
写真は、昨年暮れ(06年12月)に刊行された、
日本書店商業組合連合会の冊子「全国小売書店経営実態調査報告書別冊――書店経営者 生の声」(注1)です。業界向けに発表されたレポートで、全国の会員書店を対象に調査され、2028軒の書店から有効回答を得て作成されたものです。「統計数字だけではわからない、書店の切実な声を知るための貴重な資料」(「はじめに」より)となっています。
この冊子の存在を業界紙で知って、ぜひ私も読みたいと思い、取り寄せました。専門分野に特化したわが社のような零細出版社の本は、このレポートに登場するような中小書店ではほとんど扱われません。しかし、書店にせよ出版社にせよ、そうした中小零細の存在こそが数の上では多数派であり、この多数派の肉声を聞かなければ業界を理解することにはなりません。大企業が業界総体の売上の大半を創出しているとしても、それを知っているだけではすべてを知ったことにはならないのです。
報告書の調査項目は以下の通りです。
「雑誌(ムック・コミック含む)の入荷状況について」
「新刊書籍の入荷状況について」
「ベストセラーの入荷状況について」
「補充品や客注品に対する出版社・取次の対応について」
「取次の決算月の大量送品について」
「取次の決算月における返品入帳操作について」
「取次からの請求について」
「書籍の支払いサイトについて」
「今後の出版界の発展のため、中小書店の営業の継続のための改善策や意見」
このように、いずれも等閑視することのできない重要な案件ばかりです。業界人でこのレポートを読みたい方は、日本書店商業組合連合会に問い合わせてみてください。一般読者への頒布は行っていないようです。