2005年 04月 25日
昨晩、2005年4月24日(日)夜11:10よりNHK第一放送にてオンエアされた「ラジオ深夜便」の冒頭コーナー「ないとガイド」で、詩人の荒川洋治さんが、小社の『燈火節(とうかせつ)』を紹介してくださいました。荒川先生、まことにありがとうございます。さっそく客注が入り始めています。(H)
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by urag
| 2005-04-25 19:07
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2005年 04月 25日
4月25日配信のメールマガジン「[本]のメルマガ」211号に寄稿した拙文(連載「ユートピアの探求」)より、月曜社関連情報を公開した前後の記事を抜粋し、さらに、掲載できなかった付加情報を書き足して、以下に添付します。 *** さて新刊の話。このところ、ジャン=リュック・ナンシーの日本語訳がたて続けに刊行された。3月末には松籟社から、加藤恵介訳で『複数にして単数の存在』が発売され(奥付上は4月1日の刊行)、今月(4月)には現代企画室から、大西雅一郎訳で『哲学的クロニクル』が発売された。 前者は『無為の共同体』(以文社、2001年)と並ぶ主著(原著は1996年刊)の待望の翻訳である。人類の共存をめぐる問いはますます切迫してきているが、本書はその問題の根源にまっすぐ向かっていく骨太の書物だ。 後者は昨年(2004年)初頭に刊行された小著の翻訳。2002年9月から2003年7月まで、11回にわたって放送されたラジオ番組に基づいている。そのさなかに起こったイラク戦争が本書に影を落としているのが印象的だ。 こうした日本語訳が立て続けに刊行されるほんの少し前、3月中旬に、フランスではついに、彼の最晩年の総まとめと呼ばれることになるだろう『キリスト教の脱構築』第一巻が刊行された。第一巻は"La Declosion"と題されている。これは非隠蔽性、と訳すべきだろうか。つまりハイデガーのUnverborgenheitである(『存在と時間』第1部第1篇第6章第44節bなど)。 本書では序論もあわせて15篇の論文が含まれているが、そのうちのひとつである14番目の論文「キリスト教の脱構築」は、すでに大西雅一郎氏による日本語訳がある。『神的な様々の場』(松籟社、2001年)に収録。原書にはない論文だが、日本語訳を刊行するにあたって、ナンシー側から併録の申し入れがあったものだ。若干の体裁的変更はあるが、内容的には同一と見える。 「キリスト教の脱構築」という主題はナンシーの年来のものであったろうが、この第一巻では、デリダやブランショの死によって、ナンシーが彼らに負っているものがいっそう際立ったかたちで見えるようになっているという点を特記したい。デリダの死去のほんの少し前に書いたものだという論文"Consolation, desolation"や、ブランショの死後に手向けられた二篇の論文"Le nom de Dieu chez Blanchot"および"Resurrection de Blanchot"を味わってみたい。 デリダはかつて、2000年に『感触、ジャン=リュック・ナンシー』と題した一書を友に捧げ、ブランショは『無為の共同体』に触発されて『明かしえぬ共同体』(ちくま学芸文庫、1997年。原著は1983年)を書いた。デリダのナンシー論は日本語訳が企画されていると聞くし、『明かしえぬ共同体』の前史とも言うべき諸論文を収めたブランショの『政治論集1958-1993』は、来月末刊行に向けて、いま私自身の手元で最終作業が進んでいる。 『ブランショ政治論集』という題名で月曜社から刊行されるはずのこの本をめぐっては、共訳者の安原伸一朗氏、西山雄二氏、郷原佳以氏が発表者となるミニ・シンポジウムが、5月28日(土)10:00~12:30に、豊島区の立教大学5号館5124教室で開催されることになっている。 さらなるブランショ情報だが、まもなく書肆心水から中期の小説『私についてこなかった男』が谷口博史訳で刊行される。本書をもって、ブランショのおおかたの単行本主要作は翻訳され尽くしたことになる。同書肆では今後もブランショの品切本や未訳論文等がまとめられ、デリダのブランショ論『パラージュ』(原著初版1986年刊、増補改訂新版2003年刊)も出版される予定だと聞く。 どこの店とは言わないが、かつて栄華を誇った某大書店の外国文学棚にブランショの本がほとんど置かれていないのには眩暈がした。品切が多いとは言え、それでもまだ読めるものはある。ちょうど売れてしまって補充する前だったのかもしれないが、他日の記憶をたどるに、やはり置いていなかった気がする。 ブランショを置いていない仏文学棚なんて!と嘆いたりしたら、今の若い人たちからは年寄りじみたことをと失笑されてしまうのだろうか。そんな、まさか。ただし、私が大学を卒業してから十数年。たかが十数年、ではない。この十数年の内にも書店の棚は変わったし、砂浜に書かれた文字のように忘れられつつある作家たちがいるわけだ。 だが、断言しよう、ブランショは必ず回帰する。書くという行為に人間が妄執するかぎり、彼が『文学空間』(現代思潮新社)で述べたことはすべて根深い真実なのだ。オルフェウスは必ず帰還する。[2005年4月24日記す] *** 付記1:ブランショ関連情報についてはウェブサイト"Espace Maurice Blanchot"が有益である。 付記2:ブランショ追悼シンポジウムの記録"Maurice Blanchot Recits critique" (Farrago, 2003)でもデリダやナンシーの、ブランショとのかかわりが読める。本書への寄稿者はほかに、ラクー=ラバルト、ディディ=ユベルマン、ブランショ伝の著者クリストフ・ビダンなど多数いて、日本からも清水徹氏や郷原佳以氏が一文を寄せている。郷原氏によるシンポジウムのレポートが月曜社ウェブサイトで読める。「モーリス・ブランショの死後に行われたパリでのシンポジウムについて 」初出「図書新聞」第2632号-第2637号。 付記3:デリダの生前最後のインタビュー『生きることを学ぶ、終に』が鵜飼哲訳でみすず書房から今月刊行されたことも特記しなければならない。日刊紙『ル・モンド』2004年8月19日付に「私は私自身と戦争状態にある」と題され発表されたインタビューである。インタビュワーはジャン・ビルンバウム。ビルンバウムによる「喪を宿す――子供としてのデリダ」と、訳者の鵜飼氏による「リス=オランジス、2004年8月8日」を併録している。 付記4:また、先月(3月)に刊行された"Rue Descartes"誌の第48号はデリダ特集(Salut a Jacques Derrida)となっている。ジャン=リュック・ナンシーやフィリップ・ラクー=ラバルトをはじめ、ユルゲン・ハーバーマス、ポール・リクール、エレーヌ・シクスー、ルネ・マジョール、マリ=ルイーズ・マレ、エティエンヌ・バリバール、ヴァレリオ・アダミ、ベルナール・シュティグレール、ミシェル・ドゥギー、ジャコブ・ロゴザンスキー、サミュエル・ウェーバー、ジェフリー・ベニントン、ヴェルナー・ハーマッハー、アレクサンダー・ガルシア・デュットマン、ほか、といった豪華な顔ぶれによるテクストを収録。 付記5:"Rue Descartes"誌第48号デリダ特集に先立ち、デリダの死去の直前には、"Europe"誌第901号や"L'Herne"誌第83号でデリダ特集が組まれ、また、死去に前後して『ストラスブールから考える』や『来るべき民主主義――ジャック・デリダをめぐって』といった生前の討論会の記録がガリレ社から刊行されている。デリダの交友と影響関係がいかに幅広いものであったかの証左である、ともいえよう。 付記6:デリダの近刊予定等については当ブログのデリダ関連のエントリーが参考になるかもしれない。当ブログの検索機能で、「デリダ」をサーチするとご覧いただけるだろう。 付記7:デリダ関連の情報蒐集にはウェブサイト"Site Jacques Derrida"が参考になる。 #
by urag
| 2005-04-25 18:50
| 本のコンシェルジュ
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2005年 04月 24日
他社版元さんの新刊で、要チェックだなと感じた本を、毎週末、リストアップします。このほかにもたくさん素晴らしい本はありますが、自分がぜひ購読してみたいと思った書目に絞ります。 書誌情報の見方と配列は次のようになっています。 書名――副題 著者、訳者など 版元、本体価格、判型サイズ、頁数(本文, 本文とは別立ての巻末索引や巻頭口絵など) ISBN、発行年月 一言紹介およびリファレンス事項。棚分類が難しそうな本の場合は推奨例を挙げます。 今回は仕事が忙しく、一言紹介は版元等のデータにその多くを負っています。 *** 生きることを学ぶ、終に ジャック・デリダ(1930-2004) [著]、鵜飼哲 [訳] みすず書房、本体1200円、タテ19cm、77, 8p. ISBN4-622-07138-X / 2005.04 逝去前の最後のインタビュー。 哲学的クロニクル ジャン=リュック・ナンシー(1940-)[著]、大西雅一郎[訳] 現代企画室、本体2200円、タテ20cm、141p. ISBN4-7738-0501-3 / 2005.04 昨年(2004年)初頭に刊行された小著の翻訳。2002年9月から2003年7月まで、11回にわたって放送されたラジオ番組に基づいている。そのさなかに起こったイラク戦争が本書に影を落としているのが印象的。 サパティスタの夢(インディアス群書 第5巻) マルコス副司令官+イボン・ル・ボ [著]、佐々木真一 [訳] 現代企画室、本体3500円、タテ22cm、336p ISBN4-7738-0101-8 / 2005.04 フランスの社会学者ル・ボが、チアパスの密林の奥深いゲリラ根拠地で行なった、サパティスタ集団の副司令官マルコスとの長時間インタビュー。 ブーレーズ-シェフネール書簡集 1954-1970 ピエール・ブーレーズ(1925-)+アンドレ・シェフネール [著]、笠羽映子 [訳] 音楽之友社、本体2600円、タテ20cm、271, 15p. ISBN4-276-20373-2 / 2005.04 若き日のブーレーズと民族音楽の重鎮シェフネールが、1950年代中頃から1970年にかけて2人が交わした書簡とそれらに関連した論考成。ブーレーズ「《パルジファル》への道」の日本語訳も収録。 ホメオパシー医学哲学講義 ジェームズ・タイラー・ケント(1849-1916)[著]、松本丈二+永松昌泰 [訳] 緑風出版、本体3200円、タテ20cm、434p. ISBN4-8461-0506-7 / 2005.04 ホメオパシー(類似療法)医学中興の祖による、創始者ハーネマンの古典的名著『オルガノン』解説書であり、教本。 関係としての自己 木村敏(1931-) [著] みすず書房、本体2600円、タテ20cm、308p. ISBN4-622-07144-4 / 2005.04 ハイデガー、ニーチェ、フロイト、西田幾多郎らとの思想的対話を通し、「自己」とは何かを根源的に問う。 時のしずく 中井久夫(1934-) [著] みすず書房、本体2600円、タテ20cm、289p. ISBN4-622-07122-3 / 2005.04 知られざる自伝的エピソードと、自らの家系に連なる異能の人々についての省察、その他。 善人ゲールハルト 王侯・騎士たち・市民たち ルードルフ・フォン・エムス [著]、平尾浩三 [編訳] 慶応義塾大学出版会、本体4500円、タテ20cm、351p. ISBN4-7664-1129-3 / 2005.04. 13世紀前半に活躍した騎士詩人であり、ドイツ最初の歴史家とも評されるフォン・エムスの遺した膨大な詩行から、韻文物語「善人ゲールハルト」を、中高ドイツ語の原文より日本語訳。詳細な注釈と論考付。 シェイクスピアの政治学 アラン・ブルーム(1930-1992)[著]、松岡啓子 [訳] 信山社出版、大学図書 [発売]、本体2600円、タテ20cm、218, 8p. ISBN4-7972-5325-8 / 2005.03. 教養の源泉としての古典に人生の指針を探るという姿勢は、師匠のレオ・シュトラウスより継承したものでしょう。主著『アメリカン・マインドの終焉』(みすず書房)はいま品切れなんですね。 ◎気になる新書、文庫 キリスト教は邪教です! ――現代語訳『アンチクリスト』 ニーチェ [著]、適菜収 [訳] 講談社(講談社+α新書)、本体800円、タテ18cm、181p. ISBN4-06-272312-3 / 2005.04 こともあろうに表紙が9.11のWTCの写真。なんでだろう。α新書ではこれまでユングの本を二冊ほど刊行してますね、『オカルトの心理学』『錬金術と無意識の心理学』。同じ編集者でしょうか。 スピノザの世界――神あるいは自然 上野修 [著] 講談社(講談社現代新書1783)、本体720円、タテ18cm、193p. ISBN4-06-149783-9 / 2005.04. 日本におけるスピノザ研究を牽引する研究者による待望の入門書です。 魂を漁る女 レオポルト・フォン・ザッハー=マゾッホ [著]、藤川芳朗 [訳] 中央公論新社(中公文庫)、本体1333円、タテ16cm、563p. ISBN4-12-204520-7 / 2005.04. 『ドラゴミラ』(同学社、1998年)の改題。昨今は文庫化されるのが早いですね。 福沢諭吉『文明論之概略』精読 子安宣邦 [著] 岩波書店(岩波現代文庫・学術142)、本体1100円、タテ15cm、298p. ISBN4-00-600142-8 / 2005.04. かたや文庫書き下ろし。国体論や皇国史観と対決する諭吉像の展開。 漱石文明論集 夏目漱石 [著]、三好行雄 [編] 岩波書店(ワイド版岩波文庫254)、本体1300円、タテ19cm、378p. 4-00-007254-4 / 2005.04. ワイド版の需要は伸びているんでしょうね。でもワイド版はいわゆる大活字本まで文字は大きくないですよね。1986年刊の再刊。 *** 以上、単行本9冊と、新書・文庫5冊。ぜんぶ購入した場合、税込31,766円也。(H) #
by urag
| 2005-04-24 23:20
| 本のコンシェルジュ
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2005年 04月 23日
2005年 04月 22日
ヴェテラン映画監督の恩地日出夫さんの最新作「蕨野行」(2003年。村田喜代子原作、文春文庫)がとても見たいのです。各地で転々と上映会が開かれています。一昨年秋の東京での単館ロードショーは見逃してしまったのです。かつて幾度か映画化された深沢七郎さんの「楢山節考」とは趣きが異なりますけれども、今回の「蕨野行」で印象的なもののひとつはその台詞回しですね。東京ではとうぶん上映しないのでしょうか。今秋に和光市で開かれるのが場所的には一番近そうです。(H)
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by urag
| 2005-04-22 22:57
| 雑談
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