2006年 10月 29日
大竹伸朗トークイベント 東京都現代美術館「大竹伸朗 全景 1955-2006」開催記念 聞き手:東京都現代美術館学芸員・薮前知子 日時:06年10月29日(日)午後4時~6時 場所:池袋コミュニティカレッジ9F19番教室 定員:80人 参加費:1000円(税込) リブロ池袋本店B1F注文カウンターにて参加券発売中 ご予約・お問合せ:03-5949-2910(代表) イベント会場にて弊社刊『ネオンと絵具箱』も販売されます。皆様のお越しをお待ちしております。 大竹伸朗「全景」展に連動する雑誌特集やパブリシティ、イベント情報はこちらをご覧ください。 ▲
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| 2006-10-29 00:56
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2006年 10月 29日
◎今週の注目単行本 ![]() デヴィッド・グレーバー:著 高祖岩三郎:訳 以文社 06年11月刊 2,310円 46判198頁 ISBN:4-7531-0251-3 ●「VOL」創刊号に掲載されたインタビュー「新しいアナーキズムの政治」が非常に印象的だったグレーバーの、待望の日本語訳単行本。11月5日(日)には、青山BC本店で刊行記念トークショー「新たなるアナーキズムの地平」のために著者が来日します。翌6日には明治学院大学白金校舎アートホールにて「アナーキズムとアートの現在」という講演会が行われ、ここでもグレーバーさんの発表が聞けるようです。主催は明治学院大学文学部芸術学科。 ラチオ 02号 (別冊「本」) 講談社 06年10月刊 1,995円 A5判457頁 ISBN:4-06-213710-0 ●連載「イタリア思想の最前線」では今回カッチャーリがメインで取り上げられています。 社会 市野川容孝(1964-):著 岩波書店 06年10月刊 1,680円 B6判237頁 ISBN:4-00-027006-0 書物の宇宙誌――渋沢竜彦蔵書目録 国書刊行会編集部編 国書刊行会 06年10月刊 9,975円 B5変形判473頁(図版32頁) ISBN:4-336-04751-0 中世ヨーロッパの書物――修道院出版の九〇〇年 箕輪成男:著 出版ニュース社 06年10月刊 3,150円 A5A5判245頁 ISBN:4-7852-0123-1 ロラン・バルト講義集成(3) 小説の準備 ロラン・バルト(1915-1980):著 筑摩書房 06年10月刊 9,240円 A5判610頁 ISBN:4-480-79009-8 ■全3巻完結。 オペラ、魅惑する女たち ジャン・スタロバンスキー(1920-):著 千葉文夫:訳 みすず書房 06年10月刊 3,990円 46判278+10頁 ISBN:4-622-07253-X ヴェネツィアの石――建築・装飾とゴシック精神 ジョン・ラスキン(1819-1900):著 内藤史朗:訳 法蔵館 06年10月刊 4,410円 46判492頁 ISBN:4-8318-8167-8 ■原書全3巻のうち、第1巻最初の章と第2巻のほぼ全てを翻訳。 シェリー抒情詩集 パーシ・ビッシュ・シェリー:著 床尾辰男:訳 創芸出版 06年9月刊 1,995円 B6判271頁 ISBN:4-915479-71-4 楽園の歴史(2) 千年の幸福 ジャン・ドリュモー(1923-):著 新評論 06年10月刊 7,350円 A5判652頁 ISBN:4-7948-0711-2 ◎青土社の注目新刊 ![]() 現代思想 06年11月号 特集:リハビリテーション 青土社 06年10月刊 1300円 A5判246頁 ISBN:4-7917-1156-4 マインドサイト――イメージ・夢・妄想 コリン・マッギン(1950-):著 五十嵐靖博+荒川直哉:訳 青土社 06年11月刊 2,520円 46判273+9頁 ISBN:4-7917-6302-5 多重人格者の日記――克服の記録 ロバート・B・オクスナム(1942-):著 松田和也:訳 青土社 06年11月刊 2,730円 46判338頁 ISBN:4-7917-6301-7 フレッド・アステア自伝 フレッド・アステア(1899-1987):著 篠儀直子:訳 青土社 06年11月刊 2,940円 46判435+11頁 ISBN:4-7917-6298-3 「大菩薩峠」論 成田龍一(1951-):著 青土社 06年11月刊 2,310円 46判262頁 ISBN:4-7917-6303-3 ▲
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| 2006-10-29 00:45
| 本のコンシェルジュ
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2006年 10月 26日
「[本]のメルマガ」06年10月25日号に寄稿した拙稿を転載します。 *** ◎ロバート・D・ヘイルの書店人論 「書店人は書棚に魔法を満たすことも、嵐を吹かせることもできる」。この言葉をもし45歳以下の読書人が知っているとしたら、その人はヴィレッジ・ヴァンガードのファンであるか、熱心な書店経験者であるか、どちらかかもしれない。 「本の真の実質は、思想にある。書店が売るものは、情報であり、霊感であり、人とのかかわりである。本を売ることは、永久に伝わる一連の波紋を起こすことである。書店は、書棚に魔法を満たすことも、嵐を吹かせることもできる。書店人は、人々を日々の抑圧から解き放し、楽しみ、希望、知識を人々に贈るのである。書店人が、特別の人間でなくてなんであろう」。 ヴィレッジ・ヴァンガードの創業者である菊地敬一さんの著書『ヴィレッジ・ヴァンガードで休日を』(新風舎文庫) でこの一節に出会い、この言葉の主であるロバート・D・ヘイルの名を胸に刻んだ人が多いのではないかと思うが、出典がそもそもなんであるかについてはあまり周知されているようでもない。 この一節は、1982年に日貿出版社から刊行された『書籍販売の手引――アメリカ書店界のバイブル』(米国書店組合連合会編、豊島宗七訳)の「序」として収録されている「書店人とは?」と題されたヘイルの文章の冒頭付近に見いだすことができる。出版当時は業界では広く認知された本なのだろうと推察するが、現在は絶版。古書市場ではまだまだ見かける本だ。 上記の引用はヘイルの文章を圧縮しているし、言葉遣いがほんのわずかだが異なる。少し長くなるけれど、省略されている部分を含めて以下に引用してみよう。スラッシュ記号「/」は改行を表している。 「本の真の実質は、思想にある。書店が売るものは、情報であり、霊感であり、人とのかかわりあいである。本を売ることは、永久に伝わる一連の波紋を起こすことである。最初の波は本を読んだ人に伝わる。読者は本の内容を楽しんだり、利用したりする。ついで波は、真面目な議論や愉快な話として、ほかの人々に伝わっていく。本の真の実質は、読者に対する人生上の影響にあるのである。/書店は、書棚に魔法を満たすことも、嵐を吹かせることもできる。歴史小説は、読者を真実の探検に送りこみ、読書による体験をあたえる。旅行書は、実際にそこへ行く以上に場所の感覚を盛りこんでいる。詩は深いものの見方と洞察を人にあたえる。書店人は、人々を日々の抑圧から解き放し、楽しみ、希望、知識を人々に贈るのである。書店人が、特別の人間でなくてなにあろう」(上記書、xix頁)。 『書籍販売の手引』では、ヘイルは「序」のほかに、「専門店化」「ブック・フェア」「私はなぜ本屋になったか」などの項目も執筆している。『手引』は、開店に必要な準備全般についての説明から始まり、雇用と教育、会計と経営実務、注文と仕入、本の様々な販売方法、顧客サービス、広告と販売促進など、58項目もの細やかなテキストで埋め尽くされており、約四半世紀前の翻訳書ではあるけれども、書店業務の「本質」を考える上では今なお啓発的な基本書と言っていい。 『手引』の底本は、"A Manual on Bookselling: How to Open & Run Your Own Bookstore"の第三版 Third Editionで、1980年にニューヨークのHarmony Booksから刊行されている。ヘイルのくだんの「書店人とは?」はこの第三版で読むことができるけれども、1987年に同版元から刊行された第四版ではヘイルの序文はあらたに書き直されていて、読めない。第三版も第四版も今では古書市場で探すしかないが、広く読まれた本なので、オンラインの古書店で見つけるのは難しくない。 ロバート・D・ヘイルとはどんな人物なのだろう。『手引』巻末の執筆者紹介と原書第四版を参考にして書くと以下のようになる。ヘイルは1987年当時は「マサチューセッツ州ダックスベリーの「ウェストウィンズ・ブックショップ」のオーナーで、77年から83年にかけて、ABA(American Booksellers Association: 米国書店組合連合会)の常務理事をつとめ、それに先立つ2年間は連合会の会長もつとめた。長年にわたり、連合会の書籍販売学校の理事であり、学長でもあった。さらに彼は、マサチューセッツ州ウェールズリーの「ハサウェイ・ハウス・ブックショップ」の社長兼店長を7年間務め、それ以前の8年間は、コネチカット州ニューロンドンの「コネチカット・カレッジ・ブックショップ」の店長だった。 ちなみに「ウェストウィンズ・ブックショップ」は海のそばの一軒家で、いわゆる独立系の本屋だ。http://www.westwindsbookshop.com/ ヘイルについて書くべきことはまだあって、彼の作家活動についても一言述べるべきだが、今回はまず上記の引用文の「原文」を味わっていただくのが先決だろう。 "The real book is ideas. What the bookseller retails is information, inspiration, and involvement. Selling a book begins a series of ripples that can go on forever. The first is the book's effect on the reader ― on his use and enjoyment of the ideas it contains. Other ripples follow as the book is discussed and enjoyed in serious conversation or humorous anecdote. The real book is tangible because it influences the readers life. / Booksellers have the means to enchant or enrage on their shelves. An historical novel can send readers to explore the truth of an occurrence after vicariously experiencing the event in their reading. A travel book can provide a greater awareness of the essence of a place than an actual visit can. Poetry offers vision and insight. Booksellers can release us from the pressures of the day and provide entertainment, hope, and knowledge. Booksellers are special." Robert D. Hale, "Preface. Booksellers: What Are We?" in "A Manual on Bookselling" Third edition, New York: Harmony Books, 1980, p.xv. いかがだろうか。きちんと韻を踏んでいる様が原文だとよくわかるだろう。日本語訳版で「書店員とは?」と訳されていた題名は、原題に忠実に訳し直すならば、「書店員――私たちは何者なのか」だった。ヘイルは学者然とした定義を客観的に試みたのではない。自分たちは何者なのか、何が出来るのか、それを体験の上から語ったのだ。「書店人は書棚に魔法を満たすことも、嵐を吹かせることもできる」、この言葉はたとえではなくて、彼の絶対的な経験だったわけである。これほど人を勇気づける言葉があるだろうか。 ▲
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| 2006-10-26 00:04
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2006年 10月 22日
![]() 青土社 06年10月刊 1,500円 A5判246頁 ISBN:4-7917-1155-6 ●バトラーの論文は「平和とは戦争への恐ろしいまでの満足感に対する抵抗である」(西亮太訳)と、「哲学の「他者」は語ることができるか」(山口理恵子訳)の2本。巻末に掲載されている村山敏勝さんの「予め失われた死者へ――メランコリーの拡大」は今月急逝された氏の最後のテクストということになるのでしょうか。 生命と現実――木村敏との対話 木村敏×檜垣立哉:著 河出書房新社 06年10月刊 1,995円 46判上製216頁 ISBN:4-309-24394-0 ●現代思想の様々なテーマと星座の中に木村さんの思惟の前線を再接合していく、啓発的な対談です。 人間という仕事――脳性麻痺の哲学者が語る生と思想 アレクサンドル・ジョリアン(1975-):著 塚原史:訳 明石書店 06年10月刊 1,680円 46判138頁 ISBN:4-7503-2419-1 14人のダライ・ラマ――その生涯と思想(上) グレン・H・ムリン著 田崎国彦+渡邉郁子+クンチョック・シタル:訳 春秋社 06年10月刊 7,140円 A5判604頁 ISBN:4-393-13725-6 ●上巻は、初代から第5世まで。面白くないわけがない! 埴谷雄高との対話 白川正芳(1937-):著 慶応義塾大学出版会 06年10月刊 3,360円 46判421頁 ISBN:4-7664-1311-3 ●作家のもっとも近くにいた評論家による、95年11月から逝去直前となる97年2月までの対話の記録。 横光利一と中国――『上海』の構成と五・三〇事件 井上聡:著 翰林書房 06年10月刊 3,990円 A5判317頁 ISBN:4-87737-234-2 ■「上海」の初出雑誌掲載を全収録。 漢訳ホームズ論集 樽本照雄(1948-):著 大阪経済大学研究叢書:汲古書院 06年9月刊 9,450円 A5判439頁 ISBN:4-7629-2775-9 ●著者は大阪経済大学教授。「清朝末期から中華民国初期にかけての中国における、コナン・ドイル作シャーロック・ホームズ物語の受容史」をめぐる、興味深い一冊。 入門・世界システム分析 I・ウォーラーステイン(1930-):著 山下範久:訳 藤原書店 06年10月刊 2,625円 46判261頁 ISBN:4-89434-538-2 ■「用語解説」と、関連基本文献を網羅した「ブックガイド」を収録。 ◎注目の文庫 ヴォイツェク ダントンの死 レンツ ビューヒナー:著 岩淵達治:訳 岩波文庫 06年10月刊 840円 文庫判362+16頁 ISBN:4-00-324691-8 ●ちなみにハイナー・ミュラーの戯曲「ヴォイツェック・トラウマ」は『ハムレット・マシーン』(未来社)で読めます。 モーパン嬢(上) テオフィル・ゴーチエ:著 井村実名子:訳 岩波文庫 06年10月刊 735円 文庫判342頁 ISBN:4-00-325745-6 ●田辺貞之助訳の新潮文庫上下巻以来の、久しぶりの同作品の新訳文庫。下巻は11月刊。 ▲
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| 2006-10-22 17:06
| 本のコンシェルジュ
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2006年 10月 19日
◆06年11月16日取次搬入発売予定 森山大道の名作『新宿』(02年刊行、03年度毎日芸術賞受賞)が新生する! 文庫サイズ+増補+リーズナブルな価格にて、再登場! 『新宿+ (しんじゅく・ぷらす)』 森山大道写真集 文庫判(H110ミリ×W150ミリ)並製カバー装640頁(写真点数551点)、本体価格1905円、デザイン:町口覚(マッチ&カンパニー) ISBN:4-901477-28-5 ◆07年春続刊予定 『大阪+ (おおさか・ぷらす)』 森山大道写真集 文庫判480頁予定。96年にヒステリックグラマーから刊行された幻の大判写真集が、『新宿+』と同じサイズで、全面再編集+増補で刊行! 森山大道(もりやま・だいどう):1938年大阪生まれ。写真家。日本のみならず、世界でもっとも活躍している写真家のひとり。99年のサンフランシスコMoma、ニューヨークのジャパン・ソサエティ、メトロポリタン美術館における回顧展から『新宿』(02年刊行、03年度毎日芸術賞受賞)の刊行をへて、その評価は決定的なものとなった。03年には、パリのカルティエ美術館での個展なども評価され、欧米での活躍も目立つ。最近作:『ブエノスアイレス』(講談社)、『昼の学校 夜の学校』(講義録、平凡社)、『写真よさようなら』(新装版、パワーショベル)など。 ▲
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| 2006-10-19 00:33
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2006年 10月 17日
各種雑誌での大竹伸朗特集が好評発売中です。 「en-taxi (エンタクシー)」2006年秋:15号で、「大特集:大竹伸朗 2006年 ミライは今」が組まれています。 特集内容は以下の通りです。 【グラビア】 「「ここ」という永遠-「大竹伸朗全景」の飛沫」 「全景展前夜」 文=大竹伸朗 【グラビアDocument】 「残炎の直島で、天才・大竹伸朗と「家」 -製作現場に遭遇!」 感想=みうらじゅん、記録写真=リリー・フランキー 「TWO&ONLY ザ・スクラッパーの邂逅 -大竹伸朗 vs みうらじゅん with リリー・フランキー in 直島」 記録=佐藤和歌子、映像=編集部 「記憶と時間と空間のシャッフル」 中原悦子 「シーサイドホテルで」 福田和也 「拝啓ピョンヤンより」 黒田征太郎 「大竹作品のような男性が存在するならば」 束芋 【グラビア】 「三十二年目の「タダイマ」 -別海町「ウルリー牧場」の移ろわない日」 撮影=桑嶋維 「マチエール賛歌 -宇和島「アトリエ」の毎日と絵」 撮影=桑嶋維 「コンポジションズ」 「全景の素 1~3」 「大竹伸朗 information」 *** 「IDEA (アイデア)」319号 : 大竹伸朗「カット+ペースト」 特集は、大竹さんの切り貼り作品群とロングインタビューを収録。 オリジナルのポスターと豆本2冊(『日常とビルの窓』,『America 1989』)がついてます。 ▲
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| 2006-10-17 14:11
| 芸術書既刊
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2006年 10月 16日
「東京新聞/中日新聞」の10月15日付の書評欄で、平井玄さんが「響き合う『近代への抵抗』」と題して、『ブラック・アトランティック』の書評を書いてくださいました。曰く「待ちに待った本。仲間たちと街中を走り回ってシュプレヒコールを上げ、渇いたその咽(のど)を潤すようにブラック・ミュージックを聴き、教科書とは違う「教養」、反知性ではなく別の知を体中に感じて育った私のような者には、一刻も早く読みたかった本である」。平井さん、ありがとうございました!
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| 2006-10-16 01:24
| 人文書既刊
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2006年 10月 15日
◎注目の文庫、新書、ライブラリー フーコー・コレクション (6) 生政治・統治 / ミシェル・フーコー:著 / ちくま学芸文庫 / 1,470円 / 459頁 / ISBN:4-480-08996-9 ■収録論文:真理と裁判形態/〈生物-歴史学〉と〈生物-政治学〉/ドゥルーズ=ガタリ『アンチ・オイディプス』への序文/社会医学の誕生/汚辱に塗れた人々の生/統治性/十八世紀における健康政策/全体的なものと個的なもの-政治的理性批判に向けて/啓蒙とは何か/ 道徳の回帰/生命-経験と科学 ●コレクション完結。来月10日には『フーコー・ガイドブック』(フーコー著、小林康夫+石田英敬編)を発売。来月のラインナップにはデリダの『雄羊』(林好雄訳)が見えます。 タオ - 老子 / 加島祥造:訳著 / ちくま文庫 / 672円 / 284頁 / ISBN:4-480-42267-6 黄金伝説 (4) / ヤコブス・デ・ウォラギネ:著 / 平凡社ライブラリー / 1,995円 掟の問題 / カフカ:著 / 池内紀:訳 / 白水uBooks / 1,260円 / 326頁 / ISBN:4-560-07159-4 愛国の作法 / 姜尚中:著 / 朝日新書 / 735円 / 205頁 / ISBN:4-02-273101-X ●『黄金伝説』全4巻完結。『掟の問題』の刊行で「カフカ・コレクション」全8巻も完結。 ●いっぽう、「朝日新書」は10月13日に創刊です。上記『愛国の作法』や清水良典さんの『村上春樹はくせになる』をはじめ、12点でスタート。『村上春樹~』の帯文は「近し!ノーベル文学賞」となっていて、ちょっと早まった観が。ところで文庫にせよ新書にせよ創刊時はなぜ点数が多いのかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。答えは「売場での販売スペースを確保するためにそれなりのボリュームが必要」だから。朝日新聞社は時事問題をめぐって幅広い知識人と付き合ってきましたから新書への新規参入組としては一番強力だといえると思います。 ●姜さんの愛国論は、昨今の「嫌韓中」の渦中へ投じられるべき重要な一冊。本屋さんでは新首相の『美しい国へ』(文春新書)の隣に置けば、売場の中和作用になるでしょう。 *** ◎注目の単行本 侵入思考--雑念はどのように病理へと発展するのか デイビッド・A・クラーク:編 丹野義彦:監訳 星和書店 2,940円 46判377頁 ISBN:4-7911-0610-5 ●「意思とは無関係に生じる侵入的な思考が心理的障害に果たす役割について論じた」初めての論文集だそうです。副題が恐くないですか。だって「雑念」というのは人間だれしもが持っているわけですし。それが度を越してくると、「強迫性障害、外傷後ストレス障害、うつ病、全般性不安障害、不眠症など、数多くの心理的障害の重要な認知的特徴」と認められるということなのでしょうけれど。かつて「境界例」について初めて知ったときも、これって単なるわがままやキレやすい性格とほとんど地続きの症状だなあという感想を私は持ちました。「正常/異常」のパラダイムが変容しつつあるのでしょうか。 近代日本の誕生 イアン・ブルマ:著 小林朋則:訳 クロノス選書:ランダムハウス講談社 1,890円 46判222頁 ISBN:4-270-00150-X ●新潮新書の『反西洋思想』もそうですがブルマさんの本の翻訳が連続しています。本書はこのたびランダムハウス講談社から創刊された「クロノス選書」の一冊。クロノス選書というのは、版元の宣伝文句によれば「現代を生きるための“教養”をテーマとした新シリーズ」だそうです。より詳しい説明では、「混迷する現代社会を生きるうえで、当たり前のこととして目にしている事象を前にあらためて立ち止まり、そのルーツや来歴を振り返ることから人間/社会について再考のきっかけを与える新シリーズ」とのこと。同時配本はアンソニー・パグデン『民族と帝国』、ジョン・ミクルスウェイト+エイドリアン・ウールドリッジ『株式会社』。オビ裏の予告によれば、以後の刊行予定は、11月がロベルト・S・ヴィストリヒ『ヒトラーとホロコースト』、12月がポール・ジョンソン『ルネサンス』。 日本残酷写真史 下川耿史(1942-):著 作品社 2100円 46判237頁 ISBN:4-86182-095-2 ■帯文より:江戸末期から戦後まで、秘蔵写真170点。江戸時代の「さらし首」「はりつけ」「切腹」の写真から、明治の斬首、大正の猟奇犯罪、関東大震災の朝鮮人虐殺、日清・日露・太平洋戦争の無残な戦死者、そして戦後まで。 ●近現代日本の最暗黒を容赦なく露呈させる、痛烈なる陰画史。グロが苦手な人は敬遠なさってください。かなりキビシイですよ。けれど、著者の意図は「世の中きれいごとばかりじゃない」という点にあります。興味本位で買うような人もしっかり本文を読むべきだろうと思います。オグリッシュやロッテンを見慣れている人は本書に掲載されている写真を見てもまったく動じないでしょうが、そうした方々にも「読んで」いただきたい本です。 ピーク・オイル・パニック――迫る石油危機と代替エネルギーの可能性 ジェレミー・レゲット:著 益岡賢ほか:訳 作品社 2520円 46判399頁 ISBN:4-86182-103-7 ■帯文より:世界は、史上最悪のエネルギー危機を乗り越えられるか? 石油業界が隠しつ づけるピーク・オイルの真実を明らかにし、世界的経済パニックの回避に向けて代替エネルギーの可能性を示す。 ●同社から昨夏刊行されたマクェイグの『ピーク・オイル』の衝撃に続いて、今度は経済パニックと代替エネルギーに焦点を当てた本が出ました。原著は昨年刊行された"Half Gone"です。先日、『アンチ・オイディプス』の文庫化に際して、私はゲーセンやデパートで配りたいと話しましたが、この『ピーク・オイル・パニック』は国会議事堂の前で配りたい本です。これを読まない政治家は馬鹿です。いや、馬鹿以下です。本書を読むと心底ぞっとしますよ、私たちの未来の危うさに。 世界のダイアグラムコレクション--機能的かつ情報伝達に優れたダイアグラムベストコレクション ピエ・ブックス 3,885円 A4判216頁 ISBN:4-89444-572-7 古今東西吉祥の印 多田文昌(1964-):著 木耳社 1,890円 B6判351頁 ISBN:4-8393-6905-4 山の気--写真集 全日本山岳写真協会同人「遥」:著 東京新聞出版局 2,940円 25×26cm 82頁 ISBN:4-8083-0857-6 ●山の写真というのは本当にいいものですね。癒されます。 ▲
by urag
| 2006-10-15 20:37
| 本のコンシェルジュ
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2006年 10月 14日
![]() また、11月5日(日)18:00から、青山ブックセンターHMV渋谷店にて、『ネオンと絵具箱』の刊行を記念して、大竹伸朗サイン会が行われます。HMV渋谷店は11月1日に渋谷HMVの6Fにオープンする新規店です。 このほかにも以下のイベントが開催中&開催予定です。 大竹伸朗 「旅景 - TABI-KEI」展 会期:2006年9月25日(月)~12月25日(月) 日祝日休 会場:ベイスギャラリー(東京・茅場町) 大竹伸朗 「ヤバな午後」展 会期:2006年10月20日(金)~12月25日(月) 会場:ナディッフ(東京・表参道) ※10月26日18:00-20:00ス:ペシャルゲスト:佐野史郎(俳優) 「大竹伸朗と別海」展 会期:2006年10月20日(金)~12月25日(月) 金曜~月曜のみ開場 会場:ウルリー牧場(北海道・別海) TEL:0570-008886(ハローダイヤル) 大竹伸朗 「DJ景--好きな曲かけ倒し。」 日時:2006年11月11日(土)OPEN/STRAT : 19:30 会場:SUPER DELUXE(東京・六本木) ▲
by urag
| 2006-10-14 10:28
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2006年 10月 13日
![]() 店頭で本書をご覧になった方はすでにご存知かと思いますが、分厚い本です。45ミリ近くあります。右の写真で分厚さが伝わるといいのですが。 ▲
by urag
| 2006-10-13 09:19
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