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URGT-B(ウラゲツブログ)

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2007年 07月 22日

今週の注目新刊(第107回:07年7月22日)

シンボルの修辞学
エトガー・ヴィント(1900-71):著 秋庭史典+加藤哲弘+金沢百枝+蜷川順子+松根伸治:訳 晶文社 07年7月 5,040円 A5判437+31頁 ISBN:978-4-7949-2388-2

ゴヤの手紙――画家の告白とドラマ
ゴヤ(1746-1828):著 大高保二郎+松原典子:編訳 岩波書店 07年7月 10,500円 菊判640頁 ISBN:978-4-00-022874-9

ヴィスコンティの遺香 〔愛蔵版〕
篠山紀信:写真 小学館 07年7月 A4変形判240頁 9,450円 ISBN:978-4-09-680127-7
●初版は1982年。生誕100年記念の新装決定版。初版本の内容に加え、塩野七生氏の新規原稿、篠山氏と淀川長治氏、立川直樹氏のヴィスコンティ座談会を収録。ヴィスコンティの全作品リスト、年代記など資料も充実。
●小学館の新刊にはこのほかにも気になる愛蔵版が。『萩尾望都 パーフェクト・セレクション』全9巻。

こころの眼――写真をめぐるエセー
アンリ・カルティエ=ブレッソン(1908-2004):著 堀内花子:訳 岩波書店 07年7月 1,890円 46判128頁 ISBN:978-4-00-022873-2

スズキコージズキンの大魔法画集
スズキ コージ(1948-):著 平凡社 07年7月 2,520円 B4変型判84頁 ISBN:978-4-582-29503-0
■版元紹介文より:絵本界の奇才スズキコージの、絵画、立体作品、巨大画などの分野におけるユニークな作品を通して、スズキワールドの全貌と魅力に迫る。著者自選による主要作品を完全網羅した待望の大画集。
●これはお買い得かも。子供にプレゼントたい。

図説 江戸東京怪異百物語
湯本豪一(1950-):著 河出書房新社 07年7月 A5変形判112頁 1,785円 ISBN:978-4-309-76096-4

すらすら読める正法眼蔵
ひろさちや(1936-):著 講談社 07年7月 1,785円 B6変形判278頁 ISBN:978-4-06-212725-7
●「総ルビつき原文および著者オリジナル現代語訳つき」。すらすら~の言葉に惹かれて立ち読みしましたが、個人的な印象では「すらすら」まではいきませんでした。仏教に興味がある高齢者向きかなあ。本書は本書で十分すばらしいのですが、仏教用語を完全に翻訳しつくさないかぎりは、若い人も読めるような日常的なレベルの「現代語訳」には到達できないのではないかと思います。

アウグスティヌス著作集 (5/2) 告白録 (下)
宮谷宣史:訳 教文館 07年7月 4,830円 A5判635+66頁 ISBN:978-4-7642-3031-6

古英語叙事詩 『ベーオウルフ』 対訳版
苅部恒徳:編著 小山良一:訳註 研究社 07年7月 4,830円 B5判312頁 ISBN:978-4-327-47212-2
■版元紹介文より:古英語叙事詩『ベーオウルフ』Beowulf 全3182行の半行対訳版。各頁とも上段に原文と対訳を配置し、下段には語彙欄 (Glossary) を設け、原文の語句の出現順に、その語形変化・定義・語源・統語指示などを英語で記述した。このレイアウトはBeowulf の刊本では欧米・日本で初めての試み。
●半行対訳というレイアウトの意義についてさらに出版社はこう説明しています。「これによって、現代英語が読めて英文法の知識がある読者であれば、多くの刊本のように巻末の Glossary を引かずとも、同一頁内に出現順に配された語彙解をたどることにより、1000年以上も昔の古英語韻文で書かれた有名な叙事詩の難解な原文を、対訳の助けも得て容易に理解することができる」。説得力のある宣伝文句だと思います。

せめて一時間だけでも――ホロコーストからの生還
ペーター・シュナイダー:著 八木輝明:訳 慶應義塾大学出版会 07年7月 1,890円 46判210頁 ISBN:978-4-7664-1402-8
■版元紹介文より:ナチス政権下のベルリン地下潜伏から奇跡的に生還したユダヤ人音楽家コンラート・ラテの生還記録。著者は『ザ・ジャーマン・コメディ』中央公論社、『壁を跳ぶ男』白水社、などで知られる現代ドイツを代表する作家。

トレント1475年――ユダヤ人儀礼殺人の裁判記録
ロニー・ポチャ・シャー(1955-):著 佐々木博光:訳 昭和堂 07年7月 3,360円 46判256頁 ISBN:978-4-8122-0740-6

オッペンハイマー――「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇 (上下)
カイ・バード+マーティン・シャーウィン:著 河邉俊彦:訳 PHP研究所 07年8月 2,100円/1,995円 46判503頁/441頁 ISBN:978-4-569-69292-0/ISBN:978-4-569-69293-7
●ピュリッツァー賞受賞作の評伝。

食糧争奪――日本の食が世界から取り残される日
柴田明夫:著 日本経済新聞出版社 07年7月 1,890円 46判262頁 ISBN:978-4-532-35267-7

福祉国家における政治理論
二クラス・ルーマン:著 徳安彰:訳 勁草書房 07年7月 2,940円 46判183+12頁 ISBN:978-4-326-65325-6
●本年4月から、新泉社より「ルーマン講義録」が刊行されています。第一巻「システム理論入門」(ディルク・ベッカー:編、土方透:監訳、ISBN:978-4-7877-0703-1)。

流通する「人体」――献体・献血・臓器提供の歴史
香西豊子(1973-):著 勁草書房 07年7月 3,675円 A5判313+28頁 ISBN:978-4-326-10174-0

夢に迷う脳――夜ごと心はどこへ行く?
J・アラン・ホブソン:著 池谷裕二:監訳 池谷香:訳 朝日出版社 07年7月 2,415円 46判並製428頁 ISBN:978-4-255-00400-6
■版元紹介文より:夢を見ているときの脳は、精神錯乱そのものだ! 睡眠と覚醒を行き来する脳のメカニズムを、神経科学の視点から解明する。睡眠研究の第一人者による、渾身の科学エッセイ。池谷裕二激賞――「怒涛の知的興奮!」
●7月29日付「毎日新聞」に掲載された、養老孟司さんの書評

第三の脳――皮膚から考える命、こころ、世界
傳田光洋(1960-):著 朝日出版社 07年7月 1,575円 B6判222頁 ISBN:978-4-255-00401-3
■版元紹介文より:感じるだけが皮膚の仕事ではない。皮膚は未知の思考回路である。「第一の脳」は頭蓋骨の中にある。「第二の脳」は消化器のこと。皮膚こそ「第三の脳」なのだ。高度な情報処理を行っている皮膚の潜在的な可能性を論じる、刺激的なサイエンス・エッセイ。
●オビが秀逸です。「指でなぞってみてください」と書いてあって、その横にちょっとした加工が施してあります。「真ん中の線が凹んでいませんか」、「本当は凹んでません。これが触覚の錯覚」と。試してみると確かに凹んでいるように感じます。このオビなら誰しもが思わず手に取ってしまうでしょう。どんな仕掛けなのか、皆さんもぜひ店頭で確かめてください。

脳科学と倫理と法――神経倫理学入門
ブレント・ガーランド:編 古谷和仁+久村典子:訳 みすず書房 07年7月 3,570円 A5判240頁 ISBN:978-4-622-07315-4
■収録論文:「問題のありか」ブレント・ガーランド、「二一世紀における自由意思」マイケル・ガザニガ、「新しい神経科学、旧知の問題」スティーヴン・モース、「予測、訴訟、プライバシー、知的財産」ヘンリー・グリーリー、「神経科学の将来と法」ローレンス・タンクレディ。

UNBALANCE/BALANCE――紙の素性と人の感覚
株式会社竹尾:編 秋田寛:企画・構成 平凡社 07年7月 3,150円 B5変型判124頁 ISBN : 978-4-582-28103-3

デザイン素材集 動物 (1) は虫類・両生類・魚類etc
川添宣広:編 誠文堂新光社 07年8月 3,360円 216×216mm / 120p ISBN:978-4-416-80738-5
■版元紹介文より:動物の皮膚表面をクローズアップしたロイヤリティフリーの素材集。爬虫類、両生類、魚類、節足動物の変化に富んだ姿、表皮の模様、目、口、甲羅などのパーツ写真約500点をCD-ROMに収録。
●モルフォロジー的関心にうってつけの一冊かも。

動物の感覚とリズム
七田芳則+深田吉孝:編 培風館 07年7月 3,150円 A5判182頁 ISBN:978-4-563-08289-5
●日本動物学会監修のシリーズ「21世紀の動物科学」の一冊。同時刊行は『内分泌と生命現象』(長濱嘉孝+井口泰泉:編、ISBN : 978-4-563-08290-1)。

***

◎注目の文庫、新書

戦争
大岡昇平:著 岩波現代文庫 07年7月 1,050円 249頁 ISBN:978-4-00-603155-8

伽藍が白かったとき
ル・コルビュジエ(1887-1965):著 生田勉+樋口清:訳 岩波文庫 07年7月 945円 398頁 ISBN:978-4-00-335701-9
●1935年、三ヶ月間の渡米印象記。本を書くのが大嫌いとうそぶく著者の饒舌。

忘れられた日本人
ブルーノ・タウト(1880-1938):著 篠田英雄:編訳 中公文庫 07年06月 780円 230頁 ISBN:978-4-12-204877-5
●かたや1933年から三年間の日本滞在見聞記。訳者の篠田さんはカントの「純理」の翻訳者でもあり、タウトの日本論や日記の整理を夫人に託された方でもあります。

異体字の世界――旧字・俗字・略字の漢字百科
小池和夫:著 河出文庫 07年7月 672円 208頁 ISBN:978-4-309-40857-6

大学という病――東大紛擾と教授群像
竹内洋:著 中公文庫 07年7月 980円 346頁 ISBN:978-4-12-204887-4
●親本は、中公叢書、01年刊。

学問の進歩
ベーコン:著 服部英次郎+多田英次:訳 岩波文庫 07年7月 903円 396頁 ISBN:4-00-336171-7
●07年夏季の一括重版の一冊。初版74年で今回6刷。一括重版はついまとめて手を出してしまう。全点を買うまではいかないけれど、この重版分も遠からず品切れになるだろうし。山川菊栄の『わが住む村』の淡々とした筆致。プルタルコスの『饒舌について』の戒め。それにしてもあらためて驚いてしまうのは、山川もプルタルコスも既刊があるのに、巻末の広告でもカバーのソデでも一切宣伝しない岩波文庫の方針の不思議さよ。営業的に理解に苦しむところ。

モスラの精神史
小野俊太郎(1959-):著 講談社現代新書 07年7月 798円 283頁 ISBN:978-4-06-287901-9

戦争遺産探訪 日本編
竹内正浩:著 文春新書 07年7月 893円 254頁 ISBN:978-4-16-660580-4

マンガフロイト入門――精神分析の創始者
リチャード・アッピグナネッセイ:文 オスカー・サラーティ:絵 小林司:訳 ブルーバックス:講談社 07年7月 840円 189頁 ISBN:978-4-06-257563-8

by urag | 2007-07-22 19:40 | 本のコンシェルジュ | Comments(0)


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