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URGT-B(ウラゲツブログ)

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2008年 11月 15日

注目新刊:08年11月15日発売分

◎08年11月15日発売分より ※オンライン書店bk1での登録日を基準にしています。

貧乏人大反乱――生きにくい世の中と楽しく闘う方法
松本哉(1974-):著
アスペクト 本体1,429円 四六判並製208頁 978-4-7572-1565-8
■版元紹介文より:リサイクルショップ「素人の乱」店主、「貧乏人大反乱集団」主宰の松本哉が初めて明かす、バカバカしくも豊かな闘争と貧乏三昧の半生。「オレの自転車返せデモ」「家賃をタダにしろ一揆」「杉並区議会議員選挙出馬」などのマヌケで崇高な闘いを通してつちかってきた、ある意味、最強の生き方を語り尽くす。
★08年6月に自伝『貧乏人の逆襲!タダで生きる方法』(筑摩書房)、08年8月に対談本『素人の乱』(二木信との共編、河出書房新社)、08年10月にインタビュー集『さよなら下流社会』(鈴木謙介との共著、ポプラ社)と本年下半期に怒涛の新刊攻勢が続く松本さん。これで早くも4冊目です。

★「素人の乱」界隈に出没する人々のなかに、ぺぺ長谷川(1966-)さんがいますが、ぺぺさんはご存知の通り、10年前には「だめ連」の中心人物として、すでにデビューされています。99年から00年にかけて、「だめ連」の本は立て続けに三冊出ました。『だめ連宣言!』(作品社、99年2月)、『だめ!』(河出書房新社、99年2月)、『だめ連の「働かないで生きるには?!』(筑摩書房、00年5月)。現在入手可能なのは作品社の『宣言(略)』だけなのが残念です。今読み返してみても、すごく面白い。

★当時私は作品社にいて、『宣言』をセールスする立場でした。青山BCでのトークイベントのあとの飲み会がとても盛り上がったのを憶えています。筑摩書房から刊行された第三弾の『働かない(略)』には、「だめ連に未来はあるか?――十年後どうするの?」という対談があって、冒頭はこんな感じです。

Q1:40代、50代をどう生きるんですか?
ぺぺ:エッ!
神長:……(神長まったくこたえられず)。

続くQ2もこんな感じ。

Q2:だめ連の今後は? 10年後、20年後はどんな暮らしをしていると思いますか。
ぺぺ:……謎ですね……まずい、と。

思わず吹き出してしまいますが、虚勢を張らないところがだめ連のいいところ。上記だけを引用するとまるで何も考えていないように見えてしまいますが、実際はこのほかに色々いいこと言っています。

★だめ連は、00年代の格差社会問題を先取りしていたのですが、松本さんのデビューに比べるとやはり登場が早すぎたのかもしれません。世代的には「素人の乱」が70年代生まれで、「だめ連」が60年代生まれなので、早すぎたという言い方は実際は正確ではないですね。だめ連はだめ連で彼らの時を生きたのだし、素人の乱もまた、いま彼らの時を生きているのでしょう。そして10年後には、新しいムーヴメントが80年代生まれないし90年代生まれの若い世代から沸き起こってくるのでしょう。

★だめ連世代(60年代生まれ)と素人の乱世代(70年代生まれ)を連続させる観点のひとつには、隔月刊誌『オルタ』08年9-10月号が特集したような、転換期としての「1995年」があるかもしれません。同号には神長恒一(1967-)さんのインタビューがあったり、松本哉さんと小田マサノリ(1966-)さんの対談があったりします。

by urag | 2008-11-15 23:57 | 本のコンシェルジュ | Comments(0)


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