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2026年 12月 31日

月曜社最新情報まとめ(ブログの最新エントリーは当記事の次からです)

◆公式ウェブサイト・オリジナルコンテンツ
◎2011年6月28日~:ルソー「化学教程」翻訳プロジェクト。

◆近刊(準備中)

◆新刊(書籍の発売日は、取次への搬入日であり、書店店頭発売日ではありません)
2026年05月15日発売:表象文化論学会『表象20:表象文化論の二〇年』本体2,200円。
2026年04月21日発売:松村久美写真集『この先の島じまへ――1969-1980 沖縄』本体4,300円。
2026年04月08日発売:W・H・ハドスン『水晶の時代』本体3,800円。叢書エクリチュールの冒険、第27回配本。
2026年03月18日発売:杉田俊介『無能力批評 増補完全版』本体3,400円。
2026年02月16日発売:堀真悟『祈りのアナーキー ―ーシモーヌ・ヴェイユと解放の神学』本体3,200円。
2026年01月05日発売:『丹生谷貴志コレクションⅢ』本体4,300円。
2025年12月01日発売:『丹生谷貴志コレクションⅡ』本体4,300円。
2025年12月01日発売:『丹生谷貴志コレクションⅠ』本体4,500円。
2025年11月25日発売:東京藝術大学未来創造継承センター『Creative Archive vol.02』本体1,500円。
2025年11月21日発売:甲斐扶佐義写真集『新版 地図のない京都』本体3,000円。
2025年11月06日発売:大竹伸朗展公式図録『網膜』本体4,500円。
2025年10月29日発売:髙山花子『世界のかなしみ――『苦海浄土』全三部作試解』本体2,600円。
2025年10月08日発売:ヴェルナー・ハーマッハー『ベンヤミン読解』本体4,500円。シリーズ・古典転生、第32回配本(本巻31)。
2025年09月18日発売:阿部晴政編『ドゥルーズ革命』本体3,200円。
2025年08月12日発売:ジル・ドゥルーズ『尽くされた』本体2,400円。叢書・エクリチュールの冒険、第26回配本。
2025年07月09日発売:E・P・トムスン『ウィリアム・モリスーーロマン派から革命家へ』本体6,800円。
2025年07月03日発売:河野靖好『谷川雁の黙示録風革命論』本体3,600円。
2025年06月13日発売:東京芸術大学未来創造継承センター編『アート×リサーチ×アーカイヴ――調査するアートと創造的人文学』本体2,400円。

◆販売情報(重版・品切・サイン本、等々)
◎重版出来:

◆出版=書店業界情報:リンクまとめ
◎業界紙系:「新文化 ニュースフラッシュ」「文化通信
◎一般紙系:Yahoo!ニュース「出版業界」「電子書籍」「アマゾン
◎新刊書店系:日書連 全国書店新聞
◎雑談&裏話:5ちゃんねる 一般書籍

※このブログの最新記事は当エントリーより下段をご覧ください。 
※月曜社について一般的につぶやかれている様子はYahoo!リアルタイム検索からもご覧になれます。月曜社が公式に発信しているものではありませんので、未確定・未確認情報が含まれていることにご注意下さい。ちなみに月曜社はtwitterのアカウントを取得する予定はありませんが、当ブログ関連のアカウントはあります。


# by urag | 2026-12-31 23:59 | ご挨拶 | Comments(21)
2026年 06月 17日

月曜社7月新刊:『調査 協働 想像力――アート×リサーチ×アーカイヴ2』東京藝術大学未来創造継承センター編

受注締切:07月03日
取次搬入:07月16日
*芸術、現代アート

調査 協働 想像力――アート×リサーチ×アーカイヴ2
[ヨミ:チョウサキョウドウソウゾウリョク アートリサーチアーカイヴツー]
毛利嘉孝・幅谷和眞(監修)、東京藝術大学未来創造継承センター(編)
月曜社 本体2,800円 46判(縦188×横130×束幅20mm、重量310g)並製296頁うち4C8頁 ISBN:978–4–86503–224–6 C0010


私たちは、この世界をどのようにして理解し、つくりかえることができるのか? アートの手法として重要な役割を果たしているリサーチと、リサーチの中に取り入れられつつあるアートの手法を結びつけ制作・研究しているアーティストやミュージシャン、文化人類学者による、調査と創造のための実践講義録。

【本書は東京都と三菱地所と東京藝術大学の三者連携による「有楽町藝大キャンパス」公開講座の一部を収録した講義録です】

目次:
はじめに 調査と協働と想像力|毛利嘉孝
第二回 二〇二五年五月八日(木)
 Research-Based Art・わたしの方法|小沢剛
第三回 二〇二五年五月二九日(木)
 エスノグラフィの新しい可能性を目指して|小川さやか
第四回 二〇二五年六月一二日(木)
 記録者の芸術/秩父前衛派の実践|笹久保伸
第五回 二〇二五年六月一九日(木)
 食事と朗読の公演・調査からアウトプットまで|風景と食設計室ホー
第六回 二〇二五年七月三日(木)
 米国アーカイヴからの芸術実践|藤井光
第七回 二〇二五年七月一七日(木)
 「新しい祈りを実践する」とは何か?|キュンチョメ
論考 獣臭、路上の言葉、祭りと野球中継|幅谷和眞
論考 調査的感性術を実践する|島影圭佑・佐々木晃也・石井大介
あとがき
執筆者一覧

※第一回は「オリエンテーション」につきゲストを招いていないので割愛。

著者:小沢剛(美術家、東京藝大教授)、小川さやか(文化人類学者、アフリカ研究、立命館大学教授)、笹久保伸(音楽家、記録者)、風景と食設計室 ホー(アーティスト)、藤井光(アーティスト、東京藝大准教授) 、キュンチョメ(アーティスト)、島影圭佑(デザインリサーチャー、公立はこだて未来大学准教授)、佐々木晃也(哲学研究者)、石井大介(デザイナー、京都芸大専任講師)、毛利嘉孝(社会学者、東京藝大教授)、幅谷和眞(アーキヴィスト、東京藝大未来創造継承センター)

月曜社7月新刊:『調査 協働 想像力――アート×リサーチ×アーカイヴ2』東京藝術大学未来創造継承センター編_a0018105_15342907.jpg


# by urag | 2026-06-17 15:49 | 近刊情報 | Comments(0)
2026年 06月 15日

注目新刊:バシュラール『火の精神分析』平凡社ライブラリー、ほか

注目新刊:バシュラール『火の精神分析』平凡社ライブラリー、ほか_a0018105_02414136.jpg


★注目の文庫新刊既刊を列記します。

火の精神分析』ガストン・バシュラール(著)、前田耕作(訳)、平凡社ライブラリー、2026年6月、本体1,800円、B6変型判並製304頁、ISBN978-4-582-77015-5
わが思想の歩み』アラン(著)、長谷川宏(訳)、光文社古典新訳文庫、2026年5月、本体1,400円、文庫判472頁、ISBN978-4-334-11005-5
発売日:2026.05.12
ハンムラビ法典』中田一郎(訳)、講談社学術文庫、2026年5月、本体1,500円、A6判352頁、ISBN978-4-06-543866-4
ジャイナ教』渡辺研二(著)、講談社学術文庫、2026年5月、本体1,300円、A6判272頁、ISBN978-4-06-543800-8
日本のタワー』橋爪紳也(著)、講談社学術文庫、2026年5月、本体1,100円、A6判224頁、ISBN978-4-06-543723-0
口語訳 養生訓』貝原益軒(著)、松宮光伸(訳注)、角川ソフィア文庫、2026年5月、本体1,540円、文庫判464頁、ISBN978-4-04-400894-9
旧暦大全』岡田芳朗(著)、角川ソフィア文庫、2026年3月、本体1,450円、文庫判352頁、ISBN978-4-04-400890-1
日本書紀』遠藤慶太(編)、角川ソフィア文庫、2026年2月、本体1,540円、文庫判464頁、ISBN978-4-04-400848-2
山海経の妖怪たち――古代中国の奇獣図鑑』森和(著)、角川ソフィア文庫、2026年2月、本体1,600円、文庫判512頁、ISBN978-4-04-400784-3
前世の記憶をもつ少年――全訳勝五郎再生記聞』平田篤胤(著)、今井秀和(訳)、角川ソフィア文庫、2026年1月、本体1,100円、文庫判224頁、ISBN978-4-04-400843-7
数学入門』ホワイトヘッド(著)、長谷川珈/高橋達二(訳)、西郷甲矢人(監訳)、角川ソフィア文庫、2025年12月、本体1,360円、文庫判352頁、ISBN978-4-04-400877-2

★平凡社ライブラリーの新刊と光文社古典新訳文庫の既刊書から。『火の精神分析』は、フランスの科学哲学者で詩学者のガストン・バシュラール(Gaston Bachelard, 1884-1962)の著書『La Psychanalyse du feu』(Gallimard, 1938)の全訳に、同書英訳版へのノースロップ・フライによる序文も訳出し(樋渡雅弘訳)、さらにモネやシャガール、バルザックやマラルメなどを論じた論考6篇を併録した訳書(せりか書房、改訳版、1999年)を文庫化したもの。親本は1969年に刊行されたあと、1974年に改訂増補版が出て、最終改訳版が1999年に出版された、という流れかと思いますが、各図書館の書誌情報の変遷にはいささか混乱があるようです。

★帯文に曰く「神話、文学、夢想、宗教、科学史を横断し、火に託された欲望と禁忌、破滅と再生への憧れをたどりながら、人間の無意識と想像力の根源を照らし出す。詩的想像力を論じたバシュラールの代表作」。訳者はすでに亡くなっておられ、訳文の調整の有無については特記されていません。巻末解説は、橋爪恵子さんによる「バシュラール詩学への誘い」。平凡社ライブラリーでのバシュラールの既刊書には『科学的精神の形成――対象体認識の精神分析のために』(及川馥訳、2012年4月)がありますが、現在は品切中。

★『火の精神分析』冒頭から引きます。「自分が客観的であると信じるためには、ひとつの対象について語りさえすればよい。ところが、まず最初に対象を選びとるや、対象は思っている以上のものを明かす。だから世界についての自分の思考を根本的なものだと信じることは、往々にして自分の精神の未熟さを打ち明けているようなものだ」(10頁)。

★『火の精神分析』は、「物質についての想像力論」と題された一連の連作の第一巻で、第二巻は『水と夢』(小浜俊郎/桜木泰行訳、国文社、1969年;及川馥訳、法政大学出版局、2008年;新装版、2016年)、第三巻は『空と夢』(宇佐見英治訳、法政大学出版局、1968年;新装版、2016年)、第四巻は第一部が『大地と意志の夢想』(及川馥訳、思潮社、1972年)、同巻第二部が『大地と休息の夢想』(饗庭孝男訳、思潮社、1970年)です。

★『わが思想の歩み』は、フランスの哲学者アランの著書『Histoire de mes pensées』(Gallimard, 1936)の全訳。帯文に曰く「曖昧な世界のなかで思索を重ねる営みのゆたかさと魅力。考えることの自由をつらぬいた、哲学者の軌跡」。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。長谷川さんによる、光文社古典新訳文庫でのアランの訳書は、2008年『芸術の体系』と2015年の『芸術論20講』に続く3冊目です。『わが思想の歩み』の既訳文庫には、森有正『わが思索のあと』(中公文庫、2018年)がありますが、現在品切中。

★講談社学術文庫の先月既刊書から。『ハンムラビ法典』は、巻末特記に曰く「2002年に「古代オリエント資料集成 1」としてリトンから刊行された『ハンムラビ「法典」』(第二版)を増補・改訂したもの」。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。訳者による巻頭の「講談社学術文庫版刊行にあたって」によれば、「改訂第三版のための原稿が完成した段階で、不運にも出版社リトンの大石昌孝氏が病に倒れ、リトンが解散のやむなきに至った」と。さらなる不運には、第二版までの印刷所も倒産したとのことで、旧版は古書価高騰が避けられなかったと思われます。改訂第三版を同文庫が救ったことは非常に幸いでした。

★『ジャイナ教』は、2006年に現代図書から刊行された『ジャイナ教入門』の改題文庫化。カバー表4紹介文に曰く「あらゆるものに生命の存在を認め、尊ぶ稀有な宗教の教義、歴史、戒律、信徒の実践をまとめた格好の概説書」。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。巻末特記によれば「学術文庫への収録にあたり、サンスクリット語、パーリ語、プラークリット語(アルダマーガディー語)の表記を今日通用のものに変更し、文献の表記を統一したほか、適宜改訂を施し」たとのこと。ジャイナ経研究者で東京大学アジア研究図書館助教の河﨑豊さんが巻末解説を寄せておられ、故人である著者の詳細な文献案内をさらに補っておられます。

★『日本のタワー』は、河出ブックスの1冊として2012年に刊行された『ニッポンの塔――タワーの都市建築史』の改題文庫化。帯文に曰く「浅草十二階・東京タワー・通天閣・太陽の塔……塔(タワー)には進歩と郷愁の物語がある――多数の貴重図版とともに辿る、日本人の心の建築史」。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。新たに加わった「学術文庫版へのあとがき」によれば、「若干の修正と補筆を行った」とのことです。

★角川ソフィア文庫のここ半年の既刊書から。『口語訳 養生訓』は、巻末の編集付記によれば「『口語 養生訓』(日本評論社、2000年)および『女大学と房中訓――貝原益軒を読み解く』(百年書房、2023年)の一部を合本としてまとめ」たもの。帯文に曰く「三百年読み継がれる健康指南の書、漢方の専門家による現代語訳と注釈」。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。『養生訓』の現代語訳は文庫版で複数の既刊書があり、伊藤友信訳(講談社学術文庫、1982年)や松田道雄訳(中公文庫、1977年;改版、2020年)はいずれもロングセラーです。

★『旧暦大全』は、日本史家の岡田芳朗(おかだ・よしろう, 1930-2014)さんの著書『改訂新版 旧暦読本』(創元社、2015年)を改題文庫化したもの。「十二支・二十四節気・七十二候・九星とは。季節の変化から占いまで、知ると愉しい暦の知識」(帯文より)。同文庫での岡田さんの既刊書には2012年の『暦ものがたり』があります。

★『日本書紀』は、文庫内シリーズ「ビギナーズ・クラシックス 日本の古典」の1冊。「神武東征、壬申の乱、大化改新――古代国家の姿を現代語訳で読む」(帯文より)。意外すぎてにわかに信じがたいのですが、角川文庫で「日本書紀」が刊行されるのはこれが初めてのようです。「古事記」が1956年以降、訳注版、新訂版(訳注補訂版)、ビギナーズ・クラシックス初版(現代語訳付)、新版(現代語訳付)と半世紀以上にわたりリレーされてきたこととは対照的であるように見えます。

★『山海経の妖怪たち』は、版元紹介文に曰く「晋代の郭璞(かくはく、276~324)による『山海経図讃』の原文・現代語訳、『山海経』の図300点以上、そして著者による解説を収録した、書き下ろしの文庫」。帯文では「古代中国のヘンな生き物たち。411体を現代語訳と図で知り尽くす」。森和(もり・まさし, 1974-)さんは、杏林大学教授で、ご専門は中国古代史。なお山海経の文庫版での類書には『山海経――中国古代の神話世界』(高馬三良訳、平凡社ライブラリー、1994年)があります。

★『前世の記憶をもつ少年』は、書き下ろし。平田篤胤が8歳の少年から聞き取りした転生譚をまとめた『勝五郎再生記聞』の現代語訳。池田冠山「武州多摩郡中野村勝五郎再生前生話」現代語訳も併録。それぞれ原文も収めています。帯文に曰く「後に小泉八雲英訳し海外に広めた奇談「ほどくぼ小僧」の原型」と。小泉八雲の「勝五郎の転生記」は、同文庫の『怪談 決定版』(池田雅之編訳、2025年8月)などで読むことができます。なお、今井さんによる同文庫での既刊書には『世にもふしぎな化け猫騒動』(2020年7月)や、『天狗にさらわれた少年 抄訳仙境異聞』(2018年12月)があります。後者は平田篤胤『仙境異聞』の抄訳です。

★『数学入門』は、英国の哲学者で数学者のアルフレッド・ノース・ホワイトヘッド(Alfred North Whitehead, 1861-1947)の著書『An Introduction to Mathematics』(Williams & Northgate, 1911)の訳書。帯文に曰く「「あたりまえのこと」を深く考えると、数学になる。哲学の巨人に教わる数学の本質」。前世紀後半における既訳書には、大出晃訳『数学入門』(ホワイトヘッド著作集第二巻、松籟社、1983年)があります。ホワイトヘッドの著書の文庫化は本書が初めてで、画期的なことです。



# by urag | 2026-06-15 02:34 | ENCOUNTER(本のコンシェルジュ) | Comments(0)
2026年 06月 07日

注目新刊:ちくま学芸文庫6月新刊、ほか

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★まもなく発売となるちくま学芸文庫と紀伊國屋書店の新刊を列記します。

翻訳の常識――読解力から翻訳力へ』朱牟田夏雄(著)、ちくま学芸文庫、2026年6月、本体1,200円、文庫判288頁、ISBN978-4-480-51384-7
修辞的思考――論理でとらえきれぬもの』香西秀信(著)、ちくま学芸文庫、2026年6月、本体1,200円、文庫判256頁、ISBN978-4-480-51382-3
日本詩歌の特質』大岡信(著)、ちくま学芸文庫、2026年6月、本体1,400円、文庫判352頁、ISBN978-4-480-51379-3
科学的発見のパターン』N・R・ハンソン(著)、村上陽一郎(訳)、ちくま学芸文庫、2026年6月、本体1,500円、文庫判448頁、ISBN978-4-480-51357-1
ニコ・ティンバーゲン――動物行動学を築いたナチュラリスト』ハンス・クルーク(著)、垂水雄二(訳)、紀伊國屋書店、2026年6月、本体4,200円、46判上製616頁、ISBN978-4-314-01217-1

★『翻訳の常識』は、英文学者の朱牟田夏雄(しゅむた・なつお, 1906-1987)さんが八潮出版社より1979年に上梓された著書の文庫化です。帯文に曰く「翻訳の神様が説くその極意。豊富な文例で英文解釈から翻訳までの道筋を示す」。巻末特記によれば「文庫化に際しては明らかな誤植を正し、必要最低限の範囲で表記の統一等をはかった」とのことです。解説は、著者の孫弟子である山本史郎さんによるもの。

★『修辞的思考』は、修辞学と国語科教育学がご専門で宇都宮大学教育学部教授などを歴任された、香西秀信(こうざい・ひでのぶ, 1958-2013)さんが1988年に明治図書出版よりされた著書の文庫化。カバー表4紹介文に曰く「シェイクスピア『ジュリアス・シーザー』、ドストエフスキー『罪と罰』、中島敦『山月記』など有名作品を例にとり、各々の中でいかなる「説得力を得る方法」が展開されているのか、著者一流の鮮やかな手つきで、レトリック上の技巧に焦点を合わせて論じきる」。巻末特記によれば「文庫化にあたって明らかな誤り等は適宜修正をほどこしている」とのことです。文庫版解説「機械の言葉、人間の言葉」は、作家の円城塔さんによるもの。ちくま学芸文庫での香西さんの著書の文庫化は2016年の『議論入門――負けないための5つの技術』に続く2点目。

★『日本詩歌の特質』は、詩人で評論家の大岡信(おおおか・まこと, 1931-2017)さんが2010年に大岡信フォーラム(花神社発売)より上梓した著書の文庫化。帯文に曰く「何が日本の詩や芸術を支えてきたのか。恰好の日本詩歌入門」。巻末特記によれば「文庫化にあたっては、明らかな誤りは適宜修正した。またルビを増やした」とのことです。解説「ことばは広場となり――大岡信の古典詩受容をめぐって」は詩人で複数の大学で教鞭を執っておられる中西恭子さんです。中西さんの解説は、2017年の初出論考に大幅な加筆修正を施したもの。ちくま学芸文庫での大岡さんの著書の文庫化は、1994年の『萩原朔太郎』(品切)、2018年の『紀貫之』に続く、3点目です。

★『科学的発見のパターン』は、米国の科学哲学者N・R・ハンソン(Norwood Russell Hanson, 1924–1967)の著書『Patterns of Discovery: An Inquiry into the Conceptual Foundations of Science』(Cambridge University Press, 1958)の訳書(『科学理論はいかに生まれるか』講談社、1971年;改題文庫版『科学的発見のパターン』講談社学術文庫、1986年)の再文庫化。訳者による前二版のあとがきを再録し、新たに「ちくま学芸文庫版あとがき」と、科学史家の岡本拓司さんによる解説「歴史の中の『科学的発見のパターン』」が加わっています。

★カバー表4紹介文に曰く「科学的な発見は、いかにしてなされるのだろうか? 本書でハンソンは「観察」に着目する。例えばケプラーは、他の人々と違う空を見ていたわけではない。しかし彼が空を見る際に背負っている「理論」が変わることで、惑星の楕円軌道という新発見がなされたのだ。このように観察という行為の「理論負荷性」を看破したうえで、単なる演繹や帰納によってではなく、観測データ群を説明できるような新たな概念パターン=理論の探究によってこそ、科学的発見は達成されるとハンソンは説く。科学の本質を新鮮な視点で捉え、クーンらとともに20世紀半ばの「新科学哲学」を牽引した古典的名著」。

★『ニコ・ティンバーゲン』は、オランダに生まれ英国でアバディーン大学で教鞭を執った動物学者のハンス・クルーク(Hans Kruuk, 1937-)の著書『Niko’s Nature: The Life of Niko Tinbergen and His Science of Animal Behaviour』(Oxford University Press, 2003)の全訳。「コンラート・ローレンツらとともに動物行動学を築き、1973年にノーベル生理学・医学賞を受賞したニコ・ティンバーゲンの伝記」(訳者あとがきより)。

★帯文に曰く「自然への愛を育んだ幼少期、グリーンランドで触れた真の野生、ナチ占領下の収容所生活、4つのなぜ、1950~60年代オックスフォード大学のハードコア・グループ、デズモンド・モリスやリチャード・ドーキンスらとの師弟関係、コンラート・ローレンツとの奇妙な友情、ノーベル賞受賞、晩年の躓き――鳥と自然を愛した生物学者の学問と生涯」。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。

★注目の文庫既刊書を列記します。

ホラーの扉――八つの恐怖の物語』株式会社闇(編)、澤村伊智/芦花公園/平山夢明/雨穴/五味弘文/瀬名秀明/田中俊行/梨(著)、河出文庫、2026年5月、本体880円、文庫判288頁、ISBN978-4-309-42267-1
黄金仮面の王』マルセル・シュオッブ(著)、大濱甫/多田智満子/垂野創一郎/西崎憲(訳)、河出文庫、2026年3月、本体1,300円、文庫判256頁、ISBN978-4-309-46830-3
H・P・ラヴクラフト――世界と人生に抗って』ミシェル・ウエルベック(著)、スティーヴン・キング(序文)、星埜守之(訳)、河出文庫、2025年8月、本体1,000円、文庫判176頁、ISBN978-4-309-46819-8
呪いの☒☒』三津田信三/澤村伊智/芦花公園/背筋/北沢陶/上條一輝(著)、幻冬舎文庫、2026年4月、本体780円、文庫判320頁、ISBN978-4-344-43548-3
無病法――極少食の威力』ルイジ・コルナロ(著)、中倉玄喜(編訳)、PHP文庫、2025年12月、本体810円、文庫判200頁、ISBN978-4-569-90537-2

★河出文庫の既刊から。『ホラーの扉』は、2023年10月に児童書シリーズ「14歳の世渡り術」の1冊として刊行された『ジャンル特化型 ホラーの扉――八つの恐怖の物語』の改題文庫化。新たに書評家の朝宮運河さんによる解説「新時代にふさわしいホラーアンソロジー」が加わっています。収録作は8篇、澤村伊智「みてるよ」、芦花公園「終わった町」、平山夢明「さよならブンブン」、雨穴「告発者」、五味弘文「とざし念仏」、瀬名秀明「一一分間」、田中俊行「学校の怖い話」、梨「民法第961条」。各作品には編者による解説が付されています。

★『黄金仮面の王』は、フランスのユダヤ人作家マルセル・シュオッブ(Marcel Schwob, 1867-1905)の短篇22編を集めた文庫オリジナル傑作選。訳し下ろしは「地上の大火」「列車〇八一」の2篇。17篇は『マルセル・シュオッブ全集』(国書刊行会、2015年)から取られ、残る3篇「眠れる都」「贋顔団」「平底船の少女」は他書などからの採録です。解説「絢爛たる死物」は西崎憲さんによるもの。西崎さん曰く、本書はシュオッブの「50作ほどある短篇のうちのうちの選りすぐりの22作を収録している。〔…〕ついにこの日がやってきた、シュオップが文庫化されるときが」(238頁)。「シュオッブの世界にたいする態度は死物にたいするそれであると考えると腑に落ちるような気がしないでもない。世界は生きている死物にあふれている。死物は生きていて人に大きな影響力をふるっている」(243~244頁)。同書は発売後に即重版、翌月には3刷となったと聞きます。

★『H・P・ラヴクラフト』は、フランスの作家ミシェル・ウエルベック(Michel Houellebecq, 1956-)の著書『H. P. Lovecraft : Contre le monde, contre la vie』(Éditions du Rocher, 1991; J'ai lu, 2015)の全訳(国書刊行会、2017年)を文庫化したもの。帯文に曰く「世界的作家が偏愛を込めた衝撃デビュー作。小説・漫画・映像・ゲームへ大いなる影響を与え続ける「クトゥルフ神話」創造者の生涯」。「もうひとつの世界」「攻撃の技術」「ホロコースト」の三部構成で、巻頭に「はじめに」、巻末に「読書案内」が配されています。「振り返ってみると、わたしはこの本をある種の処女小説として書いたように思える」(「はじめに」31頁)とウエルベックは述懐しています。

★巻末特記によれば「文庫化にあたり、若干の改訂を施し、新たに解説を収録」したとのことです。訳者あとがきが改訂され、柳下毅一郎さんによる解説「人間嫌いの文学史」が加わっています。訳者あとがきによれば、スティーブン・キングによる序文「ラヴクラフトの枕」は英語原文から訳出されているとのことです。

★ウェルベックはこう述べます。「世界全般への絶対的な憎悪、さらにそれを募らせる、現代社会への個別的な嫌悪。これが、ラヴクラフトの態度を端的に述べている。〔…ラヴクラフト〕にあっては、人生への憎悪はいかなる文学にも先立つものだ。彼はそんなことをいちいち蒸し返したりはしないだろう。いかなる形のリアリズムをも拒絶することは、彼の世界に入ってゆくための前提条件のひとつである」(「臆することなく人生に大いなる否〔ノン〕を宣告せよ」79頁)。

★「二十世紀という時代は、軟弱な前衛諸派がもたらした不健全な霧が晴れた暁には、おそらく叙事詩的な怪奇幻想文学の黄金時代として記憶されるだろう。そもそも、ハワード、ラヴクラフト、トールキンの出現を許した時代である。三つの根源的に異なった世界。夢の文学の三つの柱であるが、この文学と言えば、一般読者に圧倒的に支持されている分だけ、批評によって軽視されてきた」(第三部「ホロコースト」冒頭、119頁)。

★幻冬舎文庫とPHP文庫の既刊から。『呪いの☒☒』は、呪いをテーマにした、6人の作家による書下ろしのアンソロジー。書名にある「☒☒」のヨミは奥付には表記されていませんが、記号自体の和名は「投票箱X付き」(U+2612)というようです。収録作品は、上條一輝「呪いは明るく輝いて」、北沢陶「呪いの交換日記」、澤村伊智「ほらあな」、背筋「劣化コピー」、三津田信三「壱本樹様」、芦花公園「「しばらくゆっくり休んでください」」の6作品。それぞれゾッとする作品ですが、先ほど挙げた河出文庫『ホラーの扉』との関係で言うと、芦花公園「終わった町」に惹かれた方は、『呪いの☒☒』では上條一輝「呪いは明るく輝いて」がお好きかもしれません。

★『無病法』は、16世紀ヴェネツィアの貴族ルイジ・コルナロ(Luigi Cornaro, 1464-1566)の手記『講話』(初版1558年)から、英訳版をもとに編訳したものと見えます(著者の生年と著書の刊行年は文庫版の記述に準じました)。英題はカバーには『Longevity without illness』と記載されています。帯文に曰く「健康法の古典的名著」。三つの講話「食を節することの重要性について(83歳の時」「虚弱体質を改善する最良の方法について(86歳の時)」「幸福な老後を獲得する方法について(総大司教ダニエル・バルバロ宛の書簡、91歳の時)」に、訳者による長めの解説が付されています。

★「飽食はいかなるものでも病気の原因となり、死期を早める。節度のない飲食が原因で人生の盛りにこの世を去らざるを得なくなった友人たちを、私自身、多数目にしている」(講話一、37頁)。「私はこの短い『講話』をもって、飽食の害を指摘し、昔の素朴な食生活へともどる必要性についてお話ししたいと思っている」(同、38頁)。

★単行本の新刊既刊および重版から。

エゴサ厳禁』知念実希人(著)、双葉社、2026年5月、本体700円、新書変型判並製144頁、ISBN978-4-575-24891-3
最恐ホラー 忌まわしい土地』福澤徹三/矢樹純(著)、講談社、2026年4月、本体900円、B6判並製64頁、ISBN978-4-06-542985-3
最恐ホラー 嫌な記憶』貴志祐介/荻堂顕(著)、講談社、2026年4月、本体1,000円、B6判並製112頁、ISBN978-4-06-542986-0
エイボンの書――クトゥルフ神話カルトブック』ロバート・M・プライス(編)、C・A・スミス/リン・カーター/ほか(著)、新紀元社、2008年6月(2026年3月2刷)、本体2,200円、A5判並製392頁、ISBN978-4-7753-0632-1

★『エゴサ厳禁』は、作家の知念実希人(ちねん・みきと, 1978-)さんによる「厳禁」シリーズの第3弾。第1弾は『スワイプ厳禁――変死した大学生のスマホ』(2025年8月)でした。第1弾と第3弾はスマホ型の判型で、見開き右頁が本文、左頁がスマホの画面となっています。前作を読み、興味深い造本に関心があったので、今作も購読しました。恐怖の復讐劇。

★『忌まわしい土地』と『嫌な記憶』は、「小説現代」誌2025年8・9月号掲載のホラー特集を再編して単行本化したもの。1テーマに2名の作家が書き下ろし、全12作を全6巻で再刊する「最恐ホラー」シリーズの第2回配本2点です。第1弾は昨年2月に刊行された『呪われた図書館』で、背筋「笑う女が立っている」と、平山夢明「そして家族全員、焼きそばス」を収録。今回の第2弾のテーマのひとつめは「忌まわしい土地」で、福澤徹三「K氏の日記(抄)」と、矢樹純「P霊園そばの縦に長い土地」を収録。もう一冊のテーマは「嫌な記憶」。 貴志祐介「薔薇の小枝」と、荻堂顕「火中の栗」を収録。『呪われた図書館』を購読した続きで求めました。46判並製、カバーのみの軽装で、価格もかなり低く抑えられています。時代の要請として、こうしたシンプルな出版形態は今後もひとつの手法として増えていくのではないかと思います。

★『エイボンの書』は、2008年6月の初刷の売切後に古書価が高騰し、しばらくは2万円台で売られていたものが、思いがけず3月に重版(2刷)されたもの。版元紹介文に曰く「本書はハイパーボリアの大魔道士エイボンが遺したといわれる魔道書『エイボンの書』の再現を試みたものである。C・A・スミス、リン・カーターが遺した『エイボンの書』の一部に、リチャード・ティアニー、ローレンス・J・コーンフォード、ジョン・R・フルツといった作家陣が新たな作品を提供し、クトゥルフ神話大系の研究者ロバート・M・プライス氏が編纂した、新しい切り口でのクトゥルフ神話アンソロジーだ。 『エイボンの書』はハイパーボリアに生きた魔術師たちの記録、エイボンの逸話、永劫の過去から現代までのクトゥルフ神話的歴史、魔術・儀式的素材などを収録した禁断の書である」。

★翻訳者あとがきに曰く「本書はクラーク・アシュトン・スミスが想像した『エイボンの書』の再現を試みたもので、〔…〕クトゥルフ神話体系の研究者ロバート・M・プライス氏リン・カーターの遺志を継いで完成させた。〔…〕いままであまり語られていなかった、クトゥルフ神話的な歴史の流れを描いた作品が多く、新たにクトゥルフ神話作品を書く(あるいはゲームのシナリオを書く)上での共有認識を形成するうえで有意義な作品集なのではないかと思う」(391頁)。詳細目次がないようなので、目次と本文を照合しつつ転記しておきます。「『エイボンの書』の歴史と年表」以下の各篇には冒頭に解説が付されています(例えば「「『エイボンの書』の歴史と年表」について」というように)が、それは以下の目次には転記していません。

[地図]ウルティマ・トゥーレとムー・トゥーラン|ローレンス・J・コーンフォード
日本語版への序|ロバート・M・プライス
黒檀の書〔エボニー・ブック〕――『エイボンの書』序論|ロバート・M・プライス
『エイボンの書』の歴史と年表|リン・カーター
ヴァラードのサイロンによるエイボンの生涯|リン・カーター
エイボンは語る――もしくはエイボンの箴言|ロバート・M・プライス
第一の書 古〔いにしえ〕の魔術師たちの物語
 二相の塔――黒魔術師ズロイグムの物語|リン・カーター
 スリシック・ハイの物語――薬剤師クシルの物語|ジョン・R・フルツ
 モーロックの巻物――祈祷師イエーモグの物語|リン・カーター
 深淵への降下――魔術師ハオン=ドルの物語|リン・カーター
 羊皮紙の中の秘密――魔術師プトメロンの物語|リン・カーター
 下から見た顔――悪魔祓い師プノムの物語|ローレンス・J・コーンフォード
 アボルミスのスフィンクス――魔術師ホルマゴールの物語|ローレンス・J・コーンフォード
 万物溶解液――錬金術師エノイクラの物語|ローレンス・J・コーンフォード
 白蛆〔びゃくしゅ〕の襲来――魔術師エヴァグの物語:エイボンの書 第Ⅸ章(ガスパール・ド・ノールのフランス語の原稿からの翻訳)|クラーク・アシュトン・スミス
 極地からの光――呪術師ファラジンの物語|クラーク・アシュトン・スミス/リン・カーター
 窖〔あな〕に通じる階段――黒魔術師アヴァルザウントの物語|クラーク・アシュトン・スミス/リン・カーター
 星から来て饗宴に列するもの――隠遁者イズドゥゴールの物語|リン・カーター
 緑の崩壊――奇跡をおこなう人ナーブルスの物語|ロバート・M・プライス 
第二の書 ムー・トゥーランのエイボンの逸話
 最も忌まわしきもの|クラーク・アシュトン・スミス/リン・カーター
 ウトレッソル|クラーク・アシュトン・スミス/ローレンス・J・コーンフォード/リチャード・L・ティアニー
 『夜の書』への注釈|ロバート・M・プライス
 地を穿つもの|ロバート・M・プライス
 ナスの谷にて|リン・カーター
 シャッガイ|リン・カーター
 ウスノールの亡霊|ローレンス・J・コーンフォード
 霊廟の落とし子|ローレンス・J・コーンフォード
 指輪の魔物|ローレンス・J・コーンフォード
 土星への扉|クラーク・アシュトン・スミス
第三の書 暗黒の知識のパピルス
 暗黒の知識のパピルス|リン・カーター
第四の書 沈黙の詩篇
 ツァトゥグァへの祈願文|リチャード・L・ティアニー
 アトラック=ナチャへの祈願文|リチャード・L・ティアニー
 背教者イズダゴルの祈り|リチャード・L・ティアニー
 大神ヨク=ゾトースへの祈り|リチャード・L・ティアニー
 ギズグスの慰撫|リチャード・L・ティアニー
 ファロールの召喚|リチャード・L・ティアニー
 応えざる神々(魔術師エイボンにより保たれた断片的な『プノムの系図』より)|リチャード・L・ティアニー
 ハオン=ドルの館|リチャード・L・ティアニー
 暗黒の妖術師|リチャード・L・ティアニー
 黙想せる神|リチャード・L・ティアニー
 サイクラノーシュへの扉――あるいはエイボンの挽歌|リチャード・L・ティアニー
 ハイパーボリア――あるいはエイボンの予言|リチャード・L・ティアニー
 ズスティルゼムグニの手先|リチャード・L・ティアニー
 イクナグンニスススズ|リチャード・L・ティアニー
 ウボ=サスラ|マイケル・ファンティナ
 アザトース|マイケル・ファンティナ
 ツァトゥグァ|マイケル・ファンティナ
 ルリム・シャイコース|マイケル・ファンティナ
 灰色の織り手の物語(断章)|アン・K・シュウェーダー
 ムー・トゥーランでのアブホースへの祈願文|アン・K・シュウェーダー
 ヴーアミによる救済の讃歌|アン・K・シュウェーダー
 サクサクルースの懇請|ロバート・M・プライス
第五の書 エイボンの儀式
 緑の崩壊|スティーブン・セニット
 穴から吐き出されしもの|スティーブン・セニット
 イググルルの呪文|スティーブン・セニット
 グローニュの憎悪の呪い|スティーブン・セニット
 プノムの厳命|スティーブン・セニット
 ザスターの連祷|スティーブン・セニット
 フアナ式文|スティーブン・セニット
 リヴァシイの加護|スティーブン・セニット
 イアグサトの悪魔祓い|ジョゼフ・S・パルヴァー
 ヤディスの黒い儀式|ジョゼフ・S・パルヴァー
 ムナールの忘れられた儀式|ジョゼフ・S・パルヴァー
 キノスラブの葬送歌|ジョゼフ・S・パルヴァー
 外なる虚空の儀式|ジョゼフ・S・パルヴァー
 アザトースの灰色の儀式|ジョゼフ・S・パルヴァー
 黒い炎の崇拝|ジョゼフ・S・パルヴァー
 ナグとイェブの黒き連祷|ジョゼフ・S・パルヴァー
 汝の敵を打つためにツァトゥグァを招来せし法|ジョゼフ・S・パルヴァー
 「ヨスの放射」ゾグトゥクを召喚し命を与える法|ジョゼフ・S・パルヴァー
 ズィンの害悪の中を自由に歩く法|ジョゼフ・S・パルヴァー
 夕べの夜|マイケル・シスコ
 [図]イステの消滅の印形|トーマス・ブラウン
 [図]ズガンドロムの九つの五芒星形|トーマス・ブラウン
 [図]緋色の印|トーマス・ブラウン
 [図]三重に描かれた「力の円環」|トーマス・ブラウン
補遺
 炎の侍祭(『ナコト写本』断章千十一の翻訳)|リン・カーター
 月の文書庫より|リン・カーター
 アトランティスの夢魔(クラカシュ=トン、秘儀の祭司の物語)|ロバート・M・プライス
 エイボン書簡|ロバート・M・プライス/ローレンス・J・コーンフォード
  Ⅰ. 弟子ファンティコールへのエイボンの書簡
  Ⅱ. 賢者エイボンから同胞マリノレスとヴァジマルドンへの書簡
  Ⅲ. 弟子たちへの組合へのエイボンの書簡
  Ⅳ. 弟子へのエイボンの第二の書簡、もしくはエイボンの黙示録
  Ⅴ. クソウファムの民へのエイボンの書簡
  Ⅵ. カルヌーラのタボアム王へのエイボンの書簡
翻訳者あとがき



# by urag | 2026-06-07 22:39 | ENCOUNTER(本のコンシェルジュ) | Comments(0)
2026年 06月 01日

注目新刊:元田永孚『還暦之記・古稀之記〈現代語訳〉』藤原書店、ほか

注目新刊:元田永孚『還暦之記・古稀之記〈現代語訳〉』藤原書店、ほか_a0018105_01461780.jpg


★最近出会いのあった新刊を列記します。

現代思想2026年6月号 特集=アラビア哲学――もうひとつの哲学史へ』青土社、2026年5月、本体1,800円、A5判並製246頁、ISBN978-4-7917-1497-1
荻生徂徠全詩(3)』荒井健/田口一郎(訳注)、東洋文庫:平凡社、2026年5月、本体5,000円、B6変型判上製函入356頁、ISBN978-4-582-80934-3
還暦之記・古稀之記〈現代語訳〉』元田永孚(著)、野口宗親(編訳)、藤原書店、2026年5月、本体16,000円、A5判上製728頁、ISBN978-4-86578-499-2
子宝と子返し〈増補新版〉――近世農村の家族生活と子育て』太田素子(著)、藤原書店、2026年5月、本体4,400円、四六判並製496頁、ISBN978-4-86578-497-8
伊都子の食卓〈増補新版〉』岡部伊都子(著)、藤原書店、2026年5月、本体2,700円、四六判並製360頁、ISBN978-4-86578-498-5

★『現代思想2026年6月号』の特集は「アラビア哲学」。版元紹介文に曰く「アラビア哲学の地位は、この百年の間に劇的に変化した。「中世」の概念が一変したことを背景に、アラビア哲学の重要な哲学者の紹介が相次ぎ、彼らが生みだした独特の用語や概念も疎遠ではなくなりつつある。本特集では、ますます注目を集めるこの巨大な伝統に光をあて、その全体像に迫る」と。小村優太さん、アダム・タカハシさん、山内志朗さんの三氏による討議「ギリシャから遠く離れて」に始まり、15本の論考を収録。目次詳細は指名のリンク先でご確認いただけます。

★新連載として山口尚さんによる「東京学派と革命」の第一回「「駒場カルテット」という事件——イントロダクション」が掲載されています。「駒場カルテット」というのは、廣松渉、大森荘蔵、坂部恵、井上忠、の4氏のことで、小林康夫さんが英文で発表した論考「The Komaba Quartet: A Landscape of Japanese Philosophy in the 1970s」に拠っているとのことです。この連載は「廣松・大森・坂部・井上の順で駒場カルテットの面々を論じ、その後の終結部〔コーダ〕においてこれらの男たちのしごとをはみ出す1970年代の革命性に触れる」(198頁)とのことです。

★『荻生徂徠全詩(3)』は、全4巻の第3巻。巻5「七言絶句百十六首」、巻6「七言絶句八十七首」を収録。『荻生徂徠全詩』全4巻は「古文辞の学を唱道した荻生徂徠。典拠を多用した難解なその漢詩全作品を、読み下し、詳細な注、現代語訳により明瞭に読み解く、かつてない試み」。東洋文庫次回配本は6月、『尹致昊日記(10上)1932-1934年』『尹致昊日記(10下)1935年』。全11巻中の第10巻2分冊。

★藤原書店さんの5月新刊は3点。『還暦之記・古稀之記〈現代語訳〉』は、帯文に曰く「明治天皇の“思想的支柱”(ドナルド・キーン評)は、いかなる男であったのか? 明治天皇の侍読・侍講を20年にわたって務め、「教育勅語」の作成に関わるなど、明治の政治・教育に大きな影響を及ぼした元田永孚(もとだ・ながざね, 1818-1891)。自らの生涯に重ねて、歴史の動きや、横井小楠ら関係者の人物像などを、驚異的な記憶力で詳述、権力の中枢にあった人物の自伝という稀有な歴史史料でありながら、難解ゆえに活用されてこなかった書物を完訳。明快に現代語訳し、詳細な注と解題・解説を付した決定版」。

★巻末解説には二書の概要が端的に次のように書かれています(626~627頁)。

『還暦之記』文政元年(1818)~明治11年(1878)
(1)江戸末期の上級武士の家庭とその教育。
(2)藩校時習館の教育およびその改革。
(3)実学党誕生の経緯、展開、離脱、分裂。
(4)家督を継ぎ騎馬使番、京都留守居役、中小姓頭、用人兼奉行等を経験しながら見聞したペリーの浦賀来航依頼、激動する幕末・明治初年における熊本藩や世の中の様子。
(5)侍読・侍講としての元田と明治天皇とのかかわり。
(6)明治初年から西南戦争までの世の中や宮中の動向。
(7)天皇補佐のための侍補の設置および彼ら宮中保守派の天皇親政運動。
などが描かれている。特に実学党の誕生や侍補の設置については、その当事者であったため、貴重な資料となっている。

『古稀之記』明治11年(1878)~明治23年(1890)
(1)還暦の祝いから明治23年新年講書進講までの世の中の動きや宮中の動向。
(2)天皇側近(侍読・侍補・宮中顧問官・枢密顧問官)として、また天皇の寵愛を背景にその政治「顧問(相談役)」として、元田の政治・経済・教育・外交等へのかかわり。
が描かれている。明治の重臣たち(伊藤・岩倉ら)ですら彼の意向を気にした。特に教育面で、明治12年「教学聖旨」以降、従来の知育中心の欧米流教育政策に反対、天皇尊崇や「忠孝」中心の徳育教育に変えるよう教育行政に干渉、結果として「教育勅語」の作成に関わり、その後の国民教育の方針を決定づけた人物であるだけに、その動機や考え、敬意を知るための貴重な資料である。

★『子宝と子返し〈増補新版〉』は、2007年に刊行された教育学者で和光大学名誉教授の太田素子(おおた・もとこ, 1948-)さんの著書の増補版。「近世農村の家族にあった、子どもへの情愛と、丁寧な子育て。嬰児殺し(子返し)、捨子などの事態とそれらをめぐる意識のありようを直視しつつ、日記などの生活記録を丹念に分析し、共感的な理解に満ちた子ども観、仕事を介した大人―子どものコミュニケーションなど、江戸の豊かな人間形成力を描き好評を博した初版に、江戸期の出生抑制・避妊と性愛に焦点をあてた2編を増補」(帯文より)したもの。

★2篇というのは、「「求子」と避妊の社会史――近世前期東北農民の性愛と家族関係」(初出1996年を改稿)と「近世中・後期会津農村にみるセクシュアリティ――産科医と性愛文学についての覚書」(初出1997年を改稿)。「増補新版に際して避妊の研究を少し加えさせていただいた。後嗣確保に関心の深かった近世社会では14世紀中国医学から情報を得て、受胎のメカニズムを考察している。当初は「求子」のためだった考察が、近世後期には避妊への手がかりとして損人に語られる地域もあった。埋もれそうになった避妊の研究が著書の中に残ることになり、とても感謝している」(「増補新版にあたって」vii頁)。

★『伊都子の食卓〈増補新版〉』は、2006年に刊行された随筆家の岡部伊都子(おかべ・いつこ, 1923-2008)さんの著書の増補版。藤原良雄さんによる「編集後記」によると、「食」をテーマにした甘辛社の『あまカラ』誌での連載(1957年~)から“手料理”“手仕事”が書かれた11編を新たに収録したとのこと。巻頭には三砂ちづるさんによる「一ページの宇宙――新版に寄せて」が加わっています。「この本の多くの随筆は200字足らずである。俳句のような随筆。きらめくような才能である。すべての食べ物に岡部伊都子の人生のどこからかが、きりとられ、ひきだされている。随筆とは、人生のひきだされるもの。一ページだけの宇宙を提示するために。それらのきっかけとしての、食べもののひとつひとつは、ただ、愛おしい」(iv頁)。


# by urag | 2026-06-01 01:36 | ENCOUNTER(本のコンシェルジュ) | Comments(0)