2004年 07月 24日
私が知る限りでは、exblogはなぜかトラックバックの履歴を一覧表示する機能がなくて、自分の記事を巡回してチェックするしかないようなのですが、トラックバックしていただいた皆さんのブログには必ず訪問して閲覧させていただいています。しばしば足跡を残さないままでごめんなさい。 幾度かトラックバックしていただいている「生活日報」さんが、私の「ルミネ〈書店横町〉化」案に的確なコメントを寄せてくださっているので、「生活日報」さんのご意見に応答するかたちで、私なりの書店横町案とその周辺情報を補足させていただきます。「生活日報」さん、いつもありがとうございます。 まず、オープンまで日にちがないのは、やはりルミネの要望(というか都合)かと思います。たしかに、あれだけの売場が消えてしまったわけですから。「生活日報」さんが予測されている通り、什器は青山BCのものを流用せざるをえないのでは、と私も見ています。 なお、超特急の商品調達については、出版社に頼るのではなく、大阪屋さんの流通倉庫、すなわちKBC(関西ブックシティ)やTBC(東京書籍流通センター)がフル活用される模様です。そりゃ、そうですよね。土日を除く営業日で数えれば、あと5日しかないのですから。私の先の杞憂(というよりは、いつかは一言物申したいと目論んでいたのをたまたま今回口にしただけか)は、回避されるのでしょう。 私の「ルミネ〈書店横町〉化」案は、二通りを考えていました。まずは、個性派の小規模書店を複数誘致すること。そして、それが叶わないならば、ブックファースト自体が従来の大書店的手法を改革して、いくつかの社内プロジェクトチームによる群島的な小規模売場で構成されるコンプレックス(複合体)になること。 ついでにひとつ前の私の投稿を繰り返せば、そうした書店横町化が、ポスト「大書店」時代の戦略であろう、と能書きを垂れておきました。 個性派の小規模書店を複数誘致する、ということについてはもちろん時間がたりません。ルミネにとっても時間がないし、小規模書店のオーナーにとっても無理な話だったでしょう。時間の問題以前にこうした構想自体に懐疑的であるかもしれません。 けれど、「生活日報」さんがお書きになっている通り、「新星堂とスターバックスを活用したうえでの本屋横丁案」であるならば、けっこう面白いんじゃないか、というのは、本当だと思います。それが書店利用客の正直な願望ではないでしょうか。私はないものねだりだと分かっていても、そうした願望というか欲望には正直でありたいと思うのです。 駅ビルや百貨店のような場所は、客の欲望を満たすことに敏感でなければやっていけないはずです。今、書店を利用する顧客のひそかな欲望のひとつには、特色ある特化型小書店が広めのワンフロアに隣り合っていれば楽しいだろうし、便利だろうし、冒険もできるだろう、という夢があるように思います。のっぺりと果てしなく続くような大フロアは、どこか退屈だからです。 いみじくも、「生活日報」さんは、ルミネ1店が「文化を楽しむ」フロアとして生まれ変われないだろうか、と述べていらっしゃいます。「文化を楽しむ」というのは重要なキーワードですね。手練れのデベロッパーさんなら、そんな言葉は一昔以上前からある、と仰るかもしれない。でも、文化というのはたえず変転し続けるものですから。「文化を楽しむ」という志向性は常に新しい、と私は思います。 さて、そこでブックファーストの脱大書店化についてです。これとてすぐ実行できるわけではないでしょう。それにそもそも、もとから棚はジャンル別に担当者がいるじゃないか、つまりはそれが群島とかコンプレックスのイメージなんじゃないの。 いいえ、違います。先に言ったプロジェクトチームは、それぞれゆるやかな(あるいは目的によってははっきりした)役割分担をもちながら採算も商品展開も独立型を志向し、それにともなってプロジェクトチーム単位で棲み分けた売場ごとに内装も什器も変えるのです(ここはもうちょっと詳説が必要ですね)。 普通こうしたことをするには予算がかさむのを覚悟しなければなりませんが、内装や什器はこうでなきゃ、という先入観を捨てれば、色々な工夫ができるはずではなかろうかと愚考します。 また、ある売場は始終、同人誌ばかりを売る、というように、従来の大フロアで満たしえなかったニーズにも積極的に応えるよう挑戦して欲しいとも思います。 どだいそれは無理、と言ってしまうのではなく、利用客の欲望をどこまで実現できるかを追求すべき時だろうと思います。イマジネーションを自分で膨らませることができないなら、お客に聞けばいい。突拍子もない意見に耳を傷めることになるかもしれないけれど、そこに来たるべき真実があるかもしれない。私の膨らんだ素人妄想については、きりがないので今晩はこの辺で。放談にて失礼いたしました。
by urag
| 2004-07-24 01:27
| 販売情報
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Comments(3)
興味深く拝見しました。実現へのハードルは予算よりも書店の雇用体系にある気がします。シフト制、しかも半分以上がパートかバイトでは、機動性の高い店づくりは難しいと思います。
ブックファーストルミネ1店は棚位置が青山BCとほとんど変わっていませんでした。これからの変化に期待したいところです。
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urag at 2004-08-31 12:07
mashcoさん、こんにちは。雇用体系にかかわるハードルというご指摘はとても鋭いと思います。ただ、雇用体系が今後変わるかどうか、ということについては、mashcoさんもそう思っていらっしゃるかもしれませんが、私はどちらかと言えば悲観しています。チームを組むという共同体制やそれに支えられた機動性は、たしかにシフト制によって叶えがたくなっていますね。私としては、社員であれ、パートやバイトであれ、棚編集力のある方に注目していきたいと思っています。
わたしも悲観しています。かつて書店でバイトしてました。ただ他業種に比べて時給の低い書店にあえて勤めるバイトの多くは、やはり書店で働くということに何か希望をもっているのではないかと思います。書店側から夜間シフトのレジという職能しか期待されていないとはいえ。
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