ジル・ドゥルーズのインタビュー集『記号と事件 1972-1990年の対話』〔原題は『折衝』〕が河出文庫になりました。改訳版です。今月一週間後の8日店頭発売。
「文庫版あとがき」によれば、92年の親本の刊行後に邦訳されたドゥルーズの著書にならって訳語の統一を図り、さらに「ドゥルーズ独自の文体的特徴を生かすためにいくつかの対話を訳し直し(・・・)なかでも哲学者ドゥルーズの矜持が前面に出た「哲学について」と「ライプニッツについて」、それからアントニオ・ネグリとの対談である「管理と生成変化」は全面的に改訳した」とのことです。
単行本では95年に一度改訂版が出ていますから、訳文全体に手が加えられたのはこれで二度目です。あらためて読み直してみると、十数年前に初めて読んだときよりも、ドゥルーズの言わんとしていることに一歩近づきやすくなった気がします。たぶんそれは年齢的な経験の差かもしれません。20代で読んだドゥルーズと、30代で読むドゥルーズとは違う感じです。ドゥルーズの思惟に宿っている年輪、成熟あるいは老いに追いつくのはまだまだ先なのかもしれません。
記号と事件――1972-1990年の対話
ジル・ドゥルーズ(1925-1995):著 宮林寛(1957-):訳
河出文庫 07年5月 1260円 文庫判375頁 ISBN978-4-309-46288-2
■帯文より:ドゥルーズ自身によるドゥルーズ哲学入門。哲学、政治、映画などをめぐって自在に語った生前唯一のインタヴュー集成。改訳版。