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2007年 09月 20日

ブランショ『書物の不在』(発売中)と、大谷能生『貧しい音楽』(近日発売)

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書物の不在 【写真左、発売中】
モーリス・ブランショ=著 中山元=訳
46判上製カバー装88頁 本体価格2,500円 ISBN978-4-901477-36-9

本書の内容について:生誕百周年(07年9月22日)記念出版。晩期ブランショにおける評論活動の頂点となる最重要論考を初出誌版(1969年)より初邦訳。書くこと、書物、作品、法をめぐる未聞の思考が開示される。著者最大の評論集『終わりなき対話』の末尾におかれた同論考の単行本版との異同を付す。対話なき暴力が充満する現代に、ことばの力と可能性を鋭く問いかける新しいシリーズ、「叢書・エクリチュールの冒険」の第一回配本! 初版限定800部。
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本書の装丁について:鮮やかな朱色の紙に濃い墨色で本文を刷り、肌触りがなめらかな漆黒の布クロスで製本しました。漆黒の布クロスには銀色の箔押しで原題が刻印されています。カバーには本文と同じ朱色の紙を使用し、最小限の文字情報のみのシンプルな装丁になっています。見た目の簡潔な美しさを重視しているため、オビは付しません。

モーリス・ブランショ(Maurice Blanchot)……1907年9月22日ソーヌ・エ・ロワール県のカンに生まれ、2003年2月20日イヴリーヌ県に没す。フランスの作家、批評家。主な著書に以下のものがある。『文学空間』(粟津則雄・出口裕弘訳、現代思潮社〔現代思潮新社〕、1962年)、『最後の人/期待 忘却』(豊崎光一訳、白水社、1971年)、『来るべき書物』(粟津則雄訳、筑摩書房、1989年)、『明かしえぬ共同体』(西谷修訳、ちくま学芸文庫、1997年)、『望みのときに』(谷口博史訳、未来社、1998年)、『友愛のために』(清水徹訳、《リキエスタ》の会、2001年)、『問われる知識人』(安原伸一朗訳、月曜社、2002年)、『ブランショ政治論集』(安原伸一朗・西山雄二・郷原佳以訳、月曜社、2005年)、『私についてこなかった男』(谷口博史訳、書肆心水、2005年)、『ブランショ小説選』(菅野昭正・三輪秀彦訳、書肆心水、2005年)、『謎の男トマ(1941年初版本)』(月曜社、近刊)。

叢書「エクリチュールの冒険」について:「ことば」への関心を私たち現代人はもはや失ってしまったのだろうか。「ことば」は書き方や話し方における技術の問題に過ぎないのだろうか。賢さや愚かさは「ことば」の技術の問題なのだろうか。「ことば」は嘘に過ぎないのだろうか。

20世紀文化の知的位相を形成した諸潮流においてはむしろ、文学における言語実験、哲学における言語論的展開、言語への記号学的な接近、そして勇気ある証言と告発の政治が、国境を越えて観察できる。「ことば」への関心に深く根ざす運動は、「ことば」を圧殺し簒奪する怪物的事件の傍らにおいてすら、実践され続けてきたのではなかったか。

〈9・11〉に象徴される、「ことば」なき暴力のヴァンダリズムに曝されつつある21世紀は、世界大戦や絶えざる内線と紛争に彩られた前世紀の延長上にある。数々の問答無用な攻撃と苦悩の沈黙は、「ことば」の信頼を常に裏切り続けてきた。対話の円卓に就いてもなお、バベルの混乱は続いたのだ。混乱期における「ことば」の可塑性と可能性を再び問うこと、それは20世紀的人間を再審することであるとともに、21世紀のバベルを解体する試金石でもある。

***

貧しい音楽 【写真右、9月28日より順次発売開始】
大谷能生:著
46判変型(タテ184ミリ×ヨコ118.5ミリ) 並製カバー装340頁 本体価格2,500円 ISBN:978-4-901477-35-2

本書の内容について:菊地成孔氏の「東大講義」のブレーン、気鋭の音楽批評家/ミュージシャン・大谷能生による第一批評集! ジャズ、テクノ、現代音楽、ポップスなど、ジャンルを横断的に走査し、新たな音楽地図を描き出す。

主な目次:二重化された死の空間について/録音機器の前の、二つの椅子/引用の終わり、音のそのもの 大友良英インタヴュー/『複製技術時代における芸術作品』へのノート/歌詞講義 「町田町蔵、イスラエル」/パッケージングの前、デジタル化の後/ジョン・ケージは関係ない/ホロコーストを録音するために

本書の装丁について:森大志郎による造本、八品幸史郎によるカバーイラスト。本文は銀暗色で刷られており、カバーとオビも同色でまとめられています。カバーの天地が書籍本体より短くなっており、中の白いペーパーバックが剥き出しになっています。

大谷能生(おおたに・よしお)……1972年生まれ。横浜国立大学中退。1996~2002年まで音楽批評誌『Espresso』編集に携わる。日本の音楽におけるインディペンデントシーンを中心に執筆活動を続ける他、サックス、エレクトロニクス奏者として、mas,feep,simなどのバンドに参加。2004年に、菊地成孔との共著「憂鬱と官能を教えた学校によって俯瞰される20世紀商業音楽史」(河出書房新社刊)を上梓。同氏とは以降も東京大学教養学部での講義を担当(「東京大学のアルバート・アイラー」として2005年に刊行)。

お知らせ:本書は本日07年9月20日より、青山BC本店で先行販売されています。

by urag | 2007-09-20 19:58 | 販売情報 | Comments(4)
Commented by gorge at 2007-09-21 16:51 x
こんにちは。9/20、高田馬場芳林堂ですさまじいオーラを目撃し、今月はもう本を買うまいと決めていたにもかかわらず、『書物の不在』買ってしまいました。赤は墳墓の下の凝固した血の色か、不在を告げながら自らを灼く炎か。本文すべて色上質というのは杉浦廣平さんの対談本以来でしょうか。緑のスリップが目にいたかった。もらってくればよかった。w
まだ読み始めたところですが、濃密なテクストは100ページに満たないにもかかわらず、ずっしりと重い。充実した刊行が続きますね。「赤色本」につづいて次は青色本か茶色本でしょうか。
Commented by urag at 2007-09-22 01:21
gorgeさんこんにちは。ご購読まことにありがとうございます。緑のスリップに気づいてくださって光栄です。欲しいと思ってくださる読者の方がいるといいなあと想像しながら色を決めました。普通は本屋さんが回収してしまうものなのですが、場合によってはもらえることもあるかも知れません。gorgeさんのご賢察の通り、この先は様々な色の本を考えています。同じ叢書の続刊かどうかは未定ですが、また読者の皆さんにはっとしていただけるような本をぜひ作りたいと思っています。
Commented by chloe at 2007-09-22 13:41 x
 緑のスリップまで含んだ、「物」としての本の力についてのgorgeさんとuragさんのやり取りが『書物の不在』と題された本をめぐってされていること、また、ことの発端が高田馬場・芳林堂書店であることで久々に「市場」の肯定的側面を目にすることができたことに、(ちょっと大げさですが)感動いたしました。
 初版限定とありますので『書物の不在』の増刷はされないのでしょうが、「叢書・エクリチュールの冒険」の増殖をお祈り申しあげます。
Commented by urag at 2007-09-24 23:59
chloeさんこんにちは。温かいコメントをありがとうございます。叢書「エクリチュールの冒険」は第一期全十巻を現在予定しています(公式サイトには載せていない情報ですね)。もろもろの配慮のために書目はまだ公開できないのですが(それにしてもブログに書けない情報が意外に多いこと!)、ヒントは折々にブログでちりばめていますし、公式の近刊予告の中にも紛れ込んでいます。皆さんに喜んでいただけるよう、いっそうがんばりたいです。


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