2023年 12月 31日
2023年02月16日発売予定:鈴木創士編『アルトー横断――不可能な身体』本体3,200円。 2023年02月02日発売予定:ジョルジョ・アガンベン『バートルビー 新装版』本体2,600円。 ◆最新刊(書籍の発売日は、取次への搬入日であり、書店店頭発売日ではありません) 2023年01月26日発売:ジョルジュ・ディディ=ユベルマン『場所、それでもなお』本体2,600円。 2022年12月21日発売:アレクサンドル・コイレ『イェーナのヘーゲル』本体4,500円、シリーズ・古典転生第28回配本本巻27。 2022年12月15日発売:ジョルジョ・アガンベン『アウシュヴィッツの残りのもの 新装版』本体2,600円。 2022年12月14日発売:築地正明『古井由吉――永劫回帰の倫理』本体3,000円。 2022年11月11日発売:ウィリアム・モリス『小さな芸術――社会・芸術論集Ⅰ』本体2,800円。 2022年10月14日発売:『手先と責苦――アルトー・コレクションⅣ』本体4,500円。 2022年10月13日発売:谷川渥『ローマの眠り』本体2,200円。 2022年10月13日発売:堀千晶『ドゥルーズ 思考の生態学』本体3,200円。 2022年9月21日発売:谷川雁『影の越境をめぐって』本体2,200円。 2022年9月21日発売:谷川雁『戦闘への招待』本体2,400円。 2022年9月16日発売:『カイエーーアルトー・コレクションⅢ』本体5,200円。 2022年8月22日発売:ジョルジュ・バタイユ『マダム・エドワルダ』本体2,200円、叢書・エクリチュールの冒険第21回配本。 2022年8月17日発売:『アルトー・ル・モモ――アルトー・コレクションⅡ』本体4,000円。 2022年8月3日発売:谷川雁『工作者宣言』本体2,200円。 2022年8月3日発売:谷川雁『原点が存在する』本体2,400円。 上原佳久氏書評「革命の時代を遠く離れて」(「朝日新聞」2022年9月17日付「ブックエンド」欄) 2022年7月29日発売:森崎和江『闘いとエロス』本体2,600円。 2022年7月29日発売:森崎和江『非所有の所有――性と階級覚え書』本体2,400円。 ◎2022年7月1日発売:『ロデーズからの手紙――アルトー・コレクションⅠ』本体3600円。 ◎2022年6月27日発売:マルシアル・ゲルー『ザロモン・マイモンの超越論的哲学』本体4,000円、シリーズ古典転生第27回配本本巻26。 ◎2022年6月21日発売:『表象16:アニソン的思考――オーディオヴィジュアルの可能性』本体2,000円。 ◎2022年6月8日発売:カジャ・シルヴァーマン『アナロジーの奇跡』本体3,600円。 ◎2022年5月23日発売:ジョルジョ・アガンベン『創造とアナーキー』本体2,000円、シリーズ〈哲学への扉〉第9回配本。 ◎2022年5月13日発売:長崎浩『国体と天皇の二つの身体』本体3,000円。 ◎2022年5月10日発売:鈴木創士『芸術破綻論』本体3,000円。 ◎2022年4月13日発売:シャルロット・デルボー『誰も戻らない』本体2,400円。 ◎2022年4月1日発売:ダヴィッド・ラプジャード『ちいさな生存の美学』本体2,400円。 築地正明氏書評「よりちいさな実存たちの方へ」(「文藝」2022年秋号) ◎2022年3月25日発売:渡部直己『子規的病牀批評序説』本体2,700円。 杉田俊介氏書評「超差別的な共和国への道――自らの欲望の政治性をも批評的に問いつめること」(「週刊読書人」2022年6月10日付) ◎2022年3月25日発売:樋笠勝士編『フィクションの哲学』本体4,500円、シリーズ・古典転生第26回配本(本巻25) ◎2022年3月3発売:ステファヌ・マラルメ『賽の一振り』本体2,200円、叢書エクリチュールの冒険、第20回配本 ◎2022年2月28日発売:ジョルジョ・アガンベン『散文のイデア』本体2,800円、叢書エクリチュールの冒険、第19回配本 宮﨑裕助氏書評「アガンベン思想の精髄を集約した33の《イデア》――思考を喚起する”アイディア集”として、自由に読みたい」(「週刊読書人」2022年10月14日付) ◎2022年2月18日発売:レイモンド・ウィリアムズ『オーウェル』本体3,200円 ◆販売情報(重版・品切・サイン本、等々) ◎重版出来: 2022年04月19日:甲斐義明編訳『写真の理論』3刷(2017年初刷) 2022年05月26日:久保明教『ブルーノ・ラトゥールの取説』5刷(2019年初刷) 2022年05月27日:ジョルジョ・アガンベン『到来する共同体 新装版』2刷(2015年新装版初刷;2012年初版) 2022年7月11日:森山大道『犬と網タイツ』3刷(2015年初刷) ◎主要品切書目:『舞台芸術05』『舞台芸術08』『表象01』『表象02』『表象03』『表象04』『表象05』『表象07』『表象08』『表象09』『表象12』、毛利嘉孝『文化=政治』、クリフォード『ルーツ』、スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』、ギルロイ『ブラック・アトランティック』、ハーマッハー『他自律』、ブレイエ『初期ストア哲学における非物体的なものの理論』、平井浩編『ミクロコスモス 第1集』、バトラー『自分自身を説明すること』、ユンガー『パリ日記』、ブランショ『書物の不在 初版朱色本』『書物の不在 第二版鉄色本』『謎の男トマ 初版本』、片山廣子『燈火節:随筆小説集成』『新編燈火節』、竹内てるよ『静かなる夜明け』、高柳昌行『汎音楽論集』、大里俊晴『マイナー音楽のために』『ガセネタの荒野』、大竹伸朗『ネオンと絵具箱』、森山大道写真集『新宿』『新宿+』『大阪+』『オン・ザ・ロード』『にっぽん劇場』『何かへの旅』『モノクローム』、森山大道フォトボックス『NOVEMBRE』、中平卓馬『都市 風景 図鑑』、やなぎみわ作品集『WHITE CASKET』、川田喜久治写真集『地図』、遠藤水城編『曽根裕|Perfect Moment』、佐野方美写真集『SLASH』。※書店からの返品で在庫がまれに生じる場合があります。直接、弊社までお電話かメールなどでお尋ね下さい。 ◆出版=書店業界情報:リンクまとめ ◎業界紙系:「新文化 ニュースフラッシュ」「文化通信」 ◎一般紙系:Yahoo!ニュース「出版業界」「電子書籍」「アマゾン」 ◎話題系:フレッシュアイニュース「出版不況」「電子書籍」「書店経営」 ◎新刊書店系:日書連 全国書店新聞 ◎雑談&裏話:5ちゃんねる 一般書籍 ※このブログの最新記事は当エントリーより下段をご覧ください。 ※月曜社について一般的につぶやかれている様子はYahoo!リアルタイム検索からもご覧になれます。月曜社が公式に発信しているものではありませんので、未確定・未確認情報が含まれていることにご注意下さい。ちなみに月曜社はtwitterのアカウントを取得する予定はありませんが、当ブログ関連のアカウントはあります。 #
by urag
| 2023-12-31 23:59
| ご挨拶
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2023年 01月 29日
『レペルトワール Ⅲ:1968』ミシェル・ビュトール[著]、三ツ堀広一郎/中野芳彦/堀容子/ほか[訳]、石橋正孝[監訳]、幻戯書房、2023年1月、本体5,600円、A5判上製512頁、ISBN978-4-86488-265-1 ★『レペルトワール Ⅲ:1968』は、フランスの作家ミシェル・ビュトール(Michel Butor, 1926-2016)の評論集全5巻の第3巻。原著は1968年刊。帯文に曰く「文芸×美術を自在に旋回する、アクロバティックな創作゠批評の饗宴」。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。巻頭の評論「批評と発明」で、ビュトールはこう書いています。「われわれはひとり残らず、巨大な図書館の内部にいて、本と向き合いながら一生を送る。あまりにも多くの本がすでに存在しているため、われわれがこの世を去るまでに読書という営みに割ける時間は限られている以上、すべてを読めるはずもないことは瞬時にして明らかとなる」(12頁)。 ★「図書館はわれわれに世界を与えるか、偽の世界を与えるのだ。時々ひび割れが生じて、現実が書物に反抗し、われわれの眼、言葉、ある特定の本を通して外部がわれわれに合図を送り、われわれは閉じ込められているのだと感じさせる。図書館は城塞になってしまう。/新しい本を付け加えることで、われわれは全表面を再編し、そこにいくつもの窓が穿たれるようになる」(13頁)。 ★「完成はされたものの、著者が没にされる恥辱を怖れて人目に触れさせなかった原稿、書きはじめられたものの、放棄されてしまった原稿、夢見られはしたものの、第一行すらついに掛れずに終わった原稿がどれだけあったことか!〔…〕/本職の小説家とは、われわれの全員が漠然とは思い描きはするが、たいがい断念せざるをえなくなるこの活動を最後までやり切った者であり、その活動をわれわれの代わりに継続してくれている者のことである」(同頁)。 ★「批評的営みは、作品を未完成と見なすことにあり、詩的営み、「霊感」は現実そのものを未完成なものとして明示するのだ。/実践的に。/独創的な作品、発明が現れるたびごとに、それが当初はいかに無意味に思われようとも、その作品を起点にして、われわれが属しているこの世界を改修する必要性が徐々に生じてくる。/いかなる作品も社会参加なのであり、これ以上になく因襲的な作品ですらそうであるのは、あらゆる精神の活動が社会における函数だからである。作品は本質的に創意豊かであればあるほど、変革を迫るものなのだ。/世界は段階的にそれ自身に対する批評を生み出し、われわれのうちで苦心しながら自らを発明しているのである」(24頁)。 『原視紀行――地相と浄土と女たち』石山修武[著]、中里和人[写真]、野田尚稔[解説]、コトニ社、2023年1月、本体3,000円、A5判並製144頁、ISBN978-4-910108-09-4 『現代思想2023年2月号 特集=〈投資〉の時代――金融資本主義・資産運用・自己啓発…』青土社、2023年1月、本体1,600円、A5判並製頁246頁、ISBN978-4-7917-1442-1 『新装版 シェリング著作集(6c)啓示の哲学〈下〉』諸岡道比古[編]、文屋秋栄、2022年6月、本体9,000円、A5判上製536頁、ISBN978-4-906806-10-2 ★『原視紀行』は、建築家の石山修武(いしやま・おさむ, 1944-)さんによる「古く深い日本の地相と歴史をたずねた」「原始旅行のガイドブック」(帯文より)とのこと。書き出しはこうです。「三つの小さな旅の記録であるが、風景は皆大きい。/一、フォッサマグナ、糸魚川日本海沿岸の旅。/二、奥州平泉、そしていわき市白水の浄土庭園の旅。/三、伊勢松坂をめぐる旅」(7頁)。「位置は列島における大地溝帯とシャーマニズム探訪を目的とした」(同頁)。「二は奥州平泉の列島最大級の浄土式庭園が藤原氏一族の女性たちの完成と構想力の産物であろう〔こと〕を、探ろうとした」(8頁)。「三は列島文化の象徴でもあろう天皇の社である伊勢大社を、大社周辺から考えようと試みた」(同頁)。「旅は古きを訪ねるが極上である」(9頁)という著者の思いに中里さんの写真が見事に呼応する美しい一書です。 ★『現代思想2023年2月号 特集=〈投資〉の時代』は、版元紹介文に曰く「国家・企業・家庭など様々な次元を横断しながら〈投資〉なるものを多方面から検討する。為替や財政問題に耳目が集まる昨今、資本主義と向き合うためのキーワードとしての〈投資〉について、それを内側から組み替えるような試みにも迫りながら、その内実を問う」と。人文学にとって金融資本主義の批判的考察はもっとも重要な課題のひとつです。2018年3月号の特集「物流スタディーズ」などと並んで繰り返し特集化されることを期待したいです。 ★先週、8月刊の第2巻と一緒に取り上げそびれた『新装版 シェリング著作集(6c)啓示の哲学〈下〉』は、『啓示の哲学』第二部全14講(第24講~第37講、1858年刊;諸岡道比古訳)のほか、付録として『積極的哲学の諸原理の別の演繹』諸岡道比古訳、『ベルリンでの第一講 1841年11月15日』諸岡道比古訳、を収録。解説も訳者の諸岡さんがお書きになっています。『啓示の哲学』は「シェリング哲学の総決算」(帯文より)。燈影版『シェリング著作集』では『啓示の哲学』の第1講~第8講を収録した5b巻のみ刊行でした。文屋秋栄版で全訳が叶いました。 ★続いて、藤原書店さんの1月新刊4点。 『女がみた一八四八年革命(下)』ダニエル・ステルン[著]、志賀亮一/杉村和子[訳]、藤原書店、2023年1月、本体4,400円、四六判上製704頁、ISBN978-4-86578-373-5 『震災復興はどう引き継がれたか――関東大震災・昭和三陸津波・東日本大震災』北原糸子[著]、藤原書店、2023年1月、本体5,300円、A5判上製512頁+カラー口絵8頁+モノクロ口絵4頁、ISBN978-4-86578-376-6 『アイヌの時空を旅する――奪われぬ魂』小坂洋右[著]、藤原書店、2023年1月、本体2,700円、四六判上製352頁、ISBN978-4-86578-377-3 『高校生のための「歴史総合」入門――世界の中の日本・近代史(2)欧米の「近代」に学ぶ』浅海伸夫[著]、藤原書店、2023年1月、本体3,000円、A5判並製472頁、ISBN978-4-86578-370-4 ★特記したいのは2点。まず1点目は、先月の上巻刊行に続く下巻の発売で全2分冊完結となる、ステルン『女がみた一八四八年革命』(原著1850/1853年刊)。帯文に曰く「マルクス『共産党宣言』で知られる1848年とは、どういう時代だったか!? ジャーナリスト〈ダニエル・ステルン〉として活躍したマリー・ダグー伯爵夫人が描きつくした1848年革命は、ブルジョワジーではなくプロレタリアートによる革命、民衆の時代の幕開けだった!! 民衆の喚声と慟哭と鬨の声が聞こえる名著、初の邦訳刊行!」と。「人民は、自身の運命の主人公なのだ」(1279頁)という彼女の言葉は、いまなお貧困の解決と、教育と生活の改善を追究し続けている170年後の現代人にとって、痛切な響きを帯びています。 ★もう1点。『震災復興はどう引き継がれたか』は、災害史研究の碩学、北原糸子(きたはら・いとこ, 1939-)さんの著書『関東大震災の社会史』(朝日新聞出版、2011年)を第二部とし、第一部の書き下ろし「「近代復興」の起点・継承・その終焉――関東大震災・昭和三陸津波・東日本大震災」と併せ、第三部に「関東大震災・資料篇」を加えた大冊。関東大震災百周年記念出版、とのこと。2023年は関東大震災をめぐるテレビ特番や研究書などが一定数世に問われる一年となるのでしょう。遠からず日本を襲うかもしれない大地震などに備えて、各種防災本やグッズと併せ、書店さんでコーナー展開されても良いような気がします。 #
by urag
| 2023-01-29 23:09
| ENCOUNTER(本のコンシェルジュ)
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2023年 01月 26日
◎2022年1月28日発売:鈴木創士編『連合赤軍』本体2,700円 小杉亮子氏書評「世界の変革とそのための運動とは――現在の問いとしての連合赤軍」(「週刊読書人」2022年4月15日付) ◎2021年12月16日発売:アンドレアス・マルム『パイプライン爆破法――燃える地球でいかに闘うか』本体2,400円 栗原康氏書評「燃える地球 止めるにはもはや」(「信濃毎日新聞」2022年4月9日付) ◎2021年12月13日発売:『多様体4:書物/後世』本体2,500円 ◎2021年12月2日発売:青柳いづみこ『花を聴く 花を読む』本体1,800円 ◎2021年11月17日発売:永山則夫『法廷調書』本体2,500円 #
by urag
| 2023-01-26 16:51
| 販売情報
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2023年 01月 26日
月曜社1月新刊、ジョルジュ・ディディ=ユベルマン『場所、それでもなお』(「場所、それでもなお」1998年、『樹皮』2011年、『暗闇から出ること』2018年を合本、江澤健一郎編訳)の委託分を本日26日、取次に搬入いたしました。書店様への着荷予定は来週から順次となる見込みです。 #
by urag
| 2023-01-26 16:46
| 販売情報
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2023年 01月 22日
★最近出会いのあった注目新刊を列記します。 『悪意の科学――意地悪な行動はなぜ進化し社会を動かしているのか?』サイモン・マッカーシー=ジョーンズ[著]、プレシ南日子[訳]、インターシフト[発行]、合同出版[発売]、2023年1月、本体2,200円、四六判並製272頁、ISBN978-4-7726-9578-7 『阿弥衆――毛坊主・陣僧・同朋衆』桜井哲夫[著]、平凡社、2023年1月、本体3,800円、4-6判上製286頁、ISBN978-4-582-84238-8 ★『悪意の科学』は、アイルランドのトリニティ・カレッジ准教授で、幻覚症状の専門家であるサイモン・マッカーシー=ジョーンズ(Simon McCarthy-Jones)の著書『Spite: The upside of your dark side』(Basic Books, 2021)の訳書。「悪意は人間が他者に欲しない特性であり、「すべての人に危害を及ぼす」悪徳であると〔ジョン・ロールズは〕言っている。だが、これは本当だろうか? 悪意をより詳しく検証していくと、異なる側面が見えてくる」(12頁)と著者は言います。 ★「というのも、どうやら悪意には善を促す力があるようなのだ。悪意はわたしたちが自分を高め、何かを創造する助けとなることもある。しかも、必ずしも協力の妨げになるとは限らない。実際のところ、悪意は逆説的に協力を促すこともある。また、必然的に不公平を生み出すわけではなく、不公平をなくすための最強のツールの1つとなることもある。不公平や正しがたい不平等がある限り、人間には悪意が必要なのだ」(同頁)。 ★「利己、利他、協力、悪意という4つの顔〔…〕人間は多面的であり、〔…〕自分自身を理解するには1つの面だけではなく、自分のすべての面を理解する必要があるのだ」(13頁)。目次詳細や巻末解説などが書名のリンク先で立ち読みできます。 ★『阿弥衆』は、平凡社選書の最新刊。フーコー論などで知られる東京経済大学名誉教授で社会学者、足利市の時宗・真教寺44世住職を務める桜井哲夫(さくらい・てつお, 1949-)さんによる、諸芸に通じた阿弥の名(阿号、阿弥号)を持つ歴史上の群像の実態に迫る研究書です。 ★このほか、昨年下半期の既刊書のなかで、購入が少し遅れたため取り上げそびれていた注目書を列記します。 『ジョルダーノ・ブルーノ著作集(2)聖灰日の晩餐』ジョルダーノ・ブルーノ[著]、加藤守通[訳]、東信堂 2022年11月、本体3,200円、A5判上製192頁、ISBN978-4-7989-1774-0 『ユングの芸術』C・G・ユング著作財団[編]、山中康裕[訳]、青土社、2022年10月、本体18,000円、B5変型判上製272頁、ISBN978-4-7917-7341-1 『メタモルフォーゼの哲学』エマヌエーレ・コッチャ[著]、松葉類/宇佐美達朗[訳]、勁草書房、2022年10月、本体3,000円、4-6判上製224頁、ISBN978-4-326-15484-5 『身体諸部分の用途について(2)』ガレノス[著]、坂井建雄/池田黎太郎/福島正幸/矢口直英/澤井直[訳]、京都大学学術出版会、2022年10月、本体3,100円、四六変判上製288頁、ISBN 978-4-8140-0423-2 『寛容書簡』ロック[著]、山田園子[訳]、京都大学学術出版会、2022年9月、本体4,500円、四六判上製464頁、ISBN978-4-8140-0436-2 『新装版 シェリング著作集(2)超越論的観念論の体系』久保陽一/小田部胤久[編]、深谷太清/前田義郎/竹花洋佑/守津隆/植野公稔[訳]、久保陽一/小田部胤久[解説]、文屋秋栄、2022年8月、本体8,000円、A5判上製452頁、ISBN978-4-906806-11-9 『ストーリーが世界を滅ぼす――物語があなたの脳を操作する』ジョナサン・ゴットシャル[著]、月谷真紀[訳]、東洋経済新報社、2022年7月、本体2,000円、四六判並製320頁、ISBN978-4-492-44469-6 ★『聖灰日の晩餐』は、「ジョルダーノ・ブルーノ著作集」第5回配本。16世紀のイタリアの哲学者ブルーノが2年半にわたる英国滞在中に執筆したイタリア語著作のうちの、2番目の対話篇『La cena de le ceneri』(1584年)の訳書です。底本はフランスのベル・レットル社より刊行されたジョヴァンニ・アクィレッキアによる校訂版(1994年)。帯文に曰く「地動説の解釈や聖書の記述内容との矛盾をめるぐ論争を通して〔…〕コペルニクスとも異なった独自の「宇宙の無限性」を考察」した「熾烈な哲学論議」。奥付の発行月は9月になっていますが、実際の店頭発売は11月になった様子です。 ★『ユングの芸術』は、『The Art of C. G. Jung』(Norton, 2018)の訳書。トーマス・フィッシャー、メデア・ホッホ、ウルリッヒ・ヘルニ、ベッティーナ・カウフマン、ジル・メリック、ダイアン・フィニエッロ・ツェルヴァスの6氏による、ユングの芸術作品(デッサン、絵画、彫刻、など)の紹介本。帯文に曰く「本書では未発表の芸術作品も数多く紹介し、その変遷と芸術的意義を明らかにする」もの。高額ですが、関連する絵画も含めてフルカラーの贅沢な大型本です。 ★『メタモルフォーゼの哲学』は、イタリアの哲学者で現在フランスの社会科学高等研究院で教鞭を執っているエマヌエーレ・コッチャ(Emanuele Coccia, 1976-)のフランス語の著書『Métamorphoses』(Rivages, 2020)の全訳。「メタモルフォーゼとは、二つの身体が同じ一つの生であるという奇跡である」(183頁)と著者は書きます。「わたしが本書で示したかったのは、こうした関係がイモムシやチョウに限定されるのではなく、世界のすべての身体のあいだに存在し、そして生きているすべての身体と地球とのあいだに存在しているということだった」〔同頁〕。コッチャの単独著の既訳書には、『植物の生の哲学――混合の形而上学』(嶋崎正樹訳、勁草書房、2019年)があります。「新しいエコロジーの試み」と訳者が評している『メタモルフォーゼの哲学』とともに、大陸哲学の先端を形成する重要作となっています。 ★『身体諸部分の用途について(2)』は、西洋古典叢書の2022第2回配本で、全4巻中の第2巻。帯文に曰く「ローマ帝政期ギリシア人医学者による解剖学の主著の一つ。〔…〕本分冊では腹部内臓と栄養の問題、および胸部内臓と生命精気の問題が取り扱われる。本邦初訳」。西洋古典叢書でのガレノスの訳書は、1998年『自然の機能について』、2005年『ヒッポクラテスとプラトンの学説(1)』(全2冊予定)、2011年『解剖学論集』、2016年『身体諸部分の用途について(1)』に続いて5冊目。同叢書の次回配本はまもなく発売と聞く、ボエティウス『哲学のなぐさめ』松﨑一平訳。 ★『寛容書簡』は、「近代社会思想コレクション」の第34巻。帯文に曰く「為政者の寛容義務に関する約15年にわたる論戦を綴った未完を含む4通の書簡、3通のプロウストの反論を収める」と。4通のうちもっとも有名な第一書簡『寛容書簡』は「寛容についての書簡」として近年までに複数の訳書が誕生していますが、4通の翻訳は今回が初めてです。第一寛容書簡の底本は1690年の英語版第二版(修正版)。ラテン語初版(1689年)からのウィリアム・ポプルによる英訳で、英訳初版と英訳第二版とラテン語のニュアンスが異なる個所については適宜注記されています。なお抄訳となっているのは、ロックの「第三寛容書簡」と、ジョン・プロウストの反論書簡の2通目「一六九一年反論」です。 ★『超越論的観念論の体系』は、「新装版 シェリング著作集」の第7回配本。『System des transzendentalen Idealismus』(1800年)の訳書です。帯文に曰く「若きシェリングの主著にして、フィヒテの『全知識学の基礎』とヘーゲルの『精神現象学』を媒介する、ドイツ観念論の最重要著作」。既訳には古いものですが、赤松元通訳『先験的観念論』(古今書院、1930年;『先験的観念論の体系』蒼樹社、1948年;1949年)がありました。新装版著作集の残りはあと5巻となりました。 ★『ストーリーが世界を滅ぼす』は米国の文学研究者ゴットシャル(Jonathan Gottschall, 1972-)の近著『The Story Paradox: How Our Love of Storytelling Builds Societies and Tears them Down』(Basic Books, 2021)の訳書。「技術と文化が激変する時代に、物語が私たちの心を狂わせ、私たちをそれぞれ異なる現実の中に閉じ込め、社会を分断しようとしている」(28頁)と著者は警告します。フェイクニュースに翻弄されるポスト・トゥルース時代に生きる現代人にとって示唆的な本です。認知心理学者のスティーブン・ピンカーに賞賛され、歴史家ティモシー・スナイダーからは手厳しい評言を下されています。米田綱路さんの書評「単純化へとなびかせる力」もご参照ください。なおゴットシャルの既訳書には『人はなぜ格闘に魅せられるのか――大学教師がリングに上がって考える』(松田和也訳、青土社、2016年)があります。 #
by urag
| 2023-01-22 23:28
| ENCOUNTER(本のコンシェルジュ)
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