東京都古書籍商業協同組合が創立90周年の記念に、「
日本の古本屋シンポジウム:滅亡か、復権か――大規模デジタル化時代と本の可能性」という催事を4月14日に開催するそうです。「滅亡か、復権か」とはすごいタイトルですね。滅亡するのか復権するのかはともかくとして、「大規模デジタル化時代」がどう推移していくのか、読者にはどんな機会が訪れるのか、そのへんの話題は昨今尽きることがありません。
たとえば、アマゾンの電子書籍リーダーKindle DXが今年から日本でも買えるようになりましたね。4万円以上するので、短期間で爆発的に普及することはないと思いますが、米国でプライム会員に無料配布する計画があるようで、日本でもし同じ計画が実行されるならば競合機種には大きな脅威になりうるかもしれませんね。以下は参考記事。
調査リポート:
電子書籍が「普及」または「普及しない」理由 [土肥義則,Business Media 誠, 10年2月15日]
AmazonはAmazon Primeの会員全員にKindleを無料提供へ [Michael Arrington, TechCrunch Japan, 2010年2月12日]
米アマゾン、「Kindle」を「Amazon Prime」契約者に無料配布か--TechCrunch報道 [CNET Japan, 10年2月15日]
Amazon、Kindle向け電子書籍販売がリアル書籍を超えたと発表――クリスマス当日の12月25日、Amazonで電子書籍の販売数が初めて紙の書籍を超えた。 [ITmedia, 09年12月28日]
Amazon、Kindleのデジタル出版に新しく70%のロイヤルティ契約を用意 [Robin Wauters, TechCrunch Japan, 10年1月21日]
一方、紙媒体の復刊を地道に続けてきた、人文書版元8社による共同復刊事業第14弾「
書物復権2010」の
復刊候補リストが公開中です。投票は今月末まで。版元が候補に挙げるものと、古書市場でのニーズが必ずしも連動していないのが歯がゆいです。いっそのこと、8社は品切本リストをしんどくても作成し公開して、読者投票にすべてをゆだねるという試みをしてもいいような気がします。ただ、内幕をかつて垣間見たことのある経験から言えば、読者投票は広く浅く集まるのが通例で、投票結果だけを見ると復刊しなくてもいいような数字しか集まらないことがままある、というのが現実でした。しかし、そうであっても、品切本リストの公開はしたほうがいいような気がするんですね。各社の品切・絶版・重版情報だけをまとめた便利な情報源は、一部の版元の目録を除いてほぼないのですから。読者主導とは別に、書店主導の復刊事業はもっと増えていい気がします。今まで幾度となく書いてきましたが、読者の嘆きの声をもっとも身近で聞いているのは書店さんだからで、チェーン単位で専売商品を作れるなら他店との差別化にもなるはずです。