アレクサンドル・コジェーヴ(1902-1968)の遺稿『
カント』が久しぶりに再刊されました。奥付は9月21日印刷となっていますが、発売は10月ではなかったかと思います。初版は1973年、ガリマールより刊行。古書市場では数万円の値段がつくこともある書目ですが、再刊書は20ユーロで購入できます。本文220ページ。
コジェーヴ流のヘーゲル解釈にひきつけられたかたちでのカント理解である、という評価を目にしたことがありますが、個人的にはコジェーヴ流の「ヘーゲル」――というよりヘーゲルに仮託したコジェーヴ「自身」の思想と言うほうが正確でしょうか――は好きなので、本書をやっと手にした今、ワクワクしています。
そういえばすっかり拙ブログで取り上げる時期を逸してしまっていたように思うのが、レオ・シュトラウス(1899-1973)の『僭主政治について』(上下巻、石崎嘉彦ほか訳、
現代思潮新社、06年12月-07年3月)です。下巻にはシュトラウスとコジェーヴの間で交わされた往復書簡や論文が収められています。
シュトラウスの『僭主政治について』に対するコジェーヴの批判的考究「僭主政治と知恵」と、それへのシュトラウスの応答「クセノフォン『ヒエロン』についての再説」――どちらも長い論文――、そして1932年から1965年に至る往復書簡。特に往復書簡が興味深いです。大手メディアでこれといった書評が出なかったようなのですが(
紹介記事はアリ)、不思議というか不気味です。今こそ再評価されていい古典だと思うのですけれども。