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2006年 05月 18日

以文社より〈運動/芸術/理論〉誌「VOL」創刊!

以文社より〈運動/芸術/理論〉誌「VOL」創刊!_a0018105_21582675.jpg以文社さんより新しい理論誌「VOL(ヴォル)」がついに創刊されました。「若手思想家を中心に「思考の場所」を取り戻す」とウェブサイトに謳っている通り、今もっとも注目される若手9人を編集委員に据え、日本の論壇の一歩先を行く誌面がまさにここに誕生しつつあるように見えます。

編集委員は、萱野稔人・高祖岩三郎・酒井隆史・渋谷望・田崎英明・平沢剛・松本潤一郎・松本麻里・矢部史郎の9名。このメンツを見ただけでも、これまでの思想誌とは違うものが出来上がることを直感させます。思想誌の新時代の到来、と言っても過言ではないかもしれません。

ブックデザインは前田晃伸さんと市川衣梨さんによるもの。外回りも中のレイアウトも非常に新鮮です。前田さんのデザインワークにはジジェクの『イラク』やバディウの『聖パウロ』(ともに河出書房新社)のような、従来の人文書になかった先鋭的で若々しい成果がすでにあります。私がもっとも好きなデザイナーさんの一人です。

他誌はおおよそA5判が平均的なサイズですが、「VOL」は一回り大きく、さらに縦長なB5変型判。平積みされていると存在感があってとても映えます。

中味は随所に荒めの白黒写真を散りばめ、とてもいい感じです(被写体自体は実はそんなに軽いものではないのですけれど)。記事はいずれも、運動と理論を鮮やかに結ぶもので、ソリッドな内容ながらレイアウトとタイポグラフィの妙でノリ良く読めます。目次は以下の通り。

VOLUME ONE - WHAT IS THE POLITICAL
第1特集 政治とはなにか

DISCUSSION 討議
「政治とはなにか」白石嘉治+酒井隆史+田崎英明+萱野稔人+松本潤一郎

MONOGRAPHS 論考
「政治についての10のテーゼ」ジャック・ランシエール/杉本隆久+松本潤一郎=訳
「ドゥルーズと可能的なもの――政治における非主意主義について」フランソワ・ズーラビクヴィリ/大山載吉=訳
「政治・平等・出来事――いま政治を考えるためのブックガイド」酒井隆史
「無意識と政治――ドゥルーズ・ジジェク・バディウ」松本潤一郎
「何も起こらない世界――延命か中断か」篠原雅武

ESSAYS エッセイ
「埒外な彼女たち・埒外な取引」松本麻里
「収奪とミクロ搾取――マイク・デイヴィス『スラムの惑星』について」ケン・カワシマ/比嘉徹徳=訳
「(小さな)政治が充満する」矢部史郎
「亡霊たちのブローバック」渋谷望

SERIAL INTERVIEW 連続特別インタビュー
Global Activism, Global Theory 01
「新しいアナーキズムの政治」デヴィッド・グレーバー/高祖岩三郎=聞き手
History of Movements 01
「運動のオートノミーをめぐって」粉川哲夫/平沢剛=聞き手

VOLUME TWO - AVANT-GARDENING
第2特集 アヴァン・ガーデニング

MONOGRAPHS 論考
「アヴァン・ガーデニング」ピーター・ランボーン・ウィルソン(ハキム・ベイ)/金田智之=訳
「庭=運動〔アヴァン・ガーデニング〕以後」高祖岩三郎
「VIVA ロイサイダ・リブレ」ビル・ワインバーグ/近藤真里子=訳
「集客都市の暴力」原口剛

INTERVIEW インタビュー
「大地の奪還をめざして」ラファエル・ブエノ/高祖岩三郎+酒井隆史=聞き手/比嘉徹徳=訳

ESSAYS エッセイ
「NYコミュニティガーデン盛衰史」トシダ・ミツオ
「台所とお化けたち」五所純子
「世界を震撼させなかった3日間のように」究極Q太郎
「コインランドリー・グルーヴ――生き抜くために必要なこと」RADIO MAROON
「ゲリラ・ガーデニング N.Y.C.」アゲマツ・ユウジ

VOL/CRITIC VOL/BOOK
巻末別帖コーナー 時評・書評

「PSE法は階級の問題である」二木信
「西成の〈経験〉――SHINGO☆西成というラッパーについて」村上潔
「〈帝国〉を追いかけて 富山妙子の仕事」菊池亮
「IRREGULAR RHYTHM ASYLUMヨリ」成田圭祐
「文学の名において――ネオリベラリズムに抗するために」白石嘉治
「都市空間をめぐるアート/闘争、そして活動家〔アクティヴィスト〕の理論」高祖岩三郎

以上です。第2号は今秋刊行予定で、第一特集が「BASIC INCOME」、第二特集が「Deleuze CINEMA」となっています。

昨年11月に水声社から月刊誌「水声通信」が創刊され、今年2月には講談社から不定期刊思想誌「RATIO」が創刊、3月にはGLOCOMの機関誌「智場」がリニューアルされ、5月には「VOL」が創刊されて、人文業界ではさらに他の新創刊の噂も出ています。2006年は新思想誌元年となるのかもしれません。

by urag | 2006-05-18 21:11 | 本のコンシェルジュ | Comments(0)


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