人気ブログランキング |

ウラゲツ☆ブログ

urag.exblog.jp
ブログトップ

<   2019年 07月 ( 11 )   > この月の画像一覧


2019年 07月 28日

注目新刊:バーマン『世界の再魔術化』新版として再刊、ほか

a0018105_03411618.jpg


デカルトからベイトソンへ――世界の再魔術化』モリス・バーマン著、柴田元幸訳、文藝春秋、2019年7月、本体3,800円、A5判並製456頁、ISBN978-4-16-391021-5
真昼の盗人のように――ポストヒューマニティ時代の権力』スラヴォイ・ジジェク著、中山徹訳、青土社、2019年7月、本体2,600円、四六判並製375+iii頁、ISBN978-4-7917-7183-7
ロジェ・カイヨワ『戦争論』――内なる禍々しきもの』西谷修著、NHKテキスト、2019年8月、A5判並製133頁、ISBN978-4-14-223101-7
戦争の記憶――コロンビア大学特別講義:学生との対話』キャロル・グラック著、講談社現代新書、2019年7月、本体840円、新書判200頁、ISBN978-4-06-515430-4
人口論』マルサス著、永井義雄訳、中公文庫、2019年7月、本体900円、文庫判296頁、ISBN978-4-12-206762-2
小林秀雄 江藤淳 全対話 小林秀雄/江藤淳著、中公文庫、2019年7月、本体840円、文庫判256頁、ISBN978-4-12-206753-0

★『デカルトからベイトソンへ』は国文社より1989年に刊行されたものの再刊です。原著『Reenchantment of the World』は1981年刊。「新版のための訳者あとがき(のようなもの)」によれば、「復刊にあたって訳文に若干手を入れた。大きな変更はないが、「~のである」「~なのだ」ふうの断定的口調を全体に少し和らげた。注に挙げられた書物のうち、その後邦訳が刊行された書物については情報を追加した」とのことです。あらたに巻末に、ドミニク・チェンさんによる「精神のプロクロニズムと情感の演算規則〔アルゴリズム〕」が付されています。目次は以下の通りです。

紹介|佐藤良明
謝辞
序章 近代のランドスケープ
第1章 近代の科学意識の誕生
第2章 近代初期ヨーロッパの意識と社会
第3章 世界の魔法が解けていく(1)
第4章 世界の魔法が解けていく(2)
第5章 未来の形而上学へ向けて
第6章 エロスふたたび
第7章 明日の形而上学(1)
第8章 明日の形而上学(2)
第9章 意識の政治学
原注
用語解説
訳者あとがき|柴田元幸
新版のための訳者あとがき(のようなもの)|柴田元幸
復刊に寄せて 精神のプロクロニズムと情感の演算規則|ドミニク・チェン
索引

★「今日、どうすればふたたび精神と社会の安定を取り戻せるのか。その答えはかなり漠然としたものにならざるをえない。いずれにせよ、科学的世界観は、その本質からして必然的に、世界を生の魔法から解き醒ますものであったのであり、したがって近代という時代は、発生当時から大きな不安を内在させていたのであって、数世紀以上その安定を維持することは、もともときわめて困難だった。これは本書の大前提のひとつである。人間の歴史の99%以上にわたって、世界は魔法にかかっていた。人間は自らをその世界の欠かせない一部として見ていたのだ。わずか400年余りで、こうした認識がすっかり覆され、その結果、人間的経験の連続性、人間精神の全体性が破壊されてしまったのである。そればかりか、地球そのものがいまや破壊の一歩手前まで来てしまった。ふたたび魔法を蘇らせることにしか、世界の再生はないように感じられる」(23~24頁)。

★「ここに近代のディレンマの核がある。我々はもういまや錬金術やアニミズムには戻れない。だがもう一方の道はと言えば、原子炉とコンピューターと遺伝子工学がすべてを牛耳る、陰惨な、すべてが管理された、科学至上主義の世界である。その世界はもうほとんど実現しかけている。そんな世界に吸い込まれつつある我々が、何とか種としての生存を保とうとするなら、何らかの形での全体論的意識――すなわち「参加する意識」――を育み、その新しい意識によって社会・政治形態を新しく組み直していかねばならない」(24頁)。「ロバート・ハイルブローナーが思い描いたように、200年後の人びとは、ウォール街やヒューストンのコンピューター・センターを消滅した文明の興味深い遺跡として訪れるのかもしれない。だがそれまでに、何が本当にリアルなのかということの認識が劇的に変革されていなくてはならない」(同)。

★帯文には落合陽一さんによる推薦文が印刷されています。「読了後、20代の僕の認識は決定的に変容した。その熱量はセカイへのシニカルな嘲笑を乗り越えさせ、『魔法の世紀』と『デジタルネイチャー』を僕に書かせた。計算機の魔術性を突破し、主体性を回復するための必読書」。

★『真昼の盗人のように』は『Like a Thief in Broad Daylight: Power in the Era of Post-Human Capitalism』(Allen Lane, 2018)の全訳。訳者の中山さんは本書を『絶望する勇気――-グローバル資本主義・原理主義・ポピュリズム』(中山徹/鈴木英明訳、青土社、2018年)の続篇としての側面をもっている、と「訳者あとがき」で指摘しています。目次詳細は書名のリンク先でご覧いただけます。「われわれの文明を文明化するためには根本的な社会変革――革命――が必要であるという結論は、避けられない。新たな戦争が新たな革命をもたらすという希望をもつ余裕は、われわれにはない。新たな戦争が起これば、それは革命ではなく、おそらくそれ以上に、既存の文明の終わりを意味するからだ。そのとき生き残るのは(いれば、のはなしだが)、小さな権威主義者たちの集団だけであろう。しかしながら、この文明を文明化するプロセスをさまたげる主な障害は、宗教セクトによる原理主義的暴力ではなく、むしろ、それとはいっけん対立するもの、シニカルな無関心である」(331頁)。



★なおジジェクとラクラウ、ジュディス・バトラーらの共著『偶発性・ヘゲモニー・普遍性――新しい対抗政治への対話』(竹村和子/村山敏勝訳、青土社、2019年7月)が今月新装版として復刊されています。この新装版には新たに山本圭さんの解説が付されていると聞き及んでいます。

★『ロジェ・カイヨワ『戦争論』』は8月にEテレで放送される「100分de名著」のテキスト。カイヨワの『戦争論――われわれの内にひそむ女神ベローナ』(秋枝茂夫訳、法政大学出版局、1974年;新装版、2013年)を題材に、全4回で構成されます。以下に目次を掲げます。

はじめに 人間にとって戦争とは何か
第1回 近代的戦争の誕生(8月5日放送、7日再放送)
第2回 戦争の新たな次元「全体戦争」(12日放送、14日再放送)
第3回 内的体験としての戦争(19日放送、21日再放送)
第4回 戦争への傾きとストッパー(26日放送、28日再放送)

★「「人権」の理念こそが、戦争の苦悶と悲嘆の中から「女神ベローナ」が生み出したもう一つの「聖なるもの」だといってもいいでしょう。この「人権」を、わたしたち自身のものとして、すべての人びとのものとして、粘り強く現実化していくことが、たとえそれがハイテク化された世界の中では愚鈍なふるまいに見えるとしても、避けがたく露わな「戦争への傾き」に対する最も基本的な「堰き止め」になるのではないでしょうか。だからこそ、いまわたしたちが『戦争論』を読む意味もあるのです」(132頁)。

★『戦争の記憶』は、2017年11月から2018年2月にかけて、ニューヨークのコロンビア大学にて全4回で行なわれた、学生との対話の記録です。『ニューズウィーク日本版』に全4回の特集「コロンビア大学特別講義」として掲載されたもの(第1回「戦争の物語」2017年12月12日号;第2回「戦争の記憶」2018年3月20日号;第3回「「慰安婦」の記憶」2018年3月27日号;第4回「歴史への責任」2018年4月3日号)をまとめたもので、「はじめに」と「おわりに」や3本のコラム(「パールハーバー」「慰安婦が世界にもたらしたもの」「原爆~その原因と結果」)が併載されています。関連する記事は『ニューズウィーク日本版』のウェブサイトで読むことができます。著者は「はじめに」でこう書いています。「過去の戦争についてのそれぞれの国民の物語がぶつかり合い、現在において政治的かつ感情的な敵対心が生まれている。こうした「記憶の政治」にうまく対応するための一つの方法は、他国の「記憶」を尊重しつつ、それぞれの記憶に「歴史」をもっと加えていくことだ」(4頁)。

★またこうも述べています。「私たちは戦争の記憶について意見を交換し合い、自分だけの見方にともなう限界や、複数の見方に触れることで得られる利点について、お互いから学び合った。全4回を通じて、学生たちは過去(歴史)についてより多くの知識を得ることや、多様な見方(記憶)を尊重すること、そして過去と未来の両方(歴史と記憶の両方)に責任を持つことの必要性を語っていた。/学生たちが対話を通して明らかにしたように、私たちに変える責任があるのは過去ではない。未来なのだ」(8頁)。

★中公文庫7月新刊より2点。『人口論』は1973年9月刊の文庫の改版(新組)で、中公文庫プレミアム「知の回廊」の最新刊。巻末の「編集部付記」によれば、「訳注のうち、地名の表記については、編集部の判断で新たな情報に改めた箇所がある」とのことです。改版にあたり、新たに藤原辰史さんによる解説「人間の不完全性」が付されています。「制御できない欲望を抱え込み、欲望の広がりを認め、疲労と共存する人間の不完全性と、人間が掘り起こせる自然の力の限界を前提にしつつ、それでも貧困が少なくなり、市場からはじかれた人間の生存を共同でフォローできる社会を構想することは難しいだろうか。/感嘆であれば、今頃世界はこんなに暗くはなかっただろう。だが、不可能であれば、今頃世界はもっと暗かったに違いない。計画と放任のあいだ。自然と人工のあいだ。理想と現実のあいだ。『人口論』が図式化したこの二項対立は現代社会でも生きている」(290~291頁)と藤原さんは本書の意義を認めておられます。なお、藤原さんは先月二冊の新刊を上梓されています。一冊は自著『分解の哲学――腐敗と発酵をめぐる思考』(青土社)であり、話題書となっています。もう一冊は編書で『歴史書の愉悦』(ナカシニヤ出版)です。

★『小林秀雄 江藤淳 全対話』は文庫オリジナル編集で、2氏の全対談5篇が発表年代順に並び、関連作品が併録したたもの。目次は以下の通り。


美について
孤独を競う才能
歴史と文学
歴史について
伝統回復あせる(江藤淳)
三島君のこと(小林秀雄)
『本居宣長』をめぐって
小林秀雄氏の『本居宣長』(江藤淳)

第九回新潮社文学賞選後感(小林秀雄)
江藤淳「漱石とその時代」(小林秀雄)
言葉と小林秀雄(江藤淳)
絶対的少数派(江藤淳)
解説 三島由紀夫氏の死をめぐる小林秀雄と江藤淳(平山周吉)

★1970年11月26日の日経新聞に掲載さっれた江藤さんの談話「伝統回復あせる」より引きます。「もとより国外に出て戦争を始めるというわけにはいかない。イラ立ちは必然的に、同胞のなかに敵を探す行動に移る。「仲間のうちで悪いヤツは誰なのだ!」――その問いがイラ立ちをまぎらせる逃げ道となる。/私たちは戦争中の戦後の極度の食糧欠乏に耐えてきた。占領軍がパンパンを小わきに街を闊歩する屈辱にも耐えてきた。しかし、目に見えぬこのイラ立ちには、耐えられないというのだろうか。/私は、現在の「日本人が日本の運命をしっかり握れぬ時代」はなお続くと考えている。待ちきれぬ人はまだ今後も形を変えて過激な行動に出ることだろう。待ちきれずに異常な行動に走るのは、一言でいえば「普通の日本人との連帯」を信じきれなくなった悲しい人たちである」(167頁)。この評言より半世紀経とうという今でも、現代人はその分析内容に立ち帰る必要があるように思われます。

★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。

ヒップホップ・レザレクション――ラップ・ミュージックとキリスト教』山下壮起著、新教出版社、2019年7月、本体3,200円、A5判変型264頁、ISBN978-4-400-31090-7
「差別はいけない」とみんないうけれど。』綿野恵太著、平凡社、2019年7月、本体2,200円、4-6判並製320頁、ISBN978-4-582-82489-6
心の病気ってなんだろう?』松本卓也著、平凡社、2019年7月、本体1,400円、4-6判並製288頁、ISBN978-4-582-83809-1
世界戦争の世紀――20世紀知識人群像』桜井哲夫著、平凡社、2019年7月、本体6,400円、A5判上製848頁、ISBN978-4-582-70361-0
移動する民――「国境」に満ちた世界で』ミシェル・アジエ著、吉田裕訳、藤原書店、2019年7月、本体2,200円、四六変型上製168頁、ISBN978-4-86578-232-5
詩情のスケッチ――批評の即興』新保祐司著、藤原書店、2019年7月、本体2,500円、四六判上製288頁、ISBN978-4-86578-233-2
ヒロシマの『河』――劇作家・土屋清の青春群像劇』土屋時子・八木良広編、藤原書店、2019年7月、本体3,200円、A5判並製360+カラー口絵12頁、ISBN978-4-86578-231-8
後藤新平と五人の実業家――渋沢栄一・益田孝・安田善次郎・大倉喜八郎・浅野総一郎』後藤新平研究会編著、藤原書店、2019年7月、本体2,700円、A判5並製240頁、ISBN978-4-86578-236-3

★『ヒップホップ・レザレクション』は帯文に曰く「異色の歴史神学にしてヒップホップ研究の新たなクラシック」と。序章には「本書の目的はヒップホップをアフリカ系アメリカ人の宗教的伝統に位置づけることをとおして、ヒッポホップがアフリカ系アメリカ人のヒップホップ世代に対して果たす救済的機能を明らかにすることである」(2頁)。「ヒップホップが示すのは、ヒップホップ世代の若者は協会やキリスト教といった宗教に批判的であるだけでなく、新しい宗教性を構築しているということである。そのような、いっけん宗教とは無縁に見えるヒップホップの宗教性が示す、インナーシティに生きる人々の生の豊かさを、本書をとおして感じ取っていただけると幸いである」(12~13頁)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。印象的な造本設計は宗利淳一さんによるもの。

★平凡社さんの7月新刊より3点。『「差別はいけない」とみんないうけれど。』は批評家・綿野恵太(わたの・けいた:1988-)さんの単独著第一作。「セクハラやヘイトスピーチが跡を絶たないのは、「差別はいけない」と叫ぶだけでは解決できない問題がその背景にあるからである。本書は、彼/彼女らの反発を手がかりにして、差別が生じる政治的・経済的・社会的な背景に迫っていきたい」(8頁)。「本書は、みんなが差別を批判できる時代は望ましいという立場をとるが、スケープゴートというかたちで、差別批判が「炎上」として消費されることには抵抗したい、本書はその抵抗のための手がかりになりたい、と考えている」(17頁)。「経済と差別というふたつの領域で平等を求める闘いをすべきだ」(314頁)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。同書は発売と同時に重版が決まったそうです。同書の書評をご執筆予定の千葉雅也さんは「『「差別はいけない」とみんないうけれど。』は、『欲望会議』と一緒に読んで欲しい本」とツイートされています。

★『心の病気ってなんだろう?』はシリーズ「中学生の質問箱」の第12弾。「はじめに」に曰く「この本では、最初に心の病気について全般的なことを話したあとで、心の病気をひとつひとつとりあげて、心の病気を「わかる」ための手がかりを提供したいと思います」(7頁)。「心の病気ってどういうもの?」「心の病気の人はどんなふうに困っているの?」「心の病気でもくらしやすい社会ってつくれるの?」の3章立て。ご自身の診察された経験だけでなく、ヤスパース、クルト・シュナイダー、テレンバッハ、フロイト、ラカン、中井久夫、木村敏、信田さよ子さんらの臨床も参照しているとのことです。「「心の病気というのはそもそも回復しやすい(直りやすい)ものだ」と考えることが必要です」(273頁)。「「回復する」ということは、前の状態とは違う形の生き方を手に入れられるようになることです」(274頁)。

★『世界戦争の世紀』は「二つの世界戦争という政治現象を柱にしつつ、その流れのなかに翻弄され続けたヨーロッパ知識人の思想と行動をからめながら、二十世紀の歴史と思想を跡づけようとする」試み(24頁)。「第一次世界大戦と精神の危機」「戦間期の政治運動と知識人たち」「収容所と亡命の時代」の三部構成。『戦争の世紀』(1999年)とその2つの続編『戦間期の思想家たち』(2004年)、『占領下パリの思想家たち』(2007年)を基盤にした新規の書き下ろしである、と「あとがき」にあります。A5判で800頁を超える大冊です。

★本書に登場する人物たちが帯に列記されているので、転記しておきます。複数出てくる同姓は索引を参照しカッコ内に名を補足します。「アラゴン、アーレント、アロン、ウィルソン(ウッドロー/エドマンド)、ヴェイユ(アンドレ/アントワーヌ/シモーヌ:1909-43/シモーヌ:1927-2015、ベルナール)、エリュアール(ガラ/ポール)、カミュ、ガリマール(ガストン/ミシェル)、カンギレム、ケインズ、ゲッベルス、サルトル、サン=テグジュペリ(アントワーヌ・ド/コンスエロ)、ジッド(アンドレ/シャルル)、ジノヴィエフ、スヴァーリン、スターリン、ダラディエ、チャーチル、デア、デリダ、ド・ゴール、ド・マン(アンリ/ポール)、ドリュ=ラ=ロシェル、トロツキー、ニザン、ハイデガー(エルフリーデ/マルティン)、バタイユ(ジョルジュ/ロランス)、ヒトラー、フーコー、フリードマン、ブルトン(アンドレ/ジャクリーヌ)、ブルム、フロイト(アンナ/エヴァ/オリヴァー/ジグムント)、ブロック、ペタン、ホー・チ・ミン、ボーヴォワール、マルロー(クララ/アンドレ/ロラン=フェルナン=ジョルジュ)、ムッソリーニ、モース、ユンガー、ラヴァル、ルフェーヴル(アンリ/レイモン)、ル=ロワ=ラデュリ、レヴィ=ストロース(クロード/レイモン)、レーニン、レリス、ロスメル。

★藤原書店さんの7月新刊より4冊。まず『移動する民』は、『Les migrants et nous : comprendre Babel』(Paris : CNRS, 2016)の全訳に、日本語版のために寄せられた論文「ヨーロッパにおける歓待とコスモポリット性、その今日と明日」を加えた一冊。原注によれば、追加テクストは、2018年9月26日にマルセイユのヨーロッパ・地中海文明博物館でなされた講演を元にしたものであり、著書『到来する外国人』(未訳、2018年)で展開された議論の一部を再収録しているとのこと。著者のミシェル・アジェ(Michel Agier, 1953-)は民族学者・人類学者。パリの社会科学高等研究院EHESSの研究指導教授。

★「彼ら〔移動民〕が明らかにする事実、私たちは地域的つまり国家的という活動領域を越え出る世界の中にいるという事実は、必然的に、強く実感され、痛みを伴い、危険をはらむ経験となる。しかし、この事実は、同じくらいに、自分自身の住み処にいつことから遠く離れた未来に向けての、つまり事実上の複層をなす地域性の中で構築される未来に向けての、期待と希望と企てに満ちてもいる。それは実践的なコスモポリティスムであって、世界に関するこの経験の現実性を証明するためにグローバル主義者の言説を必要としない。それはすでに事実の常態にある。つまり私たちは現実に、数々の境界に満ちた世界の中に存在しており、そして自分の日々の生活を組織することのうちで、また社会の中での自分の位置を決めることのうちで、世界との関係を整えなければならない」(114~115頁)。

★『詩情のスケッチ』は文芸批評家の新保祐司(しんぽ・ゆうじ:1953-)さんの評論集。「見るべき程の事は見つ――平知盛」「北の国のスケッチ」「楽興の詩情」の3部構成。あとがきによれば、第Ⅰ部は隔月刊誌「表現者」での連載「終末時計の針の下に」(平成19~22年、全17回)を改題したもので、第Ⅱ部は隔月刊誌「北の発言」での連載「北の国のスケッチ」(平成15~17年)の「大半」を収めたものとのこと。第Ⅲ部は月刊誌「音楽現代」に折々に掲載された批評文(平成5~20年)をまとめたもの。冒頭の「序」は書き下ろしです。その序で著者はこう書いています。「私が、水平化の世界に生きつつ、いつも願っていたものは、「上よりの垂直線」を招来することに他ならなかった。そこに「見るべき程の事」は、「不意の出現」をし、そこから詩情が生まれるからだ。そして、人間に出来ることは、それをスケッチすることだけである」(16頁)。

★『ヒロシマの『河』』は「昭和5年に生まれ、戦争と政治に翻弄され十代の青春期を九州で暮らし、昭和30年から亡くなる昭和62年まで、広島の地で「演劇」に人生をかけた「土屋清」の生き方と、半世紀以上経っても色あせずに残っている名作『河』の軌跡を追うものである」(「まえがき」より)。「土屋清とはどのような人物か」「『河』とはなにか」「土屋清の語り部たち――『河』を再生・生成すること」「『河』上演台本(2017年)」の4部構成。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。「『河』は、原爆投下後の廃墟から奇跡的な復興を遂げた広島の、「炎の時代」を描いた物語であり、「原爆詩人」峠三吉(1917-1953)がその仲間と共に、理想とする社会の実現に向けて葛藤しながら、時代を駆け抜けていった「青春群像劇」」(同前)。

★『後藤新平と五人の実業家』は副題にも記載されている5人、渋沢栄一・益田孝・安田善次郎・大倉喜八郎・浅野総一郎が「後藤新平としばしば協力・支援・理想を共にしている。だが過去において、これら実業家と後藤新平との関係をとりまとめた学界内外での研究は、見当たらない」(6頁)ことから編まれたもの、「本書はこの点に焦点をおいて調査した結果の修正である。最初の試みとして各実業家の出生から経歴と企業活動をひととおり記し、そのなかで後藤新平とのかかわりも考察することとしている」(由井常彦「序にかえて」6頁)。「後藤が、最晩年に遺した言葉に、「財を残すは下、仕事を残すは中、人を残すは上」「一に人、二に人、三に人」とある。〔…〕この社会を作るのは人。肌の色も、言葉も生活習慣・・・も違う人びとが、お互い認め合い敬愛して生きていく道はないものか」(藤原良雄「あとがき」175頁)。

+++


by urag | 2019-07-28 23:22 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2019年 07月 26日

重版出来:ロザリンド・E・クラウス『視覚的無意識』2刷

ロザリンド・E・クラウス『視覚的無意識』の2刷が7月26日(金)にできあがりました。皆様のご購読に深謝申し上げます。

by urag | 2019-07-26 11:37 | 重版情報 | Trackback | Comments(0)
2019年 07月 24日

「週刊読書人」に筧菜奈子『ジャクソン・ポロック研究』の書評が掲載

弊社3月刊、筧菜奈子『ジャクソン・ポロック研究』に対する黒岩恭介さんによる書評「整理された良質の研究書――ポロックの様式展開を考える上で、重要な問題提起を含む」が、「週刊読書人」2019年7月19日号に掲載され、ウェブでも公開開始となりました。

by urag | 2019-07-24 19:54 | 広告・書評 | Trackback | Comments(0)
2019年 07月 21日

注目新刊:植村邦彦『隠された奴隷制』集英社新書、ほか

a0018105_23455146.jpg


★今月の新書、文庫から注目書を何点か列記します。

隠された奴隷制』植村邦彦著、集英社新書、2019年7月、本体880円、新書判268頁、ISBN978-4-08-721083-5
プリンシピア――自然哲学の数学的原理 第Ⅱ編 抵抗を及ぼす媒質内での物体の運動』アイザック・ニュートン著、中野猿人訳、ブルーバックス、2019年7月、本体1,500円、新書判384頁、ISBN978-4-06-516656-7
ユグルタ戦争 カティリーナの陰謀』サルスティウス著、栗田伸子訳、岩波文庫、2019年7月、本体1,070円、文庫判432頁、ISBN978-4-00-334991-5

★『隠された奴隷制』は2019年下半期でもっとも重要な新書新刊となるだろう一冊。帯文はこうです。「ロック、モンテスキュー、ルソー、ヘーゲル、ヴォルテール、スミス、ヘーゲル・・・近代350年を辿り、マルクスが遺した謎のキーワードで資本主義を読みとく」。謎のキーワードというのは書名にある「隠された奴隷制(die verhüllte Sklaverei)」のこと。マルクス『資本論』第一巻の終わり近く、「いわゆる本源的蓄積」を論じた章に出てくる言葉です(岡崎次郎訳、『マルクス=エンゲルス全集』第23巻第2分冊、大月書店、1965年、991頁)。巻頭の「はじめに――「奴隷制」と資本主義」には次のように書かれています。「私たちは今、資本主義社会に生きている。その日々の暮らしの中で「奴隷制」という言葉に出会う機会はまずない。しかし、実は「奴隷制」と資本主義には密接な関係があることを、あなたはまだ知らない」(3頁)。「資本主義は奴隷制を前提とする。そして資本主義は奴隷制を必要とする」(7頁)。「「隠された奴隷制」という言葉の謎を解くために、近代の奴隷制の歴史を振り返り、そして奴隷制をめぐる言説の歴史をたどり直してみること、そして資本主義と奴隷制との切っても切れない関係をあぶり出すこと、それがこの本の課題である」(8頁)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。

★『プリンシピア 第Ⅱ編』は、第Ⅱ編「抵抗を及ぼす媒質内での物体の運動」の第Ⅰ章「速度に比例して抵抗を受ける物体の運動」から第Ⅸ章「流体の円運動」までを収録。底本は第3版からの英訳(モット訳、カジョリ改訂)で、ラテン語原著初版と比較参照のうえ訳出。第Ⅲ編「世界体系」は8月下旬発売予定。

★『ユグルタ戦争 カティリーナの陰謀』は書名にある二篇を収録。訳者解説の文言を借りると「ローマ共和政末期の異才の歴史家、ガイウス=サルスティウス=クリスプス(前86年頃~前35年頃)が著した歴史書のうち完全な形で現存する二篇、『ユグルタ戦争』と『カティリーナの陰謀』である」。底本はトイプナー文庫のKurfessによる1957年校訂版で、「オックスフォード版(Reynolds, 1991)を随時参照し、両者の読みが大きく異なる場合には訳注で説明を加えた」とのことです。なお、『カティリーナの陰謀』については、既訳があります。渡辺隆三訳『カチリナ戦記』(津軽書房、1972年)、合阪學/鷲田睦朗訳註解『カティリーナの陰謀』(大阪大学出版会、2008年)。今回の新訳では後者を参考としたそうです。

★また、最近では以下の新刊との出会いがありました。

ライプニッツ著作集 第I期 新装版[2]数学論・数学』G・W・ライプニッツ著、原亨吉/佐々木力/三浦伸夫/馬場郁/斎藤憲/安藤正人/倉田隆訳、工作舎、2019年7月(初刷1997年4月)、本体1,2000円、A5判上製400頁+手稿8頁、ISBN978-4-87502-510-8
聖杯の探索』天沢退二郎訳、人文書院、2019年7月(初刷1994年10月)、本体5,500円、4-6判上製464頁、ISBN978-4-409-13018-6
印象派と日本人――「日の出」は世界を照らしたか』島田紀夫著、平凡社、2019年7月、本体4,200円、A5判上製224頁、ISBN978-4-582-20648-7

★『ライプニッツ著作集 第I期 新装版[2]数学論・数学』は第6回配本。全10巻なので、いよいよ折り返したことになります。帯文に曰く「微積分学創始のドキュメント、普遍数学から発見術へ」。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。ガロア、ホイヘンス、オルデンバーグ、ニュートンへの手紙を含みます。個人的に興味深いのはオルデンバーグとのやりとりです。馬場郁さんの解説によれば、二人の文通は1670年にライプニッツから始められたとのこと。オルデンバーグは数学者のジョン・コリンズやニュートンらを巻き込んで文通を重ねます。「一連の手紙は形式上個人の間で交わされていても、私的な通信ではなく研究成果の公表という性格を持っていた。ライプニッツからオルデンバーグへの手紙はすべて王立協会のものとして保管された」(231頁)。オルデンバーグは王立協会(The Royal Society)の初代事務総長で、協会の紀要「フィロソフィカル・トランザクションズ」の編集者です。

★もう少し詳しく言及しておきます。ヘンリー・オルデンバーグ(Henry Oldenburg, c1617-1677)はドイツ生まれの亡命外交官でした。「現存する世界最古の科学者の学会であるロンドン王立協会に神経を張り巡らせた男、ロンドンの中心に全西欧に科学情報のネットワークを初めて作り上げた男、現在もつづく世界最古の科学雑誌を創刊した男」であり、「近代西欧文明の二つの特質、科学と情報の両面のインフラを練り上げ、イギリスを世界に冠たる近代国家に押し上げた男、要するに17世紀科学・情報革命の総合演出者、といってもさしつかえあるまい」と、金子務さんは著書『オルデンバーグ』(中公叢書、2005年、8頁、品切)で紹介しています。オルデンバーグはいわば「懸け橋」であり「結節点」でした。現代に生きる編集者にとっては歴史的な巨星でありモデルです。

★『聖杯の探索』は25年ぶりの重版。作者不詳の中世フランス語散文物語で、アーサー王物語として名高い「円卓の騎士たちの至高の冒険と幻夢の数々。全編にみなぎる血とエロスと聖性のドラマ」(帯文より)を描いた古典です。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。重版に際し特に訂正等は加えられていないようです。「およそ1180年代初めにクレティアン・ド・トロワがフランス語で書いた長篇韻文物語『聖杯の物語』を出発点とする“聖杯物語群”は、それからわずか50年ほどの間に、質量とも圧倒的な作品群として成立し、さらに数百年の間、中世ヨーロッパ各国にまたがって展開した。ここに訳出した仏語散文『聖杯の探索』は、1220年代にフランスで書かれた“大伽藍的”連作集成の、核心に位置している」(解説、442頁)。凡例によれば底本は「A・ポーフィレ編注の校訂本(1949年)に収められた本文」とのこと。ただし諸写本などを参照してポーフィレ本と異なる読みを採ったところがある、とも注記されています。

★『印象派と日本人』は「はじめに」によれば「本書の構成は三部からなる。Ⅰ部「バルビゾン派」は印象派の直接の先駆者であるバルビゾン派を概観する。筆者はかつて山梨県立美術館に奉職していたが、その折に開催したバルビゾン派とミレーの展覧会が拙著を書くのに役立った。Ⅰ部とⅡ部のあいだの「インテツメッツォ(間奏曲)」は風景がをめぐりバルビゾン派から印象派に継承された経緯を略述する。Ⅱ部「印象派」は、最初に印象派グループの主要メンバーとその画風の特徴を抽出する。ついで印象派グループの形成と彼らが中心になって開いた八回のグループ展を確認する。最後に八回のグループ展から各一名の画家の作品を選んで鑑賞する。Ⅲ部「印象派と日本」は、印象派と日本の関係を、画家・鑑賞者(批評家)・雑誌(主に『白樺』)などを介して跡付け、最後に日本における印象派に関わるコレクションと美術館を述べる。/「補論」として、「第二次世界大戦以後の日本におけるバルビゾン派と印象派関連の展覧会」を加えた。これらの展覧会によって、私たちは日本にいながらにしてバルビゾン派や印象派の作品を鑑賞することができたからである」(11頁)。

★最後に、ここしばらく言及できていなかった注目既刊書を列記します。

時間観念の歴史――コレージュ・ド・フランス講義 1902-1903年度』アンリ・ベルクソン著、藤田尚志/平井靖史/岡嶋隆佑/木山裕登訳、書肆心水、2019年6月、本体3,600円、A5判並製352頁、ISBN978-4-906917-92-1
欲望の資本主義(3)偽りの個人主義を越えて』丸山俊一/NHK「欲望の資本主義」制作班著、東洋経済新報社、2019年6月、本体1,500円、四六判並製240頁、ISBN978-4-492-37123-7
ホホホ座の反省文』山下賢二/松本伸哉著、ミシマ社、2019年6月、本体1,800円、四六判並製208頁、ISBN978-4-909394-22-4
ヒエログリフ集』ホラポッロ著、伊藤博明訳、ありな書房、2019年3月、本体3,800円、A5判上製232頁、ISBN978-4-7566-1965-5

★『時間観念の歴史』は『Histoire de l'idée de temps. Cours au Collège de France 1902 -1903』(PUF, 2016)の全訳。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。「本講義の主題は「時間観念の歴史」である。つまり時間の観点から紡がれた哲学史である。なぜ時間なのか。それは、ベルクソンという哲学者が「哲学のアポリアは時間を適切に扱うことによって解説される」と考えているからである。それゆえ、哲学的問題に取り組んだ哲学者の数だけ、時間への取組が見いだせる。そして、それは当の哲学者の思考の核をかたどるものだ」(平井靖史「訳者解説」410頁)。「もちろん、持続の多元論者、ベルクソンである。彼は決して安易に脚色された、単線的な歴史を描こうとはしない。一人一人が見せる手腕に寄り添ってその固有の魅力を引き出しつつ、それら多くの思考の線それぞれが、時間という巨大な問題のどこをどのように掘り進んでいるのかを丁寧に描き出してみせる。こうして繰り広げられる時間の哲学史絵巻は、思索の個性で豊かに彩られていて、通り一遍の哲学史を頭に入れたつもりの哲学マニアにもきっと新鮮な驚きと知の歓びを思い出させてくれることだろう」(410~411頁)。

★ちなみにハイデガーの『存在と時間』の前段となる、1925年の講義「時間概念の歴史への序説」は創文社版『ハイデッガー全集』第20巻として1988年に刊行されています。創文社の廃業は来年予定。お持ちでない方は今のうちにコツコツと買い揃えた方がいいかもしれません。

★『欲望の資本主義(3)』はNHKの経済教養番組の書籍化第三弾。今回は起業家スコット・ギャロウェイ、数学者チャールズ・ホスキンソン、経済学者ジャン・ティロール、歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ、哲学者マルクス・ガブリエルの四氏へのインタビュー。第一弾は2017年刊で、経済学者のジョセフ・スティグリッツやトーマス・セドラチェク、投資家スコット・スタンフォードが登場。第二弾は2018年刊で、ダニエル・コーエン、ガブリエル、セドラチェクが登場。NHKプロデューサーの丸山俊一(まるやま・しゅんいち:1962-)さんが関わっている類書では『欲望の民主主義――分断を越える哲学』(幻冬舎新書、2018年)があります。この本ではヤシャ・モンク、ジョナサン・ハイト、シンシア・フルーリー、マルセル・ゴーシェ、ジャン=ピエール・ルゴフ、マルクス・ガブリエルが登場。

★『ホホホ座の反省文』は、本屋や物販もやる編集企画集団ホホホ座の山下座長と松本顧問による活動記録。「ひたひたと忍び寄る、「暮らし・生活系」の足音に、お店の存続をかけて歩調を合わせながらも、時として、その道に、バラバラと画鋲をまき散らしあくなることもあります。それは、常に人生の脇道に追いやられていた、サブカル者としての怨念と、燃えカスのようなプライドがもたらす、屈折した感情なのかもしれません」(66頁)。実に素敵です。「僕らは、「暮らし・生活系」の流れの中にあっても、ものごとを切り取る、視線としての「サブカル」っぽさを消し去ることは、この先もできないでしょう。それをどのようにしてお店づくりに反映させるのか? 日々、実験を繰り返しています」(69頁)。ほぼ同世代ということもあるのか、お二人の考え方や姿勢に共感を覚えます。勇気を分けてもらえる本。

★『ヒエログリフ集』は「エンブレム原点叢書」の第3弾。底本は本文が1996年のイタリア語対訳版(Rizzoli)、図版は1551年のジャン・メルシエ版から採ったとのことです(第1部「いかに魂を示すのか」の図版のみ、1543年のフランス語版から採用)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。例えば「いかに未来の出来事を表すのか」では中空に浮かぶ耳が描かれます(98頁)。二羽のカラスは結婚を表し(19頁)、ウサギは開放を示し(40頁)、鼠は崩壊を示します(64頁)。中空に浮かぶワニの二つの眼は「日の出」を表し(81頁)、二羽のウズラは同性愛を表します(149頁)。宙に浮かぶ手は「製作することを好む者」を表します(167頁)。現代人の感覚とは異なりますが、他人と違う符牒を持ちたい方には多いに参考になる図版集です。

★同叢書の既刊書はいずれも伊藤博明さん訳で、2000年にアンドレア・アルチャーティ『エンブレム集』が、2009年にオットー・ウェニウス/ダニエル・ヘインシウス『愛のエンブレム集』が刊行されています。これらは「エンブレム研究叢書」と併せ、「叢書エンブレマティカ」を構成します。続刊にはクロード・パラダン『英雄的ドゥヴィーズ集』や、パオロ・ジョーヴィオ『愛と闘いのインプレーサ』が予定されています。

+++


by urag | 2019-07-21 23:30 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2019年 07月 20日

ブックツリー「哲学読書室」に筧菜奈子さんと西山雄二さんの選書リストが追加されました

オンライン書店「honto」のブックツリー「哲学読書室」に、2本のブックツリーが追加されました。『ジャクソン・ポロック研究』(月曜社、2019年3月)の著者、筧菜奈子さんによるコメント付き選書リスト「抽象絵画を理解するためにうってつけの5冊」。そして、マルク・アリザール『犬たち』(法政大学出版局、2019年5月)とフロランス・ビュルガ『猫たち』の共訳者、西山雄二さんによるコメント付き選書リスト「フランスにおける動物論の展開」。以下のリンク先一覧からご覧になれます。

◎哲学読書室
1)星野太(ほしの・ふとし:1983-)さん選書「崇高が分かれば西洋が分かる
2)國分功一郎(こくぶん・こういちろう:1974-)さん選書「意志について考える。そこから中動態の哲学へ!
3)近藤和敬(こんどう・かずのり:1979-)さん選書「20世紀フランスの哲学地図を書き換える
4)上尾真道(うえお・まさみち:1979-)さん選書「心のケアを問う哲学。精神医療とフランス現代思想
5)篠原雅武(しのはら・まさたけ:1975-)さん選書「じつは私たちは、様々な人と会話しながら考えている
6)渡辺洋平(わたなべ・ようへい:1985-)さん選書「今、哲学を(再)開始するために
7)西兼志(にし・けんじ:1972-)さん選書「〈アイドル〉を通してメディア文化を考える
8)岡本健(おかもと・たけし:1983-)さん選書「ゾンビを/で哲学してみる!?
9)金澤忠信(かなざわ・ただのぶ:1970-)さん選書「19世紀末の歴史的文脈のなかでソシュールを読み直す
10)藤井俊之(ふじい・としゆき:1979-)さん選書「ナルシシズムの時代に自らを省みることの困難について
11)吉松覚(よしまつ・さとる:1987-)さん選書「ラディカル無神論をめぐる思想的布置
12)高桑和巳(たかくわ・かずみ:1972-)さん選書「死刑を考えなおす、何度でも
13)杉田俊介(すぎた・しゅんすけ:1975-)さん選書「運命論から『ジョジョの奇妙な冒険』を読む
14)河野真太郎(こうの・しんたろう:1974-)さん選書「労働のいまと〈戦闘美少女〉の現在
15)岡嶋隆佑(おかじま・りゅうすけ:1987-)さん選書「「実在」とは何か:21世紀哲学の諸潮流
16)吉田奈緒子(よしだ・なおこ:1968-)さん選書「お金に人生を明け渡したくない人へ
17)明石健五(あかし・けんご:1965-)さん選書「今を生きのびるための読書
18)相澤真一(あいざわ・しんいち:1979-)さん/磯直樹(いそ・なおき:1979-)さん選書「現代イギリスの文化と不平等を明視する
19)早尾貴紀(はやお・たかのり:1973-)さん/洪貴義(ほん・きうい:1965-)さん選書「反時代的〈人文学〉のススメ
20)権安理(ごん・あんり:1971-)さん選書「そしてもう一度、公共(性)を考える!
21)河南瑠莉(かわなみ・るり:1990-)さん選書「後期資本主義時代の文化を知る。欲望がクリエイティビティを吞みこむとき
22)百木漠(ももき・ばく:1982-)さん選書「アーレントとマルクスから「労働と全体主義」を考える
23)津崎良典(つざき・よしのり:1977-)さん選書「哲学書の修辞学のために
24)堀千晶(ほり・ちあき:1981-)さん選書「批判・暴力・臨床:ドゥルーズから「古典」への漂流
25)坂本尚志(さかもと・たかし:1976-)さん選書「フランスの哲学教育から教養の今と未来を考える
26)奥野克巳(おくの・かつみ:1962-)さん選書「文化相対主義を考え直すために多自然主義を知る
27)藤野寛(ふじの・ひろし:1956-)さん選書「友情という承認の形――アリストテレスと21世紀が出会う
28)市田良彦(いちだ・よしひこ : 1957-)さん選書「壊れた脳が歪んだ身体を哲学する
29)森茂起(もりしげゆき:1955-)さん選書「精神分析の辺域への旅:トラウマ・解離・生命・身体
30)荒木優太(あらき・ゆうた:1987-)さん選書「「偶然」にかけられた魔術を解く
31)小倉拓也(おぐら・たくや:1985-)さん選書「大文字の「生」ではなく、「人生」の哲学のための五冊
32)渡名喜庸哲(となき・ようてつ:1980-)さん選書「『ドローンの哲学』からさらに思考を広げるために
33)真柴隆弘(ましば・たかひろ:1963-)さん選書「AIの危うさと不可能性について考察する5冊
34)福尾匠(ふくお・たくみ:1992-)さん選書「眼は拘束された光である──ドゥルーズ『シネマ』に反射する5冊
35)的場昭弘(まとば・あきひろ:1952-)さん選書「マルクス生誕200年:ソ連、中国の呪縛から離れたマルクスを読む。
36)小林えみ(こばやし・えみ:1978-)さん選書「『nyx』5号をより楽しく読むための5冊
37)小林浩(こばやし・ひろし:1968-)選書「書架(もしくは頭蓋)の暗闇に巣食うものたち
38)鈴木智之(すずき・ともゆき:1962-)さん選書「記憶と歴史――過去とのつながりを考えるための5冊
39)山井敏章(やまい・としあき:1954-)さん選書「資本主義史研究の新たなジンテーゼ?
40)伊藤嘉高(いとう・ひろたか:1980-)さん選書「なぜ、いま、アクターネットワーク理論なのか
41)早尾貴紀(はやお・たかのり:1973-)さん選書「映画論で見る表象の権力と対抗文化
42)門林岳史(かどばやし・たけし:1974-)さん選書「ポストヒューマンに抗して──状況に置かれた知
43)松山洋平(まつやま・ようへい:1984-)さん選書「イスラムがもっと「わからなく」なる、ナマモノ5選
44)森田裕之(もりた・ひろゆき:1967-)さん選書「ドゥルーズ『差異と反復』へ、そしてその先へ
45)久保田晃弘 (くぼた・あきひろ:1960-)さん選書「新たなる思考のためのメタファーはどこにあるのか?
46)亀井大輔(かめい・だいすけ:1973-)さん選書「「歴史の思考」へと誘う5冊
47)須藤温子(すとう・はるこ:1972-)さん選書「やわらかな思考、奇想の知へようこそ!
48)斎藤幸平(さいとう・こうへい:1987-)さん選書「マルクスと環境危機とエコ社会主義
49)木澤佐登志(きざわ・さとし:1988-)さん選書「いまさら〈近代〉について考えるための5冊
50)筧菜奈子(かけい・ななこ:1986-)さん選書「抽象絵画を理解するにうってつけの5冊
51)西山雄二(にしやま・ゆうじ:1971-)さん選書「フランスにおける動物論の展開

+++


by urag | 2019-07-20 09:47 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2019年 07月 16日

月曜社8月新刊:久保明教『ブルーノ・ラトゥールの取説』

2018年8月7日取次搬入予定 *人文/現代思想

ブルーノ・ラトゥールの取説(トリセツ)
久保明教[著]
月曜社 本体:1,800円 B6変型判並製272頁 ISBN: 978-4-86503-079-2 C0010

最注目を浴びる思想家をめぐる初めての概説書!
アマゾン・ジャパンで予約受付中

科学やテクノロジーの考察から出発し、文化人類学、哲学、社会学、地理学、現代アート等に広範な影響を与えてきたフランスの哲学者ブルーノ・ラトゥール。近代的諸前提を絶えず相対化するがゆえに捉えがたいラトゥールの議論を、非還元主義からアクターネットワーク論、存在様態論へと至る一貫した知的探求として捉え直し、「テクノロジーとは何か」、「科学とは何か」、「社会とは何か」、「近代とは何か」、「私たちとは何か」という五つの問いを通じて、モダニズムとポストモダニズムの限界を乗り越えるノンモダニズムの思考を提示する。【シリーズ〈哲学への扉〉、第3回配本】

目次
序論
 対応説を超えて
 真面目すぎてはいけない
 取り扱い上の注意
第一章 テクノロジーとは何か
 社会の外側
 科学知識の社会学
 解釈の柔軟性
 アクターネットワーク
 非還元の原理
 仲介と媒介
 テクノロジーへの生成
 還元の倫理
第二章 科学とは何か
 同時否定
 事実らしさ
 ネットワークの長短
 インターナルとエクスターナル
 循環する指示
 制作される実在
 対応説の棄却
第三章 社会とは何か
 領域と関係
 二つの社会学
 構築とは何か
 意味作用
 非人間と権力
 アクターから学ぶ
 社会を変える
第四章 近代とは何か
 翻訳と純化
 実験共同体
 知識の政体
 二種の代理
 ノンモダニズム
 存在の諸様態
第五章 私たちとは何か
 三つの発想
 非還元主義的デトックス
 噛み合わないまま話し続ける
 汎構築主義の受動性
あとがき

久保明教(くぼ・あきのり)1978年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科単位習得退学。博士(人間科学)。一橋大学社会学研究科准教授。科学技術と社会の関係について文化/社会人類学の観点から研究を行う。主な著書に、『機械カニバリズム――人間なきあとの人類学へ』(講談社選書メチエ、2018年)、『ロボットの人類学――二〇世紀日本の機械と人間』(世界思想社、2015年)、『現実批判の人類学――新世代のエスノグラフィへ』(世界思想社、分担執筆、2011年)など。

a0018105_22522275.png




by urag | 2019-07-16 22:50 | 近刊情報 | Trackback | Comments(0)
2019年 07月 15日

注目新刊:ヴェイユ『工場日記』、『ルネ・シャール詩集』、ほか

a0018105_02062487.jpg


中世思想原典集成 精選5 大学の世紀1』上智大学中世思想研究所編訳監修、平凡社ライブラリー、2019年7月、本体2,400円、B6変判並製592頁、ISBN978-4-582-76883-1
存在と時間6』ハイデガー著、中山元訳、光文社古典新訳文庫、2019年7月、本体1,320円、ISBN978-4-334-75406-8
箴言集』ラ・ロシュフコー著、武藤剛史訳、講談社学術文庫、2019年7月、本体1,080円、A6判264頁、ISBN978-4-06-516593-5
工場日記』シモーヌ・ヴェイユ著、冨原眞弓訳、みすず書房、2019年7月、本体4,200円、四六判上製264頁、ISBN978-4-622-08817-2

★『中世思想原典集成 精選5 大学の世紀1』は、『中世思想原典集成』第12巻「フランシスコ会学派」と第13巻「盛期スコラ学」より11篇を精選。オーセールのギヨーム、総長フィリップス、フィオーレのヨアキム、アッシジのフランチェスコ(2篇)、ヘールズのアレクサンデル、パドヴァのアントニウス、ボナヴェントゥラ、ロバート・グロステスト、ロジャー・ベイコン、ペトルス・ヨハニス・オリヴィ。収録作はhontoの単品頁などで確認できます。佐藤直子さんによる巻頭解説と、岡本源太さんによる巻末エッセイ「ラテン語の野蛮――中世思想への逆説的賛辞」が新たに収められています。

★『存在と時間6』は全8巻中の第6巻。第一部第二篇第四五節「現存在の予備的な基礎分析の成果、ならびにこの存在者の根源的な実存論的解釈の課題」から第二篇第二章第六〇節「良心のうちに〈証し〉される本来的な存在可能の実存論的な構造」までを収録。後半は中山元さんによる長編解説の第6回。「この章〔第二章「本来的な存在可能を現存在にふさわしい形で証すこと、決意性」〕では、良心の呼び掛けに応じて、本来的な存在可能に直面しようとする現存在の「決意性」と決断の意味が強調されている。この決意性の概念は、カントの道徳論を受け継いだものとして重要なものであり、この解説においては、この概念とハイデガーの政治的な行動との関係性についても検討しておいた。この部分は訳者の見解が強く出ているところであり、本文の読解とは別のものとして読んでいただければ幸いである」と訳者あとがきに特記されています。

★『箴言集』は文庫オリジナルの新訳。底本は1992年に刊行されたジャック・トリュシェによる校訂版。現在も入手可能な紙媒体の既訳文庫には、二宮フサ訳『ラ・ロシュフコー箴言集』(岩波文庫、1989年)があります。「われわれの美徳とは、偽装された悪徳にほかならない」との帯文は、本書のエピグラフ(17頁)から採られたものです。正確には、美徳とは、と、偽装された、の間に「たいていの場合、」という言葉が入ります。帯文はこう続きます。「新訳で玩味する、人間本性を撃ち抜く珠玉のことば」。「撃ち抜く」というのは非常に的確な表現です。本書の読書はまさに痛みを伴います。17世紀の科学と技術が過去のものとなっても、17世紀の優れた人間観察は21世紀の今もなお有効です。人間は過ちを繰り返す動物であるという真実こそは、人文学の有用性を立証しています。人文学の本質は知識の独占ではなく、知恵の共有を目指すものです。「自分ひとりだけ賢者であろうとするのは、狂愚以外の何ものでもない」(C’est une grande folie de vouloir être sage tout seul.「道徳的考察」231番、58頁)。 

★『工場日記』は『シモーヌ・ヴェイユ選集(Ⅱ)中期論集:労働・革命』(みすず書房、2012年)に所収のテクストを単行本化したもの。訳者の冨原さんによる「工場の火花に照らされて――『工場日記』をめぐる追加考察」によれば、「単行本化するにあたって、原典の手稿をあらためて検討し、各テクストの位置を訳者の責任で確定し、当時の向上でおこなわれていた作業の具体的な内容・手順・機械や道具の名称等を徹底的に見直した。それらの変更にあわせて訳文にもかなり手を加えた。読みやすさを優先し、訳注は必要最小限にとどめたので、より詳しい訳注・出典等の詳細は『選集Ⅱ』を参照されたい」とのことです。この冨原さんの「考察」は『選集Ⅱ』所収の解説に加筆・修正を加えたもの。今回の単行本版では解説は冨原さんをサポートされてきた佐藤紀子さんが執筆されています。肉体的にも精神的にも過酷な日々を綴ったこの日記はこれからも読み継がれていくことでしょう。ちなみに同書の入手しやすい既訳には田辺保訳『工場日記』(ちくま学芸文庫、2014年)があります。

★「この生において、苦しむ人びとは嘆くこともできない。他人に理解されぬだけではない。苦しんでいない人びとからは嘲られるかもしれず、苦しんでいるが、自分の苦しみだけであっぷあっぷの人びとからは、めんどうくさいやつだと思われる。稀なる例外をのぞき、いたるところで職制からは、あいも変わらぬ無情な仕打ちをあびる」(101頁)。「社会によって捏造された個人の尊厳なるものの感覚、そんなものはこっぱ微塵にうち砕かれた。これとは異なる尊厳を鍛えあげねばならない(とはいえ疲労困憊のあまり、自分にもまっとうな思考能力があるという意識すら消えうせる!)。このもうひとつの尊厳を守りぬくよう努めねばならない。/そのとき自分にも自分ならではの重要さがあると気づく。/ものの数にも入らない人びとの階級――いかなる状況にあっても――だれの眼にとっても……、そしてかつてついぞ数に入った例〔ためし〕もなければ、なにが起ころうとも、(『インターナショナル』の第1節最終行〔「われらは無だが、すべてになろう!」〕にもかかわらず)今後もまず数に入ることのない、そういう人びとの階級」(156~157頁)。

★最近では以下の新刊との出会いがありました。

ルネ・シャール詩集――評伝を添えて』ルネ・シャール著、野村喜和夫訳、河出書房新社、2019年7月、本体2,900円、46判上製280頁、ISBN978-4-309-20774-2
わたしたちを救う経済学──破綻したからこそ見える世界の真実』ヤニス・ヴァルファキス著、中野真紀子監訳、小島舞/村松恭平訳、eleking books:Pヴァイン、2019年7月、本体3,130円、ISBN978-4-909483-34-8
画商のこぼれ話』種田ひろみ著、作品社、2019年7月、本体1,200円、46判上製152頁、ISBN978-4-86182-747-1
斎藤茂吉――声調にみる伝統と近代』田中教子著、作品社、2019年6月、本体2,500円、46判上製248頁、ISBN978-4-86182-740-2

★『ルネ・シャール詩集』はまもなく発売。「20世紀フランス語圏を代表する詩人のひとり、ルネ・シャールの膨大ともいえる詩業から、代表的な40余篇を選び、訳出したものである。底本にはガリマール社〈プレイヤード叢書〉判『ルネ・シャール全集』(1983年)およびその改訂版(1995年)を使用し、詩の配列もほぼ同書に従った」と訳者あとがきにあります。訳者による90頁もの「評伝ルネ・シャール」が圧巻です。巻末には略年譜が添えられています。訳者あとがきには、某社でシャール全集の計画あり、とも書かれていて、目を瞠りました。

★「名状しがたいこの生/それは つまるところきみが結びつくことをうべなったただひとつのもの/けれども 人々や事物によって日々きみには拒まれてきたもの/かろうじてきみは あちこちで その痩せこけた断片を手に入れる」(「ともにあること」33頁)。「人間は、想像できないようなことを行なうことができる。その頭は不合理という名の銀河に筋を刻む」(「眠りの神の手帖(抄)」227番、87頁)。「殉教者たちは誰のために働くのか。偉大さは、やむにやまれぬ出発をするかどうかにかかっている。模範となる人々は、蒸気と風でできている」(同228番、同頁)。

★「パンをめぐりながら、人を寄せつけないこと、美しい夜明けでありつづけること」(「蛇の健康を祝して」Ⅱ、97頁)。「知識、百もの通路をもつ知識が、それでもなお秘密のままにしておきたいものをこそ生み出せ」(同Ⅵ、98頁)。「昇る太陽の精神状態は、残酷な昼の光や夜の闇の思い出にもかかわらず、歓喜そのものである。血こごりの色が、あけぼのの赤らみとなる」(「朝早い人たちの紅潮」Ⅰ、117頁)。「個人的な冒険、惜しみなく果たされる冒険、われわれのあけぼのの共同体」(同Ⅻ、121頁)。「詩の中心には、ひとりの反対者がきみを待っている。それがきみの主人だ。彼に対して誠実にたたかえ」(「痙攣した晴朗さのために(抄)」130頁)。抵抗の人、シャール。そして夜明けの、黎明の、暁の共同体。

★『わたしたちを救う経済学』はまもなく発売。『And the Weak Suffer What They Must?: Europe's Crisis and America's Economic Future』(Bold Type Books, 2016)の訳書。原題は「弱者は耐えるのみ?――西欧の危機とアメリカ経済の未来」です。目次は書名のリンク先をご覧ください。巻頭の序章で著者はこう書いています。「要約すると、本書は、現在の欧州の危機の原因を、グローバル資本主義を規制しようとするアメリカの試みとの歴史的なつながりの中で説明し、そしてユーロ危機はアメリカにとっても非常に重要であり、無視することはもちとん欧州人に対処をまかせておくこともできないと警告する。実際ユーロ危機は、最後の章で論じたように、米国にとっても重くのしかかっており、それによってすべての人の未来を脅かしている」(20頁)。

★また、松尾匡さんの巻末解説によれば「本書は、ちょうど著者ヴァルファキスが財務相になったときに完成された。だから、なぜギリシャが巨額の債務を負わされ、その国民が不況と社会サービス削減に一方的に痛めつけられなければなかなかったのか、著者たちがひとびとから選ばれ、困難な交渉に立ち向かうことになった背景に至る長い歴史が描かれている。その意味で、『黒い匣』(明石書店、2019年4月)の方は、本書の後日談となっていると言える」と。

★ヴァルファキスは「ユーロ圏の中で、最初に破産した国がギリシャだった理由は単純だった」(261頁)と書いています。「ドイツやフランスの銀行からの貸し付けのおかげで快適な生活を送っていた裕福なギリシャ人はさらに豊かになった一方、ますます多くの貧しいギリシャ人が貧困から抜け出せなくなっていたのだ。好景気にもかかわらず!」(262頁)。「ギリシャの公的債務は巨額だったものの、国民所得の増加ベースの方がずっと速かったことで、まだ持ちこたえられると思われた。ところが、2008年に信用危機が世界に広がったとき、この幻想を崩壊させるふたつの出来事が同時に起こった」(263頁)。対岸の火事どころではない現代史を実感するための必読書です。ヴァルファキスの言う「ミノタウロス」、そのアジェンダに組み込まれているのは、日本も例外ではないからです。



★作品社さんの新刊2点は発売済。『画商のこぼれ話』は銀座の画廊「おいだ美術」の種田ひろみ社長の初のエッセイ集。「アートの森は外から見ているほど、華やかで楽しい場所ではありません」(はじめに、8頁)と明かす社長が見聞してきた「美術品やその売買にまつわる、面白く興味深い話」(同頁)の数々を読むことができます。特に、骨董品でしくじる人々や、贋作を巧妙に売りつける人々の話は、他人事として済ませておきたいほど怖いです。その辺をさらっと嫌味のない筆致で描いておられるのが本書の美点です。「いい画商となるためには、絵画のことに精通しているだけではなく、彫刻、陶芸、演劇、音楽、文学、歴史などといったさまざまな芸術、美しいもの、心に感動を与えるもの全てについて、一通りの知識と興味を持つことが必要だ」(104頁)との先輩画商の言葉が紹介されていますが、これは出版人の心構えにも通じるものがあると感じます。

★もう1点、『斎藤茂吉』は、同志社女子大学に提出された博士論文「斎藤茂吉の万葉集評価語彙と物理学など――その作歌への応用」に加筆修正を施したもの。「今も衰えることのない茂吉短歌の魅力。彼のこだわった声調とは、いったいどのようなものであったのか。それは、ただ直観にまかせたものばかりではあるまい。万葉集研究の場で繰り返された「ゆらぎ」「屈折」「波動」「圧搾」「顫動」などの物理学の用語を手掛かりに、茂吉の思考に迫ってみたい」(はじめに、7頁)。著者の田中さんは歌人。あとがきによれば、本書第Ⅱ章「声調の「屈折」とは何か」は、前著『覚醒の暗指――現代短歌の創造的再生のために』(ながらみ書房、2018年)と内容がやや重なる部分があるとのことで、「茂吉の「屈折論」は筆者が勉学の初期から取り組む主要なテーマであり、これからも考察を続けるつもりである。本書は、その過程のものと見ていただければ幸いである」とお書きになっておられます。

+++


by urag | 2019-07-15 02:03 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2019年 07月 10日

「美術手帖」にクラウス『視覚的無意識』の書評

「美術手帖」2019年8月号の「BOOK」欄に弊社3月刊、ロザリンド・E・クラウス『視覚的無意識』の書評「モダニズムの視覚と欲望とは」が掲載されました。評者は美術批評家の沢山遼さんです。「本書は、反視覚の書ではない。それはあくまで、モダニズムの視覚の下部組織、見えない地を明らかにしようとする、支持体の理論なのである。クラウスが近年の批評で頻用する「技術的支持体」のアイデアは、本書によって先駆的に示されていたとすら言えよう」と評していただきました。ありがとうございます。なお、『視覚的無意識』は7月下旬に2刷出来予定です。

by urag | 2019-07-10 13:14 | 広告・書評 | Trackback | Comments(0)
2019年 07月 07日

注目新刊:マキシム・クロンブ『ゾンビの小哲学』人文書院、ほか

a0018105_23281878.jpg


★まず最初にまもなく発売となるちくま学芸文庫7月新刊3点をご紹介します。

『世界の根源――先史絵画・神話・記号』アンドレ・ルロワ=グーラン著、蔵持不三也訳、ちくま学芸文庫、2019年7月、本体1,500円、文庫判448頁、ISBN 978-4-480-09931-0
『日本大空襲――本土制空基地隊員の日記』原田良次著、ちくま学芸文庫、2019年7月、本体1,500円、文庫判448頁、ISBN978-4-480-09933-4
『微分積分学』吉田洋一著、ちくま学芸文庫、2019年7月、本体1,700円、文庫判688頁、ISBN978-4-480-09925-9

★『世界の根源』は、1985年に言叢社より刊行された単行本の文庫化。原著は『Les racines du monde』(Belfond, 1982)です。今回新たに付された「文庫版訳者あとがき」によれば、「1982年に原書が出てから40年以上たっている。それゆえ、文庫版では以後のトピックスを含めて訳註を加筆し、あわせて言叢社版の表記を若干手直しした。また、欄外の短い訳註も本書では巻末に配した」とのことです。「一連の厄介な編集作業とテクストのチェックにあたってくれた、筑摩書房の」云々とありますので、本文の訳にも手が入っているのではないかと想像できます。ルロワ=グーラン(André Leroi-Gourhan, 1911-1986)はフランスの先史学者。学芸文庫ではすでに2012年に荒木亨訳『身ぶりと言葉』が文庫化されています。『世界の根源』の訳者の蔵持さんは1985年に同著者の『先史時代の宗教と芸術』を日本エディタースクール出版部より上梓されておられます。同書もすでに絶版なので、文庫化を期待したいです。

★『日本大空襲』は、中公新書の上下巻(1973年6月~7月)を合本した文庫化したもの。著者は2009年に死去されており、文庫版解説は一橋大学特任教授の吉田裕さんがお書きになっておられます。著者は陸軍第十飛行師団飛行第53戦隊在隊中の松戸飛行場で、持っていた文庫本の余白へ日々の体験を1944年11月から敗戦に至るまでの間に書き留め、戦後に調査したことを加筆して本書をまとめられました。「日本本土防空戦に関する貴重な記録である」と吉田さんは評価されています。吉田さんは本書について、「戦争体験を日々、記録するという面で、著者がすぐれた資質を持っていたこと」、「どのような状況の下でも自分を見失わず、軍務に励みながらも兵士としてよりも人間として生きることを重視する姿勢で一貫していること」の2点を重要だと指摘されています。

★昭和20年(1945年)2月21日の日記にこんな記述があります。「われわれはいま精神力のみで戦意を高揚するあまり、とかく人命の軽視に慣れすぎている。敵はいま、人名の濫費をつつしむ反面、われはその濫費におぼれ、しかもそれを「勇気」という言葉に置き換えようとしている。「死ぬこと」はすなわち「勝つこと」であろうか。むかしの日本の武人は“ただいつでも死ぬ用意のあること”を心がけていたにすぎない。いまの軍人たちは、たとえ全滅しても、日本は負けないと思いこんでいる。夜この国の暗澹たる未来を想い、胸に果てしない憂愁がたかまった」(194頁)。この言葉が遠い日の克服された過去だと思えないのは、平時の今においてすら人命が軽視され、労働と統制の中でその濫費が行なわれているからではないか、と自問せざるをえません。

★『微分積分学』は、1995年に培風館から刊行され、1967年に改訂版が出た単行本の文庫化。「まえがき」によれば本書は「大学初年級向きの読みやすくわかりやすい参考書または教科書を提供する意図をもって書かれた。〔…〕この本では高等学校で学んだことの復習を兼ねて、微分積分学をそのはじめのところから、もう一度ていねいに厳密な形で説明を与えることにした」。巻末には赤攝也さんによる「文庫版によせて」という短文が付されています。曰く「本書は、微分積分学のすみずみまで配慮して書かれた格調高い名著である」。帯文には「理工系大学の微分積分学の決定版」と謳われています。主要の章立ては以下の通り。「微分法」「微分法の公式」「平均値の定理」「積分法」「指数関数と対数関数」「三角関数と逆三角関数」「不定積分の計算法」「高階微分係数」「関数の極限値」「数列と級数」「偏微分法」「重積分」。付録として「微分方程式の解法」が付されています。

★最近では以下の新刊との出会いがありました。

ゾンビの小哲学――ゾンビを通した現代社会論の白眉』マキシム・クロンブ著、武田宙也/福田安佐子訳、人文書院、2019年7月、本体2,400円、4-6判上製200頁、ISBN978-4-409-03103-2
敗北と憶想――戦後日本と〈瑕疵存在の史的唯物論〉』長原豊著、航思社、2019年7月、本体4,200円、四六判上製432頁、ISBN978-4-906738-39-7
ドイツ国防軍冬季戦必携教本』ドイツ国防軍陸軍総司令部著、大木毅編訳解説、作品社、2019年7月、本体4,600円、A5判上製368頁、ISBN978-4-86182-748-8
文藝 2019年秋季号』河出書房新社、2019年7月、本体1,380円、A5判並製568頁、ISBN978-4-309-97977-9

★『ゾンビの小哲学』はまもなく発売。『Petite philosophie du zombie』(PUF, 2012)の全訳です。著者のクロンブ(Maxime Coulombe, 1978-)はカナダのラヴァル大学で現代美術と芸術理論を講じているという社会学者・美術史家。本書が初めての訳書になります。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。「現在のゾンビの人気――それが天恵〔マナ〕であれ流行〔モード〕であれ――はすでに、否が応でも注目せざるをえないものとなっている。/イメージはときとして、時代の現像液として機能することがある。イメージに照らし合わせて読むことによって、イメージからなる酸性の溶液に浸すことによって、時代はコントラストや明瞭さを増すことになるのだ。本書の意図は単純なものである。それはゾンビをウェルギリウスにすること、つまりわれわれ西洋社会を眺めるためのガイドにすることである」(13頁)。「ゾンビは人間のカリカチュアなのだ」(14頁)。

★「それは人間の条件の限界を、つまり意識や死や文明といったものの限界をあらわしているのだ。ゾンビは、これらの限界にまつわる最も現代的な懸念のいくつかを生き生きとしたものにする」(15頁)。「ゾンビとは、この世によみがえることによって、現代における大きなるタブーのうちのうちの一つ――おそらくその最大のもの――へと目を向けるようわれわれを強いるものだ〔…〕。そのタブーとは死である」(同頁)。「本書の目的は、これらの〔ゾンビをめぐる〕メタファーを集め、解釈し、われわれの文化と結びつけることにある」(21頁)。「分身の形象、抑圧されたものの形象、そしてアポカリプスの形象。われわれの風変わりなガイドがわれわれに提案するのは、この三つの停留所である。それによってわれわれは、現代という緻密な織物の中心へと、現代の主体性という身分の内奥へと入り込むことができるようになる」(同頁)。

★周知の通り近年「ゾンビ」をテーマにした小説や映画以外の本が増えています。ダニエル・ドレズナー『ゾンビ襲来――国際政治理論で、その日に備える』(白水社、2012年10月)、フランク・スウェイン『ゾンビの科学――よみがえりとマインドコントロールの探究』(インターシフト、2015年7月)、ヴァースタイネン/ヴォイテック『ゾンビでわかる神経科学』(太田出版、2016年7月)、ロジャー・ラックハースト『ゾンビ最強完全ガイド』(エクスナレッジ、2017年3月)、藤田直哉『新世紀ゾンビ論――ゾンビとは、あなたであり、わたしである』(筑摩書房、2017年3月)、岡本健『ゾンビ学』(人文書院、2017年4月)、伊藤慎吾/中村正明『〈生ける屍〉の表象文化史――死霊・骸骨・ゾンビ』(青土社、2019年4月)、西山智則『ゾンビの帝国――アナトミー・オブ・ザ・デッド』(小鳥遊書房、2019年6月)などがあり、より「実用」的には、ゾンビになった際の指南書である、ジョン・オースティン『ゾンビの作法――もしもゾンビになったら』(太田出版、2011年9月)や、ゾンビの襲撃から生き延びるための、マックス・ブルックス『ゾンビサバイバルガイド』(エンターブレイン、2013年8月)などがあります。もはや映画やSFコーナーに留めておくことはできないので、人文書でもきちんとコーナーを作る必要があります。まだの書店さんは今回の新刊『ゾンビの小哲学』をきっかけにコーナーをお作りになると良いと思われます。来月のインプレスの新刊では『超進化版ゾンビのトリセツ』という書目が8日発売と予告されています。

★『敗北と憶想』はまもなく発売。1997年から2017年にかけて各媒体で発表されてきた13本の論考に、書き下ろしの「はじめに」を加えて1冊としたもの。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。マルクス、ニーチェ、ドゥルーズ、小林秀雄、埴谷雄高、三島由紀夫、萩原朔太郎、吉本隆明、丸山眞男、谷川雁、藤田省三、黒田喜夫、といった書き手たちが論及されます。「本書が長きにわたって求めに応じて書き溜められた文章(あるいはほぼ文書)の蒐積でありながら、しかし、憶想〔アインゲデンケン〕に戦略的に導かれたいくつかの自己編集-内面化〔エアインネルング〕を施したからである。ぼくが元気であれば、本書に続く一冊(『資本主義の層序学――資本の歴史叙述』)をもって、ぼくは「とまる」だろう」(「謝辞と初出」419頁)。「本書では、この国におけるさまざまな敗北とさまざまな文体を用いたその想起-憶想によるさまざまな修復-投企(とその失敗)が、まさに憶想される」(「はじめに」24頁)。

★『ドイツ国防軍冬季戦必携教本』は発売済。「1942年9月1日に発行された厳寒期の戦闘に関するマニュアル」だという『Taschenbuch für den Winterkrieg』の訳書です。「これは、1941年から42年にかけての、ソ連侵攻「バルバロッサ」作戦の挫折から、過酷な厳寒期(その冬は異常気象で、記録的な極寒であった)に、ドイツ国防軍が得た苦い経験をもとにまとめられたものである。すなわち、独ソ戦の過酷な環境をかいまみせてくれる貴重な歴史資料であると同時に、雪中に軍隊がいかに行動をするか、ひいては冬季のサバイバルとはいかなるものかを示す「実用書」であり、第一級の史料である」(帯文より)。主要項目は以下の通り。「冬季事情」「冬季戦準備」「泥濘期」「冬季の戦闘方法」「行軍、野営、宿営」「長期宿営」「冬季の陣地構築」「冬季の偽装」「防寒・防雪」「自動車業務」「移動・輸送手段」「冬季教育用資料」。付録は全部で14篇あり、その中には「冬めがねの組み立て」や「飯盒によるパン焼き」「サウナ構築」などがあります。

★『文藝 2019年秋季号』は発売済。特集は「韓国・フェミニズム・日本」です。斎藤真理子さんと鴻巣友季子さんの対談「世界文学のなかの隣人~祈りを共にするための「私たち文学」」をはじめ、10篇の短篇、3本のエッセイ、2篇の論考などを収録。目次詳細は誌名のリンク先でご確認いただけます。特別掲載は論考と対談。安藤礼二さんの論考は「神秘と抽象――鈴木大拙と南方熊楠」。先ごろ『モロイ』の新訳を上梓された宇野邦一が保坂和志を相手に「新たなるベケットと小説の未来」と題した対談を行なわれています。李龍徳さんの連載「あなたが私を竹槍で突き殺す前に」は最終回。磯部涼さんによる新連載「移民とラップ」が始まっています。書評欄では河出さんより来週発売予定の新刊『ルネ・シャール詩集――評伝を添えて』(野村喜和夫訳)などが取り上げられています。

+++



by urag | 2019-07-07 23:28 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2019年 07月 05日

注目新刊:筧菜奈子『日本の文様解剖図鑑』エクスナレッジ

a0018105_14451052.jpg

筧菜奈子さん(著者:『ジャクソン・ポロック研究』)
先月、エクスナレッジさんより新刊、『日本の文様解剖図鑑』を上梓されました。「日本独自の文様はいつ生まれ、どのような時に使われてきたのでしょうか。/本書ではこうした問いに答えるべく、まず日本の文様の歴史をマンガで振り返ります。続く第一部〔「わかると楽しい日本の文様77種」〕では、一つひとつの文様がもつ意味や、使用例を紹介すると同時に、文様のつくりや構成を解説します。/第二部〔「日本全国文様探し」〕では、実際に文様が見られる国内の場所に出かけていきます。〔…〕まだまだたくさんの建築や食べものに文様があしらわれていることがわかるでしょう」(はじめにより)。筧さんの著書と訳書を以下に列記します。

◆単独著
2016年02月『めくるめく現代アート――イラストで楽しむ世界の作家とキーワード』(文・絵)、フィルムアート社
2019年03月『ジャクソン・ポロック研究――その作品における形象と装飾性』(著)、月曜社
2019年06月『日本の文様解剖図鑑』(文・絵)、エクスナレッジ

◆訳書
2017年10月『みつけて!アートたんてい――よくみて、さがして、まなぼう!』(ブルック・ディジョヴァンニ・エヴァンス著、単独訳)、東京書籍
2018年09月『ライフ・オブ・ラインズ――線の生態人類学』(ティム・インゴルド著、共訳)、フィルムアート社
2019年06月『ART SINCE 1900――図鑑1900年以後の芸術』(ハル・フォスター/ロザリンド・E・クラウス/イヴ‐アラン・ボワ/ベンジャミン・H・D・ブークロー/デイヴィッド・ジョーズリット著、共訳)、東京書籍



by urag | 2019-07-05 14:45 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)