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URGT-B(ウラゲツブログ)

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2004年 07月 15日

読み方がわかりにくい書名

先月、読み方の分かりにくい欧文タイトルの新刊が連続して、ご発注のお電話をいただく書店様も戸惑っておられるようです。

『NOVEMBRE』はたいてい「ノベンバー」と呼ばれてます。実際は英語読みではなく、フランス語風に「ノヴェンブル」です。ただ、正しいフランス語の発音に沿うならば、「ノヴァーンブル」と表記する方がいいのでしょう。つまり「ノヴェンブル」というのは、異邦人訛りの不適切なフランス語読みなのです(強引すぎ)。

『WHITE CASKET』は「ホワイト・キャスケット」と呼ばれることがあります。これはあながち間違いではありません。なお、当社の表記としては「ホワイト・カスケット」となります。

『UK77』は、「ユーケーななじゅうなな」と呼ばれることがありますが、「ユーケーなななな」が正解です。

でも、こうした例はまだまだかわいいものです。当社の処女出版で、先般3刷が出来上がったアガンベンの『アウシュヴィッツの残りのもの』、これはほぼ9割に近い率で、「アウシュビッツの残りもの」と言われます。「アウシュヴィッツ」が「アウシュビッツ」になるのは構いませんが、「残りもの」となると・・・・。「残り〈の〉もの」ですね、と復唱させていただくのですが、あんまりにも間違われ続けているので、もう気にしてません。

「残りのもの」と訳されているのはイタリア語原典では「resta」、英訳では、「remnants」です。この本の最重要概念。私は当初、哲学的に「残余」と仮訳していたのですが、訳者の先生方は入念に検討され、もともとの出典である聖書を踏まえた上で「残りのもの」とされました。真ん中の「の」が抜けるだけですが、「残りもの」となると、あまり響きやイメージがよくありません。

ちなみに、取次のデータベースやオンライン書店で検索すると「残りもの」ではヒットしないと思うんですよね。不便(不憫)なことに。

気にしていないと言いましたが、他社さんの本の中で引用されたり言及されたりする時まで「残りもの」になっているとヘコみますね。最近の例。批評家の千葉一幹さんの『クリニック・クリティック』(ミネルヴァ書房)で言及していただいているのですが、「残りもの」になってます。なぜ千葉さんほどの方が! ミネルヴァの編集の方も当然入念に校正されているのでしょうけれど・・・・。

しかし、こうした例はほかの本でも散見しますから、重大な見落としというよりは、そんなふうにおおかた勘違いされている、というほうが正しいのだろうと思います。ジジェク『「テロル」と戦争』(長原豊訳、青土社)ですとか、西谷修+鵜飼哲+宇野邦一『アメリカ・宗教・戦争』(せりか書房)ですとか。だいたい購入したり、本屋で立ち読みしたりした際に気づくんですね。で、自社で訂正できるものではないだけに、一瞬、ガーン、なわけです。

本当に読んでいただいているんだろうか、読んでいただいているはずだ、と思わず沸き起こってくる無礼千万な疑念をぐっとかみ締めます。

各社の担当編集者様、重版の際には訂正していただけるととてもうれしいです(涙。どうぞよろしくお願い申しあげます。

最後に笑えるようで笑えない、でもやっぱり笑ってしまうお話を一席。製本所からあがってきた『アウシュヴィッツの残りのもの』3刷の納品書をみると「アウシュビッツの残ったものたち」になってました。2刷の時もたしか同じだった。これはあきらかに現物を見ていない人が伝票を書いたんですね。さすがに「勘弁してくれ」と思いました。(H)

by urag | 2004-07-15 01:06 | 雑談 | Comments(1)
Commented by bijin* at 2005-02-19 16:54
コメントありがとうございました。
じつは千葉さんから大学時代に批評とフランス語を習いました。
いい先生でした。卒業してからは一度もお会いしてませんが。
講義に辻原登さんとか山城むつみさんを連れてきたりして、
なかなかいいお話ばかりうかがった記憶があります。

今後ともよろしくお願いします。


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