少年少女漂流記
古屋×乙一×兎丸:著
集英社 07年2月 1,260円 A5判287頁
●ファンと自認できるほどでは全然ないのですが、兎丸はつい読んでしまいます。彼には何か同世代ゆえの危険な感性を感じるので。彼は十代という若さ特有の、閉じた妄想世界について書いているのですけれど、私にはこの作品の真実というのは、十代に仮託した三十路の妄想と迷走、ではないかなと思えるのです。妄想から卒業できないというか、いったんは卒業したはずの妄想が歪んだかたちで蘇ってくる、悩める三十代の無意識世界のありのままの不安定さというか。
グローバリゼーションと文化変容--音楽、ファッション、労働からみる世界
遠藤薫:編
世界思想社 07年3月 1,995円 B6判249頁
■収録論考:現代文化におけるグローバリゼーション・ローカリゼーションのねじれ(遠藤薫)/
愛国心とノスタルジア(遠藤薫)/〈ジーンズ〉の帝国(遠藤薫)/〈趣味〉と履歴書(遠藤薫)/
日本におけるラップ音楽市場の自律化(木本玲一)/音楽イベントに現れた日韓ナショナリズムの相克(高原基彰)/バイク便ライダーたちの「東京」 (阿部真大)/被差別部落の酒屋がコンビニに変わるまで(新雅史)/茨城県A市における「フィフティーズ・ファッション」の消費と変容 (大山昌彦)
新自由主義--その歴史的展開と現在
デヴィッド・ハーヴェイ(1935-):著 渡辺治:監訳 森田成也+木下ちがや+大屋定晴+中村好孝:訳
作品社 07年3月 2,730円 46判395頁
●まもなく青土社からもハーヴェイによる関連書が刊行されます。本橋哲也訳『ネオリベラリズムとは何か』です。
アメリカは忘れない--記憶のなかのパールハーバー
エミリー・S・ローゼンバーグ:著 飯倉章:訳
法政大学出版局 07年2月 3,675円 46判332頁
南米キリスト教美術とコロニアリズム
岡田裕成(1963-)+斎藤晃(1963-):著
名古屋大学出版会 07年2月 6,930円 菊判324+132+図版32頁
若き数学者への手紙
イアン・スチュアート(1945-):著 富永星:訳
日経BP社 07年3月 1,890円 46判253頁
ケインズとケンブリッジ的世界--市場社会観と経済学
平井俊顕(1947-):著
ミネルヴァ書房 07年2月 6,825円 A5判401頁
イェルムスレウ--ソシュールの最大の後継者
セミル・バディル:著 町田健:訳
大修館書店 07年3月 2,415円 46判252頁
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◎注目の新書・文庫
親より稼ぐネオニート--「脱・雇用」時代の若者たち
今一生(1965-):著
扶桑社新書 07年3月 777円 新書255頁
ダ・ヴィンチの謎ニュートンの奇跡--「神の原理」はいかに解明されてきたか
三田誠広(1948-):著
祥伝社新書 07年3月 788円 新書判211頁
マンウォッチング
デズモンド・モリス:著 藤田統:訳
小学館文庫 07年3月 900円 文庫判618頁
●同著者の単行本『ウーマンウォッチング』(常盤新平:訳、小学館、07年3月刊、3,675円、ISBN978-4-09-693016-8)の刊行にあわせて、といったところでしょうね。