私たち月曜社もたびたび取り上げられてきた季刊誌「本とコンピュータ」(通称「本コ」)ですが、終刊まであと四号ということで、このたび発売された第二期13号から「総まとめ特集」となるそうです。その第一弾は、「本」のために「コンピュータ」はなにができたか、というお題。
一般読者が読むには、ちょいと内容のレベルが高い気もしますが、専門的な方向に逃げてやろう、というようなことではありません。私たち現代人にとって身近な存在である「本」をめぐって、これほどまじめに、ある時は深刻に、そしてまたある時は楽しく、深く掘り下げている雑誌はありません。ただし、一般読者にとってはそれでもやはり依然として敷居が高いという難点は残らざるを得ないのでしょうけれども。
私個人は第14号では、小熊英二さんが語る、書く行為における「編集」の意味ですとか、東浩紀さんがしばらく前から試みておられる自主流通の試みの話を読んでいて、そのリアリティに共感し、非常に興味をそそられました。一方で、作家の山之口洋さんの「デジタル書斎」は私から見るととても進歩的ですごいです。もちろん世間にはここまでやっておられる方も当然いらっしゃるのでしょう。共感と言うよりはうらやましい感じがします。
今後の特集予定ですが、
2004年12月の第14号では、「日本人の読書週間――消えたのか?変わったのか?」、
2005年3月の第15号では、「出版ビジネス」
2005年6月の第16号(最終号)では「出版の国際化」
を、それぞれ取り上げるそうです。
どれもこれも難題ばかり。それだけに、楽しみですね。残りの三号で、「本コ」のこれまでの問題構制や枠組みを破壊するくらいの展開=転回を期待しています。(H)