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2026年 12月 31日

月曜社最新情報まとめ(ブログの最新エントリーは当記事の次からです)

◆公式ウェブサイト・オリジナルコンテンツ
◎2011年6月28日~:ルソー「化学教程」翻訳プロジェクト。

◆近刊
2025年02月14日取次搬入予定:『井口時男批評集成』本体4,500円。

◆新刊(書籍の発売日は、取次への搬入日であり、書店店頭発売日ではありません)
2024年12月12日発売:豊田市美術館編『しないでおく、こと。――芸術と生のアナキズム』本体2,600円。
2024年12月09日発売:本橋哲也『鈴木忠志の演劇――騙る身体と利賀の思想』本体2,400円。
2024年12月09日発売:長崎浩『他力という力――叛乱論終章』本体3,200円。
2024年11月27日発売:H・G・ウェルズ『モダン・ユートピア』本体3,400円、叢書・エクリチュールの冒険、第25回配本。
2024年10月30日発売:ゲルハルト・クリューガー『カントの批判における哲学と道徳』本体5,400円、シリーズ・古典転生第31回配本(本巻30)。
2024年10月24日発売:中山幸雄『暴動の時代に生きて――山谷 '68-'86』本体3,200円。
2024年09月18日発売:『多様体6(第1期終刊号)特集:展開/分岐』本体2,600円。
2024年09月02日発売:ジュディス・バトラー『改訳決定版 権力の心的な生』本体3,200円。
2024年07月25日発売:東京藝術大学未来創造継承センター『Creative Archive vol.1』本体1,500円。
2024年06月05日発売:表象文化論学会『表象18:皮膚感覚と情動――表象から現前のテクノロジーへ』本体2,000円。
2024年05月16日発売:谷川雁『筑豊からの報告――大正行動隊から退職者同盟へ』本体3,600円。
2024年04月30日発売:ジョヴァンニ・ジェンティーレ『純粋行為としての精神の一般理論』本体5,400円、シリーズ・古典転生第30回配本(本巻29)。
2024年04月30日発売:アンヌ・ソヴァニャルグ『ドゥルーズと芸術』本体3,600円。
2024年04月10日発売:江川隆男『内在性の問題』本体4,300円。
2024年03月21日発売:『平岡正明著作集』上下巻、各3,200円。
2024年02月16日発売:シャルロット・デルボー『無益な知識――アウシュヴィッツとその後2』本体2,400円。
2024年02月06日発売:アルベール・カミュ『結婚』本体2,000円、叢書・エクリチュールの冒険第24回配本。
2024年01月18日発売:ジュディス・バトラー『新版 自分自身を説明すること』本体2,700円。
2024年01月09日発売:近藤和敬『人類史の哲学』本体3,800円。
2023年12月01日発売:アンジェロ・ポリツィアーノ『シルウァエ』本体5,400円、シリーズ・古典転生第29回配本(本巻28)。
2023年12月01日発売:石川義正『存在論的中絶』本体2,600円。
2023年11月17日発売:小田原のどか/山本浩貴編『この国(近代日本)の芸術――〈日本美術史〉を脱帝国主義化する』本体3,600円。
2023年11月09日発売:渡辺由利子『ふたりの世界の重なるところ――ジネヴラとジョルジョと友人たち』本体2,200円、シリーズ〈哲学への扉〉第10回配本。

◆販売情報(重版・品切・サイン本、等々)
◎重版出来:
 2024年06月19日:小田原・山本編『この国の芸術』2刷(2023年11月初刷)
 2024年07月24日:マルム『パイプライン爆破法』2刷(2021年12月初刷)
 2024年08月01日:モリス『小さな芸術』2刷(2022年11月初刷)

◆出版=書店業界情報:リンクまとめ
◎業界紙系:「新文化 ニュースフラッシュ」「文化通信
◎一般紙系:Yahoo!ニュース「出版業界」「電子書籍」「アマゾン
◎話題系:フレッシュアイニュース「出版不況」「電子書籍」「書店経営
◎新刊書店系:日書連 全国書店新聞
◎雑談&裏話:5ちゃんねる 一般書籍

※このブログの最新記事は当エントリーより下段をご覧ください。 
※月曜社について一般的につぶやかれている様子はYahoo!リアルタイム検索からもご覧になれます。月曜社が公式に発信しているものではありませんので、未確定・未確認情報が含まれていることにご注意下さい。ちなみに月曜社はtwitterのアカウントを取得する予定はありませんが、当ブログ関連のアカウントはあります。


# by urag | 2026-12-31 23:59 | ご挨拶 | Comments(21)
2025年 02月 05日

月曜社2025年3月新刊:『ハインレ詩文集』(ジョルジョ・アガンベン序文)

2025年03月04日取次搬入予定(ドイツ文学・詩)

ハインレ詩文集
クリストフ・フリードリヒ・ハインレ(著)
ヨハネス・シュタイツィンガー(編)、ジョルジョ・アガンベン(序文)、柿木伸之(訳)
月曜社 本体4,500円 46判上製(縦188mm×横120mm×束幅28mm、重量350g)352頁 ISBN:978-4-86503-201-7 C0098

内容:ベンヤミンが若き日に出会い、生涯にわたり「親友」と呼んだハインレ。第一次世界大戦の開戦直後に19歳で命を絶った「詩人」の現在確認できる抒情詩、散文、書簡を集成。ベンヤミンに影を落とす友の詩に光を当てる、青春の歌とその断絶の記録。ジョルジョ・アガンベンの序文、編者による詳細な評伝、訳者による周到な解説を付す。「フリッツ・ハインレは詩人だった。しかも、すべての詩人のなかでその「生涯において」ではなく、詩において出会った唯一の詩人である。彼は19歳で死んだが、彼と別の仕方で出会うことは考えられない」(ヴァルター・ベンヤミン「ベルリン年代記」)。

目次:
序言「失われたものへの希望」ジョルジョ・アガンベン
抒情詩
 夢劇
 十三の詩
 十四の詩ーーフィリップ・ケラーに捧ぐ
〔紅に泡立つ……〕
〔確認の手紙を送ると……〕
 原生林の精
 肖像
〔昼の起きると……〕
〔魅惑的な眺望を……〕
〔甘い風よ……〕
 みだらな夜
〔混乱した夢を出て日が昇る……〕
〔樅の木は鈍いビロード色の……〕
 老女は語る[Ⅰ]
 老女は語る[Ⅱ]
〔ランプのそばで……〕
「廊下の」
 ベンチ
〔木々の梢が絡まり合う……〕
〔おお、おまえたち腐りきって……〕
 水無月の日
〔眠りに落ち、夜は……〕
〔深黒の波濤にもまれながら……〕
 頌歌[Ⅰ]
〔微笑む千の仕草が……〕
〔いくつかの澱みには……〕
〔樅がみだらに枝葉を……〕
〔橋は弓なりにせり上がり……〕
 滝
 頌歌[Ⅱ]
 頌歌[Ⅲ]
〔家の周りで嵐がうなりながら……〕
〔教会の塔はすでにくすみ、……〕
〔馬車につながれた栗毛の馬が……〕
 夜と昼のあいだに
〔ベッドに横たわったまま身を……〕
〔それはホルシュタイン伯……〕
〔小鐘が打ち鳴らされるのが……〕
 アーク灯
 夕べに窓辺で
〔庭に白馬と……〕
〔時は森のなかで道に迷い……〕
〔酔い痴れて乱れ戯れる形象が……〕
 秋の午後[Ⅱ]
 秋の夕べ
〔わたしは永遠に独りぼっち……〕
〔灰色の月よ、言え。どこへ……〕
 寒い夜
 演奏会
散文
 青年
 わが学級
〔まばゆく明るい緑の木々が……〕
 美しい人たち
 奇襲
 湖の三人の聖者
書簡
 1 ルーヴィヒ・シュトラウス宛
 2 ルーヴィヒ・シュトラウス宛
 3 ルーヴィヒ・シュトラウス宛
 4 ルーヴィヒ・シュトラウス宛
 5 フッサール宛
 6 ルーヴィヒ・シュトラウス宛
 7 ルーヴィヒ・シュトラウス宛
 8 ヴェルスホーフェン嬢宛
 9 アルマ宛
書簡草稿
 グスタフ・ヴィネケン宛
 H宛書簡草稿
跋「青年運動と文学のアヴァンギャルドのあいだで」ヨハネス・シュタイツィンガー
附録
 編集方針
 作品配列
 稿本伝承
謝辞
参照資料一覧
訳者解題「青春の詩人とその死後の生」
関連略年譜
訳者あとがき

著者:クリストフ・フリードリヒ・ハインレ(Christoph Friedrich Heinle, 1894–1914)ドイツ西部のマイエンの生まれ。ゲッティンゲン、フライブルク、ベルリンの大学で学ぶ一方、詩作を続け、青年運動に積極的に関わった。フライブルクでヴァルター・ベンヤミンと出会う。第一次世界大戦の開戦直後に19歳で命を絶った。

編者:ヨハネス・シュタイツィンガー(Johannes Steizinger)カナダ・マクマスター大学哲学科准教授。19世紀および20世紀前半の哲学、文化哲学、政治哲学、社会哲学ならびに美学を重点的に研究。

訳者:柿木伸之(かきぎ・のぶゆき)西南学院大学国際文化学部教授。著書に『ベンヤミンの言語哲学──翻訳からの言語、想起からの歴史』(平凡社、2014年)、『ヴァルター・ベンヤミン──闇を歩く批評』(岩波新書、2019年)、『断絶からの歴史──ベンヤミンの歴史哲学』(月曜社、2021年)などがある。

アマゾン・ジャパンHMV&BOOKSonlineにて予約受付中。

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# by urag | 2025-02-05 21:42 | 近刊情報 | Comments(0)
2025年 02月 03日

「週刊読書人」にクリューガー『カントの批判における哲学と道徳』への書評が掲載

月曜社10月刊、ゲルハルト・クリューガー『カントの批判における哲学と道徳』 (宮村悠介訳)に対する書評「批判哲学の核心は倫理神学にある――ハイデガーとの対決が帰趨するところ」が「週刊読書人」2025年1月31日号3面に掲載されました。評者は東京大学大学院博士課程の久保田智也さんです。

# by urag | 2025-02-03 17:53 | 書評・催事・広告 | Comments(0)
2025年 02月 02日

注目新刊:ちくま学芸文庫2025年2月新刊

★まもなく発売となる、ちくま学芸文庫の2025年2月新刊5点6冊を列記します。

人間の本性を考える――—心は「空白の石版」か(上)』スティーブン・ピンカー(著)、山下篤子(訳)、ちくま学芸文庫、2025年2月、本体1,700円、文庫判512頁、ISBN978-4-480-51281-9
人間の本性を考える――心は「空白の石版」か(下)』スティーブン・ピンカー(著)、山下篤子(訳)、ちくま学芸文庫、2025年2月、本体1,900円、文庫判656頁、ISBN978-4-480-51282-6
経済の本質――自然から学ぶ』ジェイン・ジェイコブズ(著)、香西泰/植木直子(訳)、ちくま学芸文庫、2025年2月、本体1,400円、文庫判320頁、ISBN978-4-480-51289-5
ロシア中世物語集』中村喜和(編訳)、ちくま学芸文庫、2025年2月、本体1,600円、文庫判544頁、ISBN978-4-480-51288-8
日本賭博史』紀田順一郎(著)、ちくま学芸文庫、2025年2月、本体1,100円、文庫判256頁、ISBN978-4-480-51287-1
海とサルデーニャ――紀行・イタリアの島』D・H・ロレンス(著)、武藤浩史(訳)、ちくま学芸文庫、2025年2月、本体1,400円、文庫判368頁、ISBN978-4-480-51283-3

★『人間の本性を考える』上下巻は、米国の認知心理学者スティーブン・ピンカー(Steven Arthur Pinker, 1954-)の著書『The Blank Slate: The Modern Denial of Human Nature』(2002年)の日本語訳(上中下巻、NHKブックス、2004年8~9月)の文庫化。巻末特記によれば、文庫化にあたり上下巻とし、「あらたに「二〇一六年版へのあとがき」を訳出したほか」(松本剛史訳)、「人名索引を追加した」とのことです。東大教授の佐倉統さんによる解説「人間の本性と本能をめぐる論争に新たな地平はあるか」は、NHKブックス版での解説を再録し追記を加えたもの。

★『経済の本質』は、米国のジャーナリストで都市研究家のジェイン・ジェイコブズ(Jane Jacobs, 1916-2006)の著書『The Nature of Economies』(2000年)の日本語訳(日本経済新聞社、2001年;日経ビジネス人文庫、2013年)の再文庫化。文庫版解説「そろそろ本気でジェイコブズを」は哲学者・倫理学者の平尾昌宏さんによるもの。

★『ロシア中世物語集』は、筑摩叢書の1冊として1970年に刊行されたものの文庫化。帯文に曰く「名作から知る人ぞ知る世相物語まで幅広く集成」と。全6部17篇。目次を以下に列記します。

年代記
 原初年代記(抄)
聖者伝
 フェオドーシイ聖人伝(抄)
 キーエフ・ペチェルスキイ修道院聖僧伝(抄)
自叙伝
 モノマフ公の庭訓
 主僧アヴァクーム自伝(抄)
宗教説話
 ムーロムのピョートルとフェヴローニアの物語
 ウラジーミルのチモフェイの物語
 トヴェーリ・オートロク修道院開基物語
叙事詩と軍記物語
 イーゴリ軍記
 バツのリャザン襲撃の物語
 ルーシの地の滅亡の物語
 アレクサンドル・ネフスキイ伝
 ザドンシチナ
世相物語
 不幸物語
 シェミャーカの裁判の物語
 サーヴァ・グルツィンの物語
 ロシアの貴族フロール・スコベーエフの物語
訳注
作品解説
訳者解説「ロシアの中世文学について」
訳者あとがき
文庫版解説「中村ロシア学のエッセンス」(三浦清美)

★『日本賭博史』は、評論家の紀田順一郎(きだ・じゅんいちろう, 1935-)さんの著書『日本のギャンブル』(桃源叢書:桃源社、1966年;中公文庫、1986年)の改題改訂再文庫化。「賭博史話」「近世賭博要覧」「明治賭博史」「現代賭博論」の4章立て。巻末解説は専修大学教授の檜垣立哉さんによるもの。

★『海とサルデーニャ』は、英国の作家D・H・ロレンス(David Herbert Richards Lawrence, 1885-1930)の旅行記『Sea and Saldinia』(1921年)の日本語訳(晶文社、1993年)の文庫化。巻末特記によれば、文庫化にあたり「原書初版で削除された箇所を訳出した」とのことです。巻末には単行本版訳者あとがきに加えて、文庫版訳者あとがきが加わっています。

★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。

プルードンの時代――金融資本主義を超えて』ティボー・イザベル(著)、山本光久(訳)、ぱる出版、2025年2月、本体2,400円、四六判並製240頁、ISBN978-4-8272-1460-4
ニーベルンゲン――三部のドイツ悲劇』フリードリヒ・ヘッベル(著)、磯崎康太郎(訳)、ルリユール叢書:幻戯書房、2025年1月、本体4,800円、四六変型判448頁、ISBN978-4-86488-316-0
新訳 神道神話の精神』J・W・T・メーソン(著)、鎌田東二(監修・解説)、高橋ゆかり(訳)、2025年1月、本体3,400円、46判並製384頁、ISBN978-4-86793-068-7
現代思想2025年2月号 特集:国連の未来――戦後80年、国際社会のゆくえ』青土社、2025年1月、本体1,800円、ISBN978-4-7917-1477-3
無限者の痕跡――エマニュエル・レヴィナスとヘブライ的源泉』カトリーヌ・シャリエ(著)、佐藤香織(訳)、叢書・ウニベルシタス:法政大学出版局、2025年2月、本体5,800円、四六判上製462頁、ISBN978-4-588-01130-6
アーレントとテクノロジーの問い――技術は私たちを幸福にするのか?』木村史人/渡名喜庸哲/戸谷洋志/橋爪大輝(編)、法政大学出版局、2025年1月、本体2,700円、四六判並製290頁、ISBN978-4-588-13044-1
病原菌と人間の近代史――日本における結核管理』塩野麻子(著)、人文書院、2025年1月、本体6,500円、A5判上製296頁、ISBN978-4-409-52094-9
一九六八年と宗教――全共闘以後の「革命」のゆくえ』栗田英彦(編)、人文書院、2025年1月、本体5,000円、四六判上製390頁、ISBN978-4-409-42026-3
史録 スターリングラード――歴史家が聞き取ったソ連将兵の証言』ヨッヘン・ヘルベック(著)、半谷史郎/小野寺拓也(訳)、人文書院、2025年1月、本体7,500円、A5判502頁、ISBN978-4-409-51103-9
尹致昊日記(7上)1916-1918年』尹致昊(著)、木下隆男(訳)、東洋文庫:平凡社、2025年1月、本体3,800円、B6変型判上製函入344頁、ISBN978-4-582-80922-0
尹致昊日記(7下)1919年』尹致昊(著)、木下隆男(訳)、東洋文庫:平凡社、2025年1月、本体3,800円、B6変型判上製函入288頁、ISBN978-4-582-80923-7
現代“間食”考――狭間からみる人類の食』野林厚志(編)、公益財団法人味の素食の文化センター(企画)、食の文化フォーラム:平凡社、2025年1月、本体3,000円、4-6判並製288頁、ISBN978-4-582-83980-7
宮脇綾子の芸術――見た、切った、貼った』東京ステーションギャラリー(編)、平凡社、2025年1月、本体3,000円、A4変型判上製224頁、ISBN978-4-582-20739-2
評伝 森崎和江――女とはなにかを問いつづけて』堀和恵(著)、藤原書店、2025年1月、本体2,000円、四六判上製208頁、ISBN978-4-86578-447-3
今 地球は? 人類は? 科学は?――生命誌研究者、半世紀の本の旅』中村桂子(著)、藤原書店、2025年1月、本体2,200円、四六変型判並製280頁、ISBN978-4-86578-448-0
大いなるナショナリスト 福澤諭吉』渡辺利夫(著)、藤原書店、2025年1月、本体2,400円、四六判上製264頁、ISBN978-4-86578-449-7

★時間の制約により2点のみ特記します。『プルードンの時代』は、フランスの作家で編集者のティボー・イザベル(Thibault Isabel, 1978-)の著書『Pierre-Joseph Proudhon. L'anarchie sans le désordre』(Autrement, 2017)の全訳。ミシェル・オンフレによる原著序文は版権の都合で訳出されていません。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。「同時代の社会を改革する目的の下に、彼〔プルードン〕は「アナーキズム」という言葉を発明し、重要な哲学的研究を企てた」(17頁)。「無政府状態(アナルシー)とは「無秩序・混乱」の同義語ではない。それはギリシャ語の語源が示すように、「権力の廃棄」を意味する。したがってそれはプルードンの有名な定式によれば、「権力なき秩序」である」(19頁)。「われわれの誰もが、二一世紀の男も女も、かつてないほど袋小路に入っている――われわれの夢を再び蘇らせるのに、どんな方向に向かうべきかわからないのだ!〔…〕衰亡の脅威を目の当たりにしつつも、私たちは廃墟とがれきを探ることが残されている。まさに忘れられた古き理想の炎にこそ、おそらく私たちは再び希望の熱情を甦らせることだろう」(23~24頁)。

★『ニーベルンゲン』は、〈ルリユール叢書〉の第43回配本(62冊目)。ドイツの作家フリードリヒ・ヘッベル(Friedrich Hebbel, 1813–1863)が中世叙事詩『ニーベルンゲンの歌』を忠実に劇作化したものです。初演は1861年。帯文に曰く「ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指輪』四部作と双璧をなすことになった、最後の観念劇とも言われるヘッベル晩年の大傑作」。既訳には関口存男訳(『関口存男著作集〈翻訳・創作篇〉9』所収、三修社、1994年)と香田芳樹訳(岩波文庫、2024年11月)があります。短期間に2つの新訳が出たのは驚くべきことです。

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# by urag | 2025-02-02 22:49 | ENCOUNTER(本のコンシェルジュ) | Comments(0)
2025年 01月 18日

注目新刊:カッチャーリ『ヨーロッパの地理哲学』講談社選書メチエ、ほか

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★最近出会いのあった新刊既刊を列記します。

ヨーロッパの地理哲学』マッシモ・カッチャーリ(著)、上村忠男(訳)、講談社選書メチエ、2025年1月、本体2,050円、四六判並製288頁、ISBN978-4-06-538160-1
伊藤明彦の仕事(1)未来からの遺言――ある被爆者体験の伝記/シナリオ 被爆太郎伝説』伊藤明彦(著)、編集室水平線、2024年12月、本体2,200円、四六判並製356頁、ISBN978-4-909291-07-3
映画監督 ドン・シーゲル――ノワールを遠く離れて』吉田広明(著)、作品社、2025年1月、本体2,700円、四六判並製320頁、ISBN978-4-86793-071-7
メイジー・チェンのラストチャンス』リサ・イー(著)、代田亜香子(訳)、作品社、2025年1月、本体2,200円、46判並製248頁、ISBN978-4-86793-070-0
文藝 2025年春季号』河出書房新社、2025年1月、本体1,350円、A5判並製472頁、雑誌07821-02
季刊 農業と経済 2024年秋号 特集:本気の有機農業「25%」実現にむけて──思考、技術、システム転換』秋津元輝/松平尚也/宮浦理恵/中村貴子(責任編集)、英明企画編集、2024年11月、本体1,700円、A5判並製240頁、ISBN978-4-909151-63-6

​★『ヨーロッパの地理哲学』は、イタリアの思想家で政治家のマッシモ・カッチャーリ(Massimo Cacciari, 1944-)の著書『Geofilosofia dell'Europa』(Adelphi, 1994; quinta ed., 2008)の全訳。カバー表4紹介文に曰く「ヨーロッパは、いかにして自らを「ヨーロッパ」として同定するに至ったか。古典古代のテクストに準拠しつつ、中世から近代、現代にいたるさまざまなヨーロッパ像と突き合わせながら丹念に読み解く労作」。

★『未来からの遺言/被爆太郎伝説』は、編集室水平線の新シリーズ『伊藤明彦の仕事』全6巻の第1回配本。帯文に曰く「生涯で2000人を超える被爆者を訪問し、1000人以上の「声」を聴きとり録音した、稀有な人物の仕事を網羅するシリーズ、第1巻」。伊藤明彦(いとう・あきひこ, 1936-2009)さんは元長崎放送記者。

★作品社の新刊より2点。『映画監督 ドン・シーゲル』は、映画評論家の吉田広明(よしだ・ひろあき, 1964-)さんによる「40年にわたりハリウッドでアクション映画、犯罪映画を撮り続けた職人監督のキャリアと主題を詳細に辿る、モノグラフの名手による書き下ろし長篇評論」(帯文より)。詳細なフィルモグラフィー付。

★『メイジー・チェンのラストチャンス』は、中国系アメリカ人三世の作家、リサ・イー(Lisa Yee, 1959-)さんの小説『Maizy Chen's Last Chance』(2022年)の訳書。シリーズ「金原瑞人選モダン・クラシックYA」の1冊です。原著はニューベリー名誉賞を受賞しています。

★雑誌新刊より2点。『文藝 2025年冬季号』では、町屋良平、滝口悠生、倉本さおりの三氏による座談会「文芸批評は断絶したか――小説の死後の未来」に注目。司会は文筆家の水上文さん。書肆侃侃房のウェブ連載マガジン「web侃づめ」に掲載された、町屋良平さんによる「小説の死後──(にも書かれる散文のために)── 序文」について触れるところから座談会が始まっています。

★『季刊 農業と経済 2024年秋号』の特集「本気の有機農業「25%」実現にむけて」は、版元紹介文に曰く「日本の有機農業や自然循環型農業の豊かな歴史のなかで培われてきた思考や技術を継承しつつ、現代的・世界的な課題や論点も踏まえたうえで、農と食からの社会システム転換および消費側の意識改革の必要性を含めて、「本気」の有機農業の拡大について検討する」と。


# by urag | 2025-01-18 21:59 | ENCOUNTER(本のコンシェルジュ) | Comments(0)