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2019年 10月 14日

注目新刊:安藤礼二『列島祝祭論』作品社、ほか

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★まず最初にここ最近で出会った新刊を列記します。

列島祝祭論』安藤礼二著、作品社、2019年10月、本体2,600円、46判上製364頁、ISBN978-4-86182-773-0
ともがら(朋輩)』中原文夫著、作品社、2019年10月、本体1,100円 46判上製104頁、ISBN978-4-86182-780-8
東洋/西洋を越境する――金森修科学論翻訳集』金森修著、小松美彦/坂野徹/隠岐さや香編、読書人、2019年10月、本体3,800円、四六判上製272頁、ISBN978-4-924671-41-6
贈与論――資本主義を突き抜けるための哲学』岩野卓司著、青土社、2019年9月、本体2,800円、四六判並製340頁、ISBN978-4-7917-7213-1

★『列島祝祭論』は、文芸評論家で多摩美術大学准教授の安藤礼二(あんどう・れいじ:1967-)さんが集英社の月刊文芸誌「すばる」に連載した「列島祝祭論」(全25回、2016年7月号~2018年9月号)が元になっており、それに加筆修正を加えて一冊としたものです。主要目次は以下の通り。

翁の変容
翁の発生
国栖
小角
修験
空海
天台
一遍
後醍醐
後記 後醍醐から現在へ
古典作品からの引用および謝辞
人名索引

★「現在を知り、現在を根本から変革していくためには政治の革命、現実の革命のみならず宗教の革命、解釈の革命こそが必要なのである。その系譜を知り、理論においても実践においても、引き継ぐことが必要なのである。そのために列島の祝祭の起源、その原型にさかのぼる必要がある。近代的な天皇の起源である中世的な天皇にさかのぼり、さらには天皇という概念そのものをいったん解体してしまう必要がある。再構築は、あるいは脱構築は、そうした徹底的な解体、解釈の――批評の――徹底からしか生まれないであろう」(348頁)。

★『ともがら』は、小説家・中原文夫(なかはら・ふみお:1949-)さんによる書き下ろし小説。「熟年で緊迫する生の葛藤、迷走する二人の奇妙な交感」と帯文にはあります。二人というのは、主人公の男性「水野」と、その学生時代の友人で、病院で偶然主人公と再会したもう一人の男性のことです。人生の黄昏時の風景が淡々と描かれています。「周りから侮られているような気がして、しばらく体を強張らせていた水野は、ここは開き直る時だと思い立ち、背に浴びる視線を弾いてにらみ返すつもりで勢い込んで後ろに振り向いた。だが、彼の独り相撲をあざ笑うかのように、すでに誰の視野にも水野は入っておらず、何事もなかったような談笑の渦が目の前にあった。拍子抜けした水野は前に向き直って目をつむり、腕を組んでうなだれた」(90頁)。

★『東洋/西洋を越境する』は、科学思想史家の金森修(かなもり・おさむ:1954-2016)さんが1995年から2013年にかけてフランス語で公刊してきた8つの論考を、隠岐さや香、近藤和敬、山口裕之、東慎一郎、田中祐理子、香川知晶、田口卓臣、の各氏が日本語訳して1冊としたもの。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。巻頭には東京大学名誉教授・芳賀徹さんによる「推薦の辞――越境のスリル、そして輝き」と、編者代表の小松美彦さんによる「まえがき」が配され、巻末に全業績一覧と略年譜が掲出されています。科学史の偉大な先達である伊東俊太郎さんは「若くしてフランスに留学し、かの地の科学思想を研究し、それを我が国に本格的に紹介し発展させた夭折の英才は、また日本の思想にも鋭い考察の眼を向けていた。東西にまたがる注目すべき学究の力技の成果を、広く世に推したい」と帯に推薦文を寄せておられます。

★『贈与論』は、『ジョルジュ・バタイユ――神秘経験をめぐる思想の限界と新たな可能性』(水声社、2010年)、『贈与の哲学――ジャン=リュック・マリオンの思想』(明治大学出版会、2014年)に続く、明治大学教授・岩野卓司(いわの・たくじ:1959-)さんの3冊目の単独著。白水社の月刊誌「ふらんす」での連載「新・呪われた部分――贈与に憑かれた思想家たち」(全12回、2015年4月号~2016年3月号)を全面的に加筆改稿し、書き下ろしを加えたもの。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。「商取引としての交換、互酬的な贈与交換、返礼なき贈与は、これからの世の中で、ひとつに還元されることなく、お互いに関係をもちながら、それぞれの役割を果たしていくことになる。これらの多様な交換と贈与の現象を、僕らは交換、贈与と返礼、貸し借りといった解釈の次元にとどまらず、もっと根本から考えていくべきである。そしてその根本は、動物や人間の動物性とも深くかかわっており、人間と動物の関係の問い直しにもつながってくるのだ」(273頁)。「来るべき世紀は贈与の思想から始まることになるだろう」(276頁)。中沢新一さんは本書への推薦文のなかで「贈与は一貫してフランス思想の通奏低音であった。〔…〕現代フランス思想を読み解く鍵は実に贈与の中にある」と記されています。

★続いて、しばらく言及できていなかったここ数か月の注目既刊書から何点か列記します。

ジョン・ケージ 作曲家の告白』ジョン・ケージ著、大西穣訳、アルテスパブリッシング、2019年7月、本体1,600円、小B6判上製128頁、ISBN978-4-86559-206-1 
シュタイナーの瞑想法 秘教講義3』ルドルフ・シュタイナー著、高橋巖訳、春秋社、2019年6月、本体2,400円、四六判上製216頁、ISBN978-4-393-32549-0
シュタイナーの瞑想・修行論 秘教講義4』ルドルフ・シュタイナー著、高橋巖訳、春秋社、2019年7月、本体4,800円、四六判上製576頁、ISBN978-4-393-32550-6
インテグラル理論』ケン・ウィルバー著、加藤洋平監訳、門林奨訳、日本能率協会マネジメントセンター、2019年6月、本体2,800円、A5判変型並製408頁、ISBN978-4-8207-2734-7

★『ジョン・ケージ 作曲家の告白』は、ナショナル・インターカレジエイト・アーツ・カンファレンスでの講演「作曲家の告白」(1948年)と、京都賞受賞講演「自叙伝」(1989年)の2本を収めた日本版オリジナルの自伝的講演集。前者から印象的な言葉を引きます。

★「パーソナリティには二つの主要な部分があります。私たちのほとんどは、無数の方法と方向性によって意識と無意識が分け隔てられています。音楽の機能は、他のあらゆる健康的な時間の使用と同様に、分離されたそれらを、もう一度繋げ合わせようよすることにあります。時空間への意識が喪失するとき、個人を作る複数の要素が統合され、音楽が人を一つにする瞬間を提供するのです。これは、音楽があり、怠惰で注意散漫にならないように気をつけてさえいれば、生じることです。/今日、多くの人々の時間の使用は、健康的でないどころか、実践することで病気になってしまうような代物です。なぜならそれは、個人の一部分を発展はさせますが、他の部分には害を与えるからです。もたらされた不調は、当初は心理的なものであり、人は仕事から離れ、休暇をとることによってそれを除去しようとします。しかし結局は上手くいかず、しまいに病気は全体の組織を攻撃するようになるのです」(48頁)。

★「神経症は、作曲を制止させ、阻止する振る舞いをします。作曲が可能であるということ、それはこの障害が克服されたことを意味します。/東洋世界で言われているように、無私に、つまり金や名誉を気にかけることなく、単純に作ること自体を愛することから作曲を始めるならば、それは統合的な活動であり、人はその一生の瞬間に、完璧で満たされていると感じるでしょう。ときに作曲することによって、ときに楽器を演奏することによって、ときに単純に聴くことによって、これが生じるのです」(49頁)。

★『シュタイナーの瞑想法 秘教講義3』は帯文に曰く「1903年から09年までの、神智学協会での秘教講義と、個人的な瞑想指導の記録」。「朝と夜の主要練習」より、「朝」のパートを引きます。「目が覚めたら、できるだけすぐに、一切の外から来る感覚印象と一切の日常生活の記憶とから注意を引き離す。この空になった魂の中をまず「しずけさ」(Ruhe)という思いで充たす。この「しずけさ」の思いがからだ中に浸透するようでなければならない。/しかし、これはごくわずかな間(二秒から五秒まで)に生じる。次に、ほぼ五分間、魂を次の七行のマントラで充たす。/光を放射するすがたかたち/霊の輝く波立つ海/魂はあなたたちから離れた/魂は神性の下にいた/魂の本性がそこにやすらいでいた/生存の外皮の領界へ/私の「自我」は意識して歩み入る」(73~74頁)。さらにこの先にも重要なインストラクションがありますが、それは本書の現物をご確認下さい。

★『シュタイナーの瞑想・修行論 秘教講義4』は帯文に曰く「4つの重要な著作と講演を収録」。『人間の自己認識へのひとつの道――八つの瞑想』(1912年刊)、『オカルト上の進歩の意味 全十講』(1913年連続講義)、『霊界の境域――格言風の考察』(1913年刊)、『人智学 21年後の総括――同時に世界の前でそれを代表するときのための指針 全九講』(1924年連続講義)。シュタイナーは人智学を「現代の人間賛歌」なのだと説きます(「人智学 21年後の総括」第一講、376頁)。「人智学協会は人びとの心のもっとも深い憧れを人びとに語らしめる道を見出さなければなりません。そのときこそ、人びとの心は、この上なく深い憧れと共に答えを求め続けることでしょう」(同頁)。付録として訳者の高橋巖さんの講演「人智学とは」(2018年12月23日、京都)が収められています。『秘教講義』第3巻と第4巻の巻末解説はそもに飯塚立人さんがお書きになっています。

★『インテグラル理論』は『A Theory of Everything: An Integral Vision for Business, Politics, Science and Spirituality』(Shambhala Publications, 2000)の訳書で、『万物の理論――ビジネス・政治・科学からスピリチュアリティまで』(トランスビュー、2002年)の全面的改訳版です。発売2か月となる8月末時点で3刷を数えています。数多くあるウィルバー(Kenneth Earl "Ken" Wilber Junior, 1949-)の著書の中でも代表的な主著と言っていいと思います。帯文に曰く「「ティール組織」のベースにもなった未来型パラダイムの入門書」と。かのフレデリック・ラルーによるベストセラー『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』(英治出版、2018年)に、ウィルバーによる「本書に寄せて」という一文が収録されているのは、周知の通りです。

★今回の改訳版の第5章「インテグラル理論を活用する」から引きます。「私の見解では、人々が苦しむ原因として、リベラル派は外面的な要因を重視しがちであり、保守派は内面的な要因を重視しがちなのだ。言い換えれば、誰かが苦しんでいるとき、典型的なリベラル派は外面的な社会制度を非難する傾向にあり(「あなたが貧乏な生活を送っているのは、社会によって不公平な扱いを受けているからだ」)、それに対して、典型的な保守派は、内面的な要因を非難する傾向にある(「あなたが貧乏な生活を送っているのは、あなたが怠け者だからだ」)」(208頁)。「大事な点はこうだ。統合的な政治、リベラル派の最良の部分と保守派の最良をひとつに結びつける政治を実現するための第一歩は、内面象限の原因と外面象限の原因の両方が、等しく現実のものであり、等しく重要であるということを認識することなのである。〔…〕要するに、真に統合的な政治は、内面領域の発達と外面領域の発達の両方を重視するものになるはずなのである」(209頁)。

★これは『エデンから――超意識への道』(松尾弌之訳、講談社、1986年、絶版;原著『Up from Eden: A Transpersonal View of Human Evolution』初版1981年、新版1996年)の最終章でも論及されていたことですが、残念ながら訳書はとうの昔に絶版になっており、古書価が高止まりしているように見受けます。ちなみにウィルバーの訳書は一度も文庫化されていません。分断と断片化の時代においてウィルバーの思索と探求は忘却すべきではないもののひとつです。

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by urag | 2019-10-14 23:57 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2019年 10月 07日

月曜社11月新刊:ラシード・ブージェドラ『ジブラルタルの征服』

2018年11月1日取次搬入予定 *文芸/外国文学・マグレブ文学

ジブラルタルの征服
ラシード・ブージェドラ[著] 下境真由美[訳]
月曜社 2019年11月 本体:3,000円 46判並製292頁 ISBN: 978-4-86503-086-0

アマゾン・ジャパンにて予約受付中

黄色、それから黄色っぽい色、そしてまた黄色……アルジェリアを舞台に過去と現在、歴史と虚構が交錯し、再説されるたびに差異を孕み、ズレが生じていく。真偽をめぐる境界の曖昧さのアレゴリーと、フィクションによる史実の征服。精密かつ流麗な仕掛けが動き出す。小説とはつまり挑発であり挑戦なのだ。冒険は読者とともに始まるだろう。複数の言語が入り乱れるマグレブ文学の快作。【叢書・エクリチュールの冒険、第14回配本】

冒頭部分より:
黄色、それから黄色っぽい色、そしてまた黄色。クレーン、というよりむしろもっと具体的には、まるで空と―― 一般に――呼ばれているものからおおよそなりたっている青い物質の中を突進する矢のように往来をやめない、等距離間を駆けめぐるのをやめないアームが空中に飛び出す。空をかき回し、掃き出し、まるで――クレーンのアームは――押しのけられた翼のように――いずれにせよ――台座の先で動き回っているのだが、その台座をなしているもう一方の翼からは、完全に独立して勝手に動いている。台座は地面に固定されているというか、それよりも――むしろ――つながれているかのようだ。そのせいでクレーンの腕は、もつれた紺碧の一種の天の布地の中にもろに浸っているかのように見える。そして、いわば正方形、長方形、菱形、円形等々にこの布地を分断し、ゆったりと、機械的で、反復的で、同一の大きな動きを見せている。そして何といっても黄色。それから黄色っぽい色。そしてまた黄色! 太陽の前を通るたびに、影の中を通るたびに。絶え間なく繰り返される往来は、金槌の一撃でへこまされたかのように、多少いびつだったり多少平板だったりする楕円形をした一種の円形に沿っている。この楕円は変形し、平らにされ、幾分押しつぶされたように、少々膨張している。その一方で、クレーンの固定された部分は足かせをはめられたかのように、永久に不動でいることを強制されているかのように、縛りつけられ、ロープでくくりつけられ、紐で結わえつけられ、ケーブル、平衡錘、留め具によって重くなり、地面に奥深く埋め込まれた根のように見える。・・・

原著:La prise de Gibraltar, Denoël, 1987 (MAARAKAT AZZOUKAK, ENAL, 1986).

ラシード・ブージェドラ(Rachid Boudjedra)1941年、アルジェリア東部のアイン・バイダに生まれる。1969 年、小説第一作『離縁』がフランスで「恐るべき子供たち賞」を獲得し、一躍注目を集めるが、アルジェリアで発禁となり、パリに亡命。1972年から1975年までをモロッコのラバトで過ごしたのち、アルジェリアに帰国。小説の他、詩、戯曲、エッセーと幅広い活動を繰り広げ、現在アルジェリアを代表する作家の1 人である。訳書に『離縁』(福田育弘訳、国書刊行会、1999年)がある。

下境真由美(しもさかい・まゆみ)セルジー・ポントワーズ大学にて博士号取得(比較文学)。現在、オルレアン大学准教授。フランス語圏マグレブ文学、ポスト・コロニアル文学、比較文学専攻。訳書にラシード・ミムニ『部族の誇り』(水声社、2018年)がある。

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by urag | 2019-10-07 23:59 | 近刊情報 | Trackback | Comments(0)
2019年 10月 07日

続報:ブックフェア「『ブルーノ・ラトゥールの取説』をより深く読むために」

ブックファースト新宿店地下1階Bゾーン人文書売場にて好評開催中のブックフェア「『ブルーノ・ラトゥールの取説』をより深く読むために」に、久保明教さん選書による10点が加わっています。フェアは10月15日(月)まで開催予定です。

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by urag | 2019-10-07 23:50 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2019年 10月 06日

注目新刊:國分功一郎『原子力時代における哲学』晶文社、ほか

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原子力時代における哲学』國分功一郎著、晶文社、2019年9月、本体1,800円、四六判並製320頁、ISBN978-4-7949-7039-8
ホモ・デジタリスの時代――AIと戦うための(革命の)哲学』ダニエル・コーエン著、林昌宏訳、2019年9月、本体2,200円、4-6判並製240頁、ISBN978-4-560-09721-2
AI時代の労働の哲学』稲葉振一郎著、講談社選書メチエ、2019年9月、本体1,600円、四六判並製224頁、ISBN978-4-06-517180-6
蛸――想像の世界を支配する論理をさぐる』ロジェ・カイヨワ著、塚崎幹夫訳、青土社、2019年9月、本体3,000円、四六判並製328頁、ISBN978-4-7917-7182-0
ムー認定 神秘の古代遺産』並木伸一郎著、ムー編集部編、学研プラス、2019年9月、本体2,400円、B5判並製256頁、ISBN978-4-05-406737-0
ムー認定 驚異の超常現象』並木伸一郎著、ムー編集部編、学研プラス、2019年9月、本体2,400円、B5判並製256頁、ISBN978-4-05-406738-7

★『原子力時代における哲学』は巻頭の特記によれば、2013年7月から8月にかけて4日間にわたって行われた連続講演の記録で、書籍化にあたり口述筆記に大幅な加筆修正を施した、とのこと。「一九五〇年代の思想」「ハイデッガーの技術論」「『放下』を読む」「原子力信仰とナルシシズム」の全四講で、付録の論考「 ハイデッガーのいくつかの対話篇について──意志、放下、中動態」は、2018年9月15日に行われた「ハイデガー・フォーラム」第13回大会において口頭発表されたもの。講義の中心となるのは、ハイデガーの1955年の講演「放下」と、それに先立つこと10年前に執筆された対話篇「放下の所在究明に向かって」の読解です。「放下」の最初に掲げられていた問いはこうです。「原子時代の人間に果してなほ何等かの土着性が授けられるであらうか」(辻村公一訳「放下」5頁、『ハイデッガー選集15』所収、理想社、1963年)。

★國分さんは『放下』を次のように評価します。「1950年代、原子力時代の最中、原子力という問題に直面して、その技術としての問題点にだれよりも早く気付き、危機感を抱いた哲学者は、哲学がこの問題に立ち向かうためには、ここまで〔そもそも「考える」とは何か、思惟の本質とは何か、を巡る会話まで〕やらなければならないと考え、それを実行したわけです。これは原子力時代における哲学の一つの達成です」(249頁)。対話篇「放下の所在究明に向かって」はどこか秘教的に響く詩的に美しい内容であるだけに、そこに深遠な意味をつい読み込んでしまいがちかもしれませんが、國分さんの読解はとてもシンプルで明快であり、ハイデガーの問題意識を真芯で捉えたものではないかと感じます。

★國分さんは原子力信仰に、人間の心の奥にある「全能感へのナルシシズム的な憧れ」(279頁)を見ます。そして、人間はそれを乗り越えなければならないと訴えます。「知性の声は弱々しい。しかし執拗である」(286頁)との言葉に力強さを感じます。なお、本書と同じく9月には、青土社さんから内山田康さん『原子力の人類学――フクシマ、ラ・アーグ、セラフィールド』が発売されています。また、國分さんの本や稲葉振一郎さんの『AI時代の労働の哲学』には必然的とも言うべきか、贈与の問題系が絡んでくるのですが、これまた青土社さんから同じく先月に、岩野卓司さんによる『贈与論――資本主義を突き抜けるための哲学』という新刊が出ています。併読しておくべきかと思われます。

★青土社さんでは6月にも石井美保さんの『めぐりながれるものの人類学』や、藤原辰史さんの『分解の哲学――腐敗と発酵をめぐる思考』といった話題書を刊行されており、このところの青土社さんの単行本新刊からは目が離せません。

★『ホモ・デジタリスの時代』は『Il faut dire que les temps ont changé... Chronique (fiévreuse) d’une mutation qui inquiète』(Albin Michel, 2018)の全訳。原題は直訳すると『「時代は変わったと言うべき……」――懸念される変化の(うなされるような)編年史』で、訳者あとがきによればこれはフランス語の流行歌の一節を引用しているそうです(著者自身による自著紹介の動画と一緒に、当該曲と思しい歌の動画を下段に掲出しておきます)。



★フランスの経済学者コーエン(Daniel Cohen, 1953-)は本書のイントロダクションでこう書いています。「彼ら〔ホモ・デジタリス〕は、オンラインに接続された外在性そのものであり、農民よりも狩猟採集民に近い。彼らのアルゴリズムに基づく暮らしによって文明の行方が決まる。われわれは、ホモ・デジタリスが誕生した経緯である怒りや不満を理解し、そこにないまぜになった感情――この時代を生きる人々の無頓着さや幸福感について把握しなければならない。それは、人類の遺産でもある人文知について心を向けることである。この責務を怠ることはもう許されないのだ。/ホモ・デジタリス誕生の歴史は今から50年前に始まった。つまり、「68年5月」が出発点なのだ」(12頁)。

★「暗中模索した後、脱工業化社会は一つの筋道を見出したようだ。この道筋にはデジタル社会という名前がつけられた。デジタル社会は、「収益」を確保するために全員に対し、サイバネティックスな巨大な身体に座薬のように参入することを要求する。それは、一つの情報を別の情報として扱えるようにするためだ。ソフトウェアや人工知能は、無数の顧客に対し、介護士、アドバイスを与え、娯楽を提供するようになる。そのための条件は、顧客があらかじめデジタル化されていることだ。たとえば、近未来を描く映画『her/世界でひとつの彼女』には、「恋愛」ソフトウェアが登場する。ソフトウェアから流れる魅力的な声の持ち主は女優スカーレット・ヨハンソンである。このソフトウェアは、一度に何と数百万人と恋愛するのだ。これこそがホモ・デジタリスの掲げる約束であり、人体の限界を超えた世界で交わされる約束である」(16頁)。

★『AI時代の労働の哲学』は「人工知能技術の発展が社会に、とりわけ労働に及ぼすインパクトについて考える際に」、現代人がいかなる「知的道具立て」を持っているのかどうかを「点検」するもの(「はじめに」3頁)。「議論全体の基調としては「『AI』だの『人工知能』だのといった目新しい言葉をいったん脇に置いて、資本主義経済の下での機械化が人間労働に与えるインパクトの歴史を振り返っておく必要がある」というものです」(3~4頁)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。本書のエピローグ「AIと資本主義」ではそもそも資本主義とは何か、が問われていますが、あとがきによれば、稲葉さんはいずれ『資本主義の哲学』を上梓する予定だそうです。なお本書とほぼ同時期に、ちくまプリマー新書より稲葉さんのもう一つの新刊『銀河帝国は必要か?――ロボットと人類の未来』が発売されています。

★『蛸』は、中央公論社より1975年に刊行された単行本の復刊(原著は1973年刊『La Pieuvre : essai sur la logique de l'imaginaire』)。再刊に際し、巻末に訳者による2頁にわたる「『蛸』――新版のための解説」が付されています。今回は四六判並製となりましたが、親本は一回り大きく左右が長めのものでした。そのため今回の新版はいささか窮屈な感じがしないでもないですが、長らく絶版だった訳書が再刊されたことはやはり嬉しいです。日本版への序から文言を借りると本書は「蛸の多様な変身を研究したもの」(2頁)。「長い年月のあいだに、民族や文明とともに、ときには文学の流儀や作家の空想に影響されながら、蛸のイメージはさまざまに変化してきた。この場合、つねに想像が現実にとってかわった。私にはそう思われた」(同頁)。本書の後半は親本にあった通りに、訳者によるかなり長篇のカイヨワ紹介(著書の紹介など)を再録していて、読み応えがあります。NHKの「100分de名著」に『戦争論』が取り上げられたことによりカイヨワ再評価のとっかかりが生まれたことを喜びたいです。

★『ムー認定 神秘の古代遺産』および『ムー認定 驚異の超常現象』は月刊誌『ムー』創刊40周年記念のいわば総集編(誌面の復刻版ではありません)。月刊誌『ムー』と同じB5判サイズで黒いカバーに金箔とレインボー箔、金と銀の帯がついて書店さんの店頭での存在感は抜群です。全編オールカラー。大きなカラー図版が惜しげもなくたくさん掲載されています。これで本体価格が2千円台前半とは、学研プラスさんでなければなしえないでしょう。大人になってすっかり超常現象や世界の不思議に懐疑的になった大人でも、在りし日のワクワク感がよみがえります。『神秘の古代遺産』は、水晶ドクロ、オーパーツ、古代都市、ピラミッド、日本の古代文明、超文明の残滓、聖書遺産、古代神と異人類、ナスカ、の9部構成。『驚異の超常現象』は、ロズウェル事件、UFO事件、異星人事件、宇宙のUFO、UFOコンタクティ、奇現象、怪奇事件、虚舟、の8部構成。

★まもなく発売となるちくま学芸文庫の10月新刊は以下の4点5冊です。

『事物のしるし――方法について』ジョルジョ・アガンベン著、岡田温司/岡本源太訳、ちくま学芸文庫、2019年10月、本体1,100円、文庫判224頁、ISBN978-4-480-09949-5
『ローマ教皇史』鈴木宣明著、ちくま学芸文庫、2019年10月、本体1,200円、文庫判288頁、ISBN 978-4-480-09950-1
『村上春樹の短編を英語で読む 1979~2011』上下巻、加藤典洋著、ちくま学芸文庫、2019年10月、本体1,300円/1,200円、文庫判432頁/320頁、ISBN978-4-480-09945-7/978-4-480-09946-4
『戦略の形成――支配者、国家、戦争(下)』ウィリアムソン・マーレー/マクレガー・ノックス/アルヴィン・バーンスタイン編著、石津朋之/永末聡監訳、歴史と戦争研究会訳、ちくま学芸文庫、2019年10月、本体1,800円、文庫判688頁、ISBN978-4-480-09942-6

★『事物のしるし』は2011年に筑摩書房より刊行された単行本の文庫化。原著は『Signatura rerum: Sul Metodo』(Bollati Boringhieri, 2008)。はしがき、第一章「パラダイムとはなにか」、第二章「しるしの理論」、第三章「哲学的考古学」、の3章構成。岡田温司さんによる「新たなる方法序説――訳者あとがきにかえて」は単行本から引き継いだもの。共訳者の岡本源太さんが新たに、「パラダイムの倫理としるしの法――文庫版解題として」を寄せておられます。

★『ローマ教皇史』は1980年に教育社から刊行された単行本の文庫化。「初代教会時代」「ローマ末期の教会時代」「西欧中世初期」「西欧中世盛期」「西欧中世末期とルネサンス時代」「禁断世界の教皇職」「現代の教皇たち」の7章構成。巻頭の「はじめに」によれば、ゲオルク・シュヴァイガー『教皇史』(原著1964年)を参照しているとのことです。文庫解説として藤崎衛さんによる「二十一世紀の宗教を見とおすためのよすが」が新たに付されています。巻末にペトルスからフランシスコに至る「教皇表」あり。

★『村上春樹の短編を英語で読む 1979~2011』は2011年に講談社より刊行された単行本を上下巻分冊で文庫化。初出は2009年から2011年にわたり「群像」誌に掲載された連載です。第一部「初期 物語と無謀な姿勢」、第二部「前期 喪失とマクシムの崩壊」、第三部「中期 孤立と危機」、第四部「後期 回復と広がり」の4部構成。上巻と下巻に2部ずつ収録されています。下巻の巻末には小説家の松家仁之さんによる解説「戦後が生んだふたり」が収められています。

★『戦略の形成』下巻は、先月刊行の上巻に続く完結編。親本は2007年に中央公論新社より刊行。下巻では、ヴィルヘルム・ダイストによる第十二章「イデオロギー戦争への道――ドイツ(1918~1945年)」からマクレガー・ノックスによる第十九章「おわりに――戦略形成における連続性と革命」を収録。監訳者の石津さんによる解題「戦略の多義性と曖昧性について」は親本から引き継いだもの。同じく石津さんによる文庫版監訳者あとがきは新たに加わったものです。

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★また最近では以下の新刊との出会いがありました。

ゲンロン10』ゲンロン、2019年9月、本体2,400円、A5判並製328頁、ISBN978-4-907188-32-0
文藝 2019年冬季号』河出書房新社、2019年10月、本体1,350円、A5判並製560頁、ISBN978-4-309-97985-4
演劇とその分身』アントナン・アルトー著、鈴木創士訳、河出文庫、2019年10月、本体900円、文庫判並製256頁、ISBN978-4-309-46700-9
ゲームAI技術入門──広大な人工知能の世界を体系的に学ぶ』三宅陽一郎著、技術評論社、2019年9月、本体2,780円、A5判並製384頁、ISBN978-4-297-10828-1
良い占領?――第二次大戦後の日独で米兵は何をしたか』スーザン・L・カラザース著、小滝陽訳、人文書院、2019年9月、本体4,000円、4-6反上製496頁、ISBN978-4-409-51081-0
〈災後〉の記憶史――メディアにみる関東大震災・伊勢湾台風』水出幸輝著、人文書院、2019年10月、本体4,500円、4-6判上製390頁、ISBN978-4-409-24126-4

★『ゲンロン10』は第2期の第1弾。造本設計は加藤賢索さんから川名潤さんに代わっています。お値段は本体2,400円で据え置き。目次詳細は誌名のリンク先をご覧ください。予告通り、東浩紀さんは巻頭言ではなく長篇論考を寄せておられます。「悪の愚かさについて、あるいは収容所と団地の問題」です(27~69頁)。「加害そのものの愚かさを記憶し続けること」(66頁)へと向けられた重要な内容。小特集は2本、「平成から令和へ」と「AIと人文知」です。前者は東さんの論考と併読されるべき2本の対談から成ります。後者では特に山本貴光さんと吉川浩満さんによるブックガイド「人工知能と人文知を結ぶ15の必読書」に注目したいです。ライプニッツの「普遍的記号法」から始まるのがお二人らしいところ。昨今急激に増えている人文系のAI関連書の淵源を知る上で参考になると思います。



★『文藝 2019年冬季号』の特集は「詩(うた)・ラップ・ことば」。いとうせいこうさんと町田康さんの対談「うた、ラップ、小説  日本語の自由のために」や、尾崎世界観さんの小説「バズの中にはおよそシェア100万個分の栄養素が含まれている」のほか、韻踏み夫さんの論考「ライミング・ポリティクス試論――日本語ラップの〈誕生〉」などが掲載されています。そのほか、北野武さんの創作「足立区島根町」、第56回文藝賞の受賞作2作なども収録。「ゲンロン」最新号でもご活躍の山本さんは連載季評「文態度百般」を、吉川浩満さんは島田正彦さんの『君が異端だった頃』への書評を寄せておられます。川名潤さんは連載「この装幀がすごい!」第3回で共和国さんの既刊書2点『いやな感じ』『遊郭のストライキ』を取り上げておられます。

★『演劇とその分身』はまもなく発売。『Le Théâtre et son double』(Gallimard, 1938)の新訳です。既訳には、安堂信也訳(『演劇とその形而上学』白水社、1965年;全面新訳版『アントナン・アルトー著作集(Ⅰ)演劇とその分身』白水社、1996年;新装復刊版、2015年)があります。河出文庫でのアルトー本は『神の裁きと訣別するため』『タラウマラ』『ヘリオガバルス』に続き、今回で4点目です。「人間と人間の力能のいつもの限界化を拒絶するように仕向け、そして現実と呼ばれるものの境界を無限に広げるように仕向ける〔こと〕。〔…〕この時代にまだ地獄のような真に呪われた何かがあるとすれば、火刑台の薪の上で燃やされ、合図を送る死刑に処せられる人々のようでいる代わりに、ぐずぐずと芸術的に諸々の形式にかかずらうことである」(序「演劇と文化」18頁)。

★『ゲームAI技術入門』はプログラミング技術情報誌『WEB+DB PRESS』の第68号(2012年4月)の特集3「はじめてのゲームAI――意思を持つかのように行動するしくみ」をもとに、大幅加筆修正を行って書籍化したもの。「はじめに」によれば本書の目的は「デジタルゲームAIの現時点における全容を示すこと」。目次詳細は書名のリンク先でご確認下さい。なお三宅さんは先にご紹介した『ゲンロン10』の「AIと人文知」特集で、長谷敏司さんや大森望さんらとの座談会「AI研究の現在とSFの想像力」に参加されています。また、本書の関連書として三宅さんは『人工知能の作り方――「おもしろい」ゲームAIはいかにして動くのか』(技術評論社、2016年12月)や『人工知能のための哲学塾』(BNN新社、2016年8月)、『人工知能のための哲学塾 東洋哲学篇』(BNN新社、2018年4月)を上梓されています。

★『良い占領?』は『The Good Occupation: American Soldiers and the Hazards of Peace』(Harvard University Press, 2016)の全訳。「本書の目的は、占領を成功させる手順を示すことではなく、第二次世界大戦の生きた経験という卑金属を、黄金の国家伝説にかえた錬金術を解明することである。言い換えるなら、占領は、その最中と事後において、どのように良いものにされていったのかを問う、ということである」(20頁)。「本研究は、アメリカ各地に所蔵された、未刊行の手紙・日記・回想録など、数百店のコレクションに依拠して、男女の兵士を考察の中心に据える。占領を実行した人々は、その危険と、そこから得られる見返りをどんな風に語っただろうか? 私的な日誌や故郷への手紙に戦後の経験を記す際、どんな自己理解を作り上げただろうか?」(21頁)。カラザース(Susan L. Carruthers, 1967-)はアメリカの歴史学者でウォーリック大学教授。訳書の刊行は今回が初めてです。

★『〈災後〉の記憶史』はまもなく発売(15日取次搬入予定)。著者の水出幸輝(みずいで・こうき:1990-)さんが2018年4月に関西大学大学院社会学研究科に提出した博士論文「「防災の日」のメディア史――日本社会における災害認識の変遷」に加筆修正を施したもの。「本書は、災害の来し方行く末をテーマとして、長い〈災後〉を辿るものである。/新聞報道を中心に、災害間、地域間、時代ごとの比較を通じ、日本社会が災害の記憶をいかに語ってきたかを追跡してきた。時間的にも空間的にも発災(時・場所)に限定されず、災害とメディアの長期的な関係を紐解く試みである」(376頁)。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。

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by urag | 2019-10-06 23:53 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2019年 10月 02日

注目新刊:淵田仁『ルソーと方法』法政大学出版局、ほか

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◆淵田仁さん(ウェブ連載:ルソー『化学教程』)
先月初の単独著『ルソーと方法』を刊行されました。本書を中心とした淵田さんご自身によるコメント付き選書リスト「どう考え、どう語るのか」を哲学するための5冊」がhontoのブックツリーで公開されています。

ルソーと方法
淵田仁著
法政大学出版局 2019年9月 本体4,800円 A5判上製372頁 ISBN978-4-588-15104-0
帯文より:〈山師〉とは誰か? 自らのエクリチュールを山師のやり口と称し、啓蒙の知を知たらしめる規範的方法を斥けた、孤高のフィロゾーフ、ルソー。そのきわめて特異で、真に哲学的な問題意識に迫る。

主要目次:
はじめに
序論 方法をめぐる問い
第一部 認識の方法
 第一章 コンディヤックの分析的方法
 第二章 ルソーの能力論
 第三章 分析への抵抗と批判
第二部 歴史の方法
 第四章 「歴史家」の問題
 第五章 『人間不平等起源論』における歴史記述
 第六章 自己の歴史の語り
結論 山師とは誰か
あとがき
文献表
事項/人名索引

◆清水知子さん(著書:『文化と暴力』、共訳:バトラー『自分自身を説明すること』『権力の心的な生』)
◆毛利嘉孝さん(著書:『文化=政治』、共訳:ギルロイ『ブラック・アトランティック』、クリフォード『ルーツ』)
先月刊行されたアンソロジー『コミュニケーション資本主義と〈コモン〉の探求』に論考を寄稿されています。清水さんは第Ⅱ部「コミュニケーション資本主義と生権力」の第7章「生(バイオ)資本主義時代の生と芸術──クトゥルー新世・人工生命・生哲学」を担当され、毛利さんは第Ⅲ部「コミュニケーション資本主義における抗争」の第9章「資本主義リアリズムからアシッド共産主義へ」を担当されています。

コミュニケーション資本主義と〈コモン〉の探求――ポスト・ヒューマン時代のメディア論
伊藤守編
東京大学出版会 2019年9月 本体5,000円 A5判上製296頁 ISBN978-4-13-050198-9
帯文より:コミュニケーション資本主義とは、米国の政治学者ジョディ・ディーンが提唱した概念であり、制御と資本の論理に分かちがたく結びついた、膨大な量の情報とメタデータが算出され循環する社会のことである。/コミュニケーション資本主義の4つの特徴。1.主体の発話や文字言語による投稿メッセージが「経済的なロジック」によって数として計測されること。2.「経済的ロジック」主導の情報空間の内部に極度のヒエラルヒーが構築されること。3.公開性の拡大が、「秘密」の領域を拡張するとともに、公共圏の市場化も強化していること。4.電子的ネットワーク、ソーシャルメディアが情動的ネットワークとして機能していること。

◆中井亜佐子さん(寄稿:「革命と日常」、翻訳:ジェームズ「勝利」、ともに『多様体1』所収)
◆溝口昭子さん(寄稿:「「国民未満」から対自的民衆へ」、翻訳:ドローモ「民衆と芸術家」「アフリカ人のヨーロッパ人に対する考え」、ともに『多様体1』所収)
今月刊行されたアンソロジー『イギリス文学と映画』に論考を寄稿されています。中井さんは第1部第11章「複製技術時代の〈作者の声〉」の「ジョウゼフ・コンラッドの『闇の奥』からフランシス・コッポラ監督の『地獄の黙示録』へ」を担当され、溝口さんは第1部第14章「擦れ違いの力学」のコラム9「南アフリカ英語文学は「南アフリカ英語映画」になる?」を担当されています。

イギリス文学と映画
松本朗編集責任 岩田美喜/木下誠/秦邦生編
三修社 2019年10月 本体3,200円 A5判並製408頁 ISBN978-4-384-05930-4
帯文より:〈文学〉と〈映画〉との長く複雑な関係性――二者の交錯と葛藤が生み出した、クリエイティヴな〈翻案〉の歴史を読み解く。『ハムレット』、『高慢と偏見』、『嵐が丘』などの古典から、近年の『わたしを離さないで』や『SHERLOCK』まで。

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by urag | 2019-10-02 15:33 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2019年 10月 01日

取次搬入日決定:水野浩二『倫理と歴史』、アガンベン『書斎の自画像』

シリーズ〈哲学への扉〉の第4回配本と第5回配本は同日発売です。水野浩二『倫理と歴史―― 一九六〇年代のサルトルの倫理学』、ジョルジョ・アガンベン『書斎の自画像』の取次搬入日は、日販、大阪屋栗田、トーハン、ともに10月3日(木)です。書店さんの店頭に並び始めるのは来週以降になるかと思われます。どの書店さんで扱いがあるかについては、地域をご指定いただければお知らせいたします。
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by urag | 2019-10-01 14:33 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)