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2019年 05月 27日

「有島武郎研究」に荒木優太『仮説的偶然文学論』の書評が掲載

有島武郎研究会さんの「有島武郎研究」第22号(2019年5月)に、弊社より2018年5月に刊行した荒木優太さんの著書『仮説的偶然文学論』の書評が掲載されました。荒木さんの前著『貧しい出版者』(フィルムアート社、2017年12月)とともに取り上げられています。評者は北海道大学教授の中村三春さんです。中村先生、ありがとうございました。

「『仮説的偶然文学論』は、著者の理論としては、『貧しい出版者』にも垣間見られ、また前掲の引用にも端的に示されたところの、対象としても態度としても断片化に徹し、断片を論証において多様に接続する手法によって構築されている。〈触れ‐合い〉の契機としての偶然性は、ここでは論述対象であると同時に論述方法でもあり、論述は内容においても言説においても断片の接続の場となる。これほど緊密な論述スタイルは希に見ると評すべきであり、〔…〕断片の〈触れ‐合い〉の限界にまで徹するそのテクスト解釈は、再三述べたように意想外の驚きを生じてやむことがない」(151頁上段)。


by urag | 2019-05-27 10:22 | 広告・書評 | Trackback | Comments(0)
2019年 05月 26日

注目新刊:『ライプニッツ著作集 第I期 新装版[3]数学・自然学』、カヴェル『道徳的完成主義』、ほか

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ライプニッツ著作集 第I期 新装版[3]数学・自然学』G・W・ライプニッツ著、原亨吉/横山雅彦/三浦伸夫/馬場郁/倉田隆/西敬尚/長島秀男訳、工作舎、2019年5月、本体17,000円、A5判上製624頁+手稿8頁、ISBN978-4-87502-507-8
道徳的完成主義――エマソン・クリプキ・ロールズ』スタンリー・カヴェル著、中川雄一訳、春秋社、2019年5月、本体3,800円、四六判上製392頁、ISBN978-4-393-32381-6

★『ライプニッツ著作集 第I期 新装版[3]数学・自然学』は第5回配本。第I期の中でもっとも分厚い1冊です。第I期新装版はこれまでに全10巻のうち、2018年9月:第8巻「前期哲学」、2018年11月:第4~5巻「人間知性新論」上下巻、2019年1月:第10巻「中国学・地質学・普遍学」、2019年3月:6~7巻「宗教哲学『弁神論』」上下巻、そして今回の第3巻と、計7巻が刊行済。第3巻では数学部門で「すべての数を1と0によって表わす驚くべき表記法。これは、事物が神と無から由来すること、すなわち創造の神秘、を表現している」や「位置解析について」、「微分算の歴史と起源」など20篇(補遺2篇を含む)を収め、自然学部門では「自然法則に関するデカルトおよび他の学者たちの顕著な誤謬についての簡潔な証明」など6篇を収録。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。数学部門は新装版続刊予定の第2巻「数学論・数学」の続きで、二進法の確立や位置解析の着想など、ライプニッツの卓抜な業績に触れることができます。

★二進法がこんにちのコンピュータで利用されているのは周知の事実で、ライプニッツのアイデアは現代人の生活にも大きな影響を及ぼしています。しかしライプニッツにおいてこの計算法の発見は、まず「数の持つ驚くべき秘密と利点をあらわにするのであって、日常的な計算にも役立つというのは、その後のことなのである」(97頁)とされています。「自然自らが、数という驚くべき姿をとることによって、すべては神と質量からではなく神と無から生じたのだということを、私たちに示しているのである」(同頁)。「最も単純でもあり、また自然的かつ根源的と言うに最も相応しいのではないか〔…〕0と1という二つの数記号しか必要としないのである」(92頁)。二進法はつまりライプニッツにとって「神が創造者であることの驚嘆すべきしるし」(97頁)であり「創造の神秘」(同頁)であったわけです。第3巻の初版は1999年刊。函入本の第I期の最終回配本でした。新装版では今後、第1巻「論理学」、第2巻「数学論・数学」、第9巻「後期哲学」が刊行予定です。

★『道徳的完成主義』は『Conditions Handsome and Unhandsome: The Constitution of Emersonian Perfectionism: The Carus Lectures, 1988』(University of Chicago Press, 1990)の全訳。訳者あとがきによれば、原題は直訳すると「美しい条件と醜い条件――エマソン的完成主義の憲法、ケーラス記念講義、1988年」。「美しい条件と醜い条件」というのはエマソンのエッセイ「経験」から採られており、本書のエピグラフとして引かれている一文にも含まれる表現です。従来のエマソンの訳では「醜い(unhandsome)」は「かんばしくない」(小泉一郎訳)とか、「最も美しからざる」(戸川秋骨訳)とされており、そもそもhandsomeは語源的には「手近にあって使い勝手がよい」という意味であるとのこと。目次は以下の通りです。

序文と謝辞
序論 針路を堅持して
第1講義 背反的思考:ハイデガーとニーチェにおけるエマソンの変様
第2講義 日常的なものの議論:ウィトゲンシュタインとクリプキにおける教示の場面
第3講義 正義の会話:ロールズと合意のドラマ
エピローグ
補遺A 一縷の望み
補遺B カバーレター
註記
解説
訳者あとがき

★訳者解説では本書はこう紹介されています。「本書はカヴェル中期(カヴェル64歳)の傑作であり、「道徳」の問題に正面から取り組むことになった(それまでの主題をエマソン的完成主義あるいは道徳的完成主義の観点から見直すことになった)という意味では転機の著作でもある。「道徳」とはいっても、何が正しい振る舞いかといった個別の問題を扱うわけでも、いわゆる応用倫理的な問題と直接の関係があるわけでもない。〔…〕世界を回復するための道、カヴェルの言葉でいえば懐疑論を担い耐えるための道徳が問われている」。

★カヴェルは第3講義でこう話します。「私たちは人間的な偏りの実例として生きている。それは〈道徳的完成主義〉が、どんな形式をとるにせよ人間的個体として認知するものの実例である。この人間的個体はそれ自身で完結しているのではなく、自分のなかでそして他者のなかで、さらなる自己に向かって開かれている。つまり変化の必要性を認識する存在なのだ。〔…〕あたかも私たちがみな教師である、もしくはいわば哲学者であるかのように。問われているのは特別な道徳的要求ではなく、民主主義的な道徳性の条件である。〔…〕私たちは互いに対し、何が間違っているかを学び教えあうかのようだ。自由の代価として私たちは絶えず警戒しなくてはならない。学者が私たちを元気づけるのは、こうした帰結に耐えるためだ」(272~273頁)。

★カヴェル(Stanley Cavell, 1926-2018)の単独著の訳書には本書を含め以下のものがあります。
2005年10月『センス・オブ・ウォールデン』齋藤直子訳、法政大学出版局
2008年05月『哲学の“声”――デリダのオースティン批判論駁』中川雄一訳、春秋社
2012年04月『眼に映る世界――映画の存在論についての考察』石原陽一郎訳、法政大学出版局
2016年10月『悲劇の構造――シェイクスピアと懐疑の哲学』中川雄一訳、春秋社
2019年05月『道徳的完成主義――エマソン・クリプキ・ロールズ』中川雄一訳、春秋社

★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。

夢と爆弾――サバルタンの表現と闘争』友常勉著、航思社、2019年5月、本体3,800円、四六判上製400頁、ISBN978-4-906738-38-0
増補新版 いま生きているという冒険』石川直樹著、新曜社、2019年5月、本体1,800円、四六判並製320頁、ISBN978-4-7885-1614-4
増補新版 ザ・ママの研究』信田さよ子、新曜社、2019年5月、本体1,400円、四六判並製176頁、ISBN978-4-7885-1615-1
「国語」から旅立って』温又柔著、新曜社、2019年5月、本体1,300円、四六判並製264頁、ISBN978-4-7885-1611-3
志度寺縁起絵――瀬戸内の寺を巡る愛と死と信仰と』太田昌子編著、平凡社、2019年5月、本体4,800円、B5判上製316頁、ISBN978-4-582-29531-3
宮本隆司 いまだ見えざるところ』宮本隆司著、東京都写真美術館編、平凡社、2019年5月、本体3,000円、B5変判上製224頁、ISBN978-4-582-20716-3

★『夢と爆弾』はまもなく発売。2012年から2018年に各媒体で発表された日本語論文19篇に、2018年と2019年に英文で発表された論考を自ら訳して加筆したものが2篇、さらに未発表論考1篇と書き下ろし2篇の、合計24篇を収録した、友常さんの4冊目の単独著です。あとがきにはこう書かれています。「資本制社会を相対化するために、さまざまなマイノリティと底辺労働者との出会いをこちらからつくる必要がある〔…念頭にあるのは〕寄せ場の労働者であり、アンダークラスの闘争〔…である〕。本書に収録したテキストのテーマはそれぞれ異なっているが、そのなかで私が追及してきたのは〔…出会いをこちらからつくるという〕ことに尽きる」(391頁)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。友常勉(ともつね・つとむ:1964-)さんは東京外国語大学大学院国際日本学研究院教授。これまでに刊行された単独著には、『始原と反復――本居宣長における言葉という問題』(三元社、2007年7月)、『脱構成的叛乱――吉本隆明、中上健次、ジャ・ジャンクー』(以文社、2010年10月)、『戦後部落解放運動史――永続革命の行方』 (河出ブックス、2012年4月)、があります。

★『増補新版 いま生きているという冒険』『増補新版 ザ・ママの研究』『「国語」から旅立って』は、新曜社さんのシリーズ「よりみちパン!セ」の今月新刊4点のうちの3点。もう1点、大谷能生『平成日本の音楽の教科書』は先日すでにご紹介しました。『増補新版 いま生きているという冒険』は2006年に理論社時代の「よりみちパン!セ」シリーズから刊行されたものを増補し、再構成して新装版として刊行するもの。カラー写真多数。「世界を歩き続けてきた写真家による、中学生時代から現在までの8つの「旅」の記録」(帯文より)。「「生きる」ということはすなわち、世界を経験することなのではないでしょうか」(29頁)と石川さんは書きます。この言葉の重みがしっかりと腑に落ちてくる良書ではないかと思います。

★『増補新版 ザ・ママの研究』は理論社時代の同シリーズの1冊の増補新版。母親を7つのタイプに分けて傾向と対策を伝授。「今はまだママといて楽しいだけかもしれないが、いずれあなたがおとなに近づくにつれて、ママとのつきあい方で困るときがくるかもしれない。その時に備えて、今から準備しておこう」(7~8頁)。「ママとのつきあいかたを解説した本はこれまで、なかった。これから書くことは、あなたがママと仲良く、楽しくつきあっていくためにきっと役に立つだろう」(8頁)。増補1は「ザ・パパの研究」、増補2は「ザ・ばぁばも研究」。基本的に女性の視点から書かれており、男性には別様の意味で刺さりやすい本かもしれません。

★『「国語」から旅立って』は現行シリーズの最新刊。温又柔(おん・ゆうじゅう:ウェン・ヨウロウ:1980-)さんは台湾生まれの小説家。中国語、台湾語、日本語が飛び交う家庭で育った温さんの、半生を振り返っての、ことばとアイデンティティとの向き合いの記録です。温さんはかつて留学先の上海でこう日記に綴ったといいます。「台湾から日本。日本と中国。中国にとっての台湾……日本育ちの台湾人として中国にいるという自分を自覚すればするほど、三つの国々の間での自分の位置がわからなくなってきてしまう……」(195頁)。また、「日本で育った台湾人としての自分のことば――中国語や台湾語が織り込まれたニホン語という杖を取り戻すために、そしてわたし自身を取り戻すために、わたしはこうして、「国語」としての日本語から旅立つ必要があったのだと思います」(257頁)と巻末の「おわりに」で述懐されています。

★平凡社さんの新刊より2点。『志度寺縁起絵』は、香川県さぬき市の、四国八十八箇所巡りの第八十六番札所である海辺の寺、志度寺に伝わる、縁起絵と縁起文の掛幅(重要文化財)の紹介書です。「神木が琵琶湖から流れ下り瀬戸内海の寺に辿りつく物語の絵と縁起文」(版元紹介文)をカラー図版や現代語訳とともに解説し、「豊かな瀬戸内海文化の実像――風俗習慣、進行、そして人々の思考様式を今に伝える第一級資料」(帯文)として30年近く研究されてきたものの成果をまとめています。縁起絵の資料CD付きです。

★『宮本隆司 いまだ見えざるところ』は、東京都写真美術館で2019年5月14日(火)から7月15日(祝)まで開催中の展覧会「宮本隆司 いまだ見えざるところ」の公式カタログ。80年代から10年代まで国内外で撮影した「都市をめぐって」と、徳之島の風景と人物を写した「シマというところ」の二部構成の作品集に、4本の論考が添えられています。宮本さん本人による「いまだ見えざるところ」、倉石信乃さんの「島へ――宮本隆司、もうひとつのイメージ」、キャリー・クッシュマンさんの「宮本隆司――闇のなかから」、藤村里美さんによる「旅の目的地」。宮本さんによるワークショップや、詩人の佐々木幹郎さんとの対談イベント情報が展覧会名のリンク先でご確認いただけます。

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by urag | 2019-05-26 21:44 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2019年 05月 23日

本日取次搬入:『森山大道写真集成(4)光と影』、シリーズ第2回配本

シリーズ「森山大道写真集成」の第2回配本第4巻である『光と影』を本日、2019年5月23日に取次搬入いたしました。日販、トーハン、大阪屋栗田、三社とも本日です。書店店頭に並び始めるのは、27日(月)以降、順次となるかと思われます。なお、弊社は見計らい配本(パターン配本)は行っておりません。事前にご発注のあった書店様にのみ送品しております。弊社の新刊案内をご利用希望の書店様は、弊社営業部までご連絡下さい。新刊案内はFAXないしEメールにてお送りしております。弊社の書籍は基本的に取次の取引口座をお持ちの書店様にお届けが可能ですが、直取引のみで運営されている書店様との取引も可能です。ただし買切のみの扱いとなりますので、ご留意願います。

by urag | 2019-05-23 14:57 | 森山大道 | Trackback | Comments(0)
2019年 05月 22日

新規取引店情報:月曜社の本を置いてくださっている本屋さん

2019年4月17日(水)開店
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大阪府大阪市中央区久太郎町3丁目1−22 OSKビル204号室
直取引。芸術書や文芸書をご発注いただきました。心斎橋アセンスにお勤めだった磯上竜也さんがお作りになった本屋さんです。5坪のお店。開店の動機は2019年3月2日のブログ記事「本屋を<考えるため/問うため>に本屋をつくる。」にお書きになっておられます。「元々力を入れていた文芸を中心にしながらも、いわゆるジャンルに捉われすぎることなく、”問い”を見つけることのできる本を一冊一冊、出来る限り丁寧に売ってゆきたい。本を手に取る度に、〈見方/味方〉が増えるような本屋をつくりたい。その為にもイベントや展示も積極的にしたい」とのことです。店頭の写真をいただきましたので、掲出いたします。

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by urag | 2019-05-22 14:34 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)
2019年 05月 22日

注目新刊:アガンベン『オプス・デイ』、大谷能生『平成日本の音楽の教科書』、ほか

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★ジョルジョ・アガンベンさん(著書『アウシュヴィッツの残りのもの』『バートルビー』『瀆神』『思考の潜勢力』『到来する共同体』)
「ホモ・サケル」シリーズ第Ⅱ部第5巻の『Opus Dei. Archeologia dell'ufficio. Homo sacer II, 5』(Bollati Boringhieri, 2012)の訳書が以文社さんからまもなく発売となります(5月24日取次搬入予定)。オプス・デイ(神のわざ)は「典礼」を意味するカトリック教会の専門用語です。

オプス・デイ――任務の考古学
ジョルジョ・アガンベン著 杉山博昭訳
以文社 2019年5月 本体3,800円 四六判上製viii+264頁 ISBN978-4-7531-0353-9
帯文より:なぜ、倫理は義務となったのか? カント以来の現代倫理に導入された、負債と徳性に基づく「義務」の無限性。キリスト教における任務=聖務、典礼への考察を通じて、当為(べき)と命令(せよ)から構成される存在の統治を明らかにする、ジョルジョ・アガンベン「ホモ・サケル」シリーズの1冊。

目次:
端書
1 典礼と政治
 閾
2 秘儀から効果へ
 閾
3 任務の系譜学
 閾
4 ふたつの存在論、あるいは、いかに義務は倫理になったのか
 閾

訳者あとがき

端書より:「任務という概念は、存在論のカテゴリーと実践をめぐるカテゴリーの決定的な変換を指し示す。この変換の重要性についてはさらなる評価がまたれる。ただ任務のもとで存在と実践は、言い換えるなら、人間が在ることと人間が為すことは、不分明なひとつの圏域に入る。この圏域のなかで、存在は実際的効果にとって解体されるだけに留まらない。完全なる循環性のもと、存在は在らなければならないものであり、かつ、存在は在るものでなければならなくなる。有為性と実効性が存在論的パラダイムを定義するのは、この意味においてである。世俗的プロセスをかいして、このあらたなパラダイムは古代哲学のパラダイムに取って代わるだろう。つまるところ、在ることについてもはたらくことについても、今日のわたしたちが手にする表象は実効性のほかになにもない。これが本書の提示する考察の主題である。現実とはたんに有効ななにかである。現実とは統治するものである。現実とは効力のあるものである。現実とは任務をして、官僚のつつましい服装や祭司の栄光に満ちた法衣のもとに、倫理学だけでなく形而上学の規則さえも完全に転倒させてしまうほどの効果を上げるものである」(iii-iv頁)。

★大谷能生さん(著書『貧しい音楽』)
新曜社さんより単独著と共著が今月同時発売されました。内容紹介文や目次は書名のリンク先でご確認いただけます。

平成日本の音楽の教科書
大谷能生著
新曜社 2019年5月 本体1,600円 四六判並製288頁 ISBN978-4-7885-1613-7
まえがきより:この本では、おもに平成時代の音楽の教科書をたどりながら、また、随時、文部科学省の「教育指導要領」を参考にしながら、その内容を確認し、わたしたちの「音楽」と「教科書」というものがどのように関係しているのか、そして、それをどのように使えば、つまり、それをどのように教えて、あるいはどのように教われば、「音楽」を自分たちのものとして演奏したり、聴くことができるようになるのか。そんなことについて考えてみることを、ひとつの目標にしました」(6~7頁)。

身体と言葉(ことばとからだ):舞台に立つために──山縣太一の「演劇」メソッド
山縣太一+大谷能生著
新曜社 2019年5月 本体1,500円 四六判並製240頁 ISBN978-4-7885-1612-0
山縣太一(チェルフィッチュ)さんのまえがきより:誰もが身体を使って生きています。言葉の葉っぱも身体から生えます。そして演劇では言葉と身体は音や明かりや舞台美術よりも大事なんです。そんな僕のたどりついた演劇の可能性を本にしました。この本は僕の演劇のパートナー、僕の表現の理解者である大谷能生さんといっしょに作りました」(3~4頁)。

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by urag | 2019-05-22 12:42 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2019年 05月 21日

ブックツリー「哲学読書室」に斎藤幸平さんの選書リストが追加されました

オンライン書店「honto」のブックツリー「哲学読書室」に、『大洪水の前に――マルクスと惑星の物質代謝』(Νυξ叢書、堀之内出版、2019年4月)の著者、斎藤幸平さんによるコメント付き選書リスト「マルクスと環境危機とエコ社会主義」が「哲学読書室」が追加されました。以下のリンク先一覧からご覧になれます。

◎哲学読書室
1)星野太(ほしの・ふとし:1983-)さん選書「崇高が分かれば西洋が分かる
2)國分功一郎(こくぶん・こういちろう:1974-)さん選書「意志について考える。そこから中動態の哲学へ!
3)近藤和敬(こんどう・かずのり:1979-)さん選書「20世紀フランスの哲学地図を書き換える
4)上尾真道(うえお・まさみち:1979-)さん選書「心のケアを問う哲学。精神医療とフランス現代思想
5)篠原雅武(しのはら・まさたけ:1975-)さん選書「じつは私たちは、様々な人と会話しながら考えている
6)渡辺洋平(わたなべ・ようへい:1985-)さん選書「今、哲学を(再)開始するために
7)西兼志(にし・けんじ:1972-)さん選書「〈アイドル〉を通してメディア文化を考える
8)岡本健(おかもと・たけし:1983-)さん選書「ゾンビを/で哲学してみる!?
9)金澤忠信(かなざわ・ただのぶ:1970-)さん選書「19世紀末の歴史的文脈のなかでソシュールを読み直す
10)藤井俊之(ふじい・としゆき:1979-)さん選書「ナルシシズムの時代に自らを省みることの困難について
11)吉松覚(よしまつ・さとる:1987-)さん選書「ラディカル無神論をめぐる思想的布置
12)高桑和巳(たかくわ・かずみ:1972-)さん選書「死刑を考えなおす、何度でも
13)杉田俊介(すぎた・しゅんすけ:1975-)さん選書「運命論から『ジョジョの奇妙な冒険』を読む
14)河野真太郎(こうの・しんたろう:1974-)さん選書「労働のいまと〈戦闘美少女〉の現在
15)岡嶋隆佑(おかじま・りゅうすけ:1987-)さん選書「「実在」とは何か:21世紀哲学の諸潮流
16)吉田奈緒子(よしだ・なおこ:1968-)さん選書「お金に人生を明け渡したくない人へ
17)明石健五(あかし・けんご:1965-)さん選書「今を生きのびるための読書
18)相澤真一(あいざわ・しんいち:1979-)さん/磯直樹(いそ・なおき:1979-)さん選書「現代イギリスの文化と不平等を明視する
19)早尾貴紀(はやお・たかのり:1973-)さん/洪貴義(ほん・きうい:1965-)さん選書「反時代的〈人文学〉のススメ
20)権安理(ごん・あんり:1971-)さん選書「そしてもう一度、公共(性)を考える!
21)河南瑠莉(かわなみ・るり:1990-)さん選書「後期資本主義時代の文化を知る。欲望がクリエイティビティを吞みこむとき
22)百木漠(ももき・ばく:1982-)さん選書「アーレントとマルクスから「労働と全体主義」を考える
23)津崎良典(つざき・よしのり:1977-)さん選書「哲学書の修辞学のために
24)堀千晶(ほり・ちあき:1981-)さん選書「批判・暴力・臨床:ドゥルーズから「古典」への漂流
25)坂本尚志(さかもと・たかし:1976-)さん選書「フランスの哲学教育から教養の今と未来を考える
26)奥野克巳(おくの・かつみ:1962-)さん選書「文化相対主義を考え直すために多自然主義を知る
27)藤野寛(ふじの・ひろし:1956-)さん選書「友情という承認の形――アリストテレスと21世紀が出会う
28)市田良彦(いちだ・よしひこ : 1957-)さん選書「壊れた脳が歪んだ身体を哲学する
29)森茂起(もりしげゆき:1955-)さん選書「精神分析の辺域への旅:トラウマ・解離・生命・身体
30)荒木優太(あらき・ゆうた:1987-)さん選書「「偶然」にかけられた魔術を解く
31)小倉拓也(おぐら・たくや:1985-)さん選書「大文字の「生」ではなく、「人生」の哲学のための五冊
32)渡名喜庸哲(となき・ようてつ:1980-)さん選書「『ドローンの哲学』からさらに思考を広げるために
33)真柴隆弘(ましば・たかひろ:1963-)さん選書「AIの危うさと不可能性について考察する5冊
34)福尾匠(ふくお・たくみ:1992-)さん選書「眼は拘束された光である──ドゥルーズ『シネマ』に反射する5冊
35)的場昭弘(まとば・あきひろ:1952-)さん選書「マルクス生誕200年:ソ連、中国の呪縛から離れたマルクスを読む。
36)小林えみ(こばやし・えみ:1978-)さん選書「『nyx』5号をより楽しく読むための5冊
37)小林浩(こばやし・ひろし:1968-)選書「書架(もしくは頭蓋)の暗闇に巣食うものたち
38)鈴木智之(すずき・ともゆき:1962-)さん選書「記憶と歴史――過去とのつながりを考えるための5冊
39)山井敏章(やまい・としあき:1954-)さん選書「資本主義史研究の新たなジンテーゼ?
40)伊藤嘉高(いとう・ひろたか:1980-)さん選書「なぜ、いま、アクターネットワーク理論なのか
41)早尾貴紀(はやお・たかのり:1973-)さん選書「映画論で見る表象の権力と対抗文化
42)門林岳史(かどばやし・たけし:1974-)さん選書「ポストヒューマンに抗して──状況に置かれた知
43)松山洋平(まつやま・ようへい:1984-)さん選書「イスラムがもっと「わからなく」なる、ナマモノ5選
44)森田裕之(もりた・ひろゆき:1967-)さん選書「ドゥルーズ『差異と反復』へ、そしてその先へ
45)久保田晃弘 (くぼた・あきひろ:1960-)さん選書「新たなる思考のためのメタファーはどこにあるのか?
46)亀井大輔(かめい・だいすけ:1973-)さん選書「「歴史の思考」へと誘う5冊
47)須藤温子(すとう・はるこ:1972-)さん選書「やわらかな思考、奇想の知へようこそ!
48)斎藤幸平(さいとう・こうへい:1987-)さん選書「マルクスと環境危機とエコ社会主義

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by urag | 2019-05-21 14:19 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2019年 05月 20日

注目新刊:チェア/ウィリアムズ『アウシュヴィッツの巻物 証言資料』、ほか

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アウシュヴィッツの巻物 証言資料』ニコラス・チェア/ドミニク・ウィリアムズ著、二階宗人訳、みすず書房、2019年5月、本体6,400円、A5判上製416頁、ISBN978-4-622-08703-8
『現代「液状化社会」を俯瞰する――〈狂気の知者〉の饗宴への誘い』ウンベルト・エコ著、谷口伊兵衛/G・ピアッザ訳、而立書房、2019年5月、本体2,400円、A5判上製224頁、ISBN978-4-88059-413-2 
理性の病理――批判理論の歴史と現在』アクセル・ホネット著、出口剛司/宮本真也/日暮雅夫/片上平二郎/長澤麻子訳、法政大学出版局、2019年5月、本体3,800円、四六判上製326頁、ISBN978-4-588-01093-4
インフラグラム――映像文明の新世紀』港千尋著、講談社選書メチエ、2019年5月、本体1,700円、四六判並製256頁、ISBN978-4-06-516217-0

★『アウシュヴィッツの巻物 証言資料』は『Matters of Testimony: Interpreting the Scrolls of Auschwitz』(Berghahn Books, 2016)の全訳。「本書は、ビルケナウ強制収容所の死体焼却施設の作業に従事したゾンダーコマンド〔特別作業班〕の班員たちが、70年以上前に書き記した一連の手書き文書を取り上げたものである。これらの文書は一般に「アウシュヴィッツの巻物」と呼ばれ、書かれた後、いつの日か堀り出されて日の目を見ることを願って、灰や土の下に入念に埋めて隠された。死体焼却施設〔クレマトリウム〕の敷地はその結果、ほかに類をみない蛮行の記録を保存する最初の現場となった」(まえがきより)。

★「こうした文書を書くことはたんなる一個人の仕事ではなかった。それが書かれるために必要なさまざまな文具、すなわち紙、ペン、インクは、強制収容所内での物々交換や取引のネットワークを通じたいわゆる組織化によって入手しなければならなかった。同時に、埋めた文書を保存する容器、すなわちここで言及されている広口瓶や箱を見つけてくるのは共有された仕事であった」(131~132頁)。ゾンダーコマンドの一人、ザルマン・グラドフスキはこう綴っています。「われわれは自分たちの感受性を麻痺させ、あらゆる悲痛な思いを鈍らせなければならない。われわれは体のいたるところを吹き抜ける暴風のような恐怖心を強い意志で克服しなければならない。われわれはなにも見ず、なにも感じず、なにも理解しないロボットと化さなければならない」(121頁)。2019年に刊行された本の中でももっとも重要な一冊となる予感がします。

★『現代「液状化社会」を俯瞰する』はエコ(エーコとも)の「最後の遺著」(訳者あとがき)である『Pape Satàn Aleppe. Cronache di una società liquida』(La nave di Teseo, 2016)の抄訳。原書は週刊『エスプレッソ』誌の連載コラム「ミネルヴァの知恵袋」をまとめたもので、抄訳では50篇強が収められています。過去に同コラムをまとめた書籍の訳書としては『歴史が後ずさりするとき――熱い戦争とメディア』(リッカルド・アマデイ訳、岩波書店、2013年)がありました。今回の訳書では、『開かれた作品』(篠原資明/和田忠彦訳、青土社、1984年;新新装版2011年)では訳出されていなかった「禅と西欧――アラン・W・ワッツ『禅の精神』への注記」が付論として掲載されており、さらにエコ研究の第一人者トマス・シュタウダーさんによる解説「燦然たる輝き――現代版農学者の独創的な思考実験」が付されています。

★『理性の病理』は『Pathologien der Vernunft: Geschichte und Gegenwart der Kritischen Theorie』(Suhrkamp, 2007)の全訳。巻頭に「日本語版への序文」が置かれています。「フランクフルト学派のアプローチにとって固有なものが、他の理論との差異においていったいどの点にあったのかを、より深い地点から掘り起こし、より正確に詳らかにすること〔…〕このことの探究の成果が、この本に収められている論文の数々なのです。すなわち、私はそこで、フランクフルトのメンバーたちをある考え方が束ねていた、というテーゼを素描しようとしたのです。つまり、歴史が展開していった結果、資本主義的な経済関係が確立するとともに、社会のあり様全体に目をやれば「理性の社会的病理」と言えるような、そうした状態に陥っているという考え方です」(iv頁)。「この社会形式は、ただ道具的な合理性だけ、あるいは機能的合理性だけしか許さないがために、私たちの理性の能力の「病理」を蔓延させてしまうのです」(同頁)。「合理性のこの新しい」形式はただ、私たちの理性を不完全なかたちでのみ、つまり制限された状態でのみ発揮することしか許さない」(v頁)。批判理論の「可能性としてのアクチュアリティ」(序言、1頁)に迫る好著。

★『インフラグラム』は講談社選書メチエの702番。「本書は地球を覆うにいたった映像の文明を眼差しの歴史として考える試みである」(はじめに、4頁)。「扱う範囲は、およそ写真が発明された19世紀前半から今日までになるが、特に社会の情報化が進みデジタルメディアが日常生活を大きく変えてゆく、1990年代以降に焦点を当てている。2010年代に始まるスマートフォンの爆発的な成長と、映像やメッセージの拡散と共有文化の拡大は、コミュニケーションのありかたを変えてきたが、そこで映像の生産と消費は区別できないほど一体化している。私たちの生活は、かつてアルビン・トフラーが予見した「生産消費者」のそれに近い。/その生活に欠かせないのがカメラである。〔…〕いまや地球全体が無数の「瞬かない眼」に見つめられていると言ってもいい」(同頁)。「情報化社会のインフラとなった写真や映像を、わたしは「インフラグラム」と呼ぶ。〔…〕インフラ化とはすなわちブラックボックス化である。インフラグラムは映像のブラックボックス化を伴う」(70頁)。『映像論』(NHK出版、1998年)から20年、昨年上梓された『風景論――変貌する地球と日本の記憶』(中央公論新社、2018年)とともにひもときたい1冊です。とりわけ出版人や書店人はインフラグラムの時代における書籍編集、書籍販売とは何か、読書とは何か、を考えるために、時代背景を本書から学んでおくべきかと思われます。

★続いて最近の注目新刊を列記します。

パイドン』プラトン著、納富信留訳、光文社古典新訳文庫、2019年5月、本体920円、文庫判330頁、ISBN978-4-334-75402-0
千霊一霊物語』アレクサンドル・デュマ著、前山悠訳、光文社古典新訳文庫、2019年5月、本体1,020円、文庫判404頁、ISBN978-4-334-75400-6
法水麟太郎全短篇』小栗虫太郎著、日下三蔵編、河出文庫、2019年5月、本体1,100円、文庫判456頁、ISBN978-4-309-41672-4
まちの本屋――知を編み、血を継ぎ、地を耕す』田口幹人著、ポプラ文庫、2019年5月、本体660円、文庫判207頁、ISBN978-4-591-16300-9
ファウスト 悲劇第一部』ゲーテ著、手塚富雄訳、中公文庫、2019年5月、本体1,400円、文庫判472頁、ISBN978-4-12-206741-7
ファウスト 悲劇第二部』ゲーテ著、手塚富雄訳、中公文庫、2019年5月、本体1,600円、文庫判640頁、ISBN978-4-12-206742-4
戦後と私・神話の克服』江藤淳著、中公文庫、2019年5月、本体1,000円、文庫判320頁、ISBN978-4-12-206732-5

★まず光文社古典新訳文庫より2点。『パイドン』は古典新訳文庫でのプラトン新訳の6点目。「ソクラテス最期の日、獄中で弟子たちと対話する、プラトン中期の代表作」(カバー表4紹介文より)。ソクラテスが魂の不死について訪問者たちと縦横に語り合い、最後に従容として毒杯を仰いで死ぬという胸打つ場面までを、若い弟子のパイドンが思い出して語るという形式で描かれた、名編です。訳者による側注と補注を合わせると470項目もあり、さらには50頁を超える巻末解説が付されています。文庫で入手可能な『パイドン』の既訳には岩田靖夫訳(岩波文庫、1998年、在庫僅少)があります。

★『千霊一霊物語』は1849年の『Les Mille et Un Fantômes』の初訳。もともとは「コンスティテュショネル」紙での連載で、かの『千夜一夜物語』に倣い、語り手であるデュマによって奇譚の数々が披露されます。語りの中の語り手の語り、さらにその語りの中の語り手の語り、というような入れ子構造が見られるのも『千夜一夜物語』に似ています。そもそも『千夜一夜物語』は幼少期のデュマの愛読書だったそうです。

★『法水麟太郎全短篇』は河出文庫での小栗虫太郎本の5点目。かの『黒死館殺人事件』『二十世紀鉄仮面』(河出文庫でそれぞれ2008年、2017年に刊行済)の名探偵、法水麟太郎(のりみず・りんたろう)が登場する短篇8作をまとめたもの。収録作は以下の通り。「後光殺人事件」「聖アレキセイ寺院の惨劇」「夢殿殺人事件」「失楽園殺人事件」「オフェリヤ殺し」「潜航艇「鷹の城」」「人魚謎お岩殺し」「国なき人々」。巻末の編者解説によれば、河出書房新社のシリーズ「レトロ図書館」より『小栗虫太郎エッセイ集成(仮)』が刊行予定とのことです。

★『まちの本屋』はポプラ社より2015年に刊行された単行本を加筆修正して文庫化したもの。主要目次は以下の通り。

文庫版はじめに
第1章 僕はまちから本屋を消した
第2章 本屋はどこも同じじゃない
第3章 一度やると本屋はもうやめられない
第4章 本屋には、まだまだできることがある
第5章 まちの本屋はどこへ向かうべきなのか
その後の『まちの本屋』
文庫版あとがき

★「その後の『まちの本屋』」が新規の書き下ろし。「これから僕は、書店が書店として存在し続けられる「仕組み」をつくる仕事をしていきたいと思っています」(201頁)と書いた田口さんは現在、某取次にお勤めです。3月の某「ホワイエ」のツイートにご登場。文庫版あとがきにはこう書かれています。「個人書店がつぶれるのは大型書店やネット書店のせいなどと、誰かのせいにしていても何の解決にもならない。〔…〕それぞれの会社や店の軸がどこにあるのか。〔…〕本の未来に寄り添い続ける、強い本屋がつくりたい」(204頁)。

★『ファウスト』第一部、第二部は、中公文庫プレミアム「知の回廊」の最新刊でまもなく発売。旧版(全3分冊、1974~1975年、第一部全1巻、第二部は全2巻)はしばらく第二部が品切になっていましたが、今般第二部上下巻を合本して、第一部と第二部で全2巻本として新組で再刊されます。第一部には訳者の手塚さんによる「解説――一つの読み方」のほかに、巻末エッセイとして、河盛好蔵さんによる「渾然たる美しい日本語」と、福田宏年さんによる「自然に胸にしみいる翻訳」を新たに掲載。これは親本である1971年の『ファウスト 悲劇(全)』の月報から採ったもの。第二部には巻末エッセイとして中村光夫さんによる「『ファウスト』をめぐって」が収められています。こちらは筑摩書房版『中村光夫全集』第10巻から採ったもの。現在も入手可能な文庫で読めるゲーテ『ファウスト』には、相良守峯訳全2巻(岩波文庫、1958年)、 高橋義孝訳全2巻(新潮文庫、1967年)、柴田翔訳全2巻(講談社文芸文庫、2003年)、池内紀訳全2巻(集英社文庫ヘリテージ、2004年)などがあります。

★『戦後と私・神話の克服』はまもなく発売。没後20年の文庫オリジナル編集で、3部構成に11篇を収めた批評・随筆集です。目次は以下の通り。


文学と私
戦後と私
場所と私
文反古と分別ざかり
批評家のノート

伊藤静雄『反響』
三島由紀夫の家
大江健三郎の問題
神話の克服

現代と漱石と私
小林秀雄と私
解説 江藤淳と「私」(平山周吉)

★「批評家のノート」は、自選著作集『新編 江藤淳文学集成』(全5巻、河出書房新社、1984~85年)の各巻のあとがきである「著者のノート」を改題して同文庫で初めてまとめたもの。中公文庫での江藤さんの単独著は今回が初めての刊行となります。

★なお中公文庫の来月新刊ではマラパルテの『クーデターの技術』(手塚和彰/鈴木純訳、中公選書、2015年)が「註釈を増やして」文庫化される模様です。

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by urag | 2019-05-20 01:52 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2019年 05月 16日

保管:2018年3月~2018年5月既刊情報

◎2018年5月22日発売:荒木優太『仮説的偶然文学論』本体2,000円、哲学への扉第1回配本。
 高原到氏書評「偶然のもたらす妙なる僥倖」(「週刊金曜日」2018年7月6日号(1191号)「きんようぶんか」欄)
◎2018年4月24日発売:岡田聡/野内聡編『交域する哲学』本体3,500円
◎2018年4月23日発売:『表象12:展示空間のシアトリカリティ』本体2,000円
◎2018年4月5日発売:ジャン=リュック・ナンシー『ミューズたち』本体2,700円、芸術論叢書第5回配本。
◎2018年3月16日発売:佐藤真理恵『仮象のオリュンポス』本体3,400円、シリーズ・古典転生第17回配本、本巻16。



by urag | 2019-05-16 12:51 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)
2019年 05月 15日

2刷出来:甲斐義明編訳『写真の理論』

ジョン・シャーカフスキー、アラン・セクーラ、ロザリンド・クラウス、ジェフ・ウォール、ジェフリー・バッチェンらの写真論を収録したアンソロジー『写真の理論』(甲斐義明編訳、月曜社、2017年10月)の2刷が5月10日にできあがりました。60年代から00年代までの論考5篇を収めています。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。どうぞよろしくお願いいたします。

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by urag | 2019-05-15 15:31 | 芸術書既刊 | Trackback | Comments(0)
2019年 05月 14日

月曜社全点フェア@早稲田大学生協戸山店、関連イベントあり

早稲田大学文学部キャンパス内の早稲田大学生協戸山店で、昨日よりひとつきほど、「月曜社全点フェア」を開催していただいています。単独の全点フェアは久しぶりのことで、たいへん光栄です(2007年に関西学院大学生協書籍部さんで、2012年に東京堂書店神田神保町店でやっていただいたことがあります)。弊社は人文書や芸術書、文芸書などを手掛けていますが、全点を一望していただく機会はめったにありません。ぜひこの機会をご活用いただけると幸いです。すべて1冊ずつ納品しています。売れた本は補充する予定です。品切本は初回には納品できていませんが、倉庫から見つかれば出荷したいです。

また、関連イベントとして今月末、「店頭にお邪魔します会」を開催します。一文92年卒の取締役小林浩が戸山店さんにお邪魔し、フェアを企画して下さったMさんと一時間ほど棚前で立ち話をするという無料イベントです。出版社への就職をお考えになっておられる学生さんにとって参考にしていただけるようなお話しができればと思っています。ご参加いただいた方全員とぜひお話ししたいので、どうぞよろしくお願いいたします。

◉月曜社全点フェア
日時:2019年5月13日(月)~6月21日(金)
場所:早稲田大学生協戸山店

◉店頭にお邪魔します会
日時:2019年5月31日14時30分(3限目終わり)~
場所:早稲田大学生協戸山店「月曜社全点フェア」棚前
出演:小林浩(月曜社取締役)

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by urag | 2019-05-14 16:35 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)