1 2018年 02月 27日
2017年4月5日取次搬入予定 *人文/芸術/現代思想 ミューズたち ジャン=リュック・ナンシー著 荻野厚志訳 月曜社 2018年4月 本体:2,700円、46変型判[190mm×115mm×18mm]並製292頁 ISBN: 978-4-86503-060-0 美学の脱構築へ。古代から現代に至る広範な美学史や哲学史を参照しつつ、複数かつ単数の〈感覚=意味〉の問題として批判的に検討し直す、ナンシーによる芸術哲学の精華。解説=暮沢剛巳【芸術論叢書:第5回配本】 アマゾン・ジャパンで予約受付中 ミューズたちの名は、ある語根に由来している。それは熱情を、焦燥、欲望、あるいは怒りのなかに募る激しい緊張感を、知りたい、作りたいという熱意に充ちた緊張感を示している。より穏当な解釈では「精神の運動」だと言われる。ミューズは、励まし、駆り立て、搔き立て、揺さぶる。彼女は形態よりも力を見守る。あるいは、より正確には、彼女は力を込めて形態を見守る。しかし、この力は複数形でほとばしる。この力は当初から複数の形態で与えられている。存在するのはミューズたちであって、ミューズなるものではない。彼女たちの人数は、その属性と同じで、さまざまに変わるものだったが、ミューズたちはつねに多数いただろう。(本書より) 目次: Ⅰ なぜ、ただ一つではなく、いくつもの芸術があるのだろうか?(世界の複数性についての対話)Ⅱ ミューズたちを継ぐ乙女(諸芸術のヘーゲル的誕生) Ⅲ 閾の上に Ⅳ 洞窟のなかの絵画 Ⅴ 芸術の残骸 Ⅵ 諸芸術は一方と他方で為される Ⅶ プラエセンス 日本語版解説 ジャン゠リュック・ナンシーと洞窟壁画:一つの註釈として(暮沢剛巳) 訳者あとがき 原書:Les Muses, Édition revue et augumentée, Éditions Galilée, 1994/2001. ジャン゠リュック・ナンシー(Jean-Luc Nancy)1942年生。フランスの哲学者。芸術論系の著書に『訪問――イメージと記憶をめぐって』(西山達也訳、松籟社、2003年)、『映画の明らかさ――アッバス・キアロスタミ』(上田和彦訳、松籟社、2004年)、『肖像の眼差し』(岡田温司/長友文史訳、人文書院、2004年)、『イメージの奥底で』(西山達也/大道寺玲央訳、以文社、2006年)などがある。 荻野厚志(おぎの・あつし)1972年生。パリ第7大学DEA取得。芸術学、仏文学。既訳書にジャン゠リュック・ナンシー『私に触れるな――ノリ・メ・タンゲレ』(未來社、2006年)など。 暮沢剛巳(くれさわ・たけみ)1966年生。東京工科大学デザイン学部教授。近書に『オリンピックと万博――巨大イベントのデザイン史』(ちくま新書、2018年)など。 +++
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| 2018-02-27 19:38
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2018年 02月 26日
オンライン書店「honto」のブックツリー「哲学読書室」に、マーク・フィッシャー『資本主義リアリズム』(堀之内出版、2018年2月)の共訳者でいらっしゃる河南瑠莉さんによるコメント付き選書リスト「後期資本主義時代の文化を知る。欲望がクリエイティビティを吞みこむとき」が追加されました。リンク先にてご覧いただけます。 ◎哲学読書室 星野太(ほしの・ふとし:1983-)さん選書「崇高が分かれば西洋が分かる」 上尾真道(うえお・まさみち:1979-)さん選書「心のケアを問う哲学。精神医療とフランス現代思想」國分功一郎(こくぶん・こういちろう:1974-)さん選書「意志について考える。そこから中動態の哲学へ!」 近藤和敬(こんどう・かずのり:1979-)さん選書「20世紀フランスの哲学地図を書き換える」 篠原雅武(しのはら・まさたけ:1975-)さん選書「じつは私たちは、様々な人と会話しながら考えている」 渡辺洋平(わたなべ・ようへい:1985-)さん選書「今、哲学を(再)開始するために」 西兼志(にし・けんじ:1972-)さん選書「〈アイドル〉を通してメディア文化を考える」 岡本健(おかもと・たけし:1983-)さん選書「ゾンビを/で哲学してみる!?」 金澤忠信(かなざわ・ただのぶ:1970-)さん選書「19世紀末の歴史的文脈のなかでソシュールを読み直す」 藤井俊之(ふじい・としゆき:1979-)さん選書「ナルシシズムの時代に自らを省みることの困難について」 吉松覚(よしまつ・さとる:1987-)さん選書「ラディカル無神論をめぐる思想的布置」 高桑和巳(たかくわ・かずみ:1972-)さん選書「死刑を考えなおす、何度でも」 杉田俊介(すぎた・しゅんすけ:1975-)さん選書「運命論から『ジョジョの奇妙な冒険』を読む」 吉田奈緒子(よしだ・なおこ:1968-)さん選書「お金に人生を明け渡したくない人へ」 明石健五(あかし・けんご:1965-)さん選書「今を生きのびるための読書」 相澤真一(あいざわ・しんいち:1979-)さん/磯直樹(いそ・なおき:1979-)さん選書「現代イギリスの文化と不平等を明視する」 権安理(ごん・あんり:1971-)さん選書「そしてもう一度、公共(性)を考える!」 河南瑠莉(かわなみ・るり:1990-)さん選書「後期資本主義時代の文化を知る。欲望がクリエイティビティを吞みこむとき」 +++
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| 2018-02-26 19:47
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2018年 02月 25日
『Lexicon 現代人類学』奥野克巳/石倉敏明編、以文社、2018年2月、本体2,300円、四六変形判並製224頁、ISBN978-4-7531-0344-7 『キュレーションの方法――オブリストは語る』ハンス・ウルリッヒ・オブリスト著、中野勉訳、河出書房新社、2018年2月、本体2,700円、46判上製248頁、ISBN978-4-309-27919-0 『ゲームの規則Ⅳ 囁音』ミシェル・レリス著、谷昌親訳、平凡社、2018年2月、本体3,800円、4-6判上製480頁、ISBN978-4-582-33326-8 『漢京識略――近世末ソウルの街案内』柳本芸著、吉田光男訳註、東洋文庫:平凡社、2018年2月、本体3,400円、B6変判上製函入496頁、ISBN978-4-582-80885-8 『新装版 花の王国1 園芸植物』荒俣宏著、平凡社、2018年2月、本体3,800円、A4判上製160頁、ISBN978-4-582-54323-0 『新装版 花の王国2 薬用植物』荒俣宏著、平凡社、2018年2月、本体3,800円、A4判上製160頁、ISBN978-4-582-54324-7 『新装版 花の王国3 有用植物』荒俣宏著、平凡社、2018年2月、本体3,800円、A4判上製160頁、ISBN978-4-582-54325-4 『新装版 花の王国4 珍奇植物』荒俣宏著、平凡社、2018年2月、本体3,800円、A4判上製160頁、ISBN978-4-582-54326-1 『ブッチャーズ・クロッシング』ジョン・ウィリアムズ著、布施由紀子訳、作品社、2018年2月、本体2,600円、四六判上製340頁、ISBN978-4-86182-685-6 ★『Lexicon 現代人類学』は27名の執筆者が「新たな「人文学」を構想」(帯文より)し、「今日的課題に挑む、現代人類学の思想と実践を追った50項目の「読む」キーワード集」(同)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。このところ人文書でも話題になっている「人新世」についても立項されています。コンパクトで持ち運びやすいサイズは、以文社さんが9年前に刊行された『VOL lexicon』という、読むキーワード集を思い出させます。『Lexicon 現代人類学』は項目ごとに関連するキーワードや参考文献が掲げられているので、書店さんの棚づくりやフェアに役立つと思います。水声社さんの「叢書 人類学の転回」や、青土社さんの「現代思想2017年3月臨時増刊号 総特集=人類学の時代」を扱っていらっしゃる書店にとっては必図書備ではないでしょうか。 ★なお同書の刊行を祈念し、今週以下のイベントが行われるとのことです。 ◎「人類学からの問いかけ:存在論×政治と経済×価値創造」奥野克巳×石倉敏明×上妻世海トークイベント 日程:2018年03月01日(木)19:00~20:30 開場:18:30~ 会場:青山ブックセンター本店内(小教室) 料金:1,350円(税込) 定員:50名様 お問い合わせ先:青山ブックセンター本店 TEL:03-5485-5511 10:00~22:00 内容:前世紀末から現在まで、人文・社会科学の危機とともに「人間とは何か」という根源的な問いが再浮上する中で、人類学は大きな変貌を遂げ、隣接領域を巻き込む大きな知的運動の渦を起こしてきました。地球規模の自然環境とともに個人や集団、世界の在り方を問い直す「存在論」の問い、国境を超えて日常生活に浸透しつつある「経済と政治」の問い、モノや情報技術、技芸(アート)の実践をめぐる「価値創造」の問いなど、人類学はいま改めて「現代」を問い直し、共通世界を構想する実践的な道具となりつつあります。現代を人類学から見たとき、どんな光景が見えてくるのか、そして人類学から現代を問うということはどういうことなのか、語り合っていただきます。 ★オブリスト『キュレーションの方法』は『Ways of Curating』(Penguin Books, 2014)の翻訳。帯文に曰く「英『アートレビュー』誌「現代アートの最も影響力を持つ100人」で第1位に選ばれたトップ・キュレーターが、自身の活動を振り返り、現代アートを含む芸術文化の過去と未来を語り尽くす!」。目次を列記しておきます。 プロローグ――事の次第 アリギエロ・ボエッティとともに 世界〔グローバル〕性 『do it』 キュレーション、展覧会、綜合芸術作品 クールベ、マネ、ホイッスラー 知をコレクションする ミュージアムとアーカイヴについて 印刷された展覧会 終わりなき会話 先駆者たち 夜行列車やその他の儀式 キッチン ローベルト・ヴァルザーとゲアハルト・リヒター 導師たち フェリックス・フェネオンとホテル・カールトンパレス 見えない都市たち こちらロンドン〔ロンドン・コーリング〕 建築、アーバニズム、展覧会 ビエンナーレ ユートピア・ステーション バレエ・リュス 時間と展覧会 パヴィリオンとマラソンについて (カンファレンスならざる)カンファレンスをキュレーションする 『非物質的なものたち』 『ラボラトリウム』 未来をキュレーションする ★オブリストは「知をコレクションする」の冒頭でこう書いています。「コレクションをつくるとは、アイテムを購入し整理し、部屋であれ家であれ図書館であれミュージアムであれ倉庫であれ、或る場所に収蔵することである。それはまた不可避的に、世界について考えをめぐらせることでもある――コレクションを生み出す接続〔コネクション〕や原理には、想定、並置、発見、実験的な可能性や連想〔アソシエーション〕といったものが含まれる。コレクションづくりとは知を生産する一方法なのだと言ってもいい」(59頁)。また同テクストではこうも書かれています。「ルネサンス期にはすでに、キルヒャーなどの学者たちは「ミュージアム」を、学問研究に備えてアイテムをコレクションする場、またはモノのいっさい――書斎、図書館、庭園、百科全書――を指す語として用いていた。ミュージアムは過去をモノとして集成するアーカイヴということになっていた。19世紀後半にはすでに、ミュージアムの相互にコネクトされた一連の部屋を歩いていくことは、時間のなかを旅することだと理解されていた」(63頁)。日々中身が少しずつ入れ替わっていく「現在形の鏡」=「移ろうミュージアム」である書店のありようを考える時に、オブリストのキュレーション観は様々な示唆を与えてくれる気がします。 ★レリス『ゲームの規則Ⅳ 囁音』は全4巻の最終回配本。原書は『Frêle bruit』(Gallimard, 1976)。これまでの三巻と異なり断章形式になっており、「拾遺集のような性格を帯び」ていると訳者の谷さんは指摘されています。また「レリスが『囁音』の執筆にかかっていた1960年代後半は、フランスにかぎらず世界各地で反体制的な運動が盛り上がりを見せた時代で、レリス自身も一種の高ぶりを感じていたに違いない」とも指摘されています。本書には例えば次のようなくだりもあります。「発言権を得るのは人食い鬼やロボットや猫をかぶった絞殺者や人の脳みそを台なしにする輩ばかりとなっていく世界で、任務放棄とならずに、非暴力の大義を支持するためには、いったいどうすればいいのだろうか」(236頁)。「ぼろぼろになった私の記憶〔メモワール〕をうまく繕ってはくれないこの覚書〔メモワール〕」(268頁)。「どんなことをしても廃絶できない悪があり、詩だけがそれに立ち向かう助けとなりうる」(同)。「かすかな物音」という原題を持つ本書は、レリスの思考の深淵を垣間見ることができる断崖のようです。 ★柳本芸『漢京識略』は東洋文庫第885巻。訳注者の吉田さんによる「まえがき」に曰く「18世紀末から19世紀初頭にかけてソウルに居住していた柳本芸という一官僚知識人が、1830年に完成させたソウルの町案内」であり、「一文字のハングルのほかは、すべて当時の朝鮮知識人の共通文字言語である漢字漢文で記されている。したがって、街案内とは言え、想定される読者は庶民一般ではなく、あくまでも知識人階層に属する人々である」とのことです。現在に至るまで写本しかなく、本書は「日韓を通じて初めての刊本」(帯文より)と。東洋文庫次回配本は3月、『周作人読書雑記2』の予定。 ★荒俣宏『新装版 花の王国』全4巻は、2014年に平凡社100周年を記念して刊行された『新装版 世界大博物図鑑』全5巻に続く、荒俣さんの図鑑本の新装復刊です。巻頭に掲載された「「花の王国」の読み方」によれば「各頁とも、植物名の〈見出し〉〈解説〉〈図版〉および〈図版説明〉で構成される。各巻とも、総数三十万余種もある植物のうちから、テーマにふさわしい珍奇で美しいものを選んだ。また巻末に、古今東西・現実架空の庭園を25項目ずつとりあげ、人間と植物の深い関わりを後づける〈天と地の庭園巡り〉を併載する」。古い文献から採用されたオールカラーの図譜の溜息の出るような美しさに加え、荒俣本ならではの博物学から雑学までを渉猟した情報と図版の数々が楽しませてくれます。『世界大博物図鑑』は1冊あたり税込2万円前後する高額本ですが、『花の王国』全巻買っても2万円を大きく下回ります。揃いでのご購入をお薦めします。 ★ウィリアムズ『ブッチャーズ・クロッシング』は『Butcher's Crossing』(Macmillan, 1960)の翻訳。作品社さんではアメリカの作家ジョン・ウィリアムズ(John Edward Williams, 1922-1994)の小説『ストーナー』(東江一紀訳)を2014年9月に刊行されており、同書は昨年末に16刷を数えるロングセラーとなっています。今回刊行された『ブッチャーズ・クロッシング』は「19世紀後半の米国西部を舞台にしたバッファロー狩りの物語」(訳者あとがき)で、訳者の布施さんは「『ストーナー』を“静”とすれば、本書はまさに“動”。〔…〕『ストーナー』と同様、本書もやはり、人が生きることの本質を鋭く問いかける、味わい深い文学作品である」と評しておられます。 +++
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by urag
| 2018-02-25 20:05
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2018年 02月 21日
★上村忠男さん(訳書:アガンベン『到来する共同体』、編訳書:パーチ『関係主義的現象学への道』、スパヴェンタほか『ヘーゲル弁証法とイタリア哲学』、共訳書:アガンベン『アウシュヴィッツの残りのもの』『涜神』、スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』) 未來社さんの「ポイエーシス叢書」第72弾として、上村さんの5冊目の批評集『ヘテロトピアからのまなざし』がまもなく発売されます。 カバー紹介文より:思想史を中心に欧米の最新の学問的成果を精力的に紹介しつつ自身も〈ヘテロトピア〉をキーワードに新しい歴史学的方法論を構想してきた著者の最新評論集。 ★廣瀬純さん(著書:『絶望論』、共著:『闘争のアサンブレア』、訳書:ヴィルノ『マルチチュードの文法』、共訳:ネグリ『芸術とマルチチュード』) ★郷原佳以さん(共訳:『ブランショ政治論集』) 青土社さんの月刊誌「現代思想 2018年3月臨時増刊号 総特集=現代を生きるための映像ガイド51」に寄稿されています。廣瀬さんによる「新たなロングショットの時代のために」では、木村文洋監督による長編フィクション作品『息衝く』(2017年)が論じられています。郷原さんによる「「僕がメモリだ」――メモリをめぐる「除籍者」たちの闘い」」では、クリストファー・マッカリー監督による『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』(2015年)が論じられています。ちなみに現物は見ていませんが、映画関連書では先月末に森話社さんから刊行された論集『ストローブ=ユイレ──シネマの絶対に向けて』において、竹峰義和さんが「イメージから抵抗へ──アドルノ美学とストローブ=ユイレ」というご論考を寄せておられます。竹峰さんは弊社よりメニングハウス『生のなかばで』の訳書や、シュティーグラー『写真の映像』の共訳書を上梓されています。 なお、廣瀬さんが2009年に洛北出版から刊行した『シネキャピタル』の仏語版『Le Ciné-capital : D’Hitchcock à Ozu』が3月に発売となるようです。廣瀬さんのツイートによれば「日本語版(09)とは異なる第3章を収めた西語版(14)を元に『シネマの大義』所収の小津論「ドゥルーズと日本人」政治映画論「地理映画の地下水脈」の加筆修正版、ペーター・サンディによる序文を付したもの」とのこと。 ★金澤忠信さん(著書:『ソシュールの政治的言説』、訳書:ソシュール『伝説・神話研究』) ★宮﨑裕助さん(共訳:ド・マン『盲目と洞察』) 水声社さんから先月刊行された論文集『21世紀のソシュール』に寄稿されています。金澤さんは「ソシュールの伝説・神話研究」と題した論考を、宮﨑さんは「差延、あるいは差異の亡霊――ジャック・デリダによるソシュール再論」と題した論考を寄せておられます。なお宮崎さんは今月、法政大学出版局さんから刊行された『新・カント読本』(牧野英二編、法政大学出版局、2018年)にも「フランス語圏のカント受容──「人間」以後の超越論哲学の行方」という論考を寄せておられます。内容についてはご本人がツイートされています。 帯文より:ソシュールの〈ためらい〉。ラング/パロール、シニフィアン/シニフィエ、〈言語論的転回〉……フランス現代思想の潮流とともに喧伝された「ソシュールの思想」とは、膨大な草稿を残した言語学者の企図にかなっていたのだろうか。『講義』成立の背景とその功罪、理論的虚構としての〈ラング〉の限界と〈パロール〉の可能性、神話・伝説研究にみられる歴史観、アウグスティヌスからデリダまでの言語思想史上のメルクマール、認知言語学との類縁性、日本語学との邂逅……言語によって世界を整理区分するのではなく、むしろどこまでも曖昧になってしまうことに遅疑逡巡するソシュールが浮かび上がってくる。 +++
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by urag
| 2018-02-21 19:31
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2018年 02月 21日
オンライン書店「honto」のブックツリー「哲学読書室」に、『公共的なるもの――アーレントと戦後日本』(作品社、2018年1月)の著者でいらっしゃる権安理さんによるコメント付き選書リスト「そしてもう一度、公共(性)を考える!」が追加されました。リンク先にてご覧いただけます。 ◎哲学読書室 星野太(ほしの・ふとし:1983-)さん選書「崇高が分かれば西洋が分かる」 上尾真道(うえお・まさみち:1979-)さん選書「心のケアを問う哲学。精神医療とフランス現代思想」國分功一郎(こくぶん・こういちろう:1974-)さん選書「意志について考える。そこから中動態の哲学へ!」 近藤和敬(こんどう・かずのり:1979-)さん選書「20世紀フランスの哲学地図を書き換える」 篠原雅武(しのはら・まさたけ:1975-)さん選書「じつは私たちは、様々な人と会話しながら考えている」 渡辺洋平(わたなべ・ようへい:1985-)さん選書「今、哲学を(再)開始するために」 西兼志(にし・けんじ:1972-)さん選書「〈アイドル〉を通してメディア文化を考える」 岡本健(おかもと・たけし:1983-)さん選書「ゾンビを/で哲学してみる!?」 金澤忠信(かなざわ・ただのぶ:1970-)さん選書「19世紀末の歴史的文脈のなかでソシュールを読み直す」 藤井俊之(ふじい・としゆき:1979-)さん選書「ナルシシズムの時代に自らを省みることの困難について」 吉松覚(よしまつ・さとる:1987-)さん選書「ラディカル無神論をめぐる思想的布置」 高桑和巳(たかくわ・かずみ:1972-)さん選書「死刑を考えなおす、何度でも」 杉田俊介(すぎた・しゅんすけ:1975-)さん選書「運命論から『ジョジョの奇妙な冒険』を読む」 吉田奈緒子(よしだ・なおこ:1968-)さん選書「お金に人生を明け渡したくない人へ」 明石健五(あかし・けんご:1965-)さん選書「今を生きのびるための読書」 相澤真一(あいざわ・しんいち:1979-)さん/磯直樹(いそ・なおき:1979-)さん選書「現代イギリスの文化と不平等を明視する」 権安理(ごん・あんり:1971-)さん選書「そしてもう一度、公共(性)を考える!」 +++ ■
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by urag
| 2018-02-21 14:20
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2018年 02月 20日
『多様体 第1号 特集:人民/群衆』は2月16日(金)に取次搬入いたしました。書店さんの店頭に並び始めているようです。全国のおよそ100店ほどで販売されておりますが、どの書店さんで扱われているかは、地域をご指定のうえ、メール、電話、FAX、当ブログコメント欄、ツイッターなどでお気軽にお問い合わせください。 ツイッターでは、東京堂書店神田神保町本店さんやMARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店さんなどで入荷情報が発信されています。また、リブロ営業本部さんにもツイートしていただきました。さらに、青山ブックセンター本店さん、ジュンク堂書店ロフト名古屋店さんにも。皆様ありがとうございます。 同書には2種類の購入特典があります。 1)限定小冊子「多様体 第零号:死なない蛸」文庫判61頁・・・八重洲ブックセンター本店で『多様体 第1号』をお買い上げのお客様に。同冊子は萩原朔太郎の詩と散文詩71篇をリミックスし、月曜社・小林浩による跋文「シグマの崩壊」を掲載したものです。もともとは2016年夏に八重洲ブックセンター本店人文書売場で行われた「月曜社フェア」の購入特典として配布されました。 2)限定小冊子「『多様体』(月曜社)創刊記念 編集人・小林浩さんインタビュー」A5判2段組8頁・・・代官山蔦屋書店または同店ウェブサイトで『多様体 第1号』をお買い上げか、下記イベントにご参加のお客様に。同冊子は創刊にあたり、代官山蔦屋書店人文担当・宮台由美子さんからの質問に月曜社・小林浩が答えたものです。第1号の「編集後記」と一緒にお読みいただければ幸いです。 また、同誌の関連イベントは以下の通りです。 日時:2018年02月28日(水) 18:00~18:30 場所:蔦屋書店1号館 1階 ブックフロア 定員:10名 参加条件:代官山 蔦屋書店にて、以下のいずれかをご予約、ご購入の先着10名様がご参加いただけます。 1.『多様体』(月曜社刊 2,700円/税込) 2.事前にご参加ご予約をいただいた上、当店にて(1,000円/税込)以上の書籍または雑誌のご購入 ※ご購入のレシートを確認の上、参加券をお渡しいたします。こちらは代官山 蔦屋書店 店頭とお電話での受付のみ(03-3770-2525 代官山 蔦屋書店 人文フロア)です。 内容:新たに創刊された思想雑誌『多様体』(月曜社)の刊行を記念し、編集人・小林浩さんと棚をめぐりながら本のお話を聞くイベントです。当日は関連ブックフェアの棚を中心に、人文書の目利きによる棚の見方、本のお話、版元営業マンのノウハウをご披露頂きます。イベントにお申し込みまたは当店で『多様体』(月曜社)をお買い上げのお客様には、代官山蔦屋書店限定小冊子「『多様体』(月曜社)創刊記念 編集人小林浩インタビュー」をプレゼントいたします。 +++
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by urag
| 2018-02-20 12:45
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2018年 02月 18日
『知性改善論/神、人間とそのさいわいについての短論文』スピノザ著、佐藤一郎訳、みすず書房、2018年2月、本体7,800円、A5判上製584頁、ISBN978-4-622-08348-1 『音楽言語の技法』オリヴィエ・メシアン著、細野孝興訳、ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス出版部、2018年1月、本体7,000円、A4判並製128頁、ISBN 978-4-636-95138-7 『『青色本』を掘り崩す――ウィトゲンシュタインの誤診』永井均著、講談社学術文庫、2018年2月、本体1,130円、A6判並製320頁、ISBN978-4-06-292449-8 『国家の神話』エルンスト・カッシーラー著、宮田光雄訳、講談社学術文庫、2018年2月、本体1,830円、A6判並製624頁、ISBN978-4-06-292461-0 『顔氏家訓』顔之推著、林田愼之助訳、講談社学術文庫、2018年2月、本体930円、A6判並製256頁、ISBN978-4-06-292477-1 ★『知性改善論/神、人間とそのさいわいについての短論文』は『スピノザ エチカ抄』(みすず書房、2007年)につづく、佐藤一郎さんによるスピノザ新訳第二弾。カヴァー表4紹介文に曰く「後年の主著『エチカ』へと至る哲学の根本動機と独自の方法論が記述される二篇を、ラテン語刊本およびオランダ語写本から半世紀ぶりに新訳。最新の研究を踏まえた精細な訳注と解題を付した待望の一巻」。目次詳細は書名のリンク先でご確認ください。近年では吉田量彦さんによる『神学・政治論』(上下巻、光文社古典新訳文庫、2014年)も刊行されており、スピノザの新訳が増えつつあります。さらに國分功一郎さんの『中動態の世界』が広く読まれることによってデビュー作『スピノザの方法』が再び注目される機運も高まっています。なお『知性改善論』と『短論文』はともに畠中尚志訳が岩波文庫から出ており、後者は品切中ですが、前者は今なお手頃な値段で入手できます。みすず書房版は高額ではありますけれども、この値段でも版元や訳者が「儲かる」とまではいかないだろうと思われます。売れないという意味ではなくて、みすず書房のように多数の専門書を毎月何点も出版している会社で経営が維持できているというのは、本当にたいへんなことなのです。 ★メシアン『音楽言語の技法』は『Technique de mon langage musical』(Leduc, 1944;『わが音楽語法』平尾貴四男訳、教育出版、1954年)の新訳です。旧訳は半世紀以上前のもののため、猛烈に高額な古書となっている様子。今回の新訳も早速版元品切になっているようですが、書店店頭にはまだありますし、このまま品切というわけではないと思われます。とはいえ早めに購入しておくのが良いでしょうね。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。平尾はるな〔平尾貴四男氏の四女〕さん、藤井一興さん、小鍛冶邦隆さんらによる「日本語版への序文」3本が巻頭に掲載されています。メシアンは序論で本書について、「私の音楽言語の技法、つまり音楽言語の3つの観点、リズム、旋律、和声を考察するものであり、作曲法概論ではない」(6頁)と明記しています。「この著書の目的は、〔・・・〕私が暗闇の中で希求した一条の光へと彼ら〔生徒たち〕をゆっくり導いていくことである」(同)とも。 ★講談社学術文庫の今月新刊より3点を挙げると、まず、永井均『『青色本』を掘り崩す』はナカニシヤ出版から2012年に刊行された単行本の文庫化。文庫化にあたり、正副題が入れ替わっています。巻頭の「はじめに」に曰く、本書はウィトゲンシュタイン『青色本』後半部を「解読し論評したもの」。すなわち『青色本』の永井さん自身による新訳と論評で構成されています。『青色本』には「すでに大森正蔵氏〔『ウィトゲンシュタイン全集6』所収、大修館書店、1975年;ちくま学芸文庫、2010年〕と黒崎宏氏〔『『論考』『青色本』読解』所収、産業図書、2001年〕の二種類の邦訳があるが、この翻訳によって著者の意図がより明確になるように努めたつもりである」(6頁)と。永井さんはウィトゲンシュタインのことを「画期的な病人」と評するのですが、その真意はぜひ本書を手に取ってご堪能下さい。 ★カッシーラー『国家の神話』の親本は創文社より1960年に刊行されたもの。帯文に曰く「古代ギリシアからナチズムまで――〈闘争〉の三千年史を描く不滅の金字塔! 全面改訂を施した決定版」と。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。原書は『The Myth of the State』(Yale University Press, 1946)で、底本は1950年の第3版です。創文社さんは2020年で解散予定。名著の数々はいったいどうなってしまうのでしょう。今回のように文庫化や再刊が進むことを念願せずにはいられません。 ★『顔氏家訓』は文庫版オリジナルの新訳。同作を扱った複数の既刊書では抄訳や語釈はあるものの全篇の現代語訳は初めてのようです。まえがきによれば同作は、六世紀末に表わされた家訓書であり、宋の晁公武の『群斎読書志』では「立身、治家の法を述べ、時俗のあやまりを正して、これをもって子孫に教う」と説明されています。訳者は顔之推と本書について、こう述べています。「祖国の滅亡という悲劇を目の当たりにした後、北方異民族に拉致され、その王朝に漢民族官僚として仕えて生涯を閉じている。〔・・・今日読んでみても〕不思議とそんな遠い時代の文章とは思えないリアリティがある。〔・・・〕内容の鮮度は抜群に高い。これが古典の魅力というものであろう」(3~4頁)。 +++ ★また、ここ最近では以下の新刊との出会いがありました。 『利己的な遺伝子 40周年記念版』リチャード・ドーキンス著、日髙敏隆/岸由二/羽田節子/垂水雄二訳、紀伊國屋書店、2018年2月、本体2,700円、A5判上製584頁、ISBN978-4-314-01153-2 『外の世界』ホルヘ・フランコ著、田村さと子訳、作品社、2018年2月、本体2,800円、四六判上製358頁、ISBN978-4-86182-678-8 ★『利己的な遺伝子 40周年記念版』は、ドーキンスによる「40周年記念版へのあとがき」を付して2016年に出版された『The Selfish Gene』(Oxford University Press)の翻訳です。これまで紀伊國屋書店さんでは1976年初版本を1980年に『生物=生存機械論』として出版し、89年の第二版を91年に『利己的な遺伝子』として、2006年の30周年記念版を同年に同書増補新装版として刊行されてきました。凡例によれば、30周年記念版と40周年記念版の違いは、原書においては著者による「40周年記念版へのあとがき」が付されたことのみであり原文に改訂はない、と。訳書においてはこの新たなあとがきを訳出するとともに、岸由二さんによる「40周年記念版への訳者あとがき」を付し、訳文においては「時代的に古くなった本文中の表現・表記を修正した」とのことです。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。紀伊國屋書店さんでは本書の刊行記念リーフレットを作成されており、佐倉統さんによる書評「世界を変えた一冊」と、橘玲さんと吉川浩満さんによる対談「『利己的な遺伝子』をめぐる10冊」が掲載されています。この豪華なリーフレットの書評と対談とはそれぞれのリンク先でご覧いただけます。 ★『外の世界』はコロンビアの小説家ホルヘ・フランコ(Jorge Franco Ramos, 1962-)の小説『El mundo de afuera』(Alfaguara, 2014)の翻訳。フランコの既訳書はいずれも今回の訳者である田村さと子さんにより、2003年に『ロサリオの鋏』、2012年の『パライソ・トラベル』がともに河出書房新社から刊行されています。3冊目となる本書の訳者あとがきで田村さんは「本書は、構成の巧妙さという点で、これまでのフランコ作品の中で抜きんでている」とお書きになっておられます。「ストーリーの進行とともに、次第に増していく緊張感とリズム。だが、流動的で自然な中で交わされる軽妙な会話は象徴的な豊かさ、ユーモアに満ちている。その物語性は総合的に完成されており、アンティミズムや夢想、詩情あふれるニュアンスに満ちた文体で70年代初めのメデジン〔コロンビア西部の県都〕を見事に描き出している、と言えよう」。 +++
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by urag
| 2018-02-18 18:16
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2018年 02月 12日
『グローバル・シティ――ニューヨーク・ロンドン・東京から世界を読む』サスキア・サッセン著、伊豫谷登士翁監訳、大井由紀/髙橋華生子訳、ちくま学芸文庫、2018年2月、本体1,900円、768頁、ISBN978-4-480-09842-9 『専制国家史論――中国史から世界史へ』足立啓二著、ちくま学芸文庫、2018年2月、本体1,200円、320頁、ISBN978-4-480-09843-6 『紀貫之』大岡信著、ちくま学芸文庫、2018年2月、本体1,100円、288頁、ISBN978-4-480-09845-0 『草莽論――その精神史的自己検証』村上一郎著、ちくま学芸文庫、2018年2月、本体1,200円、336頁、ISBN978-4-480-09846-7 『リヴァイアサン2』ホッブズ著、角田安正訳、光文社古典新訳文庫、2018年2月、本体1,160円、392頁、ISBN978-4-334-75731-9 『闘争領域の拡大』ミシェル・ウエルベック著、中村佳子訳、河出文庫、2018年2月、本体880円、216頁、ISBN978-4-309-46462-6 『世界の未来――ギャンブル化する民主主義、帝国化する資本』エマニュエル・トッド/ ピエール・ロザンヴァロン/ヴォルフガング・シュトレーク/ジェームズ・ホリフィールド著、朝日新書、2018年2月、本体778円、200頁、ISBN978-4-02-273752-6 『マルクス 資本論の哲学』熊野純彦著、岩波新書、2018年1月、本体880円、288頁、ISBN978-4-00-431696-1 『メイキング・オブ・勉強の哲学』千葉雅也著、文藝春秋、2018年1月、本体1,200円、四六判上製208頁、ISBN978-4-16-390787-1 『古代文芸論集』ロンギノス/ディオニュシオス著、戸高和弘/木曽明子訳、京都大学学術出版会、2018年1月、本体4,600円、四六変上製580頁、ISBN978-4-8140-0097-5 『赤の書[図版版]』C・G・ユング著、創元社、2018年1月、本体5,000円、A5判並製224頁、ISBN978-4-422-11675-4 ★まずちくま学芸文庫の2月新刊から4点。『グローバル・シティ』はサッセンの初の文庫化。原書は2001年の第二版で訳書親本は2008年刊。文庫化にあたり、監訳者と訳者の大井さんの連名による新たな訳者あとがきが付されています。足立啓二『専制国家史論』の親本は1998年に柏書房より刊行。「文庫版あとがき」によれば、「再版に際しての修正は、文字の誤りなど表記の訂正にとどめた。ただし参照の便宜を考え、雑誌類に掲載された論文が著書に収録されている場合は、注に書名を併記するよう努めた」と。大岡信『紀貫之』は、ちくま文庫(1989年)からのスイッチ。巻末には堀江敏幸さんによる解説「水底という「鏡」に映す自画像」が収められています。村上一郎『草莽論』は大和書房より1972年に刊行された単行本の文庫化で、国文社版『村上一郎著作集(3)思想論Ⅰ』(1977年)を適宜参照したとのことです。巻末に桶谷秀昭さんによる「村上一郎『草莽論』解説」が付されています。昨秋文庫化された『幕末――非命の維新者』(中公文庫)とともにひもとくのが良いかと思われます。 ★ホッブズ『リヴァイアサン2』は第二部「国家について」の新訳。同原著には第三部、第四部までありますが、今回の新訳は第二部までで完結。『闘争領域の拡大』はウエルベックの処女小説(1994年)であり、訳本は2004年に角川書店より刊行。文庫化にあたり加筆修正され「文庫版訳者あとがき」が付されています。 ★『世界の未来』の未来は、朝日新聞が昨年行った識者4名へのインタヴューを1冊にまとめたもの。エマニュエル・トッド「世界の未来――私たちはどこに行くのか」、ピエール・ロザンヴァロン「民主主義の希望――ポピュリズムと21世紀の民主主義」、ヴォルフガング・シュトレーク「資本主義の限界――グローバリゼーションと国際国家システムの危機」、ジェームズ・ホリフィールド「分断の克服――移民政策に失敗した国は、21世紀の負け組になる」を収録。 ★熊野純彦『マルクス 資本論の哲学』は、2013年の大著『マルクス資本論の思考』に続くマルクス読解書。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。リンク先では本書の「まえがき――世界革命と世界革命とのあいだで」を立ち読みすることができます。 ★千葉雅也『メイキング・オブ・勉強の哲学』は売上6万部を突破したという『勉強の哲学』の続編。メイキングが1冊になるというのは人文書では異例のことかと思いますが、本書の発売によって『勉強の哲学』の売れ行きがさらに伸びているとも耳にしています。『メイキング』第四章「欠如のページをめくること」において、「頭のなかで考えがこんがらがっている状態というのは、考えに対して距離がなくなり、近づきすぎている状態ではないでしょうか。とすればその解消とは、考えに対して距離をとることです」(143頁)と千葉さんは書きます。「不安の時代に対処するセルフヘルプのひとつの方法」を提示する本書は学生だけでなくビジネスマンにも訴求するのではないでしょうか。 ★『古代文芸論集』は、ロンギノス「崇高について」(戸高和弘訳)と、ディオニュシオスの6篇の修辞学論をまとめたもの。6篇というのは「模倣論」木曽明子訳、「トゥキュディデス論」木曽明子訳、「デイナルコス論」木曽明子訳、「アンマイオスへの第一書簡」戸高和弘訳、「ポンペイオス・ゲミノスへの書簡」戸高和弘訳、「アンマイオスへの第二書簡」戸高和弘訳。「崇高について」の末尾で論じられる当時の社会情勢はどこか現代世界が抱える問題群と似ている気がします。 ★ユング『赤の書[図版版]』は、テキスト版(2014年)と対になるものです。2010年に刊行された大判の元版は4万円を超える本ですが、テキスト版と図版版は両方買っても1万円ちょっとです。図版版はそれ自体が魔術的な物質性を備えており、たとえ文字が読めなくても、立ち昇ってくる息吹が見る者にインスピレーションを与えると思います。オールカラーでとても美しいです。 +++ ★最近では以下の新刊との出会いがありました。 『資本主義リアリズム』マーク・フィッシャー著、セバスチャン・ブロイ/河南瑠莉訳、堀之内出版、2018年2月、本体2,000円、四六判並製212頁、ISBN978-4-909237-35-4 『私はすでに死んでいる――ゆがんだ〈自己〉を生みだす脳』アニル・アナンサスワーミー著、藤井留美訳、紀伊國屋書店、2018年2月、本体2,200円、46判上製352頁、ISBN978-4-314-01156-3 『お隣りのイスラーム――日本に暮らすムスリムに会いにいく』森まゆみ著、紀伊國屋書店、2018年2月、本体1,700円、46判並製292頁、ISBN978-4-314-01155-6 『ゲームの規則Ⅲ 縫糸』ミシェル・レリス著、千葉文夫訳、平凡社、2018年2月、本体3,600円、4-6判上製384頁、ISBN978-4-582-33325-1 『古代中国の社――土地神信仰成立史』エドゥアール・シャヴァンヌ著、菊地章太訳注、東洋文庫(平凡社)、2018年2月、本体3,100円、B6変判上製函入294頁、ISBN978-4-582-80887-2 『裁判の原点――社会を動かす法学入門』大屋雄裕著、河出ブックス(河出書房新社)、2018年1月、本体1,500円、B6判並製248頁、ISBN978-4-309-62509-6 ★フィッシャー『資本主義リアリズム』は発売済。『Capitalist Realism: Is there no alternative?』(Zero Books, 2009)の翻訳にしてフィッシャーの初訳本です。訳者によれば「マークの考える「資本主義リアリズム」は端的にいえば、ネオリベラル資本主義が唯一の持続可能な政治経済システムであると了解し、その地平の彼方を求める、いや想像することさえもが不可能になってしまった、つまるところは「この道しかない」ということが謎の常識と化してしまった世界を指し示している。こうした「現実主義」に疑問符をつけることが本書の出発点である」。帯にはジジェクの言葉が載っています。「「はっきり言わせてもらおう。たまらなく読みやすいこのフィッシャーの著書ほど、われわれの苦境を的確に捉えた分析はない」。フィッシャーは1年ほど前に逝去。「どんな希望も、どんな前向きな状態でさえも危険な錯覚だと信じてしまう」(19頁)リアリズムなるものに抗するための、燃え上がる紙つぶてです。 ★アナンサスワーミー『私はすでに死んでいる』はまもなく発売。『The Man Who Wasn't There: Investigations into the Strange New Science of the Self』(Dutton, 2015)の翻訳。帯文に曰く「あっけなく崩壊する自己とは何なのか。「自分は死んでいる」と思いこむコタール症候群、自分の身体の一部を切断したくてたまらなくなる身体完全同一性障害、何ごとにも感情がわかず現実感を持てない離人症――当事者や研究者へのインタビューをはじめドッペルゲンガー実験や違法手術の現場も取材し、不思議な病の実相と自己意識の謎に、神経科学の視点から迫る」。著者はインド系アメリカ人の科学ジャーナリストで、英『ニューサイエンティスト』誌の編集コンサルタントを務めておられます。『宇宙を解く壮大な10の実験』(松浦俊輔訳、河出書房新社、2010年)に続く2冊目の訳書です。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。解説は昨夏に『私家版 精神医学事典』(河出書房新社、2017年8月)を上梓された精神科医の春日武彦さんがお書きになっておられます。 ★森まゆみ『お隣りのイスラーム』はまもなく発売。副題にある通り、様々な国から日本に来て活躍しているイスラム教徒13人に取材し、その肉声から豊かなイスラム文化をかいま見せる好著です。インドネシア人の舞踏家、バングラデシュ人のハラルフード店店主、シリア人のアレッポ石鹸販売会社代表、ウイグル料理店オーナー、等々、登場する人物のお名前と出身国は書名のリンク先でご覧になれます。日々の報道によって陰惨な事件の側面ばかりが目に入ってくる昨今、こうした人肌の温かみを感じさせる本が生まれたことを喜びたいです。 ★レリス『ゲームの規則Ⅲ 縫糸』はまもなく発売。『La Règle du jeu, III. Fibrilles』(Gallimard, 1966)の翻訳。訳者あとがきに曰く「執筆期間は1955年11月から1965年9月までの10年間に及び、完成までにかなり長い年月を要しているのは『ゲームの規則』のほかの巻にも共通する点だが、とくにこの第Ⅲ巻の場合は、執筆を始めて一年半後に著者自身が自殺未遂事件を引き起こしたこともあって、その前後の紆余曲折をそのまま反映したものになっている」と。レリスはこう書いています。「バルビツール睡眠薬の壜の中身を嚥み込んだ瞬間ははっきり覚えていたが、そのあとの展開についての記憶はなんとも頼りない。わかっていたのは、この行為に及んだあとカンヌ行きの列車に飛び乗って、ピカソとその伴侶ジャクリーヌに会いにゆこうとしたのは、二人に別れを告げるためであり、また自分の胸のうちを明かして」云々(136頁)と。最終巻である第Ⅳ巻『囁音』(谷昌親訳)も今月末に発売予定とのことです。 ★シャヴァンヌ『古代中国の社』は発売済。東洋文庫第887番。1900年にパリで開催された第一回国際宗教史会議で発表された「古代中国の宗教における土地神」を大幅増補し改題した1910年の決定稿「Le dieu du sol dans la Chine antique」を訳出したもの。原書では『泰山』の補遺として納められていますが、同じ訳者によるその抄訳(菊地章太訳、アシアーナ叢書:勉誠出版、2001年)では訳出されていませんでした。訳者解説によれば「土地神としての社の崇拝は、先祖をまつる宗廟の崇拝とならんで、古代における国家祭祀の中心的位置を占めてきた。その実態を解明した本論文は中国宗教史の黎明期に照明をあてたものとして評判が高い」と。東洋文庫の次回配本は月内にもう一点、柳本芸『漢京識略――近世末ソウルの街案内』(吉田光男訳註)が発売されるようです。 ★大屋雄裕『裁判の原点』は発売済。序文「裁判は正義の実現手段ではない」に曰く「本書では、裁判という制度をその現実の姿において描き出すこと、立法・行政のような他の国家機能との関係でそれがどのような特徴と権限を与えられており、どのような制約の下にあるかを位置付けることによって、たとえば社会を動かすためにあり得る選択肢の一つとして何をそこに期待すべきなのかという議論を試みたい。それは同時に、裁判が本来そのようなものであることを予定されている姿、いわば裁判の原点を確認することにもなるだろう」(4~5頁)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。章題はすべて「~ではない」もしくは「~はない」と畳みかけており、一般的な幻想や期待、印象といったものが再審されています。「自分が正しいと考える意見に賛同する人を獲得し、その実現を図るという機能的な意味での政治を考えたとき、その中心的な舞台はやはり制度的な政治なのだ、立法活動と議会であって裁判と裁判所ではないのだということを、あらためて正面から考えるべきではないでしょうか」(205頁)という著者の指摘は至極真っ当だと感じます。 +++ ■
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by urag
| 2018-02-12 23:54
| 本のコンシェルジュ
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2018年 02月 08日
月刊誌「みすず」667号(2018年1/2月号)の読書アンケート特集で、弊社より昨夏に刊行したジャコブ・ロゴザンスキー『我と肉――自我分析への序論』を、廣瀬浩司さんと十川幸司さんが取り上げて下さいました。廣瀬さん曰く「多かれ少なかれハイデガーからの近さと遠さで規定されてきた、フランス現象学の総括の書」(44頁)、十川さん曰く「今年最もインパクトを受けた本」(97頁)と。 +++ また、今月19日(月)に贈賞式が行なわれる「紀伊國屋じんぶん大賞2018」の記念小冊子ができあがり、紀伊國屋書店さんの店頭で配布開始となっています。「キノベス!2018」とのカップリングの豪華なフルカラー冊子です。一年前に刊行した、星野太さんの『崇高の修辞学』が12位にランクインしており、未來社社長で詩人・批評家の西谷能英さんのコメントが掲載されています。同コメントは紀伊國屋書店さんのウェブサイトでも読むことができます。 +++ 弊社より先月末、W・メニングハウスの訳書『生のなかば――ヘルダーリン詩学にまつわる試論』を上梓された竹峰義和(たけみね・よしかず:1974-:東京大学大学院総合文化研究科准教授)さんが、一昨年のご高著『〈救済〉のメーディウム――ベンヤミン、アドルノ、クルーゲ』(東京大学出版会、2016年)により、第30回「和辻哲郎文化賞」学術部門を受賞されました。竹峰さんの「受賞の言葉」や、選考委員の野家啓一さん、関根清三さん、黒住真さんの選評はこちらで読めます。 なお、先の「みすず」誌では杉橋陽一さんが竹峰さんの共訳書、ミリアム・ブラトゥ・ハンセン『映画と経験――クラカウアー、ベンヤミン、アドルノ』(法政大学出版局、2017年)や、昨年末の訳書であるテオドール・W・アドルノ『模範像なしに――美学小論集』(みすず書房、2017年)などを挙げて「ハンセンの訳書といい、アドルノの訳書といい、エネルギッシュかつ緻密な竹峰義和の仕事ぶりに感嘆する」と絶賛されています。弊社よりまもなく発売となる「多様体」第1号でも竹峰さんの翻訳によるハンス・カイザー『アクロアシス――世界の調和学についての教え 第一章~第四章』をお読みいただけます。 +++ 弊社よりジュディス・バトラーの訳書『自分自身を説明すること』『権力の心的な生』を上梓された佐藤嘉幸さんと清水知子さんがバトラーの近著『Notes toward a performative theory of assembly』(Harvard University Press, 2015)の訳書『アセンブリ――行為遂行性・複数性・政治』を青土社さんから先月刊行されました。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。佐藤さんによる巻末解説「アセンブリ、不安定性(プレカリティ)、行為遂行性(パフォーマティヴィティ)」によれば、本書は「2010年のチュニジア・ジャスミン革命、2011年のエジプト革命に始まる「アラブの春」、同じく2011年に始まるオキュパイ運動の影響下で、アクティヴィストらとの対話を背景として書かれたもの」とのことです。 +++ 青土社さんの「現代思想」2月臨時増刊号は総特集「ハイデガー――黒ノート・存在と時間・技術への問い」と銘打たれており、M・ハイデガーの未訳論考「エルンスト・ユンガーへ」(山本與志隆訳)のほか、弊社でお世話になっている著訳者三氏の論考を読むことができます。初期ハイデガー論である『存在とロゴス』を上梓された阿部将伸さんによる論考「「様態的存在論」をめぐって――初期ハイデガーにおけるナトルプ批判とアリストテレス解釈」、ジョン・サリス『翻訳について』の訳者・西山達也さんによる「翻訳不可能なリズムをめぐって――ハイデガーによるアリストテレス読解の一側面」、ポール・ド・マン『盲目と洞察』の共訳者・宮﨑裕助さんにとよる「プロト脱構築について――ルター、ハイデガー、デリダ」などです。目次詳細は誌名のリンク先でご確認ください。 +++ 「新書大賞2018」に今年も投票させていただきました。ベスト20は、まもなく発売となる「中央公論」2018年3月号に掲載されています。毎度のことですが、ベスト20と重複する私の選書はありませんでした。私は以下の書目を選んでコメントしています。141頁掲載。 『アナキズム入門』森元斎著、ちくま新書 『僕らの社会主義』國分功一郎/山崎亮著、ちくま新書 『フリーメイソン』橋爪大三郎著、小学館新書 『人類の未来』チョムスキーほか著、NHK出版新書 『バルカン』マーク・マゾワー著、中公新書 +++
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by urag
| 2018-02-08 12:27
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2018年 02月 04日
『すてきなロウソク』長田真作著、共和国、2018年1月、本体1,700円、B5変型判上製64頁、ISBN978-4-907986-44-5 『ハンス・ヨナスを読む』戸谷洋志著、堀之内出版、2018年1月、本体1,800円、四六判並製232頁、ISBN 978-4-909237-34-7 『国民票決と国民発案――ワイマール憲法の解釈および直接民主制論に関する一考察』カール・シュミット著、仲正昌樹監訳・解説、松島裕一訳、作品社、2018年1月、本体2,000円、46判上製128頁、ISBN978-4-86182-679-5 『公共的なるもの――アーレントと戦後日本』権安理著、作品社、2018年1月、本体2,800円、46判上製336頁、ISBN978-4-86182-671-9 ★『すてきなロウソク』は長田真作(ながた・しんさく:1989-)さんの10作目となる絵本。デビューは一昨年の2016年で、昨年は7冊も上梓されており、たいへんなスピードです。今回の『すてきなロウソク』は黒インク(著者)とUVニス(デザイナー)のみで繊細な表現を試みたもので、その内容は極めて寓話的です。主人公やロウソクを何の象徴と見るか、またラッパの音の意味をどうとるかで解釈が変わってきそうです。版元さんのプレスリリースによれば「作者はこの作品のモティーフとして、自身の出生地である広島県呉市の現代史を重ね合わせている」とのことです。児童書というよりかは大人もゆっくりひもといてみたい作品。絵本はもはや絵本売場に留めておくべきではなく、他の各売場でも併売して大人との出会いを作った方がいいと感じます。ジャンルの壁を乗り越えて自身の作りたい本を作っておられる共和国さんの「自由」さが素敵です。 ★『ハンス・ヨナスを読む』は戸谷洋志(とや・ひろし:1988-)さんによる『Jポップで考える哲学――自分を問い直すための15曲』(講談社文庫、2016年9月)に続く単独著第二弾です。ハンス・ヨナス(Hans Jonas, 1903-1993)はドイツ出身の哲学者。『責任という原理――科学技術文明のための倫理学の試み』(加藤尚武監訳、東信堂、2000年;新装版2010年)や『グノーシスと古代末期の精神』(二分冊、大貫隆訳、ぷねうま舎、2015年)、『生命の哲学――有機体と自由』(細見和之ほか訳、法政大学出版局、2008年;新装版2014年)、『ハンス・ヨナス「回想記」』(盛永審一郎ほか訳、東信堂、2010年)等々ありますが、入門書は本書が初めて。目次詳細は書名のリンク先をご覧下さい。年々注目が高まりつつある哲学者であるだけに、時宜を得た出版ではないでしょうか。「複雑に錯綜したヨナスのテクストを読み解きながら、これから彼を知ろうとする読者に一つの明瞭な手引きを提供すること、それによって、ヨナスの眼を借りながら、留まることのない科学技術文明の激動を、未来への責任を、世界を、新しい光のもとで眺める可能性を開くこと、それがこの本の目的です」(8頁)と戸谷さんはお書きになっています。 ★『国民票決と国民発案』は『Volksentscheid und Volksbegehren: Ein Beitrag zur Auslegung der Weimarer Verfassung und zur Lehre von der unmittelbaren Demokratie』(Gruyter, 1927)の初訳。1926年12月11日にシュミットがベルリン法律家協会で行った講演が元になっており、「直接民主制の問題を扱った〔本書の〕最終部分は、講演のときよりも詳細に論じている」(「はじめに」より)と。帯文に曰く「ナチスの桂冠法学者が、ヒトラー政権樹立前、「世界で最も民主的」といわれたワイマール憲法を素材に、民主主義、議会と立憲主義などを論じる」。目次詳細は書名のリンク先をご覧下さい。監訳者解説「シュミット理論の魔(魅)力」で仲正さんはこう書いておられます。「九十年前のドイツで書かれたシュミットのテクストを、現代の日本の政治状況に直接的に重ね合わせることには慎重にならねばならないが、少なくとも、民衆の圧倒的な情熱に過度の期待を寄せる「直接民主主義」が、予想外の危険を秘めていることは読み取れるだろう。このテクストを通して読めば分かるように、魔性の法学者カール・シュミットは、少なくとも本人の理解では、“立憲民主主義者”だったのである」(125頁)。 ★『公共的なるもの』は、権安理(ごん・あんり:1971-)さんの博士論文(早稲田大学大学院社会科学研究科)に大幅な加筆修正を程と越したもの。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。本書は「戦後日本という具体的な歴史の内に、〈公共的なるもの〉の概念を再構成する」こと(7頁)を目的としており、「はじめに」で著者はこう述べておられます。「アーレントは〔『人間の条件』で〕次のようにいっているが、この「世界」を「間もしくは空間」と読み替えてもよいだろう。「『public』という用語は、世界それ自体を意味する。世界が我われ全員に共通するものとなり、我われが私的に所有する場所と区別される限りにおいて」。〔・・・家とも職場・学校とも異なる〕第三のものが場所として考えられるとき、あるいは場所として顕在化するとき、それは公共空間や公共的領域、公共圏として見出されることになる。またあるいは私的で個別的な見方とは異なる視座から何らかの事象や物事が考えられ、その結果として何かが作られるとき、それは公共的な性質、つまりは公共性を持つということになる」(6頁)。 +++
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by urag
| 2018-02-04 15:55
| 本のコンシェルジュ
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