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2018年 03月 16日

4月末発売予定新刊:『表象12:展示空間のシアトリカリティ』

2018年4月23日取次搬入 *人文/芸術/現代思想

表象12:展示空間のシアトリカリティ
表象文化論学会=発行 月曜社=発売
本体:2,000円、A5判並製304頁 ISBN978-4-86503-062-4

アマゾン・ジャパンにて予約受付中

近年の映像技術やメディア環境の発展に伴い、ダンスやパフォーマンスの身体表現をどのように作品として収蔵し展示するかという問題意識がますます高まってきている。特集では、美術館における身体表現のアーカイブ化、新たな観客の身体経験の登場といった、美術と舞台芸術を横断する諸問題の検討を通して、パフォーマンスと展示の現在をめぐって多角的に論じる。また、亀山郁夫、東浩紀らの白熱するドストエフスキー座談会を特別掲載。

目次:
◆巻頭言「二一世紀の文学部」佐藤良明
◆特集「展示空間のシアトリカリティ」
共同討議「越境するパフォーマンス──美術館と劇場の狭間で」加治屋健司+門林岳史+中島那奈子+三輪健仁+星野太
「ブラストセオリー──都市と記憶を斜めに横断する」住友文彦
「演劇性の拡張──演劇と現代アートの交錯をめぐって」相馬千秋
「インスタレーションの政治学」ボリス・グロイス|星野太+石川達紘訳
◆特別掲載
座談会「ドストエフスキーの現在をめぐって──テロル、キャラクター、家族の哲学」東浩紀+亀山郁夫+乗松亨平+番場俊
◆論文
「近代運動」のパリンプセスト──《トッレ・ヴェラスカ》とエルネスト・ロジャースの建築論」鯖江秀樹
「水晶とカテドラル──ヴィオレ゠ル゠デュクの構造概念」後藤武
「演奏する映画/歌い終えるオペラ──一九一〇~二〇年代のシェーンベルクの舞台作品と映画との関係」白井史人
「環境芸術以後の日本美術における音響技術──一九七〇年代前半の美共闘世代を中心に」金子智太郎
「梶井基次郎の歩行──「路上」における空漠の美と抵抗」坂口周
「のらくろは口笛を吹かない?──昭和戦前・戦中期の子供向け物語漫画における口の表現」宮本大人
「グランド・ナラティヴの誘惑──人新世、新たなエポックへの批判的介入に向けて」飯田麻結
◆書評
「修辞学的崇高の新しい地平──星野太『崇高の修辞学』書評」谷川渥
「ユートピア建築家の夢と革命都市──小澤京子『ユートピア都市の書法──クロード゠ニコラ・ルドゥの建築思想』書評」大橋完太郎
「過去に触れる、身振りをなぞる──田中純『歴史の地震計──アビ・ヴァールブルク『ムネモシュネ・アトラス』論』書評」岡本源太
「「これは比喩ではない」──高村峰生『触れることのモダニティ──ロレンス、スティーグリッツ、ベンヤミン、メルロ=ポンティ』書評」三原芳秋
「「文化史」への挑戦──井戸美里『戦国期風俗図の文化史──吉川・毛利氏と「月次風俗図屏風』書評」斉藤研一
「モダニズム美術の危うさ──利根川由奈『ルネ・マグリット──国家を背負わされた画家』書評」香川檀
「網膜と表象──増田展大『科学者の網膜──身体をめぐる映像技術論 一八八〇―一九一〇』書評」大久保遼
「変貌するペルソナ──北村匡平『スター女優の文化社会学──戦後日本が欲望した聖女と魔女』書評」河野真理江
「特攻隊表象を「食い破る」ものたちのために──中村秀之『特攻隊映画の系譜学──敗戦日本の哀悼劇』書評」田中純
「その子はいかにして救われたのか──岡田温司『映画とキリスト』書評」森元庸介
「アニメーション表現の「向こう側」を志向する実践の書──土居伸彰『個人的なハーモニー──ノルシュテインと現代アニメーション論』書評」石岡良治
「〈プレイ〉と〈パフォーマンス〉のあいだで──大久保美紀『Exposition de soi à l'époque mobile/liquide(可動的/流動的時代の自己表象)』書評」熊谷謙介


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# by urag | 2018-03-16 16:12 | 表象文化論学会 | Trackback | Comments(0)
2018年 03月 12日

保管用:2016年12月~2017年2月既刊書書評情報

◎2017年2月16日発売:松江泰治『Hashima』本体3,600円。
 無記名氏記事(『CANON PHOTO CIRCLE』2017年4月号「今月の新刊」欄)
 無記名氏記事(「信濃毎日新聞」2017年3月26日(日)付「読書欄」)
◎2017年2月10日発売:佐野方美『SLASH』本体4,000円。
 『アサヒカメラ』2017年4月号「TOPICS/BOOK」欄「写真に封じ込められた一瞬の集積――時代の空気を写しとめた新作写真集を読む」(解説=山内宏泰、聞き手=池谷修一)
◎2017年2月8日発売:星野太『崇高の修辞学』本体3,600円、シリーズ古典転生12。
 n11booknews_staff氏書評「「崇高」に惑わされないための丁寧な考察」(「Book News|ブックニュース」2017年3月4日エントリー)
 中島水緒氏書評(「美術手帖」2017年5月号「BOOK」欄)
◎2016年12月26日発売:マッシモ・カッチャーリ『抑止する力』本体2,700円。
 篠原雅武氏書評「オレンジとバカにされている偉そうなジジイのアポカリプスとともに、アメリカのいたるところは主の到来を待ち望む人たちによって埋め尽くされようとしている」(「図書新聞」2017年3月18日号)
 中村勝己氏書評「「カテコーン」の概念の解釈を主題に――〈世界の再宗教化〉をどう捉えどう向き合うべきか」(「週刊読書人」2017年3月31日号)
◎2016年12月7日発売:荒木経惟×荒木陽子『東京は、秋』本体3,500円
 山本アマネ氏書評(『FUDGE』2017年2月号「PICK UP NEW BOOKS 今月の新刊&注目作」欄)
 山本アマネ氏書評(『men's FUDGE』2017年3月号「BOOKS」欄)
 無記名氏書評(『母の友』2017年5月号「polyphony/Books」欄)



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# by urag | 2018-03-12 12:58 | 広告・書評 | Trackback | Comments(0)
2018年 03月 11日

注目新刊:ファム・コン・ティエン『深淵の沈黙』、入江公康『現代社会用語辞典』、ほか

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『深淵の沈黙』ファム・コン・ティエン著、野平宗弘訳、東京外国語大学出版会、2018年2月、本体3,200円、本体3,200円、四六変型並製368頁 ISBN978-4-904575-66-6
現代社会用語辞典』入江公康著、新評論、2018年2月、本体1,700円、四六判変型上製192頁、ISBN978-4-7948-1070-0
ナボコフ・コレクション 処刑への誘い/戯曲 事件 ワルツの発明』ウラジーミル・ナボコフ著、小西昌隆/毛利公美/沼野充義訳、新潮社、2018年2月、本体4,800円、四六判上製494頁、ISBN978-4-10-505607-0
墨子』金谷治訳、末永高康解説、中公クラシックス、2018年2月、本体1,800円、新書判288頁、ISBN978-4-12-160179-7
ホモ・ルーデンス――文化のもつ遊びの要素についてのある定義づけの試み』ヨハン・ホイジンガ著、里見元一郎訳、講談社学術文庫、2018年3月、本体1,200円、400頁、ISBN978-4-06-292479-5
宇治拾遺物語 上 全訳注』高橋貢/増古和子訳、講談社学術文庫、2018年3月刊、本体2,400円、848頁、ISBN978-4-06-292491-7
戦う操縦士』サン=テグジュペリ著、鈴木雅生訳、光文社古典新訳文庫、2018年3月、本体880円、340頁、ISBN978-4-334-75372-6
フレーベル自伝』長田新訳、岩波文庫、1949年12月、本体720円、212頁、ISBN978-4-00-337043-8

★『深淵の沈黙』は旧南ベトナムの首都サイゴンで1967年にアンティエム出版より刊行された『Im lặng hố thẳm』の全訳。著者のファム・コン・ティエン(Phạm Công Thiện, 1941-2011)はベトナム出身の詩人、思想家。1975年から1983年までフランスのトゥールーズ大学で西洋哲学の助教授を務めた後、アメリカに移住し、テキサス州ヒューストンにて死去。本書執筆当時は26歳。ベトナム戦争のさなかにハイデガー哲学との対話/対決を通じて「西洋形而上学は、現在のベトナムでの過酷な戦争において成就した」(152頁)と説き、西洋思想と東洋思想をともに乗り越える「到来すべきベトナム思想」を展望するユニークな試みとなっています。目次詳細は版元名のリンク先でご確認いただけます。「深淵の沈黙へと到る道は破壊の道であり、同時にまた、背理の道でもある。究極まで破壊し背理した後には、さらに何が残っているというのだろうか?/この最後の問いは砂のない砂漠に飛んでいく。深渕に跳び入る『易経』の龍のように」(32頁)。詩人の言葉の刃が思惟の奥底を自在に切り開きます。

★『現代社会用語辞典』は、ことば(アニミズム~リベラリズム)、ひと(アガンベン~戸坂潤)、出来事(QCサークル~ラッダイト)、シネマ(エネミー・オブ・アメリカ~ル・アーヴルの靴みがき)、の四部に148項目を収めた個性的かつ魅力的なキーワード/キーパーソン集で、「われわれが生きるこの「社会」の自明性を剥ぐこと、つまり「あまりまえ」を疑ってみる/疑うこと」を目的としているとのことです。巻末附録として、関連年表、コメント付きブックリスト、名著引用集を併載。入江公康(いりえ・きみやす:1967-)さんの単独著は『眠られぬ労働者たち』(青土社、2008年)以来のもの。以文社さんから先月刊行されたキーワード集『Lexicon 現代人類学』と一緒に購読されることをお薦めします。

★『処刑への誘い/戯曲 事件 ワルツの発明』は美しいカヴァーが惚れ惚れとさせる『ナボコフ・コレクション』シリーズの第二回配本。「処刑への誘い」は1938年に刊行された作品で、既訳には英語版からの富士川義之さんによる訳「断頭台への招待」(『世界の文学8』所収、集英社、1977年)があります。今回の新訳はロシア語からの初訳で、英語版への序文も訳出されています。近未来の某都市で「認識論的卑劣さ」という罪状によって死刑判決を受けた男性が主人公の「アンチ・ユートピア的不条理小説」(帯文より)。カフカの『審判』を連想させると当時の書評家たちは思ったようですし私もそう思いますが、ナボコフは「なんのかかわりもない」と英語版への序文で書いています。併載された二つの戯曲は初訳。大手版元が出す文芸書としてはやや高額で学生さんには手が出しにくいかもしれませんが、妥当だと思います。

★『墨子』は凡例によれば、中公バックス版『世界の名著10 諸子百家』(1978年)所収の「墨子」を底本とし、末永高康さんによる新たな解説「墨家の思想と論理」を巻頭に付したもの。「墨子」全71編のうち現存する53篇から主要な部分を抄録し、省略した諸篇には概要が付されています。博愛主義としての兼愛を説いたのちに侵略戦争反対論である非攻を説くその思想は反運命論でもあります。「すべて人しだいであって、宿命があるなどとどうしていえようか」(130頁、第35「非命篇」上)。この言葉は時を越えて現代人をも励ますものではないでしょうか。

★『ホモ・ルーデンス』は河出書房新社版「ホイジンガ選集」第一巻(1971年;新装版1989年)の文庫化。翻訳の底本は、オランダのハーレム社版全集第5巻所収のテクスト(1950年)。「学術文庫版あとがき」によれば「紙幅の都合でオランダ語目次と索引を削除した」とのことです。「遊びは文化より古い」という一文から始まるこの古典的名著は、「人間社会に固有で偉大な活動にはすべてはじめから遊びが織り込まれている」(21頁)と教えます。既訳では、高橋英夫訳の中公文庫版がロングセラーとなっているのは周知の通りです。

★『宇治拾遺物語 上 全訳注』は上下巻の上巻。「中世前期、鎌倉時代成立の代表的説話集」(解題)であり、「日本人を楽しませてきた「話」の宝庫」(帯文)です。上巻ではこぶとりの話(第3話)、舌切り雀の話(第48話)などを含む104話を収めています。古本系統「伊達本」『宇治大納言物語』を底本に、本文、現代語訳、語釈、参考で構成されています。続刊となる下巻では196話までを収録。

★『戦う操縦士』は『Pilote de guerre』(1942年)の新訳。既訳には堀口大学訳(三笠書房、1951年;「現代世界文学全集7」所収、三笠書房、1954年;新潮社、1964年;新潮文庫、1978年)や、山崎庸一郎訳(「サン=テグジュペリ著作集2」所収、みすず書房、1984年;「サン=テグジュペリ・コレクション4」みすず書房、2000年)があります。本作は「ヒトラー『我が闘争』に対する「民主主義からの返答」として高く評価され」ているとカバーソデ著者略歴では紹介されており、「戦争体験を描いた自伝的小説」と帯文に謳われています。「私は信じる。《人間》の優越こそが唯一意味ある《平等》を、唯一意味ある《自由》を築きあげるものだと。私は《人間》の権利が各個人を通して平等であると信じる。《自由》とは《人間》の上昇にほかならないと信じる。《平等》とは《同一性》ではない。《自由》とは個人を《人間》よりも称揚することではない。したがって私が戦うのは、それが誰であれ、《人間》の自由をある個人に――あるいは個人からなる群れに――隷従させようとする者だ」(297頁)。危機の時代にこそ読みたい一冊です。

★『フレーベル自伝』は岩波文庫の2018年春のリクエスト復刊37点40冊のうちのひとつ。「マイニンゲン公に宛てたる書翰」と「フリードリヒ・クラウゼに宛てたる書翰」を収録。岩波文庫ではフレーベルの『人間の教育』上下巻が出ていましたが、現在は品切。フレーベルの訳書で定期的に重版されるのは岩波文庫だけなので、いずれ重版されるだろうと想像します。

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★また最近では以下の新刊との出会いがありました。

科学的人間と権力政治』ハンス・J・モーゲンソー著、星野昭吉/髙木有訳、作品社、2018年3月、本体2,500円、46判上製270頁、ISBN978-4-86182-669-6
摂政九条兼実の乱世――『玉葉』をよむ』長崎浩著、平凡社、2018年3月、本体5,400円、A5判上製324頁、ISBN978-4-582-46911-0
『エリー・フォール映画論集 1920-1937』須藤健太郎編訳、ソリレス書店、2018年2月、本体2,800円、四六判並製278頁、ISBN978-4-908435-09-6
原発事故と「食」――市場・コミュニケーション・差別』五十嵐泰正著、中公新書、2018年2月、本体820円、新書判240頁、ISBN978-4-12-102474-9
バカロレア幸福論――フランスの高校生に学ぶ哲学的思考のレッスン』坂本尚志著、星海社新書、2018年2月、本体920円、新書判190頁、ISBN978-4-06-511232-8
高校生のための ゲームで考える人工知能』三宅陽一郎/山本貴光著、ちくまプリマー新書、2018年3月、本体950円、新書判272頁、ISBN978-4-480-68998-6
享楽社会論――現代ラカン派の展開』松本卓也著、人文書院、2018年3月、本体2,200円、4-6判300頁、ISBN978-4-409-34051-6
モスクワの誤解』シモーヌ・ド・ボーヴォワール著、井上たか子訳、人文書院、2018年3月、本体2,200円、4-6判上製172頁、ISBN978-4-409-13039-1
天皇制と民主主義の昭和史』河西秀哉著、人文書院、2018年2月、本体2,500円、4-6判並製300頁、ISBN978-4-409-52068-0
灰色のユーモア――私の昭和史』和田洋一著、鶴見俊輔/保阪正康解説、人文書院、2018年2月、本体2,500円、4-6判上製304頁、ISBN978-4-409-52069-7
アーレントのマルクス――労働と全体主義』百木漠著、人文書院、2018年2月、本体4,500円、4-6判上製340頁、ISBN978-4-409-03097-4

★『科学的人間と権力政治』は『Scientific Man vs. Power Politics』(The University of Chicago Press, 1946)の全訳。訳者後記の言葉を借りると本書は「国際政治学の父」と呼ばれるモーゲンソー〔Hans Joachim Morgenthau, 1904-1980〕の米国でのデビュー作であり、「彼の主唱する現実主義政治哲学の体系的解説書」。目次は以下の通りです。

まえがき
第一章 科学的人間のジレンマ
第二章 科学の時代と社会
第三章 政治の否定
第四章 平和の科学
第五章 自然科学という怪物
第六章 科学的人間の非合理性
第七章 科学的人間の道徳的盲目性
第八章 科学的人間の悲劇
訳者後記
原注
索引

★『摂政九条兼実の乱世』は、後白河院、平清盛、源頼朝の同時代人である公卿、九条兼実(くじょう・かねざね:1149-1207)の膨大な日記「玉葉」を乱世の政治文書として読みといたもの。目次は以下の通り。

はじめに
第一章 青年右大臣――政治家デビュー
第二章 摂関政治の理念――二頭政治の狭間で
第三章 朝務を演じる――官奏・陣定・除目
第四章 大衆蜂起――朝廷の「外部」に直面する
第五章 乱世の至り――クーデタ・遷都・南都焼亡
第六章 葬送の年――漂流する兼実
第七章 京中周章――平氏・義仲・義経
第八章 摂政への道――社稷に身命を惜しまず
第九章 摂政兼実――政に淳素に返す
第十章 危うい均衡――行き違う「天下草創」
第十一章 兼実最後の政治――摂籙の臣を演ずる
あとがき
玉葉略年譜

★『エリー・フォール映画論集 1920-1937』はフランスの高名な美術史家フォール(Élie Faure, 1873-1937)の映画論を日本語版独自編集でまとめたもの。4部構成で16篇を収録。目次は以下の通りです。

Ⅰ 映画の発見
   映画造形〔シネプラスティック〕について 
Ⅱ 芸術・文化・文明
   機械主義の美学 
   ティントレットの予感 
   映画神秘主義序説 
   映画の知的役割 
Ⅲ 映画作家のかたわらで
   シャルロ礼賛 
   アベル・ガンス『ナポレオン』のプレミア上映に寄せて 
   三面スクリーンの発見 
   アベル・ガンスの著書『プリズム』に寄せて 
   S・M・エイゼンシュテインと未来の映画 
   戦争映画と平和主義 
   生粋の映画作家――『アタラント号』の作者ジャン・ヴィゴ 
   イタリアの映画小屋 
Ⅳ 講演録から
   写真展《社会生活のドキュメント》 
   スペイン内戦に関する記録映画 
   映画は普遍言語である 
シネプラスティックとその彼方̶̶訳者後記にかえて
人名・映画作品名索引

★先月と今月の新書新刊より3点。中公新書『原発事故と「食」』は、首都圏の電力だけでなく食を支えてきた福島県をめぐり、風評被害の実態やそのメカニズムを精緻に検証する力作。星海社新書『バカロレア幸福論』はフランスにおける高校の哲学授業や大学試験を紹介しつつ、思考力と表現力の訓練を日本の読者に提供する貴重な試み。ちくま新書『高校生のための ゲームで考える人工知能』は気鋭のゲームクリエイター2氏による、デジタルゲーム作成に仮託した人工知能入門。

★最後に人文書院さんの先月下旬から今月初旬に掛けて発売された新刊5点。いずれも書名のリンク先で目次をご確認いただけます。『享楽社会論』は『人はみな妄想する――ジャック・ラカンと鑑別診断の思想』(青土社、2015年)に続く松本卓也さんによる注目の単著第二作。版元サイトで序章をPDFで立ち読みできます。『モスクワの誤解』は67年に執筆された中編小説で単行本としてはようやく2013年にL'Herneより公刊された『Malentendu à Moscou』の全訳。初老の夫婦が経験する精神的危機が描かれており、ボーヴォワールとサルトルのソ連訪問がヒントとなっているようです。

★『天皇制と民主主義の昭和史』は『「象徴天皇」の戦後史』(講談社選書メチエ、2010年)の増補改題版。『灰色のユーモア』は新聞学者の和田洋一(わだ・よういち:1903-1993)さんの『私の昭和史』(小学館、1976年;旧版は『灰色のユーモア』理論社、1958年)から「灰色のユーモア」を含む5篇を収め、それに著者の「スケッチ風の自叙伝」と鶴見俊輔さんの「亡命について」(ともに『抵抗と持続』所収、世界思想社、1979年)を加え、巻末に保阪正康さんの書き下ろし「註解」を併載したもの。『アーレントのマルクス』は百木さんの博士論文「「労働」と全体主義――「無限増殖運動に抗するアーレント」に大幅な加筆修正を施したもの。序章のPDFが書名のリンク先で公開されています。

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# by urag | 2018-03-11 23:38 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2018年 03月 10日

直近雑誌での取次人の寄稿記事まとめ

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2018年1月~2月に発売された雑誌で取次人が寄稿した記事をまとめます。

◆『しししし』vol.1(特集=宮沢賢治)、双子のライオン堂、2017年12月、本体1,800円、A5判並製180頁、ISBN978-4-0009283-4-6
「太平書林さんのこと」片山昌美(かたやま・まさみ:書籍取次業
「偶然と必然の技法」松井祐輔(まつい・ゆうすけ:1984-;H.A.Bookstore店主)

◆『本の雑誌』2018年3月号(特集=本屋さんになろう!)、本の雑誌社、2018年3月【2月7日発売】、本体667円、A5判並製136頁、ISBN978-4-86011-379-7
「本屋さんになりたい~なるには」鎌垣英人(かまがき・ひでと:1961-;大阪屋栗田執行役員)
「あきらめる必要はない!!本をお店に並べるための方法」松井祐輔(前掲)

◆『多様体』第1号(特集=人民/群衆)、月曜社、2018年2月、本体2,500円、A5判並製416頁、ISBN978-4-86503-055-6
「書店空間の定点観測【1】リブロからブックファーストへ」鎌垣英人(前掲)

◆『現代思想』2018年3月号(特集=物流スタディーズ)、青土社、2018年3月【2月27日発売】、A5判並製230頁、ISBN978-4-7917-1361-5
「誰でも本屋をつくることができる仕組みをつくる」柳下恭平(やなした・きょうへい:1976-;鴎来堂代表/かもめブックス店主/ことりつぎエディトリアル・ジェットセット

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これらと一緒に併読しておきたいのは、取次に新刊が搬入されるまでの印刷製本所さんの仕事に焦点をあてた、講談社の『小説現代』2018年3月号内の「大特集=本を造る!」です。四部構成となっていて、東村アキコさんと安藤祐介さんの対談「本は「宝物」で「宝箱」」に始まり、作家さんの執筆から出版社、印刷所、製本所へと至る作業工程を簡潔に図式化した「一冊の本ができるまで」、豊国印刷、国宝社、黒柳製本、日本樹脂工業に取材した「入稿から搬入まで、16人の“職人”に訊く!」、最後に印刷所の営業マンが主人公の、安藤祐介さんによる新作小説『本のエンドロール』(3月7日発売)の第一章「スロウスタート」が掲載されています。
また『しししし』を創刊した双子のライオン堂さんが今月、「本屋入門」講座を開講されるそうです。


日時:2018年3月18日(日)10:00~18:30
場所:双子のライオン堂(東京都港区赤坂6-5-21-101)
費用:18,000円 ※懇親会は別途費用
募集人数:6名程度
主催:BOOKSHOP LOVER/双子のライオン堂

内容:この度、2015年2016年と好評いただいた「本屋入門」を、1日集中で濃縮体験する特別版を開催することに致しました。われわれ本屋入門は、過去2回長期的なゼミを開催しました。受講生の中から数名の本屋さんが誕生し一定の成果があったと自負しております。昨年1年間は「本屋入門」の充電期間として、主催それぞれの活動に注力しておりました。そんな中、本屋さんになる講座をまたやってほしいという声をいただくことが増えてきました。過去に頂いた意見などを今一度見直し、また類似の講座も増えてきているので、少しやり方を変えて、開催してみようと思い、1日集中型の講座を開講します。本屋入門SWITCH!は、1日集中して「理想の本屋」を考え抜いていただきます。授業は、講義とワークショップを取り入れて行います。「理想の本屋」を考えることで、実際に本屋をやる上での課題などを浮き彫りにして、本屋を始める、本屋について考える「スイッチ」を押すことができればと考えております。

スケジュール:
10:00~10:30 はじめに~趣旨説明・紹介等~ 司会進行:BOOKSHOPLOVER和気、双子のライオン堂竹田
10:30~12:00 対談講義「中と外から見た本屋の世界」講師:どむか氏(本屋さんウォッチャー)×K氏(大手取次執行役員)with和気、竹田
12:00~13:00 昼食
13:00~14:30 講義「いい本屋ってどんな本屋?」講師:「マガジン航」編集人・仲俣暁生氏/司会:和気、竹田
14:30~14:45 休憩
14:45~17:15 ワークショップ「「理想の本屋」の計画書を書いてみよう」司会進行:和気、竹田、ゲスト調整中 ※適宜休憩あり
17:30~18:30 発表(一人3分くらい発表して、3分くらい討議する)
18:30~20:00 懇親会 ※懇親会は任意参加。参加費別回収。

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# by urag | 2018-03-10 17:23 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2018年 03月 07日

取次搬入日決定及び重版出来:佐藤真理恵『仮象のオリュンポス』、マッシー『空間のために』

佐藤真理恵『仮象のオリュンポスーー古代ギリシアにおけるプロソポンの概念とイメージ変奏』(シリーズ・古典転生、第17回配本、本巻16)の取次搬入日が決定しました。日販と大阪屋栗田は3月9日(金)、トーハンは3月12日(月)です。おおよそ中2営業日ほどで書店さんの店頭発売開始となります。

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ドリーン・マッシー『空間のために』(森正人/伊澤高志訳、月曜社、2014年3月;原書『For Space』Sage, 2005)の重版ができあがりました。2刷です。著者であるイギリスの地理学者マッシー(Doreen Barbara Massey, 1944-2016)さんは一昨年逝去されています。
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# by urag | 2018-03-07 15:47 | 人文書既刊 | Trackback | Comments(0)
2018年 03月 04日

注目新刊:「知泉学術叢書」が創刊、ほか

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★まずは単行本の新刊から。

キリスト教と古典文化――アウグストゥスからアウグスティヌスに至る思想と活動の研究』C・N・コックレン著、金子晴勇訳、知泉学術叢書:知泉書館、2018年2月、本体7,200円、新書判上製926頁、ISBN978-4-86285-268-7
デカルト 数学・自然学論集』(山田弘明/中澤聡/池田真治/武田裕紀/三浦伸夫/但馬亨訳・解説、フレデリック・ド・ビュゾン序、法政大学出版局、2018年2月、本体4,500円、A5判上製388頁、ISBN978-4-588-15090-6
誰が世界を支配しているのか?』ノーム・チョムスキー著、大地舜/榊原美奈子訳、双葉社、2018年2月、本体1,600円、四六判並製384頁、ISBN978-4-575-31341-3
情報経済の鉄則――ネットワーク型経済を生き抜くための戦略ガイド』カール・シャピロ/ハル・ヴァリアン著、大野一訳、日経BPクラシックス:日経BP社、2018年2月、本体3,000円、4-6変判上製656頁、ISBN978-4-8222-5557-2
肉食行為の研究』野林厚志編、平凡社、2018年3月、本体4,600円、A5判上製496頁、ISBN978-4-582-83770-4
〈原作〉の記号学――日本文芸の映画的次元』中村三春著、七月社、2018年2月、本体3,200円、四六判上製288頁、ISBN978-4-909544-01-8

★コックレン『キリスト教と古典文化』は、『Christianity and Classical Culture』(1939)の全訳。難解をもって鳴る古典的名著の待望の訳書です。目次詳細は書名のリンク先をご確認ください。「知泉学術叢書」の第一弾であり、この叢書は「研究基盤として役立つ、一次文献と基本的な二次文献の翻訳シリーズ」とのこと。続刊予定にイェーガー『パイデイア――ギリシアにおける人間形成』(上巻、曽田長人訳)、パラマス『東方教会の精髄 人間の神化論攷――聖なるヘシュカストたちのための弁護』(大森正樹訳)、トレル『聖トマス・アクィナス――人と作品』(保井亮人訳)などが予告されています。特に『パイデイア』は待ち遠しいですね。

★『デカルト 数学・自然学論集』は昨年の『デカルト 医学論集』(山田弘明/安西なつめ/澤井直/坂井建雄/香川知晶/竹田扇訳、アニー・ビトボル=エスペリエス序、法政大学出版局、2017年3月)に続く、貴重な論文集。最新の原典校訂テキストをふまえた「幾何学・代数学・力学分野での科学者デカルトの寄与を一望できる貴重な一冊」(帯文)。共訳者の山田さんは昨年、『デカルト ユトレヒト紛争書簡集(1642-1645)』(山田弘明/持田辰郎/倉田隆訳、知泉書館、2017年12月)も上梓されており、近年のデカルトの新訳と初訳を継続的に牽引されているその功績には大なるものがあると言うべきはないでしょうか。

★チョムスキー『誰が世界を支配しているのか?』は英米語圏でベストセラーになっていると聞く『Who Rules the World?』の翻訳。原書では2016年にハードカバーが出て、2017年にペーパーバックが発売されています。全23章で、訳書では巻頭に「日本の読者の皆様へ」、巻末に「あとがき 2017年版によせて」を収録。誰が世界を支配しているのかを問うことは「どんな原則や価値観が世界を支配しているのか」(367頁)を問うことでもあるとチョムスキーは示唆します。昨今、トランプ政権の内幕を暴いた『炎と怒り』が日本でもついに翻訳されましたが、チョムスキー本の方が共和党批判においては辛辣です。

★シャピロ/ヴァリアン『情報経済の鉄則』は『Information Rules: A Strategic Guide to the Network Economy』(Harvard Business Press, 1999)の新訳。既訳は『「ネットワーク経済」の法則――アトム型産業からビット型産業へ…変革期を生き抜く72の指針』(千本倖生監訳、宮本喜一訳、IDGコミュニケーションズ、1999年)でした。新訳の帯文は以下の通り。「Googleを世界一にした経済学者で同社チーフエコノミスト、ハル・ヴァリアンらが1999年に刊行した不朽の名著」。目次詳細は照明のリンク先をご覧ください。「本書の鉄則に従えば、成功の確率が格段に高まる」というジェフ・ベゾスの言葉が帯の背に刷られていて非常に説得的です。

★野林厚志編『肉食行為の研究』はまもなく発売。「人類学を中心に、人文・自然科学の枠を超えた研究者たちが、人間の肉食をめぐる問題群を全方位的に考え抜いた、前代未聞にして画期的な共同研究の成果」(帯文より)と。「肉食行為の文化誌」「肉食行為の人類史」「肉食行為のイメージ」「肉食行為のグローバリズム」の四部構成で16本の論考を収録。あとがきによれば、編者が代表者となって実施した国立民族学博物館共同研究(平成24~26年度)における研究発表をもとに、各執筆者が課題に沿って執筆したものとのことです。食(行為)の研究はいまもっとも重要な分野のひとつではないでしょうか。人文書売場でもちゃんとした位置付けが必要だと感じます。

★中村三春『〈原作〉の記号学』は昨年末創業されたひとり学術出版社「七月社」(しちがつしゃ)さんの書籍第二弾で、映画論です。「文芸原作を持つ第二次テクストとしての映画を理論的また分析的に研究したもの」(10頁)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。著者の中村三春(なかむら・みはる:1958-)さんは北海道大学大学院文学研究科教授で、ご専門は日本近代文学・比較文学・表象文化論専攻。近年の編書に『映画と文学――交響する想像力』(森話社、2016年)があります。この本の編集担当がほかならぬ七月社を起業したNさんです。

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★続いて文庫新刊より。

『政治の約束』ハンナ・アレント著、ジェローム・コーン編、高橋勇夫訳、ちくま学芸文庫、2018年3月、本体1,400円、文庫判416頁、ISBN978-4-480-09849-8
『人間とはなにか――脳が明かす「人間らしさ」の起源』上下巻、マイケル・S・ガザニガ著、柴田裕之訳、ちくま学芸文庫、2018年3月、本体各1,300円、文庫判384頁/368頁、ISBN978-4-480-09851/978-4-480-09852-8
『増補 ハーバーマス――コミュニケーション的行為』中岡成文著、ちくま学芸文庫、2018年3月、本体1,300円、文庫判400頁、ISBN978-4-480-09853-5
『現代語訳 三河物語』大久保彦左衛門著、小林賢章訳、ちくま学芸文庫、2018年3月、本体1,200円、文庫判336頁、ISBN978-4-480-09844-3
『ホームズと推理小説の時代』中尾真理著、ちくま学芸文庫、2018年3月、本体1,200円、文庫判352頁、ISBN978-4-480-09847-4
わが思索のあと』アラン著、森有正訳、長谷川宏解説、中公文庫、2018年2月、本体1,200円、文庫判408頁、ISBN978-4-12-206547-5
君主論 新版』マキアヴェリ著、池田廉訳、佐藤優解説、中公文庫、2018年2月、本体800円、文庫判272頁、ISBN978-4-12-206546-8
怠惰の美徳』梅崎春生著、荻原魚雷編、中公文庫、2018年2月、本体900円、文庫判312頁、ISBN978-4-12-206540-6

★ちくま学芸文庫のまもなく発売となる今月新刊は5点。アレント『政治の約束』は『The Promise of Politics』(Shocken Books, 2005)の全訳で、訳書単行本は2008年に筑摩書房より刊行。文庫化にあたり、訳者解説によれば「訳文に少々手を入れた。いくつかの訂正箇所もあったが、大半は文章を読みやすくする作業であった」とのことです。後段には「多数の訳文の修正のみならず、無数の句読点の取捨や語尾の変更」ともあります。同じくコーンの編書『責任と判断』(中山元訳、2007年;ちくま学芸文庫、2016年)も文庫化されているので、筑摩書房のアレントの単行本はすべて文庫化されたことになります。

★ガザニガ『人間とはなにか』上下巻は、2010年にインターシフトより刊行された『人間らしさとはなにか?――人間のユニークさを明かす科学の最前線』の改題分冊文庫化。原書は『Human: The Science Behind What Makes Us Unique』(Ecco, 2008)です。帯文に曰く「ピンカー、ラマチャンドラン絶賛」と。特に本書の最終章「肉体など必要か?」は人間が科学技術によって変容を被りうる近未来についての考察を簡潔にまとめており興味深いです。

★中岡成文『増補 ハーバーマス』は1993年に講談社の「現代思想の冒険者たち」シリーズで刊行され、その後2003年に同シリーズのセレクト版として再刊された単行本の増補文庫化で、終章「対話は世界を変えられるのか――その後のハーバーマス」(291~331頁)が書き下ろしで追加されています。「対話が支える相互理解は可能か? 理性を信じる思想」という帯文は対話よりも圧力を選ぶ、恐怖と不信に絡めとられた現代政治への直球の提言として響きます。

★『現代語訳 三河物語』は、教育社より1980年に刊行された『三河物語』上下巻の改訳文庫化。「徳川家九代の歴史を今に伝える重要古典〔・・・〕当時の俗語で書かれた難解な原文を、読みやすい現代語訳で送る」(カヴァー紹介文より)と。「忠誠」を精神のよりどころに戦国時代を生き抜いた老武者のひたむきな生きざまと考え方に心奪われるだろう、と訳者は「はじめに」で書いています。

★中尾真理『ホームズと推理小説の時代』は書き下ろし。目次を列記しておきます。
前書き
第一部 『ストランド・マガジン』とシャーロック・ホームズ
 第一章 シャーロック・ホームズ登場
 第二章 ホームズの引退
 第三章 観察と推理――シャーロック・ホームズの先輩たち
第二部 推理小説の黄金時代(イギリスの場合)
 第一章 シャーロック・ホームズのライヴァル(同時代人)たち
 第二章 G・K・チェスタトンとE・C・ベントリー
 第三章 アガサ・クリスティ
 第四章 ドロシー・L・セイヤーズ
 第五章 A・A・ミルンとロナルド・A・ノックス
第三部 推理小説の黄金時代(アメリカの場合)
 第一章 S・S・ヴァン・ダイン
 第二章 エラリー・クイーン
 第三章 ジョン・ディクスン・カー
 第四章 アール・スタンリー・ガードナー
 第五章 レックス・スタウト
第四部 推理小説の黄金時代の余波
 第一章 黄金時代の余波
第五部 推理小説の黄金時代(日本の場合)
 第一章 日本の近代化と推理小説
附録1 千駄ヶ谷のシャーロック・ホームズ
附録2 人はなぜ推理小説を読むのか
参考文献
あとがき

★続いて中公文庫。「古典作品の歴史的な翻訳に光を当てる精選シリーズ」である中公文庫プレミアムの最新刊はアラン『わが思索のあと』。「円熟期を迎えた著者が師〔ラニョー〕との出会いからプラトン、ヘーゲルなどの哲学、第一次大戦の従軍体験、さらに唯物論、宗教まで繊細な筆致で綴る。稀有な思想的自伝全34章」(カヴァー裏紹介文より)。思索社より1949年に刊行された単行本の文庫化で原書は『Histoire de mes pensées』(Gallimard, 1936)です。文庫化にあたり新字新仮名遣いを採用し、固有名詞の表記を改め、誤植を修正し、新たな人名索引を付したとのことです。長谷川宏さんによる解説「過去の経験を思想化すること」が付されています。同シリーズではエリオット『荒地/文化の定義のための覚書』(深瀬基寛訳)が続刊予定となっています。

★マキアヴェリ『君主論 新版』は1995年に中公文庫で刊行された新訳版の新組再刊と見て良いかと思います。このかん、中公クラシックスでも2001年に刊行されており、訳者解説末尾の文献案内に新訳版以降の文献も加わっているのは2001年版からでしたでしょうか。いずれにせよ、「世界の名著」から数えて5度目の再刊となるロングセラーです。巻末には佐藤優さんによる解説が新たに付されています。独裁化の危険に抗する「愚行権」(幸福追求権)の重要性について語る佐藤さんの筆致が印象的です。

★梅崎春生『怠惰の美徳』は荻原魚雷さんが選んだ随筆と短編小説をまとめたもの。発売後早くも反響続々で、今年の再評価本として記憶に残るだろう一冊。「やる気がなくてもなんとかやっています」という帯文が無性に可笑しいです。表題作はその脱力感がよく表れている一篇。「私自身にしても、ナマケモノといわれるより、閑人といわれる方が気持ちがいい。私は「閑暇の美徳」という文章を書くべきであったようだ」(17頁)。あくせく働いて自分がどこを目指しているのか、目指したいのかが分からなくなっている現代の読者もまた、働かされることによって失った自由な自律的時間である「閑暇」を取り戻すべく、怠惰という力を見直すべきなのかもしれません。ラッセルの名著『怠惰への讃歌』(平凡社ライブラリー、2009年)やラファルグ『怠ける権利』(平凡社ライブラリー、2008年)とともに噛みしめたい一冊です。

★さらに言えば國分功一郎さん『暇と退屈の哲学』(増補新版、太田出版、2015年)や、スヴェンセン『働くことの哲学』(紀伊國屋書店、2016年)、カイヨワ『遊びと人間』(講談社学術文庫、1990年)、チクセントミハイ『フロー体験 喜びの現象学』(世界思想社、1996年)、ボイル『無銭経済宣言』(紀伊國屋書店、2017年)、フレイレ『希望の教育学』(太郎次郎社、2001年)、イリイチ『脱学校の社会』(東京創元社、1977年)、ブラック『労働廃絶論――ボブ・ブラック小論集』(アナキズム叢書、2015年)なども思い浮かびます。今月は講談社学術文庫でホイジンガの『ホモ・ルーデンス』の新訳がまもなく発売となりますし、政府が謳う「働き方改革」を考え直す上でこれらの読書が良いきっかけになるかもしれないと思います。

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# by urag | 2018-03-04 23:58 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2018年 02月 27日

4月上旬刊行予定:J-L・ナンシー『ミューズたち』

2017年4月5日取次搬入予定 *人文/芸術/現代思想

ミューズたち
ジャン=リュック・ナンシー著 荻野厚志訳
月曜社 2018年4月 本体:2,700円、46変型判[190mm×115mm×18mm]並製292頁 ISBN: 978-4-86503-060-0

美学の脱構築へ。古代から現代に至る広範な美学史や哲学史を参照しつつ、複数かつ単数の〈感覚=意味〉の問題として批判的に検討し直す、ナンシーによる芸術哲学の精華。解説=暮沢剛巳【芸術論叢書:第5回配本】

アマゾン・ジャパンで予約受付中

ミューズたちの名は、ある語根に由来している。それは熱情を、焦燥、欲望、あるいは怒りのなかに募る激しい緊張感を、知りたい、作りたいという熱意に充ちた緊張感を示している。より穏当な解釈では「精神の運動」だと言われる。ミューズは、励まし、駆り立て、搔き立て、揺さぶる。彼女は形態よりも力を見守る。あるいは、より正確には、彼女は力を込めて形態を見守る。しかし、この力は複数形でほとばしる。この力は当初から複数の形態で与えられている。存在するのはミューズたちであって、ミューズなるものではない。彼女たちの人数は、その属性と同じで、さまざまに変わるものだったが、ミューズたちはつねに多数いただろう。(本書より)

目次:
Ⅰ なぜ、ただ一つではなく、いくつもの芸術があるのだろうか?(世界の複数性についての対話)
Ⅱ ミューズたちを継ぐ乙女(諸芸術のヘーゲル的誕生)
Ⅲ 閾の上に
Ⅳ 洞窟のなかの絵画
Ⅴ 芸術の残骸
Ⅵ 諸芸術は一方と他方で為される
Ⅶ プラエセンス
日本語版解説 ジャン゠リュック・ナンシーと洞窟壁画:一つの註釈として(暮沢剛巳)
訳者あとがき

原書:Les Muses, Édition revue et augumentée, Éditions Galilée, 1994/2001.

ジャン゠リュック・ナンシー(Jean-Luc Nancy)1942年生。フランスの哲学者。芸術論系の著書に『訪問――イメージと記憶をめぐって』(西山達也訳、松籟社、2003年)、『映画の明らかさ――アッバス・キアロスタミ』(上田和彦訳、松籟社、2004年)、『肖像の眼差し』(岡田温司/長友文史訳、人文書院、2004年)、『イメージの奥底で』(西山達也/大道寺玲央訳、以文社、2006年)などがある。

荻野厚志(おぎの・あつし)1972年生。パリ第7大学DEA取得。芸術学、仏文学。既訳書にジャン゠リュック・ナンシー『私に触れるな――ノリ・メ・タンゲレ』(未來社、2006年)など。
暮沢剛巳(くれさわ・たけみ)1966年生。東京工科大学デザイン学部教授。近書に『オリンピックと万博――巨大イベントのデザイン史』(ちくま新書、2018年)など。

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# by urag | 2018-02-27 19:38 | 近刊情報 | Trackback | Comments(0)
2018年 02月 26日

ブックツリー「哲学読書室」に河南瑠莉さんの選書リストが追加されました

オンライン書店「honto」のブックツリー「哲学読書室」に、マーク・フィッシャー『資本主義リアリズム』(堀之内出版、2018年2月)の共訳者でいらっしゃる河南瑠莉さんによるコメント付き選書リスト「後期資本主義時代の文化を知る。欲望がクリエイティビティを吞みこむとき」が追加されました。リンク先にてご覧いただけます。


◎哲学読書室

星野太(ほしの・ふとし:1983-)さん選書「崇高が分かれば西洋が分かる
國分功一郎(こくぶん・こういちろう:1974-)さん選書「意志について考える。そこから中動態の哲学へ!
近藤和敬(こんどう・かずのり:1979-)さん選書「20世紀フランスの哲学地図を書き換える
上尾真道(うえお・まさみち:1979-)さん選書「心のケアを問う哲学。精神医療とフランス現代思想
篠原雅武(しのはら・まさたけ:1975-)さん選書「じつは私たちは、様々な人と会話しながら考えている
渡辺洋平(わたなべ・ようへい:1985-)さん選書「今、哲学を(再)開始するために
西兼志(にし・けんじ:1972-)さん選書「〈アイドル〉を通してメディア文化を考える
岡本健(おかもと・たけし:1983-)さん選書「ゾンビを/で哲学してみる!?
金澤忠信(かなざわ・ただのぶ:1970-)さん選書「19世紀末の歴史的文脈のなかでソシュールを読み直す
藤井俊之(ふじい・としゆき:1979-)さん選書「ナルシシズムの時代に自らを省みることの困難について
吉松覚(よしまつ・さとる:1987-)さん選書「ラディカル無神論をめぐる思想的布置
高桑和巳(たかくわ・かずみ:1972-)さん選書「死刑を考えなおす、何度でも
杉田俊介(すぎた・しゅんすけ:1975-)さん選書「運命論から『ジョジョの奇妙な冒険』を読む
河野真太郎(こうの・しんたろう:1974-)さん選書「労働のいまと〈戦闘美少女〉の現在
岡嶋隆佑(おかじま・りゅうすけ:1987-)さん選書「「実在」とは何か:21世紀哲学の諸潮流
吉田奈緒子(よしだ・なおこ:1968-)さん選書「お金に人生を明け渡したくない人へ
明石健五(あかし・けんご:1965-)さん選書「今を生きのびるための読書
相澤真一(あいざわ・しんいち:1979-)さん/磯直樹(いそ・なおき:1979-)さん選書「現代イギリスの文化と不平等を明視する
権安理(ごん・あんり:1971-)さん選書「そしてもう一度、公共(性)を考える!

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# by urag | 2018-02-26 19:47 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2018年 02月 25日

注目新刊:『Lexicon 現代人類学』『キュレーションの方法』『囁音』、ほか

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Lexicon 現代人類学』奥野克巳/石倉敏明編、以文社、2018年2月、本体2,300円、四六変形判並製224頁、ISBN978-4-7531-0344-7
キュレーションの方法――オブリストは語る』ハンス・ウルリッヒ・オブリスト著、中野勉訳、河出書房新社、2018年2月、本体2,700円、46判上製248頁、ISBN978-4-309-27919-0
ゲームの規則Ⅳ 囁音』ミシェル・レリス著、谷昌親訳、平凡社、2018年2月、本体3,800円、4-6判上製480頁、ISBN978-4-582-33326-8
漢京識略――近世末ソウルの街案内』柳本芸著、吉田光男訳註、東洋文庫:平凡社、2018年2月、本体3,400円、B6変判上製函入496頁、ISBN978-4-582-80885-8
新装版 花の王国1 園芸植物』荒俣宏著、平凡社、2018年2月、本体3,800円、A4判上製160頁、ISBN978-4-582-54323-0
新装版 花の王国2 薬用植物』荒俣宏著、平凡社、2018年2月、本体3,800円、A4判上製160頁、ISBN978-4-582-54324-7
新装版 花の王国3 有用植物』荒俣宏著、平凡社、2018年2月、本体3,800円、A4判上製160頁、ISBN978-4-582-54325-4
新装版 花の王国4 珍奇植物』荒俣宏著、平凡社、2018年2月、本体3,800円、A4判上製160頁、ISBN978-4-582-54326-1
ブッチャーズ・クロッシング』ジョン・ウィリアムズ著、布施由紀子訳、作品社、2018年2月、本体2,600円、四六判上製340頁、ISBN978-4-86182-685-6

★『Lexicon 現代人類学』は27名の執筆者が「新たな「人文学」を構想」(帯文より)し、「今日的課題に挑む、現代人類学の思想と実践を追った50項目の「読む」キーワード集」(同)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。このところ人文書でも話題になっている「人新世」についても立項されています。コンパクトで持ち運びやすいサイズは、以文社さんが9年前に刊行された『VOL lexicon』という、読むキーワード集を思い出させます。『Lexicon 現代人類学』は項目ごとに関連するキーワードや参考文献が掲げられているので、書店さんの棚づくりやフェアに役立つと思います。水声社さんの「叢書 人類学の転回」や、青土社さんの「現代思想2017年3月臨時増刊号 総特集=人類学の時代」を扱っていらっしゃる書店にとっては必図書備ではないでしょうか。

★なお同書の刊行を祈念し、今週以下のイベントが行われるとのことです。

◎「人類学からの問いかけ:存在論×政治と経済×価値創造」奥野克巳×石倉敏明×上妻世海トークイベント
日程:2018年03月01日(木)19:00~20:30 開場:18:30~
会場:青山ブックセンター本店内(小教室)
料金:1,350円(税込)
定員:50名様
お問い合わせ先:青山ブックセンター本店 TEL:03-5485-5511 10:00~22:00

内容:前世紀末から現在まで、人文・社会科学の危機とともに「人間とは何か」という根源的な問いが再浮上する中で、人類学は大きな変貌を遂げ、隣接領域を巻き込む大きな知的運動の渦を起こしてきました。地球規模の自然環境とともに個人や集団、世界の在り方を問い直す「存在論」の問い、国境を超えて日常生活に浸透しつつある「経済と政治」の問い、モノや情報技術、技芸(アート)の実践をめぐる「価値創造」の問いなど、人類学はいま改めて「現代」を問い直し、共通世界を構想する実践的な道具となりつつあります。現代を人類学から見たとき、どんな光景が見えてくるのか、そして人類学から現代を問うということはどういうことなのか、語り合っていただきます。

★オブリスト『キュレーションの方法』は『Ways of Curating』(Penguin Books, 2014)の翻訳。帯文に曰く「英『アートレビュー』誌「現代アートの最も影響力を持つ100人」で第1位に選ばれたトップ・キュレーターが、自身の活動を振り返り、現代アートを含む芸術文化の過去と未来を語り尽くす!」。目次を列記しておきます。
プロローグ――事の次第
アリギエロ・ボエッティとともに
世界〔グローバル〕性
『do it』
キュレーション、展覧会、綜合芸術作品
クールベ、マネ、ホイッスラー
知をコレクションする
ミュージアムとアーカイヴについて
印刷された展覧会
終わりなき会話
先駆者たち
夜行列車やその他の儀式
キッチン
ローベルト・ヴァルザーとゲアハルト・リヒター
導師たち
フェリックス・フェネオンとホテル・カールトンパレス
見えない都市たち
こちらロンドン〔ロンドン・コーリング〕
建築、アーバニズム、展覧会
ビエンナーレ
ユートピア・ステーション
バレエ・リュス
時間と展覧会
パヴィリオンとマラソンについて
(カンファレンスならざる)カンファレンスをキュレーションする
『非物質的なものたち』
『ラボラトリウム』
未来をキュレーションする

★オブリストは「知をコレクションする」の冒頭でこう書いています。「コレクションをつくるとは、アイテムを購入し整理し、部屋であれ家であれ図書館であれミュージアムであれ倉庫であれ、或る場所に収蔵することである。それはまた不可避的に、世界について考えをめぐらせることでもある――コレクションを生み出す接続〔コネクション〕や原理には、想定、並置、発見、実験的な可能性や連想〔アソシエーション〕といったものが含まれる。コレクションづくりとは知を生産する一方法なのだと言ってもいい」(59頁)。また同テクストではこうも書かれています。「ルネサンス期にはすでに、キルヒャーなどの学者たちは「ミュージアム」を、学問研究に備えてアイテムをコレクションする場、またはモノのいっさい――書斎、図書館、庭園、百科全書――を指す語として用いていた。ミュージアムは過去をモノとして集成するアーカイヴということになっていた。19世紀後半にはすでに、ミュージアムの相互にコネクトされた一連の部屋を歩いていくことは、時間のなかを旅することだと理解されていた」(63頁)。日々中身が少しずつ入れ替わっていく「現在形の鏡」=「移ろうミュージアム」である書店のありようを考える時に、オブリストのキュレーション観は様々な示唆を与えてくれる気がします。

★レリス『ゲームの規則Ⅳ 囁音』は全4巻の最終回配本。原書は『Frêle bruit』(Gallimard, 1976)。これまでの三巻と異なり断章形式になっており、「拾遺集のような性格を帯び」ていると訳者の谷さんは指摘されています。また「レリスが『囁音』の執筆にかかっていた1960年代後半は、フランスにかぎらず世界各地で反体制的な運動が盛り上がりを見せた時代で、レリス自身も一種の高ぶりを感じていたに違いない」とも指摘されています。本書には例えば次のようなくだりもあります。「発言権を得るのは人食い鬼やロボットや猫をかぶった絞殺者や人の脳みそを台なしにする輩ばかりとなっていく世界で、任務放棄とならずに、非暴力の大義を支持するためには、いったいどうすればいいのだろうか」(236頁)。「ぼろぼろになった私の記憶〔メモワール〕をうまく繕ってはくれないこの覚書〔メモワール〕」(268頁)。「どんなことをしても廃絶できない悪があり、詩だけがそれに立ち向かう助けとなりうる」(同)。「かすかな物音」という原題を持つ本書は、レリスの思考の深淵を垣間見ることができる断崖のようです。

★柳本芸『漢京識略』は東洋文庫第885巻。訳注者の吉田さんによる「まえがき」に曰く「18世紀末から19世紀初頭にかけてソウルに居住していた柳本芸という一官僚知識人が、1830年に完成させたソウルの町案内」であり、「一文字のハングルのほかは、すべて当時の朝鮮知識人の共通文字言語である漢字漢文で記されている。したがって、街案内とは言え、想定される読者は庶民一般ではなく、あくまでも知識人階層に属する人々である」とのことです。現在に至るまで写本しかなく、本書は「日韓を通じて初めての刊本」(帯文より)と。東洋文庫次回配本は3月、『周作人読書雑記2』の予定。

★荒俣宏『新装版 花の王国』全4巻は、2014年に平凡社100周年を記念して刊行された『新装版 世界大博物図鑑』全5巻に続く、荒俣さんの図鑑本の新装復刊です。巻頭に掲載された「「花の王国」の読み方」によれば「各頁とも、植物名の〈見出し〉〈解説〉〈図版〉および〈図版説明〉で構成される。各巻とも、総数三十万余種もある植物のうちから、テーマにふさわしい珍奇で美しいものを選んだ。また巻末に、古今東西・現実架空の庭園を25項目ずつとりあげ、人間と植物の深い関わりを後づける〈天と地の庭園巡り〉を併載する」。古い文献から採用されたオールカラーの図譜の溜息の出るような美しさに加え、荒俣本ならではの博物学から雑学までを渉猟した情報と図版の数々が楽しませてくれます。『世界大博物図鑑』は1冊あたり税込2万円前後する高額本ですが、『花の王国』全巻買っても2万円を大きく下回ります。揃いでのご購入をお薦めします。

★ウィリアムズ『ブッチャーズ・クロッシング』は『Butcher's Crossing』(Macmillan,
1960)の翻訳。作品社さんではアメリカの作家ジョン・ウィリアムズ(John Edward Williams, 1922-1994)の小説『ストーナー』(東江一紀訳)を2014年9月に刊行されており、同書は昨年末に16刷を数えるロングセラーとなっています。今回刊行された『ブッチャーズ・クロッシング』は「19世紀後半の米国西部を舞台にしたバッファロー狩りの物語」(訳者あとがき)で、訳者の布施さんは「『ストーナー』を“静”とすれば、本書はまさに“動”。〔…〕『ストーナー』と同様、本書もやはり、人が生きることの本質を鋭く問いかける、味わい深い文学作品である」と評しておられます。

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# by urag | 2018-02-25 20:05 | Trackback | Comments(0)
2018年 02月 21日

注目新刊:『ヘテロトピアからのまなざし』『21世紀のソシュール』ほか

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★上村忠男さん(訳書:アガンベン『到来する共同体』、編訳書:パーチ『関係主義的現象学への道』、スパヴェンタほか『ヘーゲル弁証法とイタリア哲学』、共訳書:アガンベン『アウシュヴィッツの残りのもの』『涜神』、スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』)
未來社さんの「ポイエーシス叢書」第72弾として、上村さんの5冊目の批評集『ヘテロトピアからのまなざし』がまもなく発売されます。

ヘテロトピアからのまなざし

上村忠男著
未來社:ポイエーシス叢書72 2018年2月 本体4,800円 四六判上製450頁 ISBN978-4-624-93282-4
カバー紹介文より:思想史を中心に欧米の最新の学問的成果を精力的に紹介しつつ自身も〈ヘテロトピア〉をキーワードに新しい歴史学的方法論を構想してきた著者の最新評論集。

★廣瀬純さん(著書:『絶望論』、共著:『闘争のアサンブレア』、訳書:ヴィルノ『マルチチュードの文法』、共訳:ネグリ『芸術とマルチチュード』)
★郷原佳以さん(共訳:『ブランショ政治論集』)
青土社さんの月刊誌「現代思想 2018年3月臨時増刊号 総特集=現代を生きるための映像ガイド51」に寄稿されています。廣瀬さんによる「新たなロングショットの時代のために」では、木村文洋監督による長編フィクション作品『息衝く』(2017年)が論じられています。郷原さんによる「「僕がメモリだ」――メモリをめぐる「除籍者」たちの闘い」」では、クリストファー・マッカリー監督による『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』(2015年)が論じられています。ちなみに現物は見ていませんが、映画関連書では先月末に森話社さんから刊行された論集『ストローブ=ユイレ──シネマの絶対に向けて』において、竹峰義和さんが「イメージから抵抗へ──アドルノ美学とストローブ=ユイレ」というご論考を寄せておられます。竹峰さんは弊社よりメニングハウス『生のなかばで』の訳書や、シュティーグラー『写真の映像』の共訳書を上梓されています。

なお、廣瀬さんが2009年に洛北出版から刊行した『シネキャピタル』の仏語版『Le Ciné-capital : D’Hitchcock à Ozu』が3月に発売となるようです。廣瀬さんのツイートによれば「日本語版(09)とは異なる第3章を収めた西語版(14)を元に『シネマの大義』所収の小津論「ドゥルーズと日本人」政治映画論「地理映画の地下水脈」の加筆修正版、ペーター・サンディによる序文を付したもの」とのこと。


★金澤忠信さん(著書:『ソシュールの政治的言説』、訳書:ソシュール『伝説・神話研究』)
★宮﨑裕助さん(共訳:ド・マン『盲目と洞察』)
水声社さんから先月刊行された論文集『21世紀のソシュール』に寄稿されています。金澤さんは「ソシュールの伝説・神話研究」と題した論考を、宮﨑さんは「差延、あるいは差異の亡霊――ジャック・デリダによるソシュール再論」と題した論考を寄せておられます。なお宮崎さんは今月、法政大学出版局さんから刊行された『新・カント読本』(牧野英二編、法政大学出版局、2018年)にも「フランス語圏のカント受容──「人間」以後の超越論哲学の行方」という論考を寄せておられます。内容についてはご本人がツイートされています。

21世紀のソシュール
松澤和宏編
水声社 2018年1月 本体5,000円 A5判上製340頁 ISBN978-4-8010-00323-1
帯文より:ソシュールの〈ためらい〉。ラング/パロール、シニフィアン/シニフィエ、〈言語論的転回〉……フランス現代思想の潮流とともに喧伝された「ソシュールの思想」とは、膨大な草稿を残した言語学者の企図にかなっていたのだろうか。『講義』成立の背景とその功罪、理論的虚構としての〈ラング〉の限界と〈パロール〉の可能性、神話・伝説研究にみられる歴史観、アウグスティヌスからデリダまでの言語思想史上のメルクマール、認知言語学との類縁性、日本語学との邂逅……言語によって世界を整理区分するのではなく、むしろどこまでも曖昧になってしまうことに遅疑逡巡するソシュールが浮かび上がってくる。

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# by urag | 2018-02-21 19:31 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)