがらんどうな数百坪の売場に、たったいまから商品を詰めるべく、大急ぎで本や雑誌をかき集めるのです。ブックファーストのスタッフの皆さんも、取次の大阪屋さんも、しばらくは徹夜が続くことでしょう。 #
by urag
| 2004-07-23 14:22
| 販売情報
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2004年 07月 23日
blog-goldのチャーリーさんの7月20日付記事で、青山BC倒産を「もっとも深刻に受け止め、倒産にいたった経過や所感を詳しく書かれているblogは、間違いなくここでしょう」と、当ブログのことを評価してくださったのですが、実を申せば、書きにくいこと、つまりパブリックな話題にはしにくいことがだんだん多くなってきて、あまり詳しく書けなくなってきています。 私の気持ちとしては、今回の件は、ひとり青山BCのみの問題ではないと思っていることは確かですが、一部の熱心な支援家の方のように、「貴重な独立系書店が営業を停止するということは、日本の文化の死を意味します」とまでは言えない、というのが正直な気持ちです。 私は「日本の文化の死」という言葉を使いたくありません。問題のありかが、大きな言葉の陰でぼやけてしまいかねないからです。 業界の一部の声は青山BCがトーハンに帳合変更して存続、という可能性を伝えています。それはおそらく難しい気がします。たしかに青山BCは広尾店だけがトーハンを利用していましたが、トーハンが現時点の青山BCの債務超過と付き合うようには思えません。 また、以前に某書店チェーンが青山BCを買収するという噂もありましたが、それも実現しなかったようです。いまどきは、どんな大型チェーンだって、他店を買収する余裕なんてぜんぜんない、というのが真実かと思います。 ありうる可能性は、青山BCが入居していたテナントが、それぞれ別々の書店によって再開されるということです。そうした解体的な方向性でしか、おそらくは引き継ぎ得ないのではないかと推測されます。 ともあれ、倒産から一週間たつ今日、青山BCがどうなるのかは未だに不透明です。 #
by urag
| 2004-07-23 11:34
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