国文社さんの新刊案内メールによれば、今月(08年9月)中旬についにレヴィナスの『困難な自由』完訳版が刊行されるとのことです。
[完訳]困難な自由――ユダヤ教についての試論
エマニュエル・レヴィナス:著 内田樹:訳
国文社 08年9月 本体4000円 四六判上製カバー装394頁
案内文にはこう紹介されていました。「ポリロゴス叢書でご好評をいただき、品切になっておりましたが、この度、内田樹氏の翻訳で待望の完訳版を刊行致します。第二次大戦直後、東欧ユダヤ人社会がほぼ全滅、同化の進んだ西欧ユダヤ人たちが「ユダヤ人であること」に積極的な理由を見いだせずにいた時に「今、ここでユダヤ人であることの意味とは何か?」という問いに哲学者レヴィナスが正面から答えようとした論考です」。
かつて85年に同社から刊行されたのは同書の抄訳でした。04年5月12日の内田さんの日記では、訳稿ができたけれど、版権の都合で出版困難と書かれてありましたが、その後、07年8月22日の日記を拝見する限り、63年初版版が底本とのことで、問題をクリアしたものと思います。原書再版で削除された七編も訳出との事。訳稿が幻にならず、本当に幸いです。
※写真は85年の抄訳版初版です。近刊の完全版ではありません。