ラジオ・フランスの番組
「哲学の金曜日」でのジョルジョ・アガンベンのインタビュー(フランス語)を、明後日の8日までウェブで聞くことが出来ます。一時間番組。生政治/統治の考古学的・系譜学的探究としてのアガンベン独自の哲学のスタンスについて、アガンベン自身の肉声を聞くことができます。
アガンベンと言えば、彼の本邦初訳本だった『スタンツェ』(ありな書房、1998年)が、
ちくま学芸文庫の一冊として3月10日に発売されることになりました。アガンベンの訳書の初めての文庫化になります。
また、月刊PR誌「未来」では、08年1月号から、法学者アントン・シュッツ(1952-)による書き下ろし論考「統治、かくも長く西洋を苛むもの――フーコーからアガンベンへ」(森元庸介訳)が掲載されています。全3回で、現在2月号掲載の第2回まで読むことが出来ます。第3回は3月号掲載予定。シュッツはウィーン生まれの法学者で、現在ロンドン大学で教鞭を執っているそうです。フーコーやルジャンドルに師事した経歴があるとのことです。
アガンベン関連のニュースがまだあります。不思議なくらい長らくイタリア語原書が入手不可能で、古書市場でもめったに見つからなかったハイデガー論『
言語活動と死』が最近ついに再刊されました。版元は以前と変わらずエイナウディです。「ホモ・サケル」第2部第2分冊『統治と栄光』以後、『ニンフ』、『友』(仏訳版では『友愛』)、『現代とは何か』といったごく小さな本が続いていますが、『言語活動と死』の再刊は待望と呼ぶにふさわしいものです(奥付によれば、08年1月発行、増補第三版となっています)。
アガンベンは20代の半ばごろ、ハイデガーがル・トールでごく少人数の参加者を前に行ったゼミナールに参加しています。1966年のル・トールでのヘラクレイトス講義は、85年に創文社の「ハイデッガー全集」の別巻1「四つのゼミナール」(大橋良介+ハンス・ブロッカルト訳)に収録されており、その冒頭にはこう記されています。
「一九六六年のゼミナール(エクサン・プロヴァンスでの講演『ヘーゲルとギリシア人』から八年の後)は七つの対話からなっていた。初めの二つではパルメニデスが論じられ、続く五つはヘラクレイトスに関するものであった。ヴザン、フェディエ、ボフレの他に、二人の若いイタリアの友人、ジネヴラ・ボンピアーニとジョルジオ・アガンベンが仲間に加わった」(3頁)。
アガンベンの名前が日本の哲学書に記されたのはこれが初めてだったでしょうか。この別巻は現在絶版になっています。「全集」第15巻(未訳)に組み込まれることになったためです。ちなみにジネヴラ・ボンピアーニさんというのは、間違いなく、アガンベンの本などを精力的に刊行している
ノッテテンポという版元をロベルタ・エイナウディさんと2002年に共同設立された方と同一人物だと思います。ボンピアーニもエイナウディもイタリアの有名な出版人一族ですね。