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2024年 01月 15日

注目新刊と既刊:大村敬一編『「人新世」時代の文化人類学の挑戦』以文社、ほか

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★まず最初に最近出会いがあった新刊2点を記します。

「人新世」時代の文化人類学の挑戦――よみがえる対話の力』大村敬一(編)、以文社、2023年12月、本体4,800円、A5判並製464頁、ISBN978-4-7531-0381-2
王朝和歌、こんなに面白い』中原文夫(著)、作品社、2024年1月、本体1,600円、46判上製224頁、ISBN978-4-86793-014-4

★『「人新世」時代の文化人類学の挑戦』は、版元紹介文に曰く「総勢12名の人類学者が対話・インタビュー形式で「人新世」時代を語る、最新の研究動向に迫る論集」。編者の大村敬一(おおむら・けいいち, 1966-)さんをはじめ、深山直子、飯田卓、森田敦郎、中川理、モハーチ・ゲルゲイ、木村周平、久保明教、中谷和人、土井清美、入來篤史、河合香吏、の各氏が参加されています。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。本書の編者、大村敬一(おおむら・けいいち, 1966-)さんによる「はじめに」によれば「本書のもとになったのは、放送大学のオンライン授業の大学院科目『文化人類学の最前線』の台本である」とのこと。「本書の目的と射程は、この今という時代において文化人類学が取り組んでいる問題を紹介し、この時代を生きている私たちにとって、文化人類学の視野がいかに重要であるかを示すことにあります」(序章冒頭より)。

★『王朝和歌、こんなに面白い』は、作家の中原文夫(なかはら・ふみお, 1949-)さんが古典和歌の魅力を平易に紹介したエッセイ集。「王朝社会と和歌」「恋歌の雅な世界」「華やかな後宮サロン」「「新古今和歌集」の王朝美」「和歌の不思議な力」「歌会と歌合せ」「「新古今和歌集」後の王朝和歌」の全7章。「NHK大河ドラマ「光る君へ」が面白くなる」と帯文に謳われています。「日頃あまり古典和歌を読むことのない方のために、王朝和歌などを楽しんで頂く語り部として、あちこちで寄り道しながら、近世までの古典和歌の面白い話を拾ってまいります」(はじめにより)。

★次に注目既刊書を列記します。これらは購入が遅かったか、紹介の機会を窺っているうちに、タイミングを逸したもので、ようやくまとめて記す機会を得ました。何回かに分けて掲出していきます。今回はその1回目です。

脱成長がもたらす働き方の改革』セルジュ・ラトゥーシュ(著)、中野佳裕(訳)、白水社、2023年11月、本体2,000円、4-6判並製182頁、ISBN978-4-560-09476-1
差別と資本主義――レイシズム・キャンセルカルチャー・ジェンダー不平等』トマ・ピケティ/ロール・ミュラ/セシル・アルデュイ/リュディヴィーヌ・バンティニ(著)、尾上修悟/伊東未来/眞下弘子/北垣徹(訳)、明石書店、2023年6月、2023年6月、本体2,700円、4-6判上製216頁、ISBN978-4-7503-5603-7
人新世の人間の条件』ディペシュ・チャクラバルティ(著)、早川健治(訳)、晶文社、2023年2月、本体1,800円、四六判上製180頁、ISBN978-4-7949-7333-7
『汚れた歳月』A・P・ド・マンディアルグ(著)、レオノール・フィニ(装画)、松本完治(訳)、エディション・イレーヌ、2023年2月、本体2,800円、A5変型上製本208頁(挿画3点)、ISBN978-4-9912885-0-0
論語集解(上)』魏・何晏(集解)、渡邉義浩(訳)、早稲田文庫、2021年12月、本体1,000円、A6判370頁、ISBN978-4-657-21016-6
論語集解(下)』魏・何晏(集解)、渡邉義浩(訳)、早稲田文庫、2021年12月、本体1,000円、A6判372頁、ISBN978-4-657-21017-3
メディアの未来――歴史を学ぶことで、新聞、雑誌、ラジオ、テレビ、SNSの将来は導き出せる』ジャック・アタリ(著)、林昌宏(訳)、プレジデント社、2021年9月、本体3,300円、四六判上製584頁、ISBN978-4-8334-2429-5

★特記しておきたいのは、マンディアルグ『汚れた歳月』と何晏『論語集解』です。まず『汚れた歳月』は、帯文に曰く「待望の本邦初訳作品。悪夢とエロスが混淆した《奇態なイメージ》が炸裂する、極彩色の「幻想綺譚集」」。訳者による巻末解題「世界終末の既視感〔デジャヴュ〕」によれば本書は、レオノール・フィニのデッサン3点を添えて1943年に自費出版されたマンディアルグの第一作で私家版の『Dans les années sordides』と、ガリマールから1948年に再刊された同書に追加された散文詩風掌篇集『絹と石灰』Soie et charbonを翻訳したもの。「第二次世界大戦下、6年間のモナコ隠遁中に掛かれた驚異のヴィジョンと、世界終末のデジャヴュ。作家としての地歩を固めた記念碑的作品」(帯文より)。翻訳者であり、エディション・イレーヌの設立者である松本完治(まつもと・かんじ, 1962-)さんによって続々と刊行される書物群はいずれも印象的で、収集している方も多いでしょう。

★『論語集解』上下巻は、大隈重信没後100周年特別企画の第3弾である早稲田文庫の初回配本2点。中国古典の重要作を最初から文庫本で提供するという試みに胸打たれます。昨年末までに続刊として、『後漢書』の「本紀一」「本紀二」「志一」までが『論語集解』と同じく渡邉義浩さんの訳で刊行されています。

★これらはいずれも一人の訳者が多くを担って実現しているものです。強力な伴走者がむろんそれぞれにいるだろうことを含めて、こうした試みの労苦は記憶されるべきものだと感じます。松本完治さんが『サバト館刊行 全書籍目録』(エディション・イレーヌ、2022年10月)を編まれたのも、そうした顕彰の貴重な記録の一例かと思います。


# by urag | 2024-01-15 00:40 | ENCOUNTER(本のコンシェルジュ) | Comments(0)
2024年 01月 08日

注目新刊:ちくま学芸文庫1月新刊、ほか

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★まもなく発売となる、ちくま学芸文庫1月新刊6点です。

『モンテーニュからモンテーニュへ――レヴィ=ストロース未発表講演録』クロード・レヴィ=ストロース(著)、真島一郎(監訳) 昼間賢(訳)、ちくま学芸文庫、2023年1月、本体1,300円、文庫判288頁、ISBN978-4-480-51102-7
『絵画空間の哲学――思想史の中の遠近法』佐藤康邦(著)、ちくま学芸文庫、2024年1月、本体1,400円、文庫判352頁、ISBN978-4-480-51218-5
『増補 決闘裁判――ヨーロッパ法精神の原風景』山内進(著)、ちくま学芸文庫、2024年1月、本体1,400円、文庫判336頁、ISBN978-4-480-51221-5
『江戸の戯作絵本(1)』小池正胤/宇田敏彦/中山右尚/棚橋正博(編)、ちくま学芸文庫、2024年1月、本体1,700円、文庫判576頁、ISBN978-4-480-51224-6
『日本の裸体芸術――刺青からヌードへ』宮下規久朗(著)、ちくま学芸文庫、2024年1月、本体1,300円、文庫判320頁、ISBN978-4-480-51228-4
『神経回路網の数理――脳の情報処理様式』甘利俊一(著)、ちくま学芸文庫、2024年1月、本体1,600円、文庫判528頁、ISBN978-4-480-51229-1

★クロード・レヴィ=ストロース『モンテーニュからモンテーニュへ』は文庫オリジナル。『De Montaigne à Montaigne』(Édité et préfacé par Emmanuel Désveaux, Éditions de l'EHESS, 2016)の訳書。「新たに発見されたレヴィ=ストロースの二つの講演を訳出」(カバー表4紹介文より)と。編者のデヴォーは序文でこう書いています。「フランス国立図書館の書庫で講演録が発見された〔…〕この講演は、人類学におけるレヴィ=ストロースの初期の歩みにかんする理解を大幅に見直すよう命じている」(8頁)。「プリミティヴィズムへの頌歌といい、文化多様性への讃辞といい、レヴィ=ストロースの理想のうちにモンテーニュが秘めやかに存在していることは、1937年の講演からも確認されるのである。/これに対し、1992年講演では、モンテーニュの姿がいっそう分かりやすく表れる」(28頁)。「〔1992年講演での〕レヴィ=ストロースの狙いは、モンテーニュが人類学的理性を数多の点で先取りしていたことを列挙するだけにとどまらなかった」(29頁)。以下に目次を列記します。

目次:
序文(エマニュエル・デヴォー)
革命的な学としての民族誌学(1937年1月29日)
モンテーニュへの回帰(1992年4月9日)
レヴィ=ストロース(1908-2009)――略歴のポイント
付論 南方の澱――レヴィ=ストロースとモンテーニュ(真島一郎)
監訳者あとがき

★佐藤康邦『絵画空間の哲学』は、三元社より1995年に刊行された単行本の文庫化。著者は2018年に逝去しており、改訂はなし。「絵画空間の哲学」「ルネッサンスの美術」「ドイツ観念論における芸術の位置」「近代日本における静養体験――岸田劉生の場合」の四部構成。文庫版解説として、美学者で東大教授の小田部胤久さんによる「西洋文化の精華を今ここで問い直す試み」が付されています。

★山内進『増補 決闘裁判』は、講談社現代新書の1冊として2000年に刊行された親本に論考「法と身体のパフォーマンス」を増補して文庫化したもの。増補された論考は「大航海」誌第53号(新書館、2005年)に発表したものを大幅に加筆修正しています。巻末には著者による「文庫版あとがき」と、一橋大学教授の松園潤一朗さんによる解説「法と力をめぐる比較法制史の面白さ」が加わっています。

★『江戸の戯作絵本(1)』は、社会思想社の現代教養文庫で刊行されていた『江戸の戯作絵本』の第1巻「初期黄表紙集」(1980年)と第2巻「全盛期黄表紙集」(1981年)を合本して再刊したもの。凡例によれば「文庫化に際しては、棚橋正博氏にご協力を仰ぎ、誤記・誤植を改め」「図版は状態のよいものに適宜改めた」。「一部底本とは別の図版を掲載したものもある」とのこと。カバー表4紹介文に曰く「江戸時代の大人の漫画「黄表紙」。〔…〕傑作として名高いアンソロジーを、図版を撮り直し、全3冊で刊行」。現代教養文庫版の第3巻「変革期黄表紙集」(1982年)、第4巻「末期黄表紙集」(1983年)、続巻一(1984年)、続巻二(1985年)も順次合本され再刊されていくものと思われます。

★宮下規久朗『日本の裸体芸術』は、『刺青とヌードの美術史――江戸から近代へ』(NHKブックス、2008年)を大幅加筆し文庫化したもの。「この文庫版では、近年のヌードと刺青にまつわる主な出来事や研究について巻末に加筆した。〔…〕本文については基本的にそのままにしたが、あちこちに手を入れ、補論〔「その後のヌードと刺青」〕を加え、図版を少し増やし、注でその後の主な研究を追加してアップデートをはかった」(文庫版あとがきより)と。巻末解説「裸体に描くから裸体を描くへ」は美術史家の木下直之さんがお書きになっています。

★甘利俊一『神経回路網の数理』は、Math&Scienceシリーズの最新刊。産業図書より1978年に刊行された単行本の文庫化。巻末特記によれば「文庫化にあたり、若干の修正を施した」とのことです。文庫版あとがきには本書について次のように書かれています。「脳の情報処理の仕組みを数理の力で解明してみたい。これが私の目指した数理脳科学であった」。「脳の仕組みをもとにもっと単純化したモデルを考え、そこで実現可能な情報の原理を少しずつ積み上げて、脳の情報原理に迫りたい」。「現実の脳に学ぶことはまだまだ多い。いずれ、我々の記憶、意識、心に迫るであろう」。本書の英語版を刊行していれば「数理脳科学と人工知能について、世界ではもう少しは違った展開があったかもしれない」とも述懐されています。

★続いて、最近出会いのあった新刊を列記します。

吉本隆明全集33[1999-2001]』吉本隆明(著)、晶文社、2023年12月、本体6,500円、A5判変型上製484頁、ISBN978-4-7949-7133-3
隆明だもの』ハルノ宵子(著)、晶文社、2023年12月、本体1,700円、四六判並製296頁、ISBN978-4-7949-7383-2
イエスタデイ・ワンス・モア――カーペンターズ全業績』リチャード・カーペンター/マイク・シドーニ・レノックス/クリス・メイ(著)、森田義信(訳)、晶文社、2024年1月、本体5,400円、B5判変型上製376頁、ISBN978-4-7949-7396-2
ジョルジュ・サンド セレクション(別巻)サンド・ハンドブック』持田明子/大野一道(編)、ミシェル・ペロー/持田明子/大野一道/宮川明子(著)、藤原書店、2023年12月、本体4,200円、四六変型判上製384頁、ISBN978-4-86578-409-1
自治と連帯のエコノミー』ロベール・ボワイエ(著)、山田鋭夫(訳)、藤原書店、2023年12月、本体2,600円、四六判上製208頁、ISBN978-4-86578-410-7
シモーヌ・ヴェイユ 「歓び」の思想』鈴木順子(著)、藤原書店、2023年12月、本体3,600円、四六判上製296頁、ISBN978-4-86578-408-4
私が諸島である――カリブ海思想入門』中村達(著)、書肆侃侃房、2023年12月、本体2,300円、四六判上製344頁、ISBN978-4-86385-601-1
現代思想2024年1月号 特集=ビッグ・クエスチョン――大いなる探究の現在地』青土社、2023年12月、本体1,900円、A5判並製286頁、ISBN978-4-7917-1458-2

★まず晶文社さんの新刊近刊より3点。『吉本隆明全集33[1999-2001]』は、第34回配本で、講義や語り下ろし作4本をまとめたもの。「詩人・評論家・作家のための言語論」「僕なら言うぞ!」「老いの幸福論」「今に生きる親鸞」を収録。付属の月報34では、夏石番矢「吉本隆明からの示唆」と、友常勉「知の特権性を解体し、傷を修復する」を収めています。この月報での連載をもとにまとめられたのがご長女のハルノ宵子さんによる『隆明だもの』。連載のほか既出エッセイとインタヴューの計3篇を加え、さらに次女の吉本ばななさんとの語り下ろし「姉妹対談」を併録。全集の別巻とも言っていい、親しみやすい1冊です。

★『イエスタデイ・ワンス・モア』は、「リチャード・カーペンターによる、初の公式ヒストリーブック」(帯文より)。『Carpenters: The Musical Legacy』(Princeton Architectural Press, 2021)の訳書です。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。「カーペンターズの全曲、演奏活動、録音、証言など、あらゆるヒストリーを修正する未曽有の1冊」(カバーソデ紹介文より)。昨年はカレン・カーペンンターさんの没後40年でした。

★続いて藤原書店さんの12月新刊3点。『サンド・ハンドブック』は、『ジョルジュ・サンド セレクション』の最終配本(第10回)となる別巻。サンドのテクスト2篇「〈ルソーの精神的娘〉として」「一八四八年革命とパリ・コミューン」のほか、当セレクションの責任編集者の一人で歴史家のミシェル・ペローさんがラジオ番組で語ったものだという「自由への道――サンドとその時代」を収め、さらに主要作品紹介、サンド略年譜などで構成されています。

★ボワイエ『自治と連帯のエコノミー』は、『L'Économie sociale et solidaire : une utopie réaliste pour le XXIe siècle ?』(Les Petits matins, 2023)の全訳。原題を直訳すると「社会的連帯経済――21世紀のための現実主義的ユートピアか」。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。「社会連帯経済(ESS)は、経済における民主主義的原理の守護者としての、社会的紐帯を守るための主導的かつ革新的な場としての、そして政治的革新への希望としての〔…〕将来を担っているのである」(150頁)。

★鈴木順子『シモーヌ・ヴェイユ 「歓び」の思想』は、ヴェイユ歿80年記念と銘打たれた1冊。既出論考に書き下ろしを加えたもの。「対話すること」「教育すること」「愛すること、死ぬこと」「「拒食」の思想」の4章立て。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。「本書を通じて、弱さや矛盾を抱え逡巡する人間らしいヴェイユに出会い、ヴェイユ像を新たにしていただけたらと思う。〔…〕笑顔のヴェイユ、歓びに満ちて生き、去ったヴェイユを描き出したい」(はじめに、11頁)。

★書肆侃侃房さんの新刊1点。『私が諸島である』は、千葉工業大学助教で、英語圏を中心としたカリブ海文学・思想がご専門の中村達(なかむら・とおる, 1987-)さんの初の単独著。「web侃づめ」での連載(全12回、2022年6月~2023年5月)に加筆修正し、書き下ろしを増補したもの。「日本には、まだカリブ海の思想を紹介する本は少ない。本書がその不足を補いながら、同時に「現代思想」の複数性を照らし出すものとなることを願う。私はこれから、カリブ海思想という知の総体をひとつのスタンダードとして紹介する。欧米の知の形とはまた違った知の形を巡る冒険の季節の訪れを、読者のみなさんに感じいただきたい」(序章、12頁)。

★『現代思想2024年1月号 特集=ビッグ・クエスチョン』は、版元紹介文に曰く「現代を生きる私たちが思考する自由を取り戻し、世界を新たに再編する手がかりともなりうるものとして、ビッグ・クエスチョンを捉えなおす」と。「この現実が夢でないとはなぜいえないのか?」(永井均)から「戦争のない世界は可能か?」(三牧聖子)まで、28人が寄稿しています。今号からの新連載は、山口尚さんによる「現代日本哲学史試論」。今月末発売となる次号(2月号)の特集は「パレスチナから問う――100年の暴力を考える」と予告されています。


# by urag | 2024-01-08 21:08 | ENCOUNTER(本のコンシェルジュ) | Comments(0)
2023年 12月 31日

月曜社の出版物【2023】

月曜社は2023年12月7日で創業満23周年を迎え、24年目の営業へと踏み出しました。今年一年の皆様のご愛顧に深く御礼申し上げます。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

◎2023年の発行/発売実績
★自社発行:21点
01月26日発売:ジョルジュ・ディディ=ユベルマン『場所、それでもなお』本体2,600円。
02月02日発売:ジョルジョ・アガンベン『バートルビー 新装版』本体2,600円。
02月15日発売:鈴木創士編『アルトー横断――不可能な身体』本体3,200円。
03月31日発売:大谷能生『歌というフィクション』本体3,800円。
04月04日発売:長崎浩『中江兆民と自由民権運動』本体2,800円。
04月26日発売:髙﨑紗弥香『巡礼――髙﨑紗弥香写真集』本体6,000円。
05月24日発売:小泉義之『弔い・生殖・病いの哲学――小泉義之前期哲学集成』本体3,600円。
06月08日発売:フリードリヒ・シラー『シラー詩集』第1部:本体4,000円。
06月08日発売:フリードリヒ・シラー『シラー詩集』第2部:本体4,400円。
06月12日発売:ベンジャミン・ピケット『ヘンリー・カウ――世界とは問題である』本体6,000円。
06月12日発売:『多様体5:記憶/未来』本体3,000円。
07月28日発売:ステファヌ・マラルメ『散文詩篇』本体2,000円、叢書・エクリチュールの冒険第22回配本。
07月28日発売:ジャン-リュック・ナンシー『否認された共同体』本体3,600円、叢書・エクリチュールの冒険第23回配本。
08月01日発売:アレクサンドル・ヴヴェヂェンスキィ『ヴヴェヂェンスキィ全集』本体6,400円。
09月22日発売:ダヴィッド・ラプジャード『壊れゆく世界の哲学――フィリップ・K・ディック論』本体2,800円。
10月02日発売:森山大道『写真よさようなら 普及版』本体4,500円。
10月25日発売:茅辺かのう『茅辺かのう集成――階級を選びなおす』本体4,800円。
11月09日発売:渡辺由利子『ふたりの世界の重なるところ――ジネヴラとジョルジョと友人たち』本体2,200円、シリーズ〈哲学への扉〉第10回配本。
11月17日発売:小田原のどか/山本浩貴編『この国(近代日本)の芸術――〈日本美術史〉を脱帝国主義化する』本体3,600円。
12月01日発売:石川義正『存在論的中絶』本体2,600円。
12月01日発売:アンジェロ・ポリツィアーノ『シルウァエ』本体5,400円、シリーズ・古典転生第29回配本(本巻28)。

★自社重版:2点
03月20日:星野太『崇高の修辞学』4刷(2017年初刷)
03月29日:ジョルジョ・アガンベン『創造とアナーキー』2刷(2022年5月初刷)

★発売元請負:1点
08月04日発売:『表象17:映像と時間――ホー・ツーニェンをめぐって』本体2,000円。

★製作請負:1点
11月30日:日本ヤスパース協会『コムニカチオン 第30号』


# by urag | 2023-12-31 18:22 | ご挨拶 | Comments(0)
2023年 12月 24日

注目新刊:イアン・ハミルトン・グラント『シェリング以後の自然哲学』人文書院、ほか

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シェリング以後の自然哲学』イアン・ハミルトン・グラント(著)、浅沼光樹(訳)、人文書院、2023年12月、本体6,000円、4-6判上製456頁、ISBN978-4-409-03129-2
超越論的存在論――ドイツ観念論についての試論』マルクス・ガブリエル(著)、中島新/中村徳仁(訳)、人文書院、2023年12月、本体4,500円、4-6判上製348頁、ISBN978-4-409-03128-5
反ユダヤ主義と「過去の克服」――戦後ドイツ国民はユダヤ人とどう向き合ったのか』高橋秀寿(著)、人文書院、2023年12月、本体4,500円、4-6判上製334頁、ISBN978-4-409-51100-8
ガリバー』クロード・シモン(著)、芳川泰久(訳)、ルリユール叢書:幻戯書房、2023年12月、本体4,500円、四六変型判上製480頁、ISBN978-4-86488-290-3
魂の語り部 ドストエフスキー』藤倉孝純(著)、作品社、2023年12月、本体2,700円、46判上製208頁、ISBN978-4-86793-012-0
ウィキペディアでまちおこし――みんなでつくろう地域の百科事典』伊達深雪(著)、紀伊國屋書店、2023年12月、本体2,000円、46判並製326頁、ISBN978-4-314-01202-7

★人文書院さんの12月新刊より3点。『シェリング以後の自然哲学』は、英国の哲学者イアン・ハミルトン・グラント(Iain Hamilton Grant, 1963-)の単独著第一作『Philosophies of Nature After Schelling』(Continuum, 2006)の全訳。底本は2008年刊のペーパーバック版で、巻頭には「ペーパーバック版の序」が訳出されています。帯文に曰く「シェリングを現代哲学の最前線に呼び込み、カント主義批判により思弁的実在論の始原ともなった重要作」と。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。グラントの著書の翻訳はこれが初めてです。

★「本書は二つの課題を果たすことを意図していた。第一の課題は、シェリングの哲学上および概念上の驚嘆すべき独創性をヨーロッパ哲学の一つの文脈〔〈カント以後〉の哲学という文脈〕のなかで導入するということである。〔…〕第二の課題は、ヨーロッパ哲学の問題に直面してシェリングがみずからの自然学にもとづいて考案した解決策を推奨すること、さらにシェリングの解決策を用いて〔じっさいに〕ある種の〈自然の形而上学〉を構築する、ということである」(ペーパーバック版の序、9頁)。「本書で論じられている存在論、つまり、シェリングが提示している〈時間的であるとともに場の理論でもあるような力能の存在論〉とはどのようなものか、という問題が、自然哲学についての私の次著『シェリング以後の〈根拠〉について』(仮題)では集中的に論じられるだろう」(同、11頁)。

★『超越論的存在論』は、ドイツの哲学者マルクス・ガブリエル(Markus Gabriel, 1980-)の著書『Transcendental Ontology: Essays in German Idealism』(Continuum. 2011)の全訳。帯文によれば「物自体への接近を論じるメイヤスーらの思弁的実在論と、ヘーゲルを独自の形で解釈するブランダム、マクダウェルらの分析哲学の批判的検討により、カント以降のドイツ観念論を新たな存在論として再構成することを試みた力作」。「この著作の大部分は、すでにドイツ語で執筆・刊行されていたいくつかの論考を修正・改稿するかたちで編まれており、ドイツ語から英語への翻訳はほぼTom Krellが手掛けたとある。本書の註に「原訳者による注」があるのはそのためだ」(訳者あとがきより)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。

★「本書独自の貢献は、カント以降の観念論の重要な動向のいくつかを超越論的存在論という観点から再構成すること、そして、その超越論的存在論という構想の概略を現代的な条件のもとで擁護することになる。私はカント以降の観念論のなかにある超越論的存在論の本質的なモチーフをいくつか取り上げ、それらを存在-神学の文脈から切り離すことを試みたい」(序論、18頁)。「超越論的存在論は、世界の在り方についての私たちの思考そのものが世界の一つの在り方なのである、という考えを付け加えてくれる。〈あちらの方に摩天楼が実在する〉という私がいま抱いている思考そのものは摩天楼ではない。ところが、私の思考そのものが摩天楼でなくとも、私の思考そのものは実在しているというわけだ」(同、21~22頁)。

★『反ユダヤ主義と「過去の克服」』は、「歴史的犯罪に直面する「民衆」〔……〕戦後、ドイツ人が「ユダヤ人」の存在を通してどのように「国民」を形成したのかを明らかにし、「過去の克服」に新たな視座を与える画期作」(帯文より)。「「過去の克服」と反ユダヤ主義論」「ナチ期・終戦期の反ユダヤ主義とドイツ国民」「終戦後の反ユダヤ主義」「「過去の克服」の生成と反ユダヤ主義」「戦後反ユダヤ主義の構造変化」「「現代」の反ユダヤ主義と「過去の克服」」の全6章立て。著者の高橋秀寿(たかはし・ひでとし, 1957-)さんは立命館大学文学部特任教授。ご専門はドイツ現代史・現代社会論です。

★『ガリバー』は、幻戯書房さんのシリーズ「ルリユール叢書」の第37回配本(51冊目)。フランスのノーベル文学賞作家クロード・シモン(Claude Simon, 1913–2005)の3作目の小説『Gulliver』(Calmann-Lévy, 1952)の全訳。帯文に曰く「第二次大戦末期の、とある日曜日の出来事の〈居場所のなさ〔デペイズマン〕〉をめぐる初期の長編小説。本邦初訳」。訳者の芳川泰久さんは本書を次のように評しておられます。「一日のうちに起こす小さな出来事が積み重なるうちに、やがて物語に一つの方向性が生まれてくるのだが、その成り行きの取り返しのつかなさには、分かっているのにどうにもならないような不可抗力性があって、それが悲劇の趣にさえ繋がっているように感じられる」(464頁)。「最後のページを閉じても、開かれたままの物語はいかにして可能かをめぐるシモンの探究心のようなものが刻まれている」(同)。

★『魂の語り部 ドストエフスキー』は、著者の藤倉孝純(ふじくら・たかすみ, 1937-)さん自身による紹介によれば、「若い頃、ドストエフスキーは秘密結社に加わり、ためにシベリアで懲役・流刑の十年を余儀なくされた。「信念の更生」とは、かくも長い年月にわたる心労を人に与えずにはおかない。本書は彼の五編の作品を手掛かりに、更生の推移を確かめようとするものである」(はじめに、3頁)。五編というのは、『スチェパンチコヴォ村とその住人』『死の家の記録』『夏象冬記』『地下室の手記』、そして論文「土地主義宣言(雑誌『ヴレーミャ』創刊に際しての予約募集広告文)」。主に河出書房新社版の『ドストエーフスキイ全集』が参照されています。

★『ウィキペディアでまちおこし』は、京都府立高校で学校図書館司書を務める伊達深雪(だて・みゆき)さんが「ウィキペディアやウィキペディアタウンの魅力や課題、その可能性について、またウィキペディア編集とウィキペディアタウン開催のための基本的なノウハウについて、経験から得た知識」(はじめに、12頁)をまとめた一冊。ウィキペディアタウンとは、ウィキペディアで「地域情報を編集・発信する」取り組みのこと。「ウィキペディアタウン、始めました――地域を知る・新たなつながりが生まれる」「読者から編者へ――地域情報を“正しく”発信する」「イベントから日常へ――ウィキペディアタウンの課題と可能性」の3部構成。随所にコラムもちりばめられています。


# by urag | 2023-12-24 23:31 | ENCOUNTER(本のコンシェルジュ) | Comments(0)
2023年 12月 17日

注目新刊:後藤護『悪魔のいる漫画史』blueprint、ほか

注目新刊:後藤護『悪魔のいる漫画史』blueprint、ほか_a0018105_20403853.jpg


★まず注目新刊2点から取り上げます。

中世イスラーム数学史――エピソードでたどるアラビア数学』J. L. Berggren(著)、三浦伸夫(監訳)、坂田基如(訳)、丸善出版、2023年11月、本体8,000円、A5判上製314頁、ISBN978-4-621-30823-3
New! ケキャール社顛末記』逆柱いみり(著)、青林工藝舎、2023年11月、本体2,500円、A5判並製400頁、ISBN978-4-88379-508-6

★『中世イスラーム数学史』は、カナダの数学史家でサイモン・フレーザー大学名誉教授のレン・バーグレン(John Lennart Berggren, 1941-)さんによる『Episodes in the Mathematics of Medieval Islam』(2nd ed., Springer, 2016)の訳書。カバーソデ紹介文に曰く「類書のほとんどないイスラーム数学(アラビア数学)史分野では一番詳しい原書の初翻訳。20世紀後半以降、格段に進歩したアラビア数学研究の最新成果をふんだんに盛り込み、さらに文化的背景(イスラーム文化との関連)にも言及しながら、アラビア数学史の全貌を、多数の珍しい図版を交えて興味深く解説。アラビア数学、組み合わせ法などの話題も紹介。アラビア数学全般を通史的に扱った基本図書の決定版」と。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。

★著者自身による「日本語版へのまえがき」によれば、「アジアの言語への翻訳ははじめて」で、2011年に上梓されたドイツ語訳版での訳者による原著の誤字脱字修正をも参考にしているとのことです。また、こうも書かれています。「本書執筆のきっかけとなったのは、古代数学を扱ったアスガー・アーボーによる『Episodes from the Early History of Mathematics』(A・アーボー『古代の数学』中村幸四郎訳、河出書房新社、1971年)でした。しかしアーボーによる説明の一部は、イスラーム数学の現状には合わないということがわかり、いくつかの重要な著作を中心に中世イスラームの数学を記述していくことを基本原則とすることにしました」。

★『New! ケキャール社顛末記』は、漫画家の逆柱いみり(さかばしら・いみり, 1964-)さんの第三作品で初の長編作だという『ケキャール社顛末記』(青林堂、1999年)を「あらたに全編描きなおし」(帯文より)したもの。青林工藝舎さんの隔月刊漫画誌『アックス』のweb版『放電横丁』で2020年11月11日から2023年7月20日にかけて掲載された書き下ろし作品を単行本にしたもの。怪獣芸術家のピコピコさんの解説「全てが怪獣になる日」に曰く「今作は『ケキャール社顛末記』を修正、加筆した改訂版なわけだが、カーチェイス部分と共に怪獣描写が劇的に増加し、もはや怪獣漫画と呼んで差し支えないくらいの作品となっている。単なる増補版を越えた、大傑作怪獣漫画が誕生したのだ」。まもなく発売となる『アックス』誌第156号は本書の発売記念特集で、逆柱いみりさんとピコピコさんとの対談「怪獣に呪いと祝福を受けた者たち」が掲載されるとのことです。

★続いてまもなく発売となる注目新刊をご紹介します。

悪魔のいる漫画史』後藤護(著)、blueprint、2023年12月、本体2,500円、四六判並製320頁、ISBN978-4-909852-46-5

★同書は、暗黒批評家の後藤護(ごとう・まもる, 1988-)さんによる、『ゴシック・カルチャー入門』(ele-king Books、2019年)、『黒人音楽史――奇想の宇宙』(中央公論新社、2022年)に続く単独著第三作。blueprintのカルチャーサイト「リアルサウンド」のブック部門で2021年2023年にかけて13回にわたり連載された「マンガとゴシック」を中心に、各種媒体に発表してきたマンガ論を1冊にまとめたもの。版元紹介文に曰く「ゴシック、マニエリスム、悪魔をテーマに古今の漫画を縦横自在に読み解く漫画評論集」。書名は澁澤龍彦さんの『悪魔のいる文学史――神秘家と狂詩人』(中央公論社、1972年;中公文庫、1982年;小学館P+D BOOKS、2022年)から採られているとのこと。印象的なカバー装画は、漫画家の丸尾末広さんによる描き下ろし。目次を以下に転記しておきます。

まえがき――手塚治虫と澁澤龍彦
第1章 楳図かずおのゴシック・マンガ――「赤んぼう少女」から「まことちゃんハウス」まで
第2章 楳図かずおと恐怖のトートロジー ――『神の左手悪魔の右手』における鏡・分身・反復
第3章 『ポーの一族』と「ロマンティックな天気」――疾風怒濤からロココ的蛇状曲線へ
第4章 『アラベスク』に秘められたグロテスクなデーモン――山岸凉子のバレエ・ゴシック【前篇】
第5章 乙女と奈落~『舞姫 テレプシコーラ』で『ヴィリ』を読む――山岸凉子のバレエ・ゴシック【後篇】
第6章 怪奇漫画の帝王、古賀新一の魅力再考――澁澤龍彦が『エコエコアザラク』に与えた影響
第7章 日野日出志「蔵六の奇病」と虹色のデカダンス――ユイスマンス『腐爛の華』から考える「腐れの美学」
第8章 丸尾末広と「独身者機械」――初期エログロナンセンス作品から最高傑作『パノラマ島綺譚』まで。
第9章 楠本まき『KISSxxxx』論 前篇――キュアーで踊る、ハッピーゴスの誕生
第10章 楠本まき『KISSxxxx』論 後篇――日常という名の「不思議の輪」
第11章 百科全書派ゴシックとしての『フロム・ヘル』――パノラマ的視点の問題を突く
第12章 チャールズ・バーンズ『ブラック・ホール』とタラッサ的退行――シアトル、グランジとの同時代的共振
第13章 「河童の斬られた片腕」の謎――水木しげる『決定版 日本妖怪大全』
第14章 諸星大二郎の『壺中天』――風格主義的漫画(Manneristic Comics)試論
第15章 夢幻のカリガリスムとダンディズム――高橋葉介『夢幻紳士』を読む
第16章 水晶の官能、貝殻の記憶――『進撃の巨人』における「小さな」もの
第17章 黒い脳髄、仮面のエロス、手の魔法――三浦建太郎『ベルセルク』を読む
第18章 スプラッター資本主義と糞のカーニヴァル――『チェンソーマン』のダークエコロジカルな倫理
あとがき

★本書の刊行を記念して、以下のイベントが近々に行われます。

◉Real Sound Collection『悪魔のいる漫画史』刊行記念番組:実写版「悪魔のいる漫画史」
登壇者:後藤護×寺井広樹×宇田川岳夫×ヒロシニコフ
日時:2023年12月21日20時~
場所:渋谷PARCO9F「SUPER DOMMUNE」
入場料:¥1,000(50人限定)

★巻末略歴によれば、後藤さんは現在、ポリマス(博識)をテーマとする『博覧狂気の怪物誌』(晶文社、2024年刊行予定)、ダグラス・マッカーサーのサングラスの衝撃に始まる『戦後日本黒眼鏡サブカルチャー史』(版元、刊行年未定)の2冊を鋭意準備中とのことです。

★最後に、最近出会いのあった新刊3点を列記します。

ラウンドテーブルトーク 児童精神科医という仕事――臨床の過去・現在、そして明日を語る』岩垂喜貴(編著)、小平雅基/渡部京太/齊藤万比古(著)、金剛出版、2023年11月、本体2,800円、4-6判並製224頁、ISBN978-4-7724-2004-4
戦史の余白――三十年戦争から第二次大戦まで』大木毅(著)、作品社、2023年12月、本体2,000円、46判並製274頁、ISBN978-4-86793-010-6
日本の「これから」の戦争を考える――現代防衛戦略論』関口高史(著)、作品社、2023年12月、本体2,400円、46判並製274頁、ISBN978-4-86182-981-9

★『ラウンドテーブルトーク 児童精神科医という仕事』は、カバーソデ紹介文に曰く「本書は,わが国の児童精神科医療に関わる関係者に向けて、臨床における現場感覚を生き生きと感じ取ってもらうことと、児童精神科臨床の現状と問題点や課題を提示することを、主な目的として企画した」。第1部「トークセッション/児童精神科入院治療について」と第2部「四人の児童精神科医によるラウンドテーブル・トーク」の2部構成。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。「4人の医師が、模索し実践してきた臨床の道のりを語る」(帯文より)。

★作品社さんの12月新刊より2点。『戦史の余白』は、『独ソ戦』(岩波新書、2019年)が近年大きな話題を呼んだ現代史家の大木毅(おおき・たけし, 1961-)さんが、国際通信社のシミュレーション・ゲーム専門誌「コマンドマガジン」に2015年から2022年にかけて寄稿してきたものをまとめ、書き下ろしの「はじめに」「終章」を加えたもの。帯文に曰く「三十年戦争、アメリカ独立戦争、ナポレオンのロシア遠征、第二次大戦でのウクライナを舞台にした戦いから、マンシュタイン、山本五十六などの知られざる秘話まで――従来の正面からの評論とは趣が異なるが、戦史・軍事史のさまざまな側面を、いわばからめ手から描きだしたユニークな一書。軍事史の第一人者による、最新の戦史」。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。

★『日本の「これから」の戦争を考える』は、帯文によれば「現代戦の教訓となる過去の二つの戦い〔ガダルカナル戦、フォークランド紛争〕から具体的に学び、〔…〕その視座となる「戦争の基本的事項」「戦略環境の醸成」「抑止対処戦略の基本コンセプト」、そして具体的な「島嶼防衛」などを〔…〕安全保障研究の第一人者が示す」。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。著者の関口高史(せきぐち・たかし, 1965-)さんは元防衛大学校准教授。


# by urag | 2023-12-17 20:21 | ENCOUNTER(本のコンシェルジュ) | Comments(0)