東京大学出版会のPR誌「UP」7月号の「学術出版」コーナーで興味深い記事を見つけました。このコーナーは同会のスタッフが記事を書く欄です。ここに、同会で過日行われたという公開編集会議のことが書かれていました。
「過日、小会の出版企画の検討会議を第三者に公開する機会があった。「出版の企画が決定する仕組みを知りたい」という研究者の要望があり、公共的使命を担う東京大学出版会の企画検討会議を公開することも意味があると考え、参与観察の機会をもうけたのである。」
東大出版会では企画が承認されるまで次のような段階を経るそうです。
1)編集者と著者が企画について仮合意する。
2)文系/理系の編集部別による会議において企画が編集者によって提出され、吟味。
3)編集部全員による会議にかけられる。
4)編集部以外をも含めた各部局責任者による会議にかけられる。
5)専門の研究者に原稿が査読される。
6)東大の先生方を含めて構成される企画委員会にかけられる。
5の査読はおそらく1から4までの間で随時行われるものでしょう。ボツや差し戻しといった行程は日常のはずです。1から5までは他社でも通例あることとして、6があるのはさすがに財団法人ならではです。
ちなみに弊社ではどんな採用システムになっているのかといいますと、零細自営業だけに、立案者(編集者)にやる気があれば基本的に即決定です。むろん実現が難しくなるものも中にはありますが、出版する意義を感じるものについては担当者の自負と責任と志においてチャレンジするというのが零細出版社なりの小回りがきいた「システム」です。
もちろん弊社にも編集会議はありますし、当然ながら社内の合意あってこその企画採用です。チャレンジしたくてもできない、くやしいけれど断念せざるを得ない現実にぶち当たる企画も時にはあります。
なお弊社の近刊続刊予定にエントリーしている書目についてはよっぽどの悲劇や不運が襲わない限り、中絶することはありませんので、引き続き皆様のご支援を賜りますようよろしくお願いいたします。