2024年 02月 05日
★今回も新刊多数のため、注目既刊書の紹介は次回に再度持ち越します。まずは、まもなく発売となる、待望の學魔訳『ポリフィルス』から。 『ポリフィルス狂戀夢』フランチェスコ・コロンナ(著)、ジョスリン・ゴドウィン(英訳)、高山宏(日本語訳)、東洋書林、2024年2月、本体7,500円、A5上製560頁(図版213点)、ISBN978-4-88721-832-1 帯文より:エロイムエッサイム、出でよ、ポリフィロ、出でよ、ポリア。廻り廻る夢の夢の夢の果てまでを巡り巡る綺想・綺観……東西の學魔の黙し交した密契によって絢爛豪華に召喚される、夢幻にして無限の唐草模様を描く愛の遍歴譚。ドラコニア推奨の稀覯書、遂に邦訳。 目次: 序|ジョスリン・ゴドウィン ポリフィルス狂戀夢|フランチェスコ・コロンナ 前口上 壱之書 弐之書 附録 1. 寓意的人名とその意味 2. 建築用語集 3. 美女神キュテレイアの島の略図 解題 1. アルチンボルドの源泉とポリフィロの緑夢|マウリツィオ・カルヴェージ(伊藤博明訳) 2. Vita voluptuariaとしての重訳|高山宏 版元による概要説明: ルネサンス後期となる1499年にイタリアで刊行された原典は、黎明期の活版印刷書籍である「初期刊本(インキュナブラ)」の中でも最高峰の贅を尽くしたフォリオ判(二つ折り判)の挿絵入り大型本。原典著者には諸説あるが、本書ではヴェネツィアのドミニコ会士コロンナ説を採用。 テクストはイタリア語文法を基礎にしたラテン語・ギリシア語の混淆で、大量の造語も混じるその難解さ故に、有力な現代イタリア語訳ですら漸く1980年の刊となるほど、完訳は長らく不可能視されていた。そうした原典を『キルヒャーの世界図鑑』などの著書によって好事家に知られる神秘学研究の泰斗ゴドウィンが20年の歳月をかけ英訳。 迎え撃つは本邦人文書の最後のスター高山宏。ゴドウィン訳を底本に、無論のこと原典を縦横に対照しつつ、晩年の澁澤龍彥に推奨されていた完全邦訳の約定を、高山調とも呼ぶべき流麗な文体によって堂々の遂行。 版元による内容紹介: 主人公ポリフィロは胸に秘めた乙女ポリアへの想い故にまたもや眠れぬ夜をまんじりともせず過ごしていた──会いたい、会ってその手を取りたい。そうした一念に没頭するうち、ふと気付けば見たこともない森に迷いこんでいるポリフィロ。建築術、博物学等々のルネサンス後期の新知識や奇想、そして愛の技巧に彩られた「夢中」の彷徨の始まりである。神の恩寵、猛獣の脅威、仙女の誘惑に出逢い乍ら彼は果たしてポリアと結ばれるのか? カバー表3掲載の讃辞: 「と言うわけで、私のささやかな蔵書の中の逸物とも言うべき、『ポリフィルス』の、世にもみごとな版が、今日、「数多ノ太陽ニモ比ベラレナイ」ものとして、そこに入っているのだ。私は、それを喜んで、愛好家たちの目にさらすのである。彼らは、それが、またとない本であることを認めずにはいられない……」(シャルル・ノディエ「フランシスクス・コロンナ」、篠田知和基訳『炉辺夜話集』牧神社、1975年)。 「オリエント的-古代秘文字術の最初の詩的-マニエリスム的叙述であるフランチェスコ・コロンナの「ポリフィルスの夢」は……恋に溺れたポリフィルスの体験する夢のイメージについての報告である。……謎書、謎絵はシェイクスピア時代のヨーロッパを席捲し魅了した!……この作品は、錯綜たる寓意画的組み合わせのための宝物庫として当時すでに充分に一家をなしているのである」(グスタフ・ルネ・ホッケ「謎術としての寓意画法」、種村季弘訳『文学におけるマニエリスム』第17章より、平凡社ライブラリー、2012年)。 ★『ポリフィルス狂戀夢』は今月中旬より発売。幻の奇書『ヒュプネロトマキア・ポリフィリ』(1499年)の、ジョスリン・ゴドウィン(Joscelyn Godwin, 1945-)による英訳『Hypnerotomachia Poliphili: The Strife of Love in a Dream』(Thames & Hudson, 1999/2005)からの、高山宏(たかやま・ひろし, 1947-)さんによる日本語訳。同書の翻訳に至る経緯の一端は、高山さんご自身によって本書の解題2と、「Curiouser and Curiouser――奇書のマニエリスム」(「ユリイカ2023年7月号 特集=奇書の世界」所収、青土社、2023年6月)で明かされています。なお、イタリア語原典版からの完訳には大橋喜之訳『ヒュプネロートマキア・ポリフィリ――全訳・ポリフィルス狂恋夢』(八坂書房、2018年12月)があります。 ★続いて、まもなく発売となるちくま学芸文庫の2月新刊5点を列記します。 『他者といる技法――コミュニケーションの社会学』奥村隆(著)、ちくま学芸文庫、2024年2月、本体1,300円、文庫判336頁、ISBN978-4-480-51222-2 『江戸の戯作絵本2』小池正胤/宇田敏彦/中山右尚/棚橋正博(編)、ちくま学芸文庫、2024年2月、本体1,800円、文庫判624頁、ISBN978-4-480-51225-3 『生のなかの螺旋――自己と人生のダイアローグ』ロバート・ノージック(著)、井上章子(訳)、ちくま学芸文庫、2024年2月、本体1,900円、文庫判592頁、ISBN978-4-480-51227-7 『本地垂迹』村山修一(著)、ちくま学芸文庫、2024年2月、本体1,600円、文庫判464頁、ISBN 978-4-480-51230-7 『種村季弘コレクション 驚異の函』種村季弘(著)、諏訪哲史(編)、ちくま学芸文庫、2024年2月、本体1,300円、文庫判352頁、ISBN978-4-480-51232-1 ★『他者といる技法』は、日本評論社より1998年に刊行された単行本の文庫化。著者の奥村隆(おくむら・たかし, 1961-)さんは社会学者。「文庫版あとがき」によれば「内容はそのままにするのがよいと思った。ただ、表現としてあまりにもくどいと感じる箇所は修正し、「精神分裂病」を「統合失調症」に改めるなどの用語の変更と、書誌情報の追加・修正のみ行うことにした」とのことです。巻末解説「理解できないあなたの隣りにいるために」は、哲学者の三木那由他さんがお書きになっています。 ★『江戸の戯作絵本2』は、現代教養文庫の『江戸の戯作絵本(三)変革期黄表紙集』(1982年)と同四巻『末期黄表紙集』(1983年)の合本文庫化。凡例によれば「文庫化に際しては、棚橋正博氏にご協力を仰ぎ、誤記誤植を改めた。また図版は状態のよいものに適宜改めた。〔…〕文庫化に際し、一部底本とは別の図版を掲載したものもある」とのことです。帯文に曰く「忖度一切なし! 政治と下のハナシは格好の茶化しネタ。筆禍事件を招いた発禁策をはじめ16作品を収録」。 ★『生のなかの螺旋』は、アメリカの哲学者ロバート・ノージック(Robert Nozick, 1938-2002)の著書『The Examined Life: Philosophical Meditations』(Simon & Schuster, 1989)の全訳書(青土社、1993年)の文庫化。ノージックの著書の文庫化は初めて。文庫化にあたり、「人名表記を一部改めた」とのことです。文庫版訳者あとがきのほか、法哲学者の吉良貴之さんによる解説「人生は強いられず、ただ示される」が加えられています。ノージックの著書のなかでは親しみやすい本ではないでしょうか。それは本書が「生きること、人生で重要なことは何かについて」(12頁)書かれたもので、「人生についての哲学的省察は、理論でなくある肖像画を提供することである」(13頁)からかもしれません。 ★『本地垂迹』は、吉川弘文館の「日本歴史叢書」で1974年に刊行された単行本(新装版、1994年)の文庫化。著者の村山修一(むらやま・しゅういち, 1914-2010)さんは逝去されているため、文庫化にあたっての改訂はなし。巻末の文庫版解説「神仏の源流を求めて」は、仏教学者の末木文美士さんがお書きになっています。末木さんは「今日でも神仏習合、本地垂迹をこれほど見事に総合的な視点から描いた著作は出ていない。この分野を学ぶとき、まず読むべき古典として屹立している」とお書きになっています。 ★『種村季弘コレクション 驚異の函』は、文庫オリジナル編集。諏訪哲史さんによる編者解説「無限迷宮の歩き方」によれば、「種村季弘の入門的セレクションとして、国書刊行会の傑作撰〔『種村季弘傑作撰(Ⅰ)世界知の迷宮』2013年6月刊、全17篇;『種村季弘傑作撰(Ⅱ)自在郷への退行』2013年7月刊、全21篇〕からさらに精選した代表的な論考も織り交ぜつつ、読みやすい自伝的随想や講演録、対談等を大幅に加え、新たに編み直した、ビギナーズ向けの決定版的な文庫選集」とのこと。収録作を以下に転記しておきます。 吸血鬼幻想 神話の中の発明家 怪物の作り方 洋の東西怪談比較 少女人形フランシーヌ ケベニックの大尉 地球空洞説 落魄の読書人生 器具としての肉体 物体の軌跡 K・ケレーニイと迷宮の構想 泉鏡花作品に見るオシラ様 グロッソラリー・狂人詩・共感覚 文字以前の世界――童話のアイロニー 偏在する怪物――怪物論のトポス(谷川渥との対談) ★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。書誌情報を列記します。 『感じやすいあなたのためのスピリチュアル・セルフケア――エンパスとして豊かに生きていく』ジュディス・オルロフ(著)、串崎真志(監修)、浅田仁子(訳)、2024年1月、本体3,800円、A5判並製406頁、ISBN978-4-7724-2008-2 『うつ病 隠された真実――逃れるための本当の方法』ヨハン・ハリ(著)、山本規雄(訳)、作品社、2024年1月、本体3,200円、四六判並製416頁、ISBN978-4-86182-843-0 『詳解『源氏物語』文物図典――有職故実で見る王朝の世界』八條忠基(著)、平凡社、2024年1月、本体4,800円、B5判並製400頁、ISBN978-4-582-83947-0 『エドワード・サイード ある批評家の残響』中井亜佐子(著)、書肆侃侃房、2024年1月、本体1,700円、四六判並製208頁、ISBN978-4-86385-612-7 『食と農のソーシャル・イノベーション――持続可能な地域社会構築をめざして』大石尚子(編)、藤原書店、2024年1月、本体4,400円、A5上製288頁、ISBN978-4-86578-411-4 『新ランボー論――慈悲愛と大地母神的宇宙への憧憬』清眞人(著)、藤原書店、2024年1月、本体3,600円、A5判並製上製336頁、ISBN978-4-86578-412-1 『医療とは何か――音・科学そして他者性』方波見康雄(著)、藤原書店、2024年1月、本体2,700円、四六判上製448頁+口絵4頁、ISBN978-4-86578-400-8 ★『感じやすいあなたのためのスピリチュアル・セルフケア』について特記しておくと、同書は、米国の精神科医ジュディス・オルロフ(Judith Orloff, 1951-)による『Thriving as an Empath: 365 Days of Self-Care for Sensitive People』(Sounds True, 2019)の全訳。帯文に曰く「一日一ページ、豊かに生きるためのセルフケア365。エンパス(感じやすい人)の心の平穏のために、毎日行う具体的なセルフケアやものの見方、瞑想を紹介します」と。オルロフの既訳書には、以下のものがあります。 『第二の視力』小林サリー(訳)、ヴォイス、1998年9月 『ポジティブ・エネルギー――心・体・魂をすこやかにする』矢鋪紀子(訳)、サンマーク出版、2006年10月 『スピリチュアル・パワーアップ・レッスン――幸せになる第六感の磨き方』サリー・キヨモト(訳)、ハート出版、2007年3月 『こだわらない人ほどうまくいく!(上)泥濘〔ぬかるみ〕の人生からサヨナラできる本!』栗山圭世子(訳)、ヒカルランド、2017年5月 『こだわらない人ほどうまくいく!(下)人生を輝かせる驚きの秘訣』栗山圭世子(訳)、ヒカルランド、2017年5月 『LAの人気精神科医が教える共感力が高すぎて疲れてしまうがなくなる本』桜田直美(訳)、SBクリエイティブ、2019年12月 +++ #
by urag
| 2024-02-05 00:12
| ENCOUNTER(本のコンシェルジュ)
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2024年 01月 29日
2024年02月15日取次搬入予定 ジャンル:歴史(20世紀ヨーロッパ史、強制収容所、証言文学) 無益な知識――アウシュヴィッツとその後 第二巻 シャルロット・デルボー[著] 亀井佑佳[訳] 月曜社 本体2,400円 46判並製264頁(188x130x17mm) 300g ISBN978-4-86503-183-6 アウシュヴィッツとラーフェンスブリュックへの強制収容体験を経て、その記憶を書きしるすことで証言したフランス人レジスタンス女性、シャルロット・デルボー。ともに逮捕された夫を銃殺され、一緒に闘った仲間たちを次々と喪った彼女は、収容所内で演劇を上演し、パンと引き換えに本を手に入れる。あらゆるものを剥ぎとられてなお、戯曲を暗唱し、詩を想起する。「息を引きとった者たちは歌わない。でも、息を吹き返すやいなや演劇を上演するのだ」――死の知識の無益さに抗う、文学の力。 「あなたたちはあらゆるものを剥ぎとられても、人間から思考し想像する能力だけは奪うことができないと言うだろう。あなたたちは知らないのだ。人は一人の人間を、下痢に腹をゴロゴロ言わせる骸骨に変えることができ、この人から思考する時間と思考する能力を奪うことができる。想像的なものは、十分な食べものを与えられ、自由な時間のゆとりに恵まれ、自分の夢を育むための基本原理を好きなように使える身体の、最初の贅沢品なのだ。アウシュヴィッツでは夢は見られなかった、うなされただけだ」(本文より)。 シャルロット・デルボー(Charlotte Delbo, 1913–1985)フランスの作家。レジスタンス活動を理由に夫とともにフランス警察に逮捕され、ゲシュタポに身柄を引きわたされる。アウシュヴィッツ強制収容所より解放後、享年71歳で病没。主な著書に、『アウシュヴィッツの唄』(篠田浩一郎訳、『全集・現代世界文学の発見6 実存と状況』所収、學藝書林、1970年;本訳書『誰も戻らない』の原著初版1965年版の全訳)、『アウシュヴィッツとその後』(全3巻、1970~1971年;第1巻『誰も戻らない』月曜社、2022年)など。 亀井佑佳(かめい・ゆか, 1986–)フランス文学・哲学研究。立命館大学大学院文学研究科人文学専攻哲学専修博士前期課程修了。翻訳に、シャルロット・デルボー『誰も戻らない』(月曜社、2022年)など。 #
by urag
| 2024-01-29 20:11
| 近刊情報
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2024年 01月 29日
★まず注目新刊を列記します。眼鏡が壊れたため入力作業に支障をきたしており、省力投稿となります。また、今回は取り上げる冊数が多いため、今まで2回やった注目既刊書は次回に持ち越します。 『100分de名著 リチャード・ローティ『偶然性・アイロニー・連帯』』朱喜哲(著)、NHKテキスト:NHK出版、2024年1月、本体545円、A5判並製116頁、ISBN978-4-14-223160-7 『偶然性・アイロニー・連帯――リベラル・ユートピアの可能性』リチャード・ローティ(著)、齋藤純一/山岡龍一/大川正彦(訳)、岩波書店、2000年10月;2023年12月(16刷)、本体4,800円、四六判上製456頁、ISBN978-4-00-000449-7 『新訳 平和の経済的帰結』ジョン・メイナード・ケインズ(著)、山形浩生(訳・解説)、東洋経済新報社、2024年1月、本体2400円、四六判並製284頁、ISBN978-4-492-31557-6 ★NHKEテレの「100分de名著」2024年2月放送は、大阪大学招聘教員の朱喜哲(ちゅ・ひちょる, 1985-)さんによる、リチャード・ローティ『偶然性・アイロニー・連帯』をめぐる講義。『偶然性・アイロニー・連帯』の原著は『Contingency, Irony, and Solidarity』(Cambridge University Press, 1989)で、全訳書は岩波書店から2000年に刊行されています。最新刷は昨年末の第16刷で、今回の番組放送に合わせた帯が巻かれています。曰く「人間の連帯はいかにして可能になるのか? 私的な生の成就と人間の連帯の根源が同一でないなら、時間と偶然を超えた永遠の秩序が存在しないなら、真理への希求を放棄したあと、果たして私たちにあるべき社会を構想することは可能なのか」。『偶然性・アイロニー・連帯』の目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。 ★NHKテキストの表紙に記載されている紹介文は以下の通り。「現代アメリカを代表する哲学者でありながら、真理を探究する近代哲学を根本から否定したリチャード・ローティ。分断やポピュリズムを乗り越え、連帯可能な社会を目指すための「新しい哲学」の役割を追求した、実践的な思想を読みとく」。目次を下段に掲出しておきます。 【はじめに】哲学者とは会話の守護者である 第1回 近代哲学を葬り去った男(2月5日放送、6日・12日再放送) 第2回 「公私混同」はなぜ悪い?(2月12日放送、13日・19日再放送) 第3回 言語は虐殺さえ惹き起こす(2月19日放送、20日・26日再放送) 第4回 共感によって「われわれ」を拡張せよ(3月26日放送、27日・3月4日再放送) ★朱さんは「はじめに」でこう書いています。「今日、世界では政治的な分極化がますます進んでいます。特にSNSを中心に、エコーチェンバー、フィルターバブル、「論破」といった、議論や会話が成り立たなくなってしまう事態が深刻になっています。そのとき、一種の処方箋になるのがローティです。『偶然性・アイロニー・連帯』は、われわれがどうすれば会話を止めずに立ち回ることができるかについてのヒントや、その理論を提供してくれる本として読むことができます。また、いまの時代はいわゆる「炎上」が日常茶飯事となり、ひとたび失言があればすぐそこに人格的非難が集中します。その結果、安心して会話ができる場所が世の中からどんどん消えていっている。『偶然性・アイロニー・連帯』は、それを消さないようにするための足場にもなりうる本です」(8~9頁)。 ★『新訳 平和の経済的帰結』は、『The Economic Consequences of the Peace』(Macmillan, 1919)の新訳。既訳には同じ東洋経済新報社から刊行されている『ケインズ全集』の第2巻に早坂忠訳(1977年;こちらの底本は原書全集版『The Collected Writings of John Maynard Keynes』Macmillan/Cambridge University Press)が収められていますが、そちらは高額本ということもあり、入手しやすい価格で新しい訳書が出たのは幸いでした。帯文はこうです。「今こそ読みたい、平和のための経済論。100年前、憎悪へ突き進む世界に警鐘を鳴らした20世紀最高の経済学者ケインズの傑作が復活」と。 ★本書の冒頭はこんな言葉で始まります。「人類の顕著な特徴として、自分を取り巻く環境をあたりまえのものと思ってしまうということがある。西ヨーロッパが過去半世紀にわたり頼ってきた経済的な仕組みが、きわめて異例で、不安定でややこしく、信頼できない、一時的なものでしかないということを、はっきり認識している人はほとんどいない。/人々は自分たちの最近の経済的に恵まれた仕組みの中でも、最も特異で一時的な部分について、あたりまえで、永続的であり、あてになるものだと考えて、それに基づいて計画を立てている」(序論、2頁)。百年以上前の著作ですが、人類が歴史を繰り返す愚かさから脱することができていない以上、本書は再読に値すると思われます。 ★「人々の意見を変える、示唆と想像の力を動かし始めることだ。真実を主張し、幻想を剥ぎ取り、憎悪をなくし、人々の心情や精神をもっと拡大し、指導することが、その手段でなければならない。/本書執筆時の1919年秋、私たちの運命が死に絶えた季節にいる。過去5年の苦闘、恐怖、苦しみの反動が今絶頂に達している。〔…〕私たちはもはや忍耐の限界を超えて動かされ、休息が必要だ。現存する人々の生涯の中で、今ほど普遍的な要素が輝きを失った時期はない」(236~237頁)。 ★最近では以下の新刊との出会いがありました。 『ドイツ・ヴァンパイア怪縁奇談集』シュピンドラー/ラウパッハ/ほか(著)、森口大地(編訳)、ルリユール叢書:幻戯書房、2024年1月、本体4,200円、四六変上製464頁、ISBN978-4-86488-292-7 『スリーパー・エージェント――潜伏工作員』アン・ハーゲドーン(著)、布施由紀子(訳)、作品社、2024年1月、本体2,700円、四六判並製288頁、ISBN978-4-86793-005-2 『新視点 出雲古代史――文献史学と考古学』松本岩雄/瀧音能之(編)、平凡社、2024年1月、本体3,900円、4-6判並製336頁、ISBN978-4-582-46913-4 『現代思想2024年2月号 特集=パレスチナから問う――100年の暴力を考える』青土社、2024年1月、本体1,600円、A5判並製254頁、ISBN978-4-7917-1459-9 『一つの惑星、多数の世界――気候がもたらす視差をめぐって』ディペシュ・チャクラバルティ(著)、篠原雅武(訳)、人文書院、2024年1月、本体2,700円、4-6判並製240頁、ISBN978-4-409-03130-8 『ディスレクシア』マーガレット・J・ スノウリング(著)、関あゆみ(監訳)、屋代通子(訳)、人文書院、2024年1月、本体2,600円、4-6判並製208頁、ISBN978-4-409-34064-6 『福澤諭吉――幻の国・日本の創生』池田浩士(著)、人文書院、2024年1月、本体4,600円、4-6判上製368頁、ISBN978-4-409-04126-0 『新装版 フロイト著作集第7巻 ヒステリー研究/科学的心理学草稿』ジークムント・フロイト(著)、小此木啓吾/懸田克躬(訳)、人文書院、2024年1月、本体6,500円、A5判上製314頁、ISBN978-4-409-34061-5 ★何点かについて特記します。『ドイツ・ヴァンパイア怪縁奇談集』は、ルリユール叢書の第38回配本(52冊目)。帯文に曰く「ポリドリ『ヴァンパイア』ブームのさなか、1820~30年代にかけて発表された〔…〕怪縁が織りなすドイツ・ヴァンパイア文学傑作短編集。本邦初訳」。収録作は下段に転記しておきます。巻末には「ヴァンパイア関係事項年譜」と訳者解題「ヴァンパイア文学のネットワーク」が付されています。 死人花嫁|ゴットフリート・ペーター・ラウシュニク 死者を起こすなかれ|エルンスト・ラウバッハ ヴァンパイアの花嫁|カール・シュピンドラー ヴァンパイア アルスキルトの伝説|J・E・H 狂想曲――ヴァンパイア|イジドーア ヴァンパイアとの駆け落ち|ヒルシュとヴィーザー ヴァンパイア ワラキア怪奇譚|F・S・クリスマー ★『一つの惑星、多数の世界』は、インドの歴史学者ディペシュ・チャクラバルティ(Dipesh Chakrabarty, 1948-)の『One Planet, Many Worlds: The Climate Parallax』(Brandeis University Press, 2023)の訳書。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。「政治的なものは、人間的な現象学に立脚していて、したがって意見の不一致に立脚している。それは人間を、複数のもののあつまりとして考えている。この複数性を逃れるすべはない。だがそれでも、単一の地球システムが人間の日常性へと侵入するということは、この複数性そのものを、緊急の政治的争点にする」(180頁)。 ★「多様で対立し合う人間の集団が、提示された惑星的な行動の行程表のまわりで一緒になるとしたら、それはどのようにしてであろうか。私は、対立している立場との類縁関係を作り出し、誰であれ他の人とは完全には一緒にならないだろうということを理解するという思想が、こういったわけのわからない時代において私たち自身を導くにあたって何らかの役にたつことを期待する。一つの政治的主体として役目を果たすことの可能な人間でできた「私たち」は存在しないが、他方では、この危機において、ンベンベがジャン=リュック・ナンシーにならって「共同における存在」と呼ぶものをめぐってなすべきことがまだ残されている」(181頁)。 ★『新装版 フロイト著作集第7巻』は、同著作集の新装版シリーズの区切りとなる1冊。人文書院版『フロイト著作集』は全11巻ですが、そのうち新装版で再刊されたのは、第4巻から第7巻の計4冊ということになります。第7巻は『ヒステリー研究』(懸田克躬訳)と、『科学的心理学草稿』(小此木啓吾訳)を収録。
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by urag
| 2024-01-29 01:23
| ENCOUNTER(本のコンシェルジュ)
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2024年 01月 21日
★最近出会いのあった新刊を列記します。 『断章集 二角形 Digon: fragments』羽良多平吉(著)、港の人、2024年1月、本体5,000円、新書判上製184頁、ISBN978-4-89629-430-9 『CHANGE 変化を起こす7つの戦略――新しいアイデアやイノベーションはこうして広まる』デイモン・セントラ(著)、加藤万里子(訳)、インターシフト(発行)、合同出版(発売)、本体2,200円、四六判並製384頁、ISBN978-4-7726-9581-7 『増補新版 言葉と戦争』藤井貞和[著]、編集室水平線、2023年11月、本体2,600円、四六判並製346頁、ISBN978-4-909291-06-6 ★『断章集 二角形』は、エディトリアル・デザイナーの羽良多平吉(はらた・へいきち, 1947-)さんの初の単著で、500部限定、サイン、ナンバリング付き。1970年から2023年までに各媒体に掲載された文章をまとめたものです。談話、対談、インタヴューなど話し言葉のものは含まないとのこと。書き下ろしのイントロダクション、新作デッサン1点、ヴィジュアル・ポエトリー2点が加えられています。書容設計は羽良多平吉さんご自身と「港の人」の上野勇治さん。編輯はオルタナ編集者の郡淳一郎さんと「港の人」の井上有紀さん。協力者として編集者の室賀清徳さんとネットワーカーのばるぼらさんのお名前が記載されています。来月には京都でトークイベントが予定されています。書名のリンク先から詳細をご覧いただけます。 ★『CHANGE 変化を起こす7つの戦略』は、ペンシルヴェニア大学教授で社会学者のデイモン・セントラ(Damon Centola, 1973-)の著書『Change: How to Make Big Things Happen』の訳書。「ネットワーク科学とは、物事がどう広まるかを研究する学問だ。〔…〕本書は〔…〕人間の行動が、いつ、なぜ、どのように変化するのかを、誕生したばかりのネットワーク科学によって解説する。また、社会の変化を広める決定要因を示し、それらの要因がなぜ長いあいだ誤解されてきたのか、どのように機能するのかを明らかにしたい」(序文、8~9頁)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。 ★『増補新版 言葉と戦争』は、詩人で文学研究者の藤井貞和(ふじい・さだかず, 1942-)さんが大月書店より2007年に刊行した単独著に2篇を追加し、新たなあとがきを加えて刊行するもの。旧版は、第8回日本詩人クラブ詩界賞を受賞しています。目次詳細や新旧あとがきは書名のリンク先でご確認いただけます。長崎の出版社「編集室水平線」では、藤井さんの著書『非戦へ――物語平和論』を2018年に刊行しており、今回の新刊が藤井さんの本の2冊目になります。 ★先週に続き注目既刊書のまとめ(2回目)です。さらにあともう1回は掲出する予定です。 『思考すること、それはノンと言うことである――初期ソルボンヌ講義』ジャック・デリダ(著)、松田智裕(訳)、青土社、2023年12月、本体3,200円、四六判上製208頁、ISBN978-4-7917-7609-2 『この世界はどんな世界か?――パンデミックの現象学』ジュディス・バトラー(著)、中山徹(訳)、青土社、2023年12月、本体2,200円、四六判並製178頁、ISBN978-4-7917-7614-6 『人種差別の習慣――人種化された身体の現象学』ヘレン・ンゴ(著)、小手川正二郎/酒井麻依子/野々村伊純(訳)、青土社、2023年11月、本体2,800円、四六判並製360頁、ISBN978-4-7917-7595-8 『フェミニズムとレジリエンスの政治――ジェンダー、メディア、そして福祉の終焉』アンジェラ・マクロビー(著)、田中東子/河野真太郎(訳)、青土社、2022年9月、本体2,400円、四六判並製244頁、ISBN978-4-7917-7491-3 『クリエイティブであれ――新しい文化産業とジェンダー』アンジェラ・マクロビー(著)、田中東子(監訳)、中條千晴/竹﨑一真/中村香住(訳)、花伝社、2023年2月、本体2,200円、四六判並製344頁、ISBN978-4-7634-2027-5 『K-PUNK 夢想のメソッド──本・映画・ドラマ』マーク・フィッシャー(著)、ダレン・アンブローズ(編)、サイモン・レイノルズ(序文)、坂本麻里子+髙橋勇人(訳)、ele-king books:Pヴァイン(発行)、日販IPS(発売)、2023年9月、本体2,980円、四六判並製416頁、ISBN-978-4-910511-57-3 『奇妙なものとぞっとするもの──小説・映画・音楽、文化論集』マーク・フィッシャー(著)、五井健太郎(訳)、ele-king books:Pヴァイン(発行)、日販IPS(発売)、2022年12月、本体 2,500円、四六判並製290頁、ISBN978-4-910511-31-3 ★いくつか特筆しておきます。デリダの「最初期の貴重な講義録」(帯文より)である『思考すること、それはノンと言うことである』は、『Penser, c'est dire non』(Édition établie par Brieuc Gérard, Seuilm 2002)の全訳です。ソルボンヌ大学での1960~61年度講義(全4回)の手書き草稿とメモ資料(付録)で、巻頭には編者ブリュー・ジェラールによる序文「ウィ ノン」が置かれています。ジェラールは本書をこう紹介しています。「〔本書は〕脱構築を確立したテクストの刊行以前の、脱構築的なエクリチュールの兆しとして読まれるばかりではない。それは、「ウィ ノン」がデリダの思想にとってつねに根本的なものであったことを示してもいるのである。思考と信念を区別し、その差異を語ることがしばしば困難な時代にあって、彼の関心はおそらく、今日においてますます重要なものであると言えるかもしれない」(20頁)。 ★バトラー『この世界はどんな世界か?』は、『What World Is This?: A Pandemic Phenomenology』(Columbia University Press, 2022)の全訳。目次詳細は書名のリンク先をご確認下さい。「多孔性という特徴をもつ身体は純然たる境界線ではないし、純然と開かれているわけでもない。それは、その二つの状態のあいだの複雑な駆け引きであり、呼吸、食べ物、消化、幸福――つまり、セクシュアリティ、親密さ、たがいの身体の取り込み、にとって満足のいく状態――が(自分にとっての、世界の、世界による)必要条件となる生の様態のなかに位置づけられている。われわれは生きていくためにたがいを必要とする。いいかえれば、他人の気孔の内部に取り込まれる必要があり、他人を取り込む必要がある。というのも、われわれが世界に対して開かれたものとして、境界の定まった自己とその自己のいだく奇想の外側で生きている場所とは、まさにそうしたところであるからだ。要するに、われわれは、われわれを支える世界との、ひとつの大地との、人間の居住地を含むその大地の生物環境との、関係のなかで生きている。この生物環境は、世界に積極的にかかわる政治に支えられている」(148~149頁)。
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by urag
| 2024-01-21 21:56
| ENCOUNTER(本のコンシェルジュ)
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2024年 01月 17日
2024年02月08日取次搬入開始予定【フランス文学、随筆】 結婚――四篇のエセー アルベール・カミュ[著] 柏倉康夫[訳] 月曜社 本体2,000円 46判並製98頁(188x110x6.5mm) 100g ISBN978-4-86503-182-9 20世紀フランスを代表する作家、アルベール・カミュの初期随筆集『Noces』(1939年)の新訳。「ティパサでの結婚」「ジェミラの風」「アルジェの夏」「砂漠」の4篇を収録。地中海地方の白い砂浜、輝く太陽、青い空、吹き渡る風、芳香を放つ色とりどりの花々……世界の美しさを肌で感じつつ、今このときを生きることへの讃歌が綴られる。生きること、それは自然との結合であり、世界との結婚だった。叢書・エクリチュールの冒険、第24回配本。 「昼少し前、わたしたちは廃墟を通って、港の端の小さなカフェに戻った。太陽と色彩のシンバルが鳴り響く頭にとっては、影にみちた部屋や、緑色の冷えたペパーミントが入った大きなグラスほど、爽やかな歓待はない! 外は、海と埃っぽい焼けついた道路。テーブルの前に座って、しばたく睫毛のあいだに、白熱の空の多彩な眩惑を捉えようとする。顔は汗でぬれているが、軽いシャツを着た身体はすがすがしく、わたしたちはみな、世界と結婚した幸福な一日の疲労をさらけ出す」(「ティパサでの結婚」より)。 ※アマゾン・ジャパン、HMV&BOOKS Onlineにて予約受付中。 アルベール・カミュ( Albert Camus, 1913–1960)フランスの作家。日本語訳に『カミュ全集』(新潮社、1972~1973年)ほか多数。近年の訳書に、『ペスト』(三野博司訳、岩波文庫、2021年4月;中条省平訳、光文社古典新訳文庫、2021年9月)、『戒厳令』(中村まり子訳、藤原書店、2023年)、『正義の人びと』(中村まり子訳、藤原書店、2023年)がある。 柏倉康夫( かしわくら・やすお, 1939–)放送大学名誉教授。京都大学博士(文学)。フランス国家功労勲章叙勲。近年の著書に、『今宵はなんという夢みる夜――金子光晴と森美千代』(左右社、2018年)。月曜社より刊行した訳書に、マラルメ『詩集』(2018年)、マラルメ『賽の一振り』(2022年)、マラルメ『散文詩篇』(2023年)がある。 #
by urag
| 2024-01-17 15:30
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