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2009年 02月 05日

「おもいッきりイイ!!テレビ」の「きょうは何の日?」で竹内てるよさんが紹介されました

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昨日(09年2月4日)、日本テレビ系列のお昼のテレビ番組(みのもんたさんの司会でおなじみ)「おもいッきりイイ!!テレビ」のコーナー「きょうは何の日」で、竹内てるよさんが取り上げられました。「2001年2月4日 詩人竹内てるよが亡くなった日」と題され、てるよさんの生涯と詩が紹介されました。

番組中で紹介された四つの詩「頬」「サルビア」「生きたるは」「斜光」は、「生きたるは」を除き、弊社から刊行している『静かなる夜明け――竹内てるよ詩文集』(写真左)に収録されています。番組で紹介されたのはそれぞれの詩の全文ではなく以下の部分でした。

「頬」

生れて何も知らぬ 吾子(わがこ)の頬に
母よ 絶望の涙をおとすな

(中略)

ただ 自らのよわさといくじなさのために
生れて何も知らぬ わが子の頬に
母よ 絶望の涙をおとすな

「サルビア」

私のきょうの瞳をみたか
六月の花 サルビア
じっと両手をかさねて
雨にけむる この花の紅をみていると
きりっと 心が勇んで来る

(後略)

「生きたるは」

(前略)

生きたるは
奇跡でもなく 生命の神秘でもない
生きたるは
唯一にして 無二の責務
かなしくも いまだ
死に価することをせぬため

(後略)

「斜光」

沈みゆく夕陽には 右手をかかげ
残り少なき人生の 光にさらす
なお左手に 明日を信じ
そのつよくあかるき 朝日をつかむ

(中略)

女は 人生のかなしき奇跡か
愛ただ一つに いのちをおく
愛ただ一つに いのちをおく

『静かなる夜明け』(03年刊、本体1400円)では、62編の詩と、2編のエッセイを収めています。なかでも私が好きなてるよさんの詩は、「ひとりの時」と「新月」です。

現在新刊で入手可能な竹内てるよさんの詩集は、2点あります。弊社の『静かなる夜明け』のほか、長野市に拠点を置くオフィスエムさんから刊行されている『美しき時』(08年刊、本体1500円、写真右)があります。『美しき時』では、35編の詩が収録されており、上記の「頬」や「サルビア」、「生きたるは」のほか、『静かなる夜明け』には収録されていない詩も多く含まれています(「斜光」は含まれません)。

詩集以外で、現在新刊で入手可能なてるよさんの本には、自伝の『海のオルゴール』(家の光協会、新装版02年刊)があります。また、晩年に属する自伝的エッセイには、『わが子の頬に』(たま出版、改題新装版02年刊、旧題『因縁霊の不思議』)や『いのち新し』(たま出版、新装版03年刊)があります。これらの著書にも、詩がしばしば挿入されています。

苦労の多い人生を歩まれた竹内てるよさんですが、著作活動においても、表面的な言い方をすればそこにはユニークな「変遷」がありました。デビュー当時はアナーキスト詩人と目され、戦時中は翼賛とは言わぬまでも、一人の母として、出征した若者たちの無事と戦勝を祈り、戦後は反戦の意思を明確にし、闘病生活の中で詩を書き続け、詩作を試みる多くの女性読者に愛され、晩年は自らの霊能体験をついに明かして、悩める市井の人々を助けました。一貫していたのは「ひとを愛する」姿勢であり、誠実に生きようとしたその心根です。その意味で、大戦期の苦悩はヒューマニストである彼女の生涯でもっとも過酷なものだったでしょう。

大衆詩人と表現していいであろうてるよさんの詩作と生涯は、日本文学研究において正当な位置を得ているとは言えず、いまだにまとまった研究書は出ていません。

「ひとりの時」より

くれなずむ窓の下にすわって
じっと いつまでも ひとりでいる
その静かなる時が 私は好きだ

(中略)

じっとすわってひとりのときほど
最も大ぜいの人間であるときはない

(中略)

他人の屈辱に耳まで赤らめ
自らの安静を人のためにわかつ
そのときほど謙遜で大ぜいのときはない

(後略)

by urag | 2009-02-05 02:45 | Comments(0)


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