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2018年 04月 24日

本日より取次搬入開始:岡田聡/野内聡編『交域する哲学』

岡田聡/野内聡編『交域する哲学』を本日より取次搬入開始いたしました。書店さんの店頭に並び始めるのは5月あたまあたりからでしょうか。同書の目次や扱っていただける書店さんの一覧はこちらをご覧ください。少部数出版につき、あらかじめ店頭在庫を電話などでご確認いただいてからご訪問いただくのが良さそうです。
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# by urag | 2018-04-24 15:51 | 人文書既刊 | Trackback | Comments(0)
2018年 04月 22日

注目新刊:ヤコービ『スピノザの学説に関する書簡』知泉書館、ほか

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スピノザの学説に関する書簡』F.H.ヤコービ著、田中光訳、知泉書館、2018年4月、本体7,000円、A5判上製496頁、ISBN978-4-86285-273-1
『自叙伝』マリア・ヴァルトルタ著、殿村直子訳、春秋社、2018年4月、本体5,000円、四六判上製581頁、ISBN978-4-393-21713-9
議論して何になるのか――ナショナル・アイデンティティ、イスラエル、68年5月、コミュニズム』アラン・バディウ/アラン・フィンケルクロート著、的場寿光/杉浦順子訳、水声社、2018年4月、本体2,800円、四六判上製211頁、ISBN978-4-8010-0333-0

★ヤコービ『スピノザの学説に関する書簡』は初版が1785年に刊行された『Über die Lehre des Spinoza』の第三版(1819年刊のヤコービ著作集第四巻に収録)の翻訳で、凡例によれば「巻頭のケッペンの読者宛ての文と「メンデルスゾーンの非難に抗して」は割愛した」とあります。訳文は『モルフォロギア』に20年来掲載してきたものが元になっているとのことです。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。周知の通り「汎神論論争(スピノザ論争)」のきっかけとなった高名な古典であり、ヤコービがユダヤ人哲学者モーゼス・メンデルスゾーン(Moses Mendelssohn, 1729-1786)に対して送った書簡集が中心となっています。

★また巻末には、各版の異同情報を記した「『スピノザ書簡』第三版と第一版・第二版との異同について」、訳者による解説「ヤコービの生涯と著作」(363~426頁)や、ヤコービ年譜、文献表、索引(人名・事項・文献)と充実しています。

★巻頭の「日本語版への序言」はヤコービ研究の第一人者ビルギッド・ザントカウレン教授(ボーフム大学)が寄稿されたものです。彼女が「時代の影の実力者」(ix頁)と評した哲学者ヤコービ(Friedrich Heinrich Jacobi, 1743-1819)は「一人でスピノザを研究し、ゲーテの時代で一番スピノザを理解していた人」(訳者あとがき)で、当時カントの論敵として名高かったはずのメンデルスゾーンに対して、憶することなくスピノザ哲学への理解度について論難しています。二人の共通の友人にレッシングがいたわけですが、レッシングの死去によって論争がもたらされることになり、「ドイツの知識人は〔…〕根底から震撼させられ」たといいます(「日本語版への序文」viii頁)。

★ヤコービによるスピノザ理解は第Ⅰ部「スピノザの学説に関する書簡」内の「スピノザの学説に関して」でまとめられているテクストのうち、特に「六 スピノザの学説の第二の叙述」と「七 スピノザ主義に関する六つの命題」に端的に表れています。前者にはヤコービ自身が「この説明に私の精神の力すべてを傾け、その際いかなる苦労も忍耐も厭わないと固く決心し」た(155頁)と書いた44項目のテーゼが含まれています。訳者による「ヤコービの生涯と著作」で二度にわたり惹かれているテーゼ39が印象的です。以下に引用します。

★「すべての個物は互いを前提とし、また互いに関係しあっている。したがって、どの個物も残りすべての個物なしでは、またすべての他の個物もおのれ以外の個物なしでは存在することも、考えることもできない。すなわち、すべての個物は協力して一つの切り離すことのできない全体を形づくっている。〔…〕」(163頁)。また、「人間の拘束性と自由についての予備的命題」にはこうも書かれています。「私たちに知られているすべての個々の事物の存在の可能性は、他の事物との共存に支えられ、関係している。したがって私たちはそれ自体で存立している有限な存在者を思い描くことはできない」(47頁)。

★「ドイツ古典哲学にとっても、近代哲学全体にとっても一つの新しい時代」(「日本語版への序文」viii頁)への導入となった本書の翻訳をきっかけに、ヤコービが日本においても再発見されることになるのではないかと感じます。

★次にヴァルトルタ『自叙伝』は、彼女の著書『私に啓示された福音』などの訳書を刊行してきた天使館から当初は刊行予定だったもの。ヴァルトルタ(ワルトルタとも:Maria Valtorta, 1897-1961)はイタリアの霊視者であり見神家。イエス・キリストの生涯や聖母マリアの言葉を病床に寝たきりの状態で霊的に見聞きしたままに書き写した122冊のノート(1943~1951年)によって有名です。聴罪司祭の勧めによってその直前まで書いていたのがこの『自叙伝』(1943年)であり、ヴァルトルタが歩んできた苦難の半生が綴られています。目次は以下の通りです。

はじめに
第一章 育児放棄〔ネグレクト〕する母のもとで
第二章 父の悲しみ、寄宿学校にて
第三章 フィレンツェ、従姉と叔父
第四章 一九三〇年の夏
第五章 超霊的な至福
第六章 寝たきりの日々
第七章 父の死
編集者後記(エミリオ・ピザーニ)
訳者あとがき
写真

★巻末の写真は、著者の生涯を振り返るアルバムです。ヴァルトルタの著作はこれまでにあかし書房よりフェデリコ・バルバロ神父(Federico Barbaro, 1913-1996)によって抜粋訳が10冊出版されており、天使館から『私に啓示された福音』全10巻が全訳で刊行中ですが、『自叙伝』の翻訳は初めてです。ヴァルトルタはこう書きます。「私の人生にこんなにも悲しみがあり、希望がことごとく壊され、愛情面でことごとく失望させられ、孤独が日増しに大きくなって、完全に私を取り囲むのも、すべては神によって特別に意図されたものだったのです。神は木である私の葉を全部刈り込み、枝を全部切り取られますが、それは私が神の庭で大きくたくましく育つためだったのです。私の神は排他的な愛をお望みで、私を神だけのものと定められ、私が神だけに慰めを求めるしかなくなるように、私からすべてを取り上げられたのでした」(163頁)。血涙を絞るような本書での告白と、一切が(他宗教すらも)収斂していく中心としての神への愛は、122冊のノートへと結実するものの「蕾の徴〔しるし〕」(ピザーニ)として読むことができると思われます。

★続いて、バディウとフィンケルクロートの対談本『議論して何になるのか』は、『L'explication : Conversation avec Aude Lancelin』(Éditions Lignes, 2010)の全訳。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。訳者あとがきによれば、本書は「ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール」誌の文化・思想欄を担当するジャーナリストであるオード・ランスランの提案によって2009年12月17日と2010年2月16日に行われた、バディウとフィンケルクロートの討論を収録したもの。ランスランは序章で次のように綴っています。

★「バディウとフィンケルクロートは、時代のまさに要諦をなす、根本的に相反するふたつの視点である。このふたつの固有名は、今日コランスで激しく争うことが明確に定められた、知的な両氏族にとっての戦時名として響いている。2009年12月21日号の「ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール」誌上に掲載された対談に際して、彼らが初めて向かい合ったとき、両者ともに敵と対面するというこの単純な事実ゆえにもっとも熱狂的な仲間たちから激しく批判された。それでも彼らの仲間たちは出版された雑誌を目にするや、すぐさま胸を撫で下ろした。恐れていたハッピー・エンドが訪れることはない。緊張に満ち、火花散るような、時に激昂しさえもする雰囲気が誌面を貫いていたからだ。それは通常の討論とは明らかに異なるが、その後に含まれる、口語的な、ほとんど具体的な意味での、まさに「口論〔エクスプリカスィオン〕」であった」(10~11頁)。

★「バディウと私が現実と見なしていることが、同じではないということです。われわれは現実についての同じ思考を共有していません」(60頁)とフィンケルクロートが吐露しているような、二者の討論が生む隔たりは、そのまま読者の思考の幅を広げてくれる梃子になっているように感じます。フランス人の話だと切って捨てることのできない切迫性を日本の読者も実感できるのではないかと思われます。

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★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。

被抑圧者の教育学 50周年記念版』パウロ・フレイレ著、三砂ちづる訳、亜紀書房、2018年4月、本体2,600円、四六判上製408頁、ISBN978-4-7505-1545-8
熊楠と猫』南方熊楠/杉山和也/志村真幸/岸本昌也/伊藤慎吾著、共和国、2018年4月、本体2,300円、A5変型判上製176頁、ISBN978-4-907986-36-0
ねみみにみみず』東江一紀著、越前敏弥編、作品社、2018年4月、本体1,800円、46判並製258頁、ISBN978-4-86182-697-9
エンジニアリング・デザインの教科書』別府俊幸著、平凡社、2018年4月、本体3,200円、A5判並製256頁、ISBN978-4-582-53225-8
現代思想2018年5月臨時増刊号 総特集=石牟礼道子』青土社、2018年4月、本体1,500円、A5判並製246頁、ISBN978-4-7917-1363-9

★フレイレ『被抑圧者の教育学 50周年記念版』は、ポルトガル語版『Pedagogia do Oprimido』(Paz e Terra社、2005年刊、第46版)を翻訳した旧版『新訳 被抑圧者の教育学』(亜紀書房、2011年)に、先月(2018年3月)にBloomsbury Academicより刊行された50周年記念英訳版『Pedagogy of the Oppressed』で新たに追加された、ドナルド・ナセドによる「50周年記念版へのまえがき」と、アイラ・ショアによるあとがき「闘いはつづく」と、「同時代の学者たちへのインタヴュー」を訳出して併載したものです。インタヴューに登場する人々は以下の通り。マリナ・アパリシオ・バーベラン、ノーム・チョムスキー、グスタボ・E・フィッシュマン、ラモン・フレチャ、ロナルド・デービッド・グラス、バレリー・キンロック、ピーター・メイヨー、ピーター・マクラーレン、マーゴ・オカザワ・レイ、以上9名。80頁以上の増量にもかかわらず本体価格はわずか100円の値上げです。英語版からの旧々訳が1979年に刊行されて以来長らく読み継がれている名著であるだけに、今回の再刊は実に嬉しい知らせです。

★『熊楠と猫』は杉山和也さんによる「はじめに」によれば、「熊楠自筆の日記や書簡に見える熊楠と猫とのエピソードを紹介」し、熊楠が「猫を学術的な観点からはどのように捉えていたのか、ということについても詳しく解説」したもので、「熊楠自慢の猫の絵(自筆)を多数、紹介して」もいると言います。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。「猫と南方熊楠。自由で不思議な生き物と自由に不思議を究める人間の関係についての本なんて。読みたいに決まっているやんけざますじゃん。」という、町田康さんの帯文が素敵です。よく見ると帯文の町田さんの名前が、カバーの書名に次ぐ大きさで組まれていて、ものすごい誘引力を放っています。巻末には参考資料として年表「熊楠と猫のあゆみ」や「猫に関する〔熊楠の〕論考一覧」などもあって、共和国さんならではの、楽しみが満載されていると同時に資料価値の高い一冊となっています。

★東江一紀『ねみみにみみず』は、2014年に逝去した翻訳家が「多忙をきわめた翻訳作業の合間を縫って、数えきれないほどの達意のエッセイや雑文を書いた〔・・・〕それらのエッセイを一冊にまとめ」たもの(編者後記より)。目次は書名のリンク先でご覧になれます。「たとえあなたがなんだこりゃと思ったとしても、これは間違いなく本書の内容目次である」という注意書きがあるのが楽しいですね。編者の越前さん東江さんの文章を「軽妙洒脱」と評しておられますが、本書はまさにそのものが味わえる魅力的な本で、読者が読み終わる頃には東江さんのことがすっかり好きになってしまうことでしょう。書名の由来は越前さんの編者後記で明かされています。目次や奥付の後に配置されている東江さんの「名刺」の数々も洒落が効いていてついつい笑ってしまいます(何のことを言っているのかはぜひ店頭でご確認下さい)。編者さんと編集者さんの東江愛を感じる素敵な一書です。

★別府俊幸『エンジニアリング・デザインの教科書』は帯文に曰く「顧客価値を作り出せ! 未来のビジネスとモノづくりのために! 日本製品デザインのノウハウがここにある」と。本書は以下の8章から成ります。1.デザインとエンジニアリング、2.クライアント要求を説き明かす、3.デザインに必要な情報、4.デザイン案を考える、5.エンジニアリング・デザイン・プロセス、6.アイデアより設計情報へ、7.失敗に学ぶ、8.新しいデザインで未来を切り拓くために。別府さんは「おわりに」でこうまとめておられます。「日本的ユーザ指向アプローチは、製品に関連することだけに集約されているように感じます。〔…〕クライアントのニーズを、その根底まで掘り起こそうとの意識が薄いようです。これが製品の改善にばかり注力し、主体的にマーケットを変革させようとの発想につながらない要因だと感じます」(250頁)。またこうも書いておられます。「競争に苦戦しているのであれば、その理由を徹底的に分析すべきでしょう。想定できれば失敗は回避できるように、理由が明らかになれば、対応策を作ることはできるはずです」(251頁)。出版人も噛みしめるべき言葉であるように感じます。

★『現代思想2018年5月臨時増刊号 総特集=石牟礼道子』は、こたつに座って執筆する石牟礼さんの写真が目を惹く増刊号で、初期未発表作品6篇、「現代思想」「ユリイカ」両誌からの再録2篇をはじめ、加藤登紀子さんのインタヴュー、栗原彬さんと藤原辰史さんの討議、石内都さんによる写真と回想記、そして様々な書き手によるエッセイや論考が収められた読み応えのある特集となっています(他誌からの再録もあり、石牟礼さんと石内さんを引き合わせた伊藤比呂美さんのエッセイ「『不知火』の声」は『道標』誌第9号から)。附録として略年譜と主要著作一覧を掲載。渡辺京二さんによるエッセイ「誤解を解く」では『苦海浄土』と渡辺さんの関わりをめぐる風説について言及されています。「この際、このような推測を完全に一掃しておかねば、とんでもない悔いを残すことになる」として、たいへん興味深い打ち明け話を綴っておられます。

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# by urag | 2018-04-22 23:36 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2018年 04月 20日

取次搬入日決定:『表象12:展示空間のシアトリカリティ』

表象12:展示空間のシアトリカリティ』(表象文化論学会発行、月曜社発売)の取次搬入日が決定しました。日販、大阪屋栗田、トーハン、いずれも4月23日(月)予定です。書店店頭には25日頃から順次並び始める予定です。どうぞよろしくお願いいたします。目次詳細は誌名のリンク先でご確認いただけます。
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# by urag | 2018-04-20 15:29 | 表象文化論学会 | Trackback | Comments(0)
2018年 04月 20日

注目新刊:『思想』ボリス・グロイス特集号、『現代思想』現代思想の316冊特集号、など

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弊社出版物でお世話になっている著訳者の皆さんの最近のご活躍をご紹介します。

★星野太さん(著書:『崇高の修辞学』)
★加治屋健司さん(共訳:ボワ/クラウス『アンフォルム』)
岩波書店さんの月刊誌「思想」2018年第4号(特集「ボリス・グロイス――コンテンポラリー・アートと批評」)に、論文をお寄せになっています。星野さんの論文「〈生きている〉とはどういうことか――ボリス・グロイスにおける「生の哲学」」(72~86頁)は、はじめに、1:生の哲学、2:生を物語ること――ドキュメンテーション、3:生を導き入れること――インスタレーション、4:生を解放すること――セオリーとミュージアム、という全4節構成。一方、加治屋さんの論文「グロイスにおける芸術の制度と戦後日本美術」は(87~99頁)は、はじめに、一:グロイスの制度論、二:戦後日本美術をどう捉えるか、三:変化する現代日本の美術、四:二つのソーシャリー・エンゲージド・アート、おわりに、の全四節校正。

なお、星野さんはまもなく発売となる表象文化論学会の「表象12:展示空間のシアトリカリティ」において、ボリス・グロイスの論考「インスタレーションの政治学」(66~79頁)の共訳を担当されているとともに、特集冒頭のイントロダクション(14~17頁)や、共同討議「越境するパフォーマンス――美術館と劇場の狭間で」の司会を担当されています。ちなみに同号では星野さんの昨春の著書『崇高の修辞学』(月曜社、2017年)に対する谷川渥さんによる書評「修辞学的崇高の新しい地平」(244~247頁)も掲載されています。

★岡本源太さん(著書:『ジョルダーノ・ブルーノの哲学』)
青土社さんの月刊誌「現代思想」の2018年4月号(特集「現代思想の316冊――ブックガイド2018」で、美学欄を担当され、「美学の今世紀」(134~140頁)というブックガイドを寄せておられます。一:感覚、自然――感性の脱人間化、二:身振り、関係性――美的文明での生存、三:言葉、イメージ――普遍性の構成、という立て分けの中で20点以上の書籍に言及されています。

★中山元さん(訳書:ブランショ『書物の不在』)
光文社古典新訳文庫の今月(2018年4月)新刊として、ハイデガー『存在と時間』(全8巻)の第4巻を上梓されました。帯文に曰く「現存在の「頽落」とはなにか? わたしたちの〈気分〉を哲学する画期的な思想」と。第一部第一篇第五章「内存在そのもの」の第28節「内存在を主題とした分析の課題」から第38節「頽落と被投性」までを訳出し、後半は長大な解説となっています。同文庫での『存在と時間』新訳の特徴は訳文と読解をドッキングさせた点にあり、全8巻というのは各社文庫版の中では最大規模になります。

★舞台芸術研究センター(発行:『舞台芸術』第一期全十巻)
京都造形芸術大学舞台芸術研究センターの機関誌『舞台芸術』の第四期第21号が刊行されました。特集は「アーカイヴを「批評」する――「記録」の創造的な活用のために」です。特集扉頁には「舞台芸術における「映像・音声記録(アーカイヴ)」の問題を考えること。それは、とりもなおさず、「映像・音声」というメディアを介して、「舞台芸術」というジャンルの本質を問うことに通じているのではないか。この特集は、ひとえにそうした観点から構想されている」等々と記載されています。目次は号数のリンク先でご確認いただけます。

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# by urag | 2018-04-20 15:22 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2018年 04月 16日

「週刊読書人」に『多様体1』の書評

「週刊読書人」2018年4月13日号に『多様体1』の書評「現代日本の思想誌の最良の命脈を継承」が掲載されました。評者は新潟大学准教授の宮﨑裕助さんです。第1号の特集や連載についてだけでなく、弊社既刊書や編集担当にまで目配りしてご紹介下さいました。過分なお言葉を頂戴しましたが、今後いっそう励みたいと思っております。宮﨑先生、ありがとうございました。

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# by urag | 2018-04-16 17:41 | 広告・書評 | Trackback | Comments(0)
2018年 04月 16日

ブックツリー「哲学読書室」に堀千晶さん、坂本尚志さん、奥野克巳さんの選書リストが追加されました

オンライン書店「honto」のブックツリー「哲学読書室」に、以下の三本が追加されました。リンク先にてご覧いただけます。


ジル・ドゥルーズ『ザッヘル=マゾッホ紹介――冷淡なものと残酷なもの』(河出文庫、2018年1月)の訳者、堀千晶さんによるコメント付き選書リスト「批判・暴力・臨床:ドゥルーズから「古典」への漂流

バカロレア幸福論――フランスの高校生に学ぶ哲学的思考のレッスン』(星海社新書、2018年2月)の著者、坂本尚志さんによるコメント付き選書リスト「フランスの哲学教育から教養の今と未来を考える

Lexicon現代人類学』(以文社、2018年2月)の共編著者、奥野克巳さんによるコメント付き選書リスト「文化相対主義を考え直すために多自然主義を知る


◎哲学読書室

星野太(ほしの・ふとし:1983-)さん選書「崇高が分かれば西洋が分かる
國分功一郎(こくぶん・こういちろう:1974-)さん選書「意志について考える。そこから中動態の哲学へ!
近藤和敬(こんどう・かずのり:1979-)さん選書「20世紀フランスの哲学地図を書き換える
上尾真道(うえお・まさみち:1979-)さん選書「心のケアを問う哲学。精神医療とフランス現代思想
篠原雅武(しのはら・まさたけ:1975-)さん選書「じつは私たちは、様々な人と会話しながら考えている
渡辺洋平(わたなべ・ようへい:1985-)さん選書「今、哲学を(再)開始するために
西兼志(にし・けんじ:1972-)さん選書「〈アイドル〉を通してメディア文化を考える
岡本健(おかもと・たけし:1983-)さん選書「ゾンビを/で哲学してみる!?
金澤忠信(かなざわ・ただのぶ:1970-)さん選書「19世紀末の歴史的文脈のなかでソシュールを読み直す
藤井俊之(ふじい・としゆき:1979-)さん選書「ナルシシズムの時代に自らを省みることの困難について
吉松覚(よしまつ・さとる:1987-)さん選書「ラディカル無神論をめぐる思想的布置
高桑和巳(たかくわ・かずみ:1972-)さん選書「死刑を考えなおす、何度でも
杉田俊介(すぎた・しゅんすけ:1975-)さん選書「運命論から『ジョジョの奇妙な冒険』を読む
河野真太郎(こうの・しんたろう:1974-)さん選書「労働のいまと〈戦闘美少女〉の現在
岡嶋隆佑(おかじま・りゅうすけ:1987-)さん選書「「実在」とは何か:21世紀哲学の諸潮流
吉田奈緒子(よしだ・なおこ:1968-)さん選書「お金に人生を明け渡したくない人へ
明石健五(あかし・けんご:1965-)さん選書「今を生きのびるための読書
相澤真一(あいざわ・しんいち:1979-)さん/磯直樹(いそ・なおき:1979-)さん選書「現代イギリスの文化と不平等を明視する
権安理(ごん・あんり:1971-)さん選書「そしてもう一度、公共(性)を考える!
百木漠(ももき・ばく:1982-)さん選書「アーレントとマルクスから「労働と全体主義」を考える
津崎良典(つざき・よしのり:1977-)さん選書「哲学書の修辞学のために

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# by urag | 2018-04-16 11:51 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2018年 04月 15日

注目新刊:セットガスト『先史学者プラトン』、水崎博明訳『プラトーン著作集』全10巻27分冊完結、ほか

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先史学者プラトン――紀元前一万年―五千年の神話と考古学』メアリー・セットガスト著、山本貴光/吉川浩満訳、朝日出版社、2018年4月、本体2,800円、四六判並製480頁、ISBN978-4-255-01049-6
『プラトーン著作集 第九巻 人間存在と習わし 第一分冊 法律(上)/ミーノース』水崎博明訳著、櫂歌書房発行、星雲社発売、2018年2月、本体3,500円、四六判並製466頁、ISBN978-4-434-24162-8
『プラトーン著作集 第九巻 人間存在と習わし 第二分冊 法律(中)』水崎博明訳著、櫂歌書房発行、星雲社発売、2018年2月、本体3,300円、四六判並製429頁、ISBN978-4-434-24163-5
『プラトーン著作集 第九巻 人間存在と習わし 第三分冊 法律(下)』水崎博明訳著、櫂歌書房発行、星雲社発売、2018年2月、本体3,500円、四六判並製460頁、ISBN978-4-434-24164-2
食べることの哲学』檜垣立哉著、世界思想社、2018年4月、本体1,700円、4-6判並製208頁、ISBN978-4-7907-1711-9
アンドレ・バザン研究 第2号』堀潤之/伊津野知多/角井誠編集、アンドレ・バザン研究会発行、2018年3月、非売品、A5判並製180頁、ISSN2432-9002

★セットガスト『先史学者プラトン』は『Plato Prehistorian: 10,000 to 5000 B.C. Myth, Religion, Archaeology』(Anthroposophic Press, 1990)の翻訳。1987年に限定版でRotenberg Pressから刊行されたものの普及版と見てよいかと思われます。セットガスト(Mary Settegast, 1934-)はアメリカの独立研究者で、朝日出版社さんのウェブサイトでは「主要な関心は旧石器時代から現代までの宗教と文化、特に宗教と農耕の並行性にある」と紹介されています。訳書が出版されるのは今回が初めてです。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。巻頭には日本語版への序文として、國分功一郎さんによる「考古学と哲学」が置かれています。

★國分さんは本書を次のように紹介しておられます。『〔主に『ティマイオス』や『クリティアス』など〕プラトンの著作を現代考古学の知見をもとに読み直そうという野心的な試みである」(5頁)。セットガストは「はじめに」でこう書いています。「ひょっとすると古代世界にたいする私たちの見方は、とりわけ二つの神話によって改められるかもしれない。といっても、いずれの神話もそれほど時代をさかのぼることなく見出せるものだ。どちらもギリシアに由来する。そして、二つともなんらかの形でプラトンに関係している」(33頁)。「新石器革命の最初の大きなステップ、つまり前八千年紀後半の近東に現れた不可解なまでに洗練された移住者たちの群れは、じつのところ、プラトンが描いた西方で〔自然災害によって〕破滅した文化からの避難民だったのかもしれない」(同)。前一万年から前五〇〇〇年に渡る地中海周辺の世界を、プラトンをひもときつつ、戦争と自然災害(洪水)と定住・農耕から読み解く試みです。

★國分さんはまた、著者の問題意識についてこう論及されています。「今日の考古学は「ニュー・アルケオロジー」と呼ばれ、高度に計量化されているようである。様々な機材を用いた測定がその主たる作業となり、数値は細分化されている。そこで起こっているのはどうやら「木を見て森を見ず」という事態らしい(30頁)。誰も全体を把握できない。また高度に専門化されたために、考古学以外の分野の知見が考古学者から失われてしまっている」(10頁)。さらに曰く「考古学が実証的なハードサイエンスの要素を取り入れたこと〔・・・〕それによって「測定できないもの(芸術、宗教)が丸ごと無視されてしまう」のではないか(29頁)。このセットガストの問題提起は重い。我々はいま実証的データだけを取り扱い、測定できないものは無視する方向に学問を進めつつある。その時、学問は全体としての統一を志向することはなくなり、世界は非常に貧しいデータの蓄積として扱われることになってしまう。それでよいのだろうか」(10~11頁)。

★この言葉はただ学問にのみ当てはまる状況ではなく、社会人や社会一般にも該当するのではないでしょうか。データを取り込めば取り込むほど、活用すればするほど現実のありようを把握でき、市場や消費者に対してより適切な対応ができると信じられている世界というのは、データ化されないものを「存在しないもの」として扱う世界でもあります。出版界にもそうした傾向はすでに生まれています。将棋の駒を動かすようにして現実を操作できると思い込んでいる節が現代社会にはあるのではないかと疑います。だからこそセットガストの探究から学ぶべきではないかと感じます。

★セットガスト自身の言葉に帰ると、「単線的連続性」で歴史を見ないこと、「古い時代をまったく新しい目でみるための方法」(23頁)を、私たちも学ぶことが必要だと思われます。セットガストはイギリスの歴史家ハーバート・バターフィールド(Herbert Butterfield, 1900-1979)の『近代科学の誕生』(上下巻、渡辺正雄訳、講談社学術文庫、1978年、品切)からこんな言葉を引きつつこう述べます。「どんな種類の知的活動でも、なにより難しいのは「従来と同じデータを扱いながら、そこに別の枠組みを与えて、データを新たな関係の網〔システム〕のなかに位置づける技〔アート〕だ」」(23頁)。

★果たして先達の言葉の重みを現代人はどれほど理解しているでしょうか。「過去を理解できないのに、私たちが抱える現在の混乱と争いの意味を理解することなどいったいできるのだろうか」(32頁)というセットガストの言葉が胸に刺さります。

★『プラトーン著作集 第九巻』三分冊は、水崎さんによる個人全訳の新訳プラトン全集の最終回配本で最晩年の『法律――正義について』と『ミーノース――法について』が収められています。『法律』は第一分冊が第一巻から第四巻までを収め、第二分冊が第五巻から第八巻まで、第三分冊が第九巻から第一二巻までを収録しています。これで「プラトーン著作集」全10巻全27分冊が完結したことになります。2011年4月に刊行された第一巻「ソークラテースの四福音書」の第一分冊『ソークラテースの弁明/クリトーン』から約7年で完結したのは驚嘆に値します。水崎さんの地道な翻訳作業と、福岡市の版元・櫂歌書房さんの継続的刊行には深い敬意を覚えます。

★第三分冊の帯文は『法律』第一二巻について次のように紹介します。「プラトーン哲学の一大飛翔を我々は目撃する。冒頭はおよそ「法」というものを端的に問うものだがその問いの遂行の挙句には“立法者が魂に分かち与えてそれを立派にするものとは何か”という問いを最後の問いとし、すべての謎としながらそのまま閉じる」。第三分冊の後書き末尾において水崎さんは『法律』篇の核心についてこう書いておられます。「およそ国家の国制は「徳」を眼差ししてこそそこになるものの謂いであり、されば「魂」の秩序づけとその秩序づけの問答法的な学習こそがその眼差しの永続を可能にするものだというそういう哲学」である、と(460頁)。

★『食べることの哲学』は檜垣立哉さんの『日本哲学原論序説――拡散する京都学派』(人文書院、2015年)に続く約3年ぶりの単独著。世界思想社さんの新シリーズ「教養みらい選書」の第2弾です(第1弾は3月に発売された石黒浩さんの『僕がロボットをつくる理由――未来の生き方を日常からデザインする』)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。巻頭の序「われわれは何かを殺して食べている」で檜垣さんはこう書かれています。「食べることは人間を考えるときに、文化・社会としての人間と、身体・動物・生命をもった人間との両側面が、きわめて矛盾しぶつかりあいつつ接触する地帯である」(2頁)。「食についての思考が切り開く世界はかくも広大で深いものである。それは身体をもって生きている人間そのものを覆いつくすような壮大な力にみちている」(12頁)。食について考えることで人間の「生の複雑さ」に迫るユニークな一書です。

★檜垣さんの『食べることの哲学』と、同じく世界思想社さんより発売された佐川光晴さんの『おいしい育児』(こちらは「こどものみらい叢書」の第1弾)の2点の刊行を記念して、以下のトークイベントが今月末に行われるそうです。

◎檜垣立哉×佐川光晴トークイベント「殺して、食べて、育てる――哲学者と作家の異種格闘技

日時:2018年4月29日(日)14:00~15:30 ※開場13:30~
料金:1,350円(税込)
定員:50名様
会場:青山ブックセンター本店小教室
電話:03-5485-5511 ※受付時間10:00~22:00

内容:4月に『食べることの哲学』を上梓した、哲学者の檜垣立哉さん。本書は、動物や植物を殺して食べる後ろ暗さと、美味しい料理を食べる喜び、という矛盾を昇華する、食の哲学エッセイです。/今回は、10年以上、屠畜場で働き、日々、ナイフを研いで牛の皮を剥くお仕事をされていた、作家の佐川光晴さんをお招きします。第1ラウンドでは、お二人が屠殺をどのように考えているのか存分に語り合っていただきます。/『食べることの哲学』では、焼いたものの量で価値を計るアングロサクソン系の食文化圏と、「味=発酵」の質を重視するアジアの食文化圏とに分ける、独自の食文化論も展開されます。第2ラウンドでは、主夫として家の料理を28年間つくり続けている佐川光晴さんと、食文化について語り合っていただきます。/佐川光晴さんは、2月に『おいしい育児』を上梓しました。この本は、主夫兼作家として二人の息子を育ててきた経験を綴ったエッセイ集です。父親が家事と育児をするのがあたりまえになるための実践的なヒントがぎっしり詰まっています。第3ラウンドでは、お子さんをお持ちの檜垣立哉先生と、男の育児について語っていただきます。/哲学者と作家の異種格闘技、どうぞご期待下さい。
※トークイベントの後にはサイン会を開催します。
※会場からも質問を受け付けます(トーク開始前に質問用紙をお配りしますので、そちらにご記入ください)。
※参加限定特典として、「檜垣立哉が選ぶ食のブックガイド」を配布予定です。

檜垣立哉(ひがき・たつや)哲学者、大阪大学教授。1964年埼玉県生まれ。フランスの現代思想を縦横無尽に駆使し生命論に挑む哲学者であるが思想にはいった入り口は吉本隆明。 また九鬼周造、西田幾多郎、和辻哲郎など日本哲学にも造詣が深く、20世紀初期の思想の横断性を突き詰めたいとおもっている。著書に、『瞬間と永遠 ジル・ドゥルーズの時間論』『賭博/偶然の哲学』『子供の哲学』『ドゥルーズ入門』など。死ぬ前に1つだけ食べるなら、讃岐うどん。 趣味(というか一面の本業)は競馬です。

佐川光晴(さがわ・みつはる)作家。1965年東京都生まれ、茅ヶ崎育ち。北海道大学法学部卒業。出版社勤務ののち、1990年から2001年まで大宮の屠畜場で働く。2000年「生活の設計」で第32回新潮新人賞受賞。2002年『縮んだ愛』で第24回野間文芸新人賞受賞。2011年『おれのおばさん』で第26回坪田譲治文学賞受賞。他の著書に『あたらしい家族』『銀色の翼』『牛を屠る』『大きくなる日』など。芥川賞に5回ノミネート。小学校教員の妻と二人の息子との四人家族。主夫として家事を引き受けながら執筆に励む。

★山形大学人文社会科学部附属映像文化研究所のアンドレ・バザン研究会が発行する『アンドレ・バザン研究』の第2号は、特集が「存在論的リアリズム」で小特集が「作家主義再考2」。後者は昨年3月に刊行された第1号(頒布終了)のメイン特集の続編です。目次詳細は誌名のリンク先でご覧になれます。また、堀潤之さんによる巻頭言「「草稿」に誘われて――第二号イントロダクション」と角井誠さんによる編集後記もリンク先に掲出されています。第二号の入手方法については同会ブログの2018年4月11日付エントリーをご確認下さい。数に限りがあるので、お早めにどうぞ。堀さんの巻頭言によれば本年末には「生誕百周年を迎えたバザンをめぐるシンポジウムを開催し、〔第2号に論考「フェティッシュの存在論」を掲載したダドリー・〕アンドリュー氏を招聘することが決まっている。次号はその記録を中心に編まれることになるだろう」とのことです。

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# by urag | 2018-04-15 20:37 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2018年 04月 13日

重版出来:アガンベン『アウシュヴィッツの残りのもの』8刷

弊社の書籍出版第一弾(2001年)である、ジョルジョ・アガンベン『アウシュヴィッツの残りのもの』の重版8刷ができあがり、本日より出荷再開しております。長い間にわたり多くの方にお手にとっていただいていることに深く御礼申し上げます。部数で言っても期間で言っても弊社刊行物でもっとも広く長く読まれているのが本書です。なお弊社ではアガンベンさんの初の自伝『書斎の自画像』(2017年)を続刊予定としております。どうぞよろしくお願いいたします。

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# by urag | 2018-04-13 14:51 | 重版情報 | Trackback | Comments(0)
2018年 04月 12日

注目新刊:『知のトポス』第13号、『文芸研究』第135号、ほか

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弊社でお世話になっている訳者の皆さんの最近のご活躍をご紹介します。

★宮﨑裕助さん(共訳:ド・マン『盲目と洞察』)
新潟大学大学院現代社会文化研究科が発行する『世界の視点:知のトポス』第13号に、小原拓磨さんとの共訳、アレクサンドル・コイレ「フランスにおけるヘーゲル研究の状況報告」が掲載されています(99~159頁)。宮﨑さんは同号の編集後記も執筆されています。第13号の目次を掲出しておきます。

『世界の視点:知のトポス』第13号 目次
G・W・F・ヘーゲル「「精神の哲学」についての講義(ベルリン、1825年夏学期)」栗原隆/高畑菜子/岩下杜之訳
ゲルハルト・クリーガー「カントの批判における哲学と道徳(四)」宮村悠介訳
アレクサンドル・コイレ「フランスにおけるヘーゲル研究の状況報告」小原拓磨/宮﨑裕助訳
パウル・ツィヒェ「自然と芸術との間の人間」栗原隆訳
「編集後記」宮﨑裕助

★安原伸一朗さん(訳書:ブランショ『問われる知識人』、共訳:『ブランショ政治論集』)
★渡名喜庸哲さん(共訳:サラ-モランス『ソドム』)
明治大学文芸研究会が発行する紀要『文芸研究』第135号「特集:ピエール・パシェ」において、安原さんが論文「無言の言葉を聞く――『父の自伝』について」(37~43頁)とその仏語版を、そして渡名喜さんが論文「クロード・ルフォールとピエール・パシェ――抵抗の場としての内密性」(223~240頁)を寄せておられます。安原さんの論文はもともと、昨年年頭(2017年1月21日)に明治大学駿河台キャンパスで開催された国際シンポジウム「アジアにおける一個人――ピエール・パシェの作品を読む」において発表されたものです。安原さんは同シンポの第三部「中国における一個人」で司会も務められています。パシェ(Pierre Pachet, 1937-2016)は日本では単著未邦訳の作家で、特集が組まれるのも初めてです【4月13日追記:岩波書店『文学』第9巻第2号(2008年3月)にて小特集が組まれたことがあると耳にしました。一冊丸ごとの総特集としては『文芸研究』誌が初めて、ということになるかと思われます】。

★江澤健一郎さん(訳書:バタイユ『マネ』)
ディディ=ユベルマン『イメージの前で』の増補改訂版をまもなく法政大学出版局さんより上梓されます。巻末の「第二版への訳者あとがき」によれば、2005年刊行の同書英語版に掲載された序「悪魔祓い師〔The Exorcist〕」が新たに訳出され増補されており(23頁もの長文)、「訳書を全体的に見直して修正を行」い、「著作リストを最新作まで補完した」とのことです。以下の引用はこの序文からです。

「美術史家が研究するイメージの実態は、強力で魅力的だが、変質を引き起こす実体なのだ。その実態は安心させてくれる。つまりそれは、このうえなく素晴らしい回答を学者にもたらすが、しかし注意だ! その実体は、それを過剰に飲みこむ者、破滅するほどそれと密着する者にとっては、すぐさま麻薬、さらには毒薬になってしまうのだ」(xii頁)。「イコロノジーを「客観的な科学」にするために、パノフスキーは、何かを文字通りに悪魔祓いしなければならなかったのだ。その何かとは、彼がその「科学」によって明確にしようとした対象の、その力に固有なものである」(同)。このあとディディ=ユベルマンはディブック(悪霊)に喩えてイメージをめぐる知やその歴史について語っており、非常に興味深いです。

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河出書房新社さんから2016年11月に刊行された川崎昌平さんの『重版未定』が重版されたのを祈念して、下北沢のブックカフェ「B&B」で同年12月に開催されたトークイベント、川崎昌平×下平尾直×小林浩「小さな出版社と編集者の大きな夢」がついに「DOTPLACE」においてウェブ公開が開始となりました。小出版社の現実や業界論を率直に語ったものだったので活字化不可能かもと個人的には危ぶんでいたのですが、ご高覧いただけたら幸いです。第一回目はリンク先にてお読みいただけます。以後順次公開開始となるかと思われます。

なお、川崎さんはぶんか社さんから今月、最新作『編プロ☆ガール』を上梓されました。「編集プロダクション、それは出版社の奴隷」という帯文が業界人の肺腑を抉ります。巻末対談は「マガジン航」の仲俣暁生さんと。以下に目次を含めた書誌情報を掲出します。目次だけでもすでに面白いという。

編プロ☆ガール
川崎昌平著
ぶんか社コミックス 2018年4月 本体1,000円 4-6判並製192頁 ISBN978-4-8211-3571-4
帯文より:編集プロダクション、それは出版社の奴隷――。理念と現実の狭間で何を掴みとるのか!? 心を突き動かすハードボイルド出版業界漫画!

目次:
第0話 編プロにつくれない本はない
第1話 いいから今は休め
第2話 いいから今は寝ろ
第3話 いいから今は忘れろ
第4話 あれは白昼夢だ
第5話 これが悪夢だ
第6話 それは夢だ
第7話 本は犠牲なくして生まれない
第8話 本は無駄なくして編めない
第9話 本は後悔なくして世に出ない
第10話 怒られれば悔しい
第11話 褒められればうれしい
第12話 読まれなければ悲しい
第13話 本は過去を語る
第14話 本は現在を知る
第15話 本は未来をつくる
仲俣暁生×川崎昌平「編プロ深層対談」
あとがき

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# by urag | 2018-04-12 15:21 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2018年 04月 08日

注目新刊:復刊ドットコムより『魔術妖術大図鑑』が復刻、ほか

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『フィレンツェ史 上』ニッコロ・マキァヴェッリ著、在里寛司/米山喜晟訳、ちくま学芸文庫、2018年4月、本体1,400円、文庫判464頁、ISBN978-4-480-09857-3
『フィレンツェ史 下』ニッコロ・マキァヴェッリ著、在里寛司/米山喜晟訳、ちくま学芸文庫、2018年4月、本体1,500円、文庫判512頁、ISBN978-4-480-09858-0
『論証のレトリック――古代ギリシアの言論の技術』浅野楢英著、ちくま学芸文庫、2018年4月、本体1,000円、文庫判256頁、ISBN978-4-480-09860-3
『大都会の誕生――ロンドンとパリの社会史』喜安朗/川北稔著、ちくま学芸文庫、2018年4月、本体1,200円、文庫判320頁、ISBN978-4-480-09862-7
動物たちのすごいワザを物理で解く――花の電場をとらえるハチから、しっぽが秘密兵器のリスまで』マティン・ドラーニ/リズ・カローガー著、吉田三知代訳、インターシフト発行、合同出版発売、2018年4月、本体2,300円、四六判並製384頁、ISBN978-4-7726-9559-6
魔術妖術大図鑑 復刻版』辰巳一彦著、復刊ドットコム、2018年4月、本体4,000円、B6判上製176頁、ISBN978-4-8354-5582-2
奇妙な同盟――ルーズベルト、スターリン、チャーチルは、いかにして第二次大戦に勝ち、冷戦を始めたか Ⅰ』ジョナサン・フェンビー著、河内隆弥訳、藤原書店、2018年3月、本体2,800円、四六判上製376頁、ISBN978-4-86578-161-8
奇妙な同盟――ルーズベルト、スターリン、チャーチルは、いかにして第二次大戦に勝ち、冷戦を始めたか Ⅱ』ジョナサン・フェンビー著、河内隆弥訳、藤原書店、2018年3月、本体2,800円、四六判上製384頁、ISBN978-4-86578-162-5
フィルカル Vol. 3, No. 1』フィルカル編集部編、ミュー発行、2018年3月、A5判並製382頁、ISBN978-4-943995-19-7
文藝 2018年夏季号』河出書房新社、2018年4月、本体1,300円、A5判並製518頁、ISBN978-4-309-97942-7

★ちくま学芸文庫のまもなく発売(10日予定)となる4月新刊は3点4冊。マキァヴェッリ『フィレンツェ史』上下巻は、筑摩書房版『マキァヴェッリ全集』第3巻(1999年刊)所収の「フィレンツェ史」を文庫化したもの。上巻では献辞、序文、第一巻~第四巻を収め、下巻では第五巻~第八巻、そして米山さんによる訳者解説「「フィレンツェ史」はいかにして書かれたか」と「『フィレンツェ史』理解のためのフィレンツェ史年表」が併載されています。訳者解説末尾には「本書の文庫化においては、特に訳注の部分で若干の訂正を加え」たと特記されています。『マキァヴェッリ全集』(全6巻、補巻1)から文庫化されるのは、『ディスコルシ』(第2巻)や『戦争の技術』(第1巻所収)につづき、3点目かと思います。

★『論証のレトリック』は1996年刊の講談社現代新書の文庫化。巻末の特記によれば文庫化に際し「一部図表を「付録」として巻末に移した」とのことです。帯文に曰く「説得は、いかにして可能か? 修辞・弁論術の発祥地に立ち返り、論証の「型」を伝授する」と。目次構成は以下の通りです。はじめに――「言論の技術」とは何か、第一章「レトリック(レトリケー)事始め」、第二章「アリストテレスのレートリケー理論」、第三章「ロゴスによる説得立証に役立つ固有トポス」、第四章「エートスまたはパトスによる説得立証に役立つ固有トポス」、第五章「さまざまな共通トポス」、第六章「レートリケーとディアレクティケー」、第七章「レートリケーと論理学」、むすび、引用ならびに参考文献、あとがき、『論証のレトリック』文庫版解説(納富信留)、付録。著者の浅野さんは一昨年に逝去されているため、納富さんの解説では親本刊行以後に刊行されたギリシア・ローマの古典文献の翻訳について紹介があります。

★『大都会の誕生』は、有斐閣選書の一冊として1986年に刊行された親本に、川北稔さんによる論考「盛り場のロンドン」(1993年、都市問題研究会編『都市問題研究』513号に掲載されたものを一部改稿)を加えて文庫化したもの。文庫化にあたり副題が「出来事の歴史像を読む」から「ロンドンとパリの社会史」に改められています。目次を以下に列記しておきます。

世界にひらく窓
 帝国の首都ロンドンの生活文化|川北稔
  1 ミンチン横丁の賑わい――ジェントルマン文化と「舶来品」
  2 コーヒーハウスの時代――「商業革命」と都市型文化の成立
  3 「首都の空気は自由にする」
  4 「ロンドンへのあこがれ」の増幅装置――「社交季節」と定期馬車
「世界の工場」の玄関口
 工業化とロンドン民衆の生活|川北稔
  1 ディケンズと工業化――なぜ「ロンドン」なのか
  2 イースト・エンド・スラムの成立
  3 ファッション・センターとしてのロンドン
  4 「苦汗労働」の成立
  5 針子と港湾労働者――ロンドンの二大カジュアル・ワーク
  6 「苦汗労働」の機械化?――ミシンの導入
  7 工業化のもたらしたもの
 盛り場のロンドン(増補)|川北稔
盛り場の形成
 パリのブルヴァールに集まる人びと|喜安朗
  1 ブルヴァールにおける出来事
  2 盛り場の移動
  3 新しい盛り場の舞台装置
  4 民衆の盛り場
  5 都市空間の分極化
民衆騒乱の舞台
 路上の権利|喜安朗
  1 カーニヴァルの民衆蜂起
  2 抑圧の解体――ブルヴァールの「祝祭」
  3 民衆のパロディー――既存秩序の流動化
  4 路上の権利
  5 境界領域の再現
  6 盛り場と騒乱の舞台
あとがき
 世界経済のメトロポリス――なぜロンドン史か|川北稔
 民衆史への新しい視点――民衆の生活圏と都市空間の意味|喜安朗
ちくま学芸文庫版へのあとがき|川北稔
ちくま学芸文庫版へのあとがき|喜安朗

★『動物たちのすごいワザを物理で解く』は『Furry Logic: The Physics of Animal Life』(Bloomsbury Sigma, 2016)の翻訳。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。熱、力、流体、音、電気・磁気、光、の全6章だてで、特異な能力を発揮する動物たちを科学的に解説したポピュラー・サイエンスの名作です。身近な動物や虫の何気ないすごい能力には感心するばかりですが、研究者の探究心にも驚かされます。例えば、水に濡れた犬がブルブルと体を震わせて水滴を払い落とし自力で体を乾かすあの行動について研究した学者、アンドリュー・ディッカーソンは、本書の後段では、雨の中でも蚊が飛べるのはなぜかを研究していることが紹介されています。同じように犬のブルブルを研究していたもう一人の研究者デイヴィッド・フーは、水上をすいすいと移動したり留まったりできるアメンボの物理を研究してもいます。素朴な疑問が科学の扉を開く様に読者は魅了されると思います。

★『魔術妖術大図鑑 復刻版』は立風書房の「ジャガー・バックス」シリーズで1976年に出版されたものの復刻版です。主な収録内容や見開き頁のサンプル画像は書名のリンク先でご覧になれます。巨匠たちによるおどろおどろしくも魅惑的なイラスト、子供向けながらモラルなどお構いなしのまじないや秘法の情報満載で強烈です。ジル・ド・レを描いた劇画は当時としてはスレスレの描写だったろうと思われ、狂気を感じさせます。錬金術師や魔術師、魔女の群像が子供たちの脳裏に刻まれただろうことは想像に難くありません。本書でパラケルススやクロウリー、エリファス・レヴィ、ブラヴァツキーらの名前を知った子供たちはその後、それぞれの著書を読む大人になったのでしょうか。いささかやりすぎとも思える本書の溢れんばかりのイメージ喚起力と情報力は、今日の児童書では自主規制によって失われてしまったものを思い出させます。復刊ドットのコムオリジナル特典として、限定生産の特製コースターが付属しています。

★『奇妙な同盟』は全二分冊で、『Alliance: The Inside Story of How Roosevelt, Stalin and Churchill Won One War and Began Another』(Simon & Shuster, 2006)の全訳。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。訳者あとがきの文言を借りると「本書は、1941年8月に行われた、ルーズベルト、チャーチルの大西洋会談に始まって、1945年7月のポツダムまでの主要会談、ほか数々の首脳会議における米英ソ三巨頭(ルーズベルト、チャーチル、スターリン、ただしルーズベルトの死後はトルーマンが引き継ぐ)及びかれらを取り巻く脇役たちの実像と史実を、各種史料を駆使して綴るノンフィクションである」と。著者のジョナサン・フェンビー(1972-)はイギリスの国際ジャーナリスト。既訳書には『国際報道の裏表』(小糸忠吾/橋本正邦/堀川敏雄訳、新聞通信調査会発行、共同通信社発売、1988年)があります。日本では先月末劇場公開となった映画『ウィンストン・チャーチル――ヒトラーから世界を救った男』(ジョー・ライト監督、2017年)が、特殊メイクでアカデミー賞を受賞した辻一弘さんのご活躍により話題となっていますが、第二次世界大戦の終結と冷戦の始まりに深くかかわった米英ソの政治的内幕を学ぶ上でうってつけの新刊がタイミングよく出たことにも注目したいです。

★『フィルカル Vol. 3, No. 1』は、「分析哲学と文化をつなぐ」をキャッチフレーズにしている雑誌で、今回で3年目の通算5号です。今まででもっともヴォリュームのある号となっています。昨秋発売された前号(Vol. 2, No. 2)につづき、野上志学さんによる「デヴィッド・ルイス入門」の第2回が掲載され、前号の発売後に同誌編集委員が企画して行われたトークイベント「哲学の夜」第一回の様子も収録されています。なお、今般発売された最新号の発売を記念し、寄稿者が登壇して「芸術における作品創造と複製、アメコミスーパーヒーローの定義と歴史」をテーマに討論するイベントが以下の通り行われます。

日時:2018年4月21日(土)18:30開場 19:00開演
場所:田原町「Readin’ Writin’」(東京都台東区寿2-4-7)
料金:参加費1,000円
登壇者:高田敦史、岩切啓人、森功次

内容:『フィルカル』最新号に論文が掲載された高田敦史さんと岩切啓人さん、コメンテーターとして森功次さんが登壇され、論文の背景にある研究分野を一般向けに解説しディスカッションします。高田さん論文「スーパーヒーローの概念史」は、ハッキングの歴史的存在論の展開として、アメコミのスーパーヒーロー概念の質的変化を分析する論考です。制度の変化も観点に入れた、虚構種の存在論としてもアメコミヒーロー論としても新しいタイプの議論が展開されています。分析美学の新世代を担う岩切さん論文「創造と複製」は、分析美学の本格的な論文です。芸術における作品複製は創造になりうるのか、というテーマをめぐって、それを否定する論証を批判し、肯定する立場を模索しています。高田さん、岩切さんがそれぞれ、論文をめぐって解説したうえで、来場の方々からの質問を受けてディスカッションする予定です。日本の分析美学を牽引する研究者たちと触れ合える貴重な機会です。美学に関心ある方々、作品複製やアメコミヒーローについて議論したい方々、ぜひともご参加ください。

※今回のイベントでは参加の事前予約を受け付けます。専用フォームからお気軽にお申込みください。 一度に4名様までご予約いただけます。料金の前払いはございません。なお、事前予約はイベント前日の4月20日(金)までの受け付けとなります。ご了承ください。

★『文藝 2018年夏季号』は4月9日発売。昨年末に幻戯書房より『文学問題(F+f)+』を上梓され乗りに乗っている文筆家の山本貴光さんが文芸時評「季評 文態百版」という新連載をお始めになり、第1回として「2017年12月~2018年2月」が掲載されています。文芸作品(本・雑誌・デジタルテキスト)、人物、文学賞、展覧会・その他催事、を「文芸的事象」として観察対象に設定し、クロニクルを編んでいくという、非常に手間のかかる地道なものです。山本さんのブログ「作品メモランダム」のプロフィールで公開されている通り、仕掛中のお仕事が山のようにある中での観測およびまとめ作業となるだけに、ご苦労が偲ばれます。なお同号では、石牟礼道子さんやECDさんの追悼ページもあります。陣野俊史さんは初の小説作品「泥海」を同号で発表されるとともに、「詩小説家としてのECD」という論考も寄せておられます。

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# by urag | 2018-04-08 23:55 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)