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2007年 05月 31日

隔月刊『アイデア』322号(07年5月)が海外雑誌カルチャーを特集

隔月刊『アイデア』322号(07年5月)が海外雑誌カルチャーを特集_a0018105_2281616.jpg隔月刊『アイデア』の322号(07年5月、誠文堂新光社)が、第二特集で「海外雑誌カルチャー」を扱っています。欧米の芸術、文化、文芸、学術などの各分野の専門誌の、創刊号の書影とデータがずらり。楽しい特集です。

同号の第一特集は、「オトル・アイヒャー デザインとしての世界」。ドイツのすぐれたデザイナーであるアイヒャー(Otl Aicher, 1922-1991)の仕事を取り上げています。アイヒャーはかのナチス抵抗運動で高名なショル兄弟の長女インゲ(Inge Aicher-Scholl, 1917-1998; 著書『白バラは散らず』、未来社)の旦那さんでもあったのですが、日本ではショル兄弟はそれなりに知られていても、アイヒャーのことは一般読者はほとんど知らないだろうと思います。

この特集では、彼の著書『デザインとしての世界』(1994年、エルンスト&ゾーン)の抄訳も掲載されています。「デザインとは一個の世界を創造することである」と彼は書きます。そしてこう続けます、「デザインが生まれるのは、理論と実践が衝突する地点である。(…)両者が道を見出して、発展が可能となるのである」。

また、こうも書いています、「デザインは人を自律的にし、デザインする人々は危険な存在となる。支配を行使する権威にとって、彼らは危険なのだ」と。さらに、「創造的なアナーキーがむしろ待望されている文化的領域がある」とも。

デザイン原論ともデザイン哲学とも言うべきアイヒャーのこの本は、ぜひ全訳されてほしいなと強く思います。アイヒャーを読んでいると、ブルース・マウが『マッシヴ・チェンジ』(2004年、ファイドン)を「デザインの世界についての本ではなく、世界のデザインについての本なのだ」と規定していたことを思い出します。

『マッシヴ・チェンジ』については、季刊『デザイン・クォータリー』第4号(06年秋季、翔泳社)が特集を組んでいて、そのマニフェストとも言うべき冒頭ページおよび序文の翻訳が掲載され、原研哉さん、後藤繁雄さんらのエッセイや、坂本龍一さんのインタビューなどが掲載されています。併読をお奨めいたします。

by urag | 2007-05-31 23:37 | 本のコンシェルジュ | Comments(0)


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