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2009年 10月 28日
◎廣瀬純(龍谷大学教員)レクチャー「マルチチュードとアート - 芸術のみが社会を変える」 私たちの社会と芸術の関係について、革命と反革命の歴史を辿りながら考えます。かつて「日曜画家」という言葉がありました。月から土までは工場やオフィスで労働に専念し、日曜日にだけ好きな絵を描く。日曜画家たちの生活はふたつの「カンバス」からなっていたわけです。労働/搾取の場としての「工場」というカンバス、芸術/自由の場としての字義通りのカンバス。しかしいまでは、社会全体あるいは生活全体が「工場」となってしまっているために、日曜画家などもう存在し得ないといってもいいでしょう。私たち(マルチチュード)は、いっさい外部のない巨大な「工場」のなかで生きているとしたら、それでもなお私たちは芸術を生み出すことができるのでしょうか。アルフレッド・ヒッチコックや小津安二郎の映画作品をとおして、普通の人たちが今の社会を変えること、そして私たちが芸術を生み出すことを重ね合わせ、それらが可能になる時を探ります。 レクチャー1:万国の普通の鳥たちが団結するとはいかなることか。 10月30日(金)19:00 -21:00 アルフレッド・ヒッチコック『鳥』を例に、万国の普通の鳥たちが団結することで「非凡な鳥」になるのはいかにしてかを考えます。「万国」すなわち世界中の鳥たちが一羽の例外もなく団結すること、そして、その鳥たちは、もとはどれもが「普通の」鳥たちであること、ヒッチコック作品が提起するのはこうした問題です。ふだんはおとなしい個が、連帯することで、はるかに力強いものへ立ち向かえるメカニズムを考えます。 レクチャー2:生産の組織化、革命の組織化、そして芸術。 10月31日(土)13:00 - 14:30 「万国のプロレタリアよ、団結せよ」という呼びかけがマルクス+エンゲルスによって行なわれた1848年から、1917年のロシア革命、1968年の五月革命などを経て、今日に至るまでの革命と反革命の歴史を通観します。さらにまた、革命とそれに対する反革命という繰り返しのなかで、それぞれの時代にどのような芸術形態が対応しているのかを考えます。そしてそこから、ヒッチコックの『鳥』が、なぜ現代のインスタレーション・アートと厳密な意味で同時代の映画作品であり得るのかを考えます。 レクチャー3:凡庸であることが革命的なのはなぜか。 10月31日(土)15:00 - 16:30 今日において、私たちが「何をなすべきか」を考えます。ここでは「答え」を出すことよりも「問い」を立てることが中心となるはずです。そのヒントとして、小津安二郎の『お早よう』を考えます。『お早よう』という作品は、万国の普通の人々が団結することで「凡庸な人」になる作品だと言えるかもしれません。そこでは、ヒッチコックの『鳥』に見る抵抗の形とは別様の抵抗のあり方が描き出されているといってもいいでしょう。50年前に製作された映画の、今日における革命的意義を考えます。 【廣瀬純プロフィール】1971年生まれ。1999年、パリ第3大学映画視聴覚研究科DEA課程修了。現在、龍谷大学経営学部専任講師、仏・映画批評誌「Vertigo」編集委員。著書に『美味しい料理の哲学』(河出書房新社、2005年)、『闘争のアサンブレア』(コレクティボ・シトゥアシオネスとの共著、月曜社)、『シネキャピタル』(洛北出版)がある。 日程:2009年10月30日[金]、31日[土] 2日間 時間:10月30日[金]19:00-21:00/10月31日[土]13:00-14:30/同15:00-16:30 場所:AITルーム(代官山) 定員:20名 費用:12,600円(税込) 受講資格: 特に無し 現代アートの学校MAD(Making Art Different=アートを変えよう、アートを違った角度で見てみよう)の集中講座は、表現の可能性を、現代アートや哲学・思想、歴史などを横断しながら、短期集中的に追求するものです。2009年度開講の全7回のうち、第4回目は、『闘争のアサンブレア』や『シネキャピタル』などの著作、またトニ・ネグリ(哲学者/政治活動家)著作の訳書で知られる若手の研究者、廣瀬純氏を招きます。この二日間では、アルフレッド・ヒッチコックや小津安二郎などの映画作品を参照に、「ふつうの人」が表現者となり、社会を変える可能性について芸術と革命の歴史をとおして考えます。通常、「ふつうの人」は、力をもった国や企業、人に支配されていますが、実はその力関係を覆す潜在力ももっています。「ふつうの人」の表現行為や活動が影響しあい、いきいきとした社会を取り戻すのはどのような時なのでしょうか。講師と自由に意見交換しながら、現代社会と芸術表現の関係性について考えを巡らせてみたい方は、是非ご参加ください! *** AIT(エイト)について AITは、東京を中心とした様々な場所に、現代の視覚芸術にアクセスするための「プラットフォーム」を創出していきます。「プラットフォーム」とは、AITが企画、実現していく様々なプログラムで、アートに興味のあるすべての人が立ち寄れる場です。 20世紀は、社会の急激な変化とともに、芸術表現が実に大きな変化を遂げた時代でした。人々の創造的な活動は、それまでのジャンルの壁を崩し、従来の制度を支えてきた美術館やギャラリーだけでは、けっして捉えきれない多様性を帯びてきていると言えます。 国境や高度資本主義の限界が明らかになった今日、芸術はけっして「混乱」や「終焉」を迎えているのではなく、情報テクノロジーや移動手段が発達した時代に対応していく新しいシステムを必要としています。そこで、私たちは、軽やかにフレキシブルに、個人や企業、財団、文化機関などと連携しながら、活動することを目指します。 【特定非営利活動法人 アーツイニシアティヴ トウキョウ [AIT / エイト] 】 住所:〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町30-3 ツインビル代官山 A-502 ※東急東横線 代官山駅より徒歩3分、JR/営団日比谷線 恵比寿駅西口より徒歩8分 電話:03-5489-7277
by urag
| 2009-10-28 21:11
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