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URGT-B(ウラゲツブログ)

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2008年 10月 16日

新創刊誌:『POSSE』/『K8』/『貧困研究』/『悍』

大手版元のあいつぐ雑誌休刊とは対照的に、ここ数年間で、大書店の人文社会書売場に並ぶような小規模雑誌がどんどん創刊されています。『VOL』や『フリーターズ・フリー』や『ロスジェネ』などの労働/運動系、『前夜』(昨年7月発売の12号で休刊)や『at』や『RATIO』や『SITE ZERO/ZERO SITE』や『表象』や『REVIEW HOUSE』や『思想地図』などの批評系、『新現実』や『PLANETS』や『nu』や『KINO』や『メカビ』(07年12月発売08年冬号にて休刊)や『エクス・ポ』(08年10月20日発売第6号にて第一期終了)や『m9』(08年8月発売第3号にて休刊)などのカルチャー系などがあって、花盛りです(まあこんな風に強引にジャンル分けしても無意味なのですが)。とくにここ半年の間に増えましたね。さらに、リニューアルした『早稲田文学』や『オルタ』、文芸系の『重力』や『attention』や『球体』や『モンキービジネス』や『真夜中』、デザイン系の『D/SIGN』や『grahpic/design』、等々、広く「文化系」の新創刊ブームが続いていることがわかります(ほかにもたくさんあって全部はとてもピックアップできませんが、お奨めの新雑誌があったら、コメ欄で教えていただけると嬉しいです)。

そして先月、今月と、以下の四誌が生まれました。

★9月7日刊、発売中

POSSE 創刊号
NPO法人POSSE 08年9月7日 年4回発行 税込850円 A5判128頁 ISBNなし

内容:「新たなヴィジョンを拓く労働問題総合誌」をテーマに、労働や貧困の観点から現在の社会を変えていくために必要な分析や政策、運動について議論する季刊誌。

NPO法人POSSE:「若者が働くこと」に関する様々な問題に取り組む団体。労働相談を中心に、若者が労働法の知識を知ることのできるイベントの開催や、街頭での若者アンケート調査活動、政策提言などを行っている。

創刊号内容:「派遣労働問題の新段階」。日雇い派遣の禁止や秋葉原事件の背景が議論されるなか、派遣労働の根本を問う特集になった。また、「マンガに見る若者の労働と貧困」についても特集しており、最近の若者文化における労働や貧困の描かれ方についても、分析を試みている。

創刊号目次:
特集1 派遣労働問題の新段階
座談会「秋葉原事件に見る若者労働とアイデンティティ」竹信三恵子(朝日新聞)×後藤和智(『「若者論」を疑え!』著者)×池田一慶(ガテン系連帯)
「派遣労働の変容と若者の過酷」木下武男(昭和女子大学教授・ガテン系連帯)
「派遣の広がり―3つの業界から」POSSE編集部
「派遣会社の内側から見た派遣労働」田中光輔(元派遣会社業務担当者)
「派遣労働運動のこれから」関根秀一郎(派遣ユニオン)
「釜ヶ崎暴動と日雇い労働」生田武志(野宿者ネットワーク)
「派遣労働ブックガイド10」POSSE編集部

特集2 マンガに見る若者の労働と貧困
「『働きマン』と『闇金ウシジマくん』をつなぐもの」渋谷望(千葉大学准教授)
「消費者金融・闇金マンガの背景」宇都宮健児(弁護士)
「労働と貧困の若者マンガ事情」POSSE編集部

「権利主張はいかにして可能か」道幸哲也(北海道大学教授・NPO職場の権利教育ネットワーク)
「労働と思想 1 アントニオ・ネグリ」入江公康(大学非常勤講師)

次号(12月中旬刊行予定)内容:特集3本立て→「徹底検証『蟹工船』ブーム」、「「名ばかり管理職」問題」、「若者の「やりがい」と職場の違法状態」。主な執筆陣予定→高橋哲哉、萱野稔人、雨宮処凛、本田由紀、熊沢誠、ほか。

購入方法:公式ウェブサイト、紀伊國屋書店新宿本店、ジュンク堂書店新宿店、模索舎(新宿)、ジュンク堂書店池袋本店、東大生協駒場書籍部、一橋大学消費生活協同組合、ブックファースト京都店、ジュンク堂書店京都BAL店(10月20日以降予定)、ジュンク堂書店大阪本店。

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★9月29日刊、発売中

K8 創刊号
こだま屋 08年9月29日 本体500円

創刊号(00号)コンテンツ:
1. 毛利嘉孝 ×萱野稔人 対談
2. 生田武志 (野宿者ネットワーク)インタビュー
3. 鈴木孝弥 (音楽評論家)×大場俊明 (Riddim編集長)×K8

次号(01号、08年内刊行予定)コンテンツ
1. サヨコ (ZELDA、サヨコオトナラ)インタビュー
2. OTO (じゃがたら、サヨコオトナラ)インタビュー 他

取り扱い書店:青山ブックセンター本店(表参道)、ジュンク堂新宿店、模索舎(新宿)、IRREGULAR RHYTHM ASYLUM(新宿)、タコシェ(中野)、百年(吉祥寺)、バサラブックス(吉祥寺)、気流舎(下北沢)、ガケ書房(京都)。オンラインでは、こだま屋、Lilmag、nuなど。

こだま屋:九十九里海岸を臨む長生村でカレー屋の開業準備のかたわら、ミニコミを創刊。

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★10月15日刊、発売中

貧困研究 vol.1 2008-October 特集:貧困研究の課題
貧困研究会:編 明石書店 08年10月15日 年2回発行 本体1800円 B5型並製144頁 ISBN978-4-7503-2869-0

編集委員:青木紀(編集長、北海道大学)、岩田正美(日本女子大学)、布川日佐史(静岡大学)、福原宏幸(大阪市立大学)、松本伊智朗(札幌学院大学)。

内容(明石書店近刊案内より):日本における貧困研究の深化・発展、国内外の研究者の交流、そして貧困問題をさまざまな人々に認識してもらうことを目的として2007年12月に発足した貧困研究会(代表:岩田正美)を母体に発刊されるジャーナル、年2回刊。

創刊の辞→PDF

第一号内容(貧困研究会ウェブサイトより):
特集「貧困研究の課題」
貧困研究に今何が求められているか◎岩田正美
貧困解決に経済学はいかに貢献できるか◎橘木俊詔
貧困解決に社会保障法はいかに貢献できるか◎菊池馨実
貧困現象を空間的視点からとらえると見えるもの◎水内俊雄

小特集「生活保護と扶助基準」
いま、生活保護を問うことの意味─低所得層と生活保護◎杉村宏
いま、なぜ生活保護基準を議論すべきか◎布川日佐史

[海外貧困研究動向]
アメリカにおける貧困研究の動向─子どもの貧困についての計量分析を中心に◎阿部彩

[この人に聞く]
反貧困運動の組織化と研究への期待◎湯浅誠+(編集委員)松本伊智朗

[書評論文]
堤未果『ルポ貧困大国アメリカ』を中心に─ジャーナリストの著作から学ぶ◎青木紀
大山典宏『生活保護vsワーキングプア──若者に広がる貧困』─ワーキングプア問題に対して生活保護は有効か◎福原宏幸

[国内貧困研究情報]
1 注目すべき調査研究報告書を読む:最近公表された研究報告書の紹介◎松本伊智朗
2 興味深い統計と数字の動きを見る:貧困急増の実態とその背景─いくつかの統計資料◎後藤道夫

[政策・反貧困運動等情報]
[キーワード解説]

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★明日(08年10月17日)より発売

悍【HÀN】 第1号 特集・1968
白順社 08年10月25日 年2回(4月・10月)刊行 本体1400円 A5判208頁 ISBN978-4-8344-0102-8

編集委員:内野儀・鴻英良・すが秀実・前田年昭
編集人:前田年昭

執筆者紹介/編集後記/奥付/発刊宣言→ラインラボにPDFで掲載

第1号目次:
68-72*世界革命*展(豊島重之)
1968年の頃の風(唐十郎)
反逆には やっぱり 道理がある(津村喬)
特集討議・「1968」という切断と連続(佐伯隆幸×すが秀実×鵜飼哲×米谷匡史)
「大学解体」に関する若干の考察(青柳宏幸)
壮大なテーマに「楽しく」挑み続けることは可能か?(ペペ長谷川)
なんと正しいことをしたのだろう!(ふとら のぶゆき)
『地の果て 至上の時』 あるいは「路地」の残りの者たち(石川義正)
1968年の戦争と可能性 アナキズム、ナショナリズム、ファシズムと世界革命戦争(千坂恭二)
同意は何を消去したか? 68年5月を今、考えるために(クリスティン・ロス、内野儀訳)

取り扱い書店:
ジュンク堂書店 池袋本店、新宿店、大阪本店、京都店、三宮店ほか
リブロ 池袋本店、渋谷店、吉祥寺店ほか
紀伊國屋書店 新宿南店ほか
丸善 丸の内本店ほか
模索舎(→本日16日より先行発売)

by urag | 2008-10-16 00:33 | 本のコンシェルジュ | Comments(2)
Commented by たまきち at 2008-10-18 21:40 x
はじめまして
マスコミメディアも派遣労働問題を放っておけないようです。
現役派遣労働者 叉葉賢氏が自身の派遣労働の日々を歌にして youtube に発表しています。

Commented by urag at 2008-10-19 02:18
たまきちさんこんにちは。情報をありがとうございます。私も早速YouTubeをチェックしてみます。


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