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URGT-B(ウラゲツブログ)

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2006年 04月 24日

〈書物復権〉は共同復刊と言ってるけど共同作業がまだ足りないのでは?

今年で第10回を迎える人文書版元8+4社による〈書物復権〉2006の復刊候補書目が発表されて、リクエストを受付中です。言いたいことはそれなりにありますが、強いて2点だけに絞って言いますと、

1)みすず書房がクリステラーの『イタリア・ルネサンスの哲学者』を復刊候補に挙げているのは好ましいけれど、この本よりもっと入手しづらいのが東大出版会から出ていた同著者の『ルネサンスの思想』。しかしこの書目は一覧にはありません。つまり、復刊候補というのは各社がめいめいの判断で選出しているに留まっているのではないでしょうか。

共同復刊を謳うのならば、他社がどんな書目を候補に挙げているかを発表前に交換しあって、自社ではこの本を復刊してもいいと思っているけれども、関連する他社本も一緒にどうか、とか、そうした「連係プレイ」が見たいところです。社内だけで話し合うのではなく、編集者や営業マンが一堂に会して意見交換をしたらいいと思います。せめてメーリング・リストを立ち上げるとか。

よしんばそういう話し合いの過程があったとして、その過程が読者に見えてこないのが残念。読者は「なぜこの書目が選択されたのか」を知りたいはずなんです。あれこれ記念イベントをやるのも結構ですが、読者との意見交換の場をもったほうが復刊事業にはよっぽどいいんじゃないでしょうか。エラい先生方の話はもういりませんから、出版人は舞台裏から出てきて読者と交流して欲しいです。東京国際ブックフェア(7月6日~7月9日)での書物復権共同ブースがそうした場になるといいですね・・・。 (以上、生意気を承知で直言します。)

2)ブランショの『来るべき書物』(筑摩書房)が復刊候補に挙がっていますが、高額単行本の復刊じゃなくて、文庫化してくださいよ~。来年はブランショ生誕百周年。『踏みはずし』と『来るべき書物』は文庫化希望です。

by urag | 2006-04-24 00:23 | 雑談 | Comments(3)
Commented by gorge at 2006-04-24 10:36 x
こんにちは。『来るべき書物』文庫化希望に1票です。去年デリダの『パピエ・マシン』を読んで、やっぱブランショの書物論を読まなきゃ、と思って高い古書を買ってしまいました。……といってもいざ買ってみたら、俎上に上がっている本が未読のものが多くて、拾い読みしかできていないんですが(汗)。というわけで現在は『特性のない男』に挑戦中。
Commented by 葉っぱ64 at 2006-04-24 20:49 x
筑摩文庫に期待している濃度が高いだけに、熱い視線で文庫化に一票献じます。
Commented by urag at 2006-04-25 19:28
やっぱり文庫化ですよねえ、gorgeさん、葉っぱ64さん。


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