
今月、光文社古典新訳文庫より刊行されたばかりのカント『純粋理性批判』(全7巻予定)を翻訳された中山元さん(弊社よりはブランショ『書物の不在』を刊行)が、なんとマックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の訳書を、日経BPクラシックスから刊行されました。まさに超人的!
プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神
マックス・ウェーバー著 中山元訳
日経BPクラシックス 10年01月刊 46変型判上製フランス装531頁 ISBN978-4-8222-4791-1
中山さんは昨年2月に、日経BPクラシックスで『
職業としての政治/職業としての学問』を刊行されたばかり。その訳者あとがきでは、『プロ倫』新訳についてはまったく触れられていませんでした。御承知の通り、『プロ倫』の翻訳にはこれまでに以下のものがありました。
◎梶山力訳:有斐閣 1938年/未来社(安藤英治編)1994年
◎阿部行蔵訳:河出文庫 1955年/以後、河出書房新社の『世界思想教養全集』(1962年)『世界の大思想』(1965年)に収録され、続いて同社の単行本『ウェーバー政治・社会論集』(1988年)に収録された。
◎梶山力・大塚久雄訳:岩波文庫(上下巻)1955-1962年/以後、中央公論社の『世界の名著』(1975年)および同バックス(1979年)に収録された。
◎大塚久雄訳:岩波書店 1988年/以後、岩波文庫(1989年)やワイド版岩波文庫(1991年)に収録。
『プロ倫』のような古典は廉価で入手しやすく、持ち運びやすい形態であることが読者にとっては望ましいですが、これまでに文庫化されたのは三度(河出文庫で一度、岩波文庫で二度)で、現在も新本で入手可能な文庫本は岩波文庫の大塚訳(梶山訳の全面改訳版)のみです。写真の下段右端が河出文庫版。
『職業としての学問』についても、文庫版は岩波文庫版(尾高邦雄訳、初版1936年、改訳1980年)しかありません。同書は、『下流社会』などの著書で有名な三浦展さんが昨秋(09年9月)に新訳をプレジデント社から刊行されました。単行本ではありますが、1200円と安いですし、サイズもB6判でバッグに入れやすい大きさです。姜尚中さんとの対談が巻末に付されています。「訳者あとがき」によれば三浦さんは当初、編集者から『プロ倫』の翻訳を打診されていたそうですが、言下に断ったものの「『職業としての学問』なら……」とつい言ってしまったとのことです。
そうだよな、誰にとっても『プロ倫』は大変だよな……と思っていたら、年が明けて今回の中山訳です。本当にびっくりしました。カントとウェーバーを並行して翻訳するなんて! 現在末期状態にあるように思える資本主義を根本的に考える際、ウェーバーの『プロ倫』とマルクスの『資本論』は欠かせない参考文献です。中山さんが将来的に『資本論』の新訳を手掛けられるようになったとしても、生産力から考えてもう不思議ではありませんね。