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2009年 09月 06日

近刊チェック:09年9月分

今月の注目近刊を列記します。

◎09年09月

01日『博物館・美術館の生物学――カビ・害虫対策のためのIPMの実践』川上裕司+杉山真紀子 雄山閣 4,200円
04日『感情教育』上下巻 フローベール/山田ジャク:訳 河出文庫 各893円
04日『自由訳 千の風になって』新井満 朝日文庫 525円
04日『自由訳 般若心経』新井満 朝日文庫 525円
04日『自由訳 イマジン』新井満 朝日文庫 525円
04日『自由訳 老子』新井満 朝日文庫 525円
05日『江戸川乱歩・少年探偵シリーズ(19)夜光人間』江戸川乱歩 ポプラ文庫クラシック 567円
05日『江戸川乱歩・少年探偵シリーズ(20)塔上の奇術師』江戸川乱歩 ポプラ文庫クラシック 546円
05日『江戸川乱歩・少年探偵シリーズ(21)鉄人Q』江戸川乱歩 ポプラ文庫クラシック 567円
05日『江戸川乱歩・少年探偵シリーズ(22)仮面の恐怖王』江戸川乱歩 ポプラ文庫クラシック 567円  
07日『12歳からの現代思想』岡本裕一朗 ちくま新書 756円
07日『検察の正義』郷原信郎 ちくま新書 756円
07日『国語教科書の中の「日本」』石原千秋 ちくま新書 798円
07日『若者の「うつ」――「新型うつ病」とは何か』傳田健三 ちくまプリマー新書 819円
08日『歎異抄』親鸞:述/唯円:著/川村湊:訳 光文社古典新訳文庫 560円
08日『グランド・ブルテーシュ奇譚』バルザック/宮下志朗:訳 光文社古典新訳文庫 620円
08日『グレート・ギャッツビー』フィッツジェラルド/小川高義:訳 光文社古典新訳文庫 720円
08日『種の起源(上)』ダーウィン/渡辺政隆:訳 光文社古典新訳文庫 880円
08日『闇の奥』コンラッド/黒原敏行:訳 光文社古典新訳文庫 620円
08日『妄想力』茂木健一郎+関根勤 宝島社新書 680円
09日『子どもたちに語るヨーロッパ/子どもたちに語る中世』ジャック・ル・ゴフ/前田耕作:監訳 ちくま学芸文庫 1260円
09日『ピカソ[ピカソ講義]』岡本太郎+宗左近 ちくま学芸文庫 945円
09日『折口信夫集 文豪怪談傑作選―─神の嫁』折口信夫/東雅夫:編 ちくま文庫 924円
09日『ちくま日本文学(039)堀辰雄』ちくま文庫 924円
10日『書くこと、ロラン・バルトについて』スーザン・ソンタグ/富山太佳夫:訳 みすず書房 3,360円
10日『学術都市アレクサンドリア』野町啓 講談社学術文庫 945円
10日『北欧神話と伝説』V・グレンベック/山室静:訳 講談社学術文庫 1,418円
10日『論語〔増補版〕』加地伸行 講談社学術文庫
10日『〈弱さ〉と〈抵抗〉の近代国学――戦時下の柳田國男、保田與重郎、折口信夫』石川公彌子 講談社選書メチエ 1,680円
10日『近代スポーツのミッションは終わったか――身体・メディア・世界』稲垣正浩+今福龍太+西谷修 平凡社 2,520円
10日『ヴォルガ・ブルガール旅行記』イブン・ファドラーン/家島彦一:訳註 東洋文庫(平凡社) 3,150円
10日『中国怪異譚 聊斎志異(1)/(2)』蒲松齢/増田渉+松枝茂夫+常石茂:訳 平凡社ライブラリー 各1,575円
10日『ルバーイヤート』オマル・ハイヤーム/岡田恵美子:編訳 平凡社ライブラリー 1,050円
10日『廣松渉哲学論集』廣松渉/熊野純彦:編 平凡社ライブラリー 1,890円
10日『会社はこれからどうなるのか』岩井克人 平凡社ライブラリー 998円
11日『脳は名曲を喜ぶ』養老孟司+久石譲 角川oneテーマ21 740円
11日『文学における超自然の恐怖』H・P・ラヴクラフト/大瀧啓裕:訳 学研 2,625円
15日『レクチュール』ポール・リクール/合田正人:訳 みすず書房 5,880円
15日『アドルノ 文学ノート(2)』テオドール・アドルノ/三光長治+高木昌史+圓子修平+恒川隆男+竹峰義和+前田良三+杉橋陽一 みすず書房 6,930円
15日『原始の神社をもとめて――日本・琉球・済州島』岡谷公二 平凡新書 924円
15日『精神の自由ということ――神なき時代の哲学』アンドレ・コント=スポンヴィル/小須田健:訳 紀伊國屋書店 2,100円
15日『茶の本』岡倉天心/ソーントン不破直子:訳 春風社 1,365円
16日『技術への問い』マルティン・ハイデッガー/関口浩:訳 平凡社 2,940円
16日『アベラールとエロイーズ 愛の往復書簡』沓掛良彦+横山安由美訳 岩波文庫 735円
16日『子どもたち・曠野 他十篇』チェーホフ/松下裕:訳 岩波書店 840円
16日『君主の統治について――謹んでキプロス王に捧げる』トマス・アクィナス/柴田平三郎:訳 岩波書店 693円
16日『自由への道(2)』サルトル/海老坂武+澤田直:訳 岩波書店 903円
16日『関係する女 所有する男』斎藤環 講談社現代新書 777円
17日『インフルエンザ・パンデミック』河岡義裕+岩附研子 ブルーバックス(講談社) 987円
17日『ローマ建国史(上)』リーウイウス/北村良和:訳 PHP研究所 945円
18日『ホワッチャドゥーイン、マーシャル・マクルーハン?――感性論的メディア論』門林岳史 NTT出版 3,360円
18日『「少年ジャンプ」資本主義』三ツ谷誠 NTT出版 1,680円
18日『同じ時のなかで』スーザン・ソンタグ/木幡和枝:訳 NTT出版 2,730円
18日『私の書かなかった本』ジョージ・スタイナー/伊藤誓+磯山甚一+大島由紀夫:訳 みすず書房 4,725円
18日『近世ヨーロッパの言語と社会――印刷の発明からフランス革命まで』ピーター・バーク 岩波書店 3,570円
18日『借金大国 アメリカの真実――グリーンスパン、バフェット等、金融の重鎮が語る再生へのシナリオ』アディソン・ウィギン+ケート・インコントレラ/楡井浩一:訳 東洋経済新報社 2,205円
20日『あなたにもわかる相対性理論』茂木健一郎 PHPサイエンス・ワールド新書 840円
20日『なぜ飼い犬に手をかまれるのか』日高敏隆 PHPサイエンス・ワールド新書 861円
20日『破られた対称性』佐藤文隆 PHPサイエンス・ワールド新書 861円
20日『寿命とは何か』池田清彦 PHPサイエンス・ワールド新書 840円
20日『自然とは何か』養老孟司+岸由二 PHPサイエンス・ワールド新書 840円
24日『朝日平吾の鬱屈』中島岳志 双書ZERO(筑摩書房) 1,470円
25日『春本を愉しむ』出久根達郎 新潮選書 1,260円
25日『風姿花伝・三道 現代語訳付き』竹本幹夫 角川ソフィア文庫 630円  
25日『仰臥漫録』正岡子規 角川ソフィア文庫 860円
25日『〔新版〕古事記 現代語訳付き』中村啓信 角川ソフィア文庫 980円
25日『クラッシャージョウ(9)ワームウッドの幻獣』高千穂遙 ハヤカワ文庫JA 777円
25日『ハロルド・ピンター(2)』ハロルド・ピンター/喜志哲雄:訳 ハヤカワ演劇文庫 1,029円
25日『パリ 地下都市の歴史』ギュンター・リアー+オリヴィエ・ファイ/古川まり:訳 東洋書林 3,990円
26日『大収縮1929-1933 「米国金融史」第7章』ミルトン・フリードマン/久保恵子:訳 日経BP出版センター 2,520円
26日『〔完全版〕突飛なるものの歴史』ロミ/高遠弘美:訳 平凡社 2,940円
26日『動物学ラテン語辞典』小野展嗣 ぎょうせい 26,250円

「江戸川乱歩・少年探偵シリーズ」が昨年11月から順次刊行されているのを知らなかったのは痛恨事でした。私の書斎にあるハードカバー版は小学生のころに読んだもので、社会人になってから、実家にかろうじて残っていたものをかき集めてみましたが、ほとんどは行方不明。この文庫シリーズで読み直してみたいと思いました。

PHPサイエンス・ワールド新書は今月新創刊の科学系新書。第一回配本のラインナップがたいへん豪華です。いっぽう、ポスト「新書ブーム」をにらみ、「選書」の新時代を切り開こうとする二つのシリーズが今月と来月に創刊されます。

9月26日に創刊されるのが筑摩書房の「双書ZERO」。ここ最近の新刊に投げ込まれている特製パンフレットにはこう謳われています、「00年代の恋愛から政治・経済まで、ポップカルチャーから哲学思想まで、イキのいい書き手が斬新な視点で鋭く迫る新シリーズ」。ブックデザインはミルキィ・イソベさん。第一回配本は次の三点です。阿部真大『ハタチの原点――仕事、恋愛、家族のこれから』、澁谷知美『平成オトコ塾――悩める男子のための全6章』、中島岳志『朝日平五の憂鬱』。以後不定期刊行とのことですが、続刊予定書目には以下が掲げられています。佐々木敦『未知との遭遇――無限のセカイと有限のワタシ』、豊崎由美『まるでダメ男じゃん!――トホホでつなぐ、だいたい百年文学ガイド』、斎藤環『キャラクター関係論』、森岡正博『救いとは何か』、宇野重規『誰が「社会」を守るのか』、高桑和巳『哲学のひらめき』、太田省一『アイドル天国』、辻泉『僕らはなぜ鉄道が好きなのか』、菊池誠『科学者にも怖いものはある』、前川直哉『男の絆』、北村文『英語は女を救うのか』、松尾匡『景気ってなに?』、杉田俊介『非モテの品格』、木島由晶『見た目がチャラくて何が悪いか』。

特製パンフには双書ZEROに期待を寄せる宮台真司さん、岡田利規さん、タナダユキさん、鷲田清一さんらの言葉が掲載されていますが、一番印象的なのは、宮台さんの推薦文です。曰く「人文書の沈滞。売れないのだ。人文的関心が失われたのか。全く違う。ネットでは人文関連のウェブが活況を呈する。テレビや新聞同様、ネットの無料コンテンツに代替されたのだろう。人文「書」にわざわざ金を払うほどの価値がないだけだ。人文関連のウェブが活況なだけではない。僕の私塾には参加者が年々うなぎ上り。人数だけではない。参加者の質も信じられないほど上がってきた。つまり沈滞の理由は読者の側にあるのではない。出版社側や書き手側にこそ問題があるのだ。70年代生まれの「若手」ならびに物理学・文学・精神医学など「周辺領域」から、ルーティーンを脱した「目から鱗」の体験が供給される必要がある。双書ZEROは、人文書の書き手側に「新しい血」を導入する挑戦だろう。切に期待している」。

もうひとつの新しい選書は、河出書房新社から10月に創刊される「河出ブックス」です。編集長の藤崎寛之さん(紀伊國屋書店から何年か前に電撃移籍されました)曰く、「「教養」を新しく組み立てなおす試みは、これまでも数限りなく行われてきましたが、人間が蓄積してきた知の底力は、まだまだこんなものではありません。「河出ブックス」は、書き手からも、読み手からも、道のポテンシャルを引き出すことで、ひとつの「知りたい」が次の「知りたい」を生みだすような連鎖反応を巻き起こしていきたいと考えています」。ブックデザインは天野誠さん。第一回配本は以下の6点です。石原千秋『読者はどこにいるのか――書物のなかの私たち』、島田裕巳『教養としての日本宗教事件史』、橋本健二『「格差」の戦後史――階級社会 日本の履歴書』、紅野謙介『検閲と文学――1920年代の攻防』、坂井克之『脳科学の真実――脳研究者は何を考えているか』、西澤泰彦『日本の植民地建築――帝国に築かれたネットワーク』。09年12月から翌年2月までは毎月2点、10年4月以降は隔月2点以上の刊行ペースだそうです。

続刊予定には以下のものがあります。長山靖生『日本SF精神史――幕末・明治から戦後まで』、飯沢耕太郎『写真的思考』、香山リカ『ポストモダンの「罪と罰」』、永江朗『タブーと発禁の出版文化史』、大澤真幸『生きるための理論――リベラリズム・アフター・リベラリズム』、美馬達哉『脳のなかの経済――神経経済学入門』、吉村正和『心霊の文化史――スピリチュアルな英国近代』、丸川哲史『竹内好――アジアとの出会い』、速水健朗『情況物語変遷史――立身出世から成りあがりへ』、樫村愛子『愛は可能か――恋愛・家族・ケアの精神分析』、宇野邦一『ドゥルーズ講義』、五十嵐太郎『戦後日本建築家列伝』、安藤礼二『大川周明』、山形孝夫『聖母マリア崇拝の起源』、山口真美・金沢創『心理学はどこから来てどこへ行くのか』。創刊を記念して以下のイベントが開催されます。

○河出ブックス創刊記念トークセッション/第59回紀伊國屋サザンセミナー「いまこそ〈教養〉を編み直す 新書から選書へ――新たなフロンティアへの招待」

出演:石原千秋・島田裕巳・五十嵐太郎・永江朗
内容:新書ブームとは何だったのか? 書き手・読み手にとって新書/選書/単行本の違いとは? 「教養」はどこへいくのか? 「選書」に秘められた可能性とは……? 「河出ブックス」の執筆者4人が、本と教養の過去・現在・未来について語り合います。文学・思想・宗教・建築・歴史……ジャンルをまたいで連鎖する、対話の化学反応にご期待ください。サイン会情報:当日、会場にて石原千秋著『読者はどこにいるのか』、または島田裕巳著『教養としての日本宗教事件史』をお買い上げの先着150名様に、整理券を配布いたします。

日時:2009年10月15日(木)19:00開演 18:30開場
会場:新宿・紀伊國屋サザンシアター(紀伊國屋書店 新宿南店7階)
料金:1000円(全席自由/税込)
電話予約・問合せ:紀伊國屋サザンシアター 03-5361-3321(10:00~18:30)
チケット前売所:キノチケットカウンター(新宿本店5階/受付時間10:00~18:30)/紀伊國屋サザンシアター(新宿南店7階/受付時間10:00~18:30)
近刊チェック:09年9月分_a0018105_2344321.jpg


発売日未詳ですが、09月の新刊には以下のものもあります。

『社会の社会(1)/(2)』ニクラス・ルーマン/馬場康夫:訳 法政大学出版局 各9,450円
『信頼性の高い推論――帰納と統計的学習理論』ギルバート・ハーマン+サンジェーヴ・クルカルニ/蟹池陽一:訳 勁草書房 2,310円
『世界探検全史』上下巻 フェリペ・フェルナンデス-アルメスト/関口篤:訳 青土社 各2,520円
『指紋論』橋本一径 青土社 2,520円
『科学革命の先駆者 シモン・ステヴィン――不思議にして不思議にあらず』山本義隆:監修/中澤聡:訳 朝倉書店 7,140円
『つぎはぎだらけの脳と心――脳の進化は、いかに愛、記憶、夢、神をもたらしたのか』ディビッド・J・リンデン インターシフト/合同出版 2,100円
『ビジュアル科学大事典』マティアス・デルブリュックほか 日経BP出版センター 9,800円
『ギリシア・ローマ古代仕事百科』ヴィッキー・レオン/本村凌二:日本語版監修 原書房 2,940円

08月刊行予定と聞いていたもので、まだ刊行されているように見えない注目書目には以下のものがあります。

『入門・人間の気候と歴史――中世から現代まで』E・ル=ロワ=ラデュリ/稲垣文雄:訳 藤原書店 2,520円
『パスカル的省察』P・ブルデュー/加藤晴久:訳 藤原書店 4,410円
『ニーチェの妹 エリーザベト――その実像』恒吉良隆 同学社 2,730円

by urag | 2009-09-06 23:39 | 本のコンシェルジュ | Comments(0)


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