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URGT-B(ウラゲツブログ)

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2007年 08月 13日

大竹昭子さんによる「ハワイ」の書評

作家の大竹昭子さんが紀伊國屋書店「書評空間」に、森山大道写真集『ハワイ』の書評をお書きになっておられます。次のように評してくださいました。大竹さん、ありがとうございます。

「新宿のような魑魅魍魎の跋扈する暗黒街を撮る写真家が、どうしてあんな健康指向のリゾートに出掛けていったのか、まったく解せないと首を振る人がいても、不思議はない。森山大道とハワイとの関係性は一見、どこにも見当たらないのだ。

あるいは森山がかつて熱海を撮ったことを覚えていて、それを重ね合わせて理解する人も、いるかもしれない。ワイキキを熱海に見立てて、熱海の国際版を撮ろういう魂胆で、森山ばりのハイコントラストのプリントで、ハワイの猥雑さが映像化されるにちがいない、と。

だが、4センチほどの分厚い写真集を広げているいま、そうした目論みが見事に破られている小気味よさを感じる。たしかにここに撮られているのは紛れもないハワイである。だが、きめ細かな視線の先に浮かび上がってくるのは、ハワイという固有名詞を超えた、島空間の孤独だ。写真家の眼は、イメージの海を超えて裸の島に到達している。かつてハワイをこのように見た人はいなかった」。

by urag | 2007-08-13 10:35 | Comments(0)


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