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2005年 09月 14日 ( 1 )


2005年 09月 14日

エリプシス

「歴史上に知られた真の革新者は、才能と智力を具備した専制君主である」とチェーザレ・ロンブローゾは『天才論』に書いた。天才は社会の枠組みを必然的にはみ出していく先駆者であり、新しい歴史は彼らによって切り拓かれるというわけだ。補足しておくと、『天才論』から百年以上を経過したこんにちではもはや、専制君主であるためには天才である必要はない。天才はすでに何十年も前から絶滅危惧種となっている。ロンブローゾがもしも生き返ったなら、彼は、自身の分析の対象となりうる人物がもはやいないことを知って失望するだろう。そして、天才と狂気の間がもはや紙一重ではなく、狂者のみが専制君主たりえ、「天才の芽」すらもが新しい歴史には必要とされていないのを見て、慄然とするに違いない。歴史記述は二重に省略される。ひとつはスローガン化のための省略であり、もうひとつは存在抹消のための省略である。私たちの生きる時代はこの「エリプシス」によって特徴づけられる。私たちの生はエリプシスの刃の上にある。様々な登録によって磔にされるとともに、その登録取り消しによっても常に脅かされているのである。(H)

by urag | 2005-09-14 23:57 | 雑談 | Trackback | Comments(0)