「
文化通信」でも速報が出ていましたが、信州を中心に展開している書店チェーン「
平安堂」が、「他書店と共同で古書併売ビジネス」をはじめたそうです。平安堂のウェブサイトでは、以下のような告知が出ています。「お待たせいたしました。長野店2F(文芸書)・4F(人文書・芸術書)、古書コーナー誕生!! 商品を入れ替えし、常設いたします。」
平安堂には、現在、リブロ黄金時代を築いた名店長である今泉さんがいらっしゃるはずです。今泉さんはリブロを退社後、前橋の煥乎堂に移られ、何年か前にはさらに平安堂に移られました。今泉さんが主導されているのかどうかは知りませんが、リブロ池袋店でもその昔、絶版文庫コーナーというのが併設されていた実績がありましたから、そうした経験が現場で活かされているのかもしれません。
古書コーナー常設の目的は「収益向上と顧客サービス」を目指してのことだといいます。実に的確な方向性だと思います。客にしてみれば、新刊も古書も、和書も洋書も、単行本も文庫も、ぜんぶひっくるめて「本」です。在庫管理・販売管理する書店の側にしてみればそれらは全く別の商品なのですが、売る側の事情と合理性が必ずしも読者の利便性に適うわけではないのです。
一昔前までは、新刊書店で古書を扱うというのは一種のタブーに近い響きがあったような気がします。しかしここ5年ほどで随分状況は変わりました。
紀伊國屋書店が
ふるほん文庫やさんと組んで店頭で文庫の古本を販売したり、
東京堂書店や
三省堂神田本店が古書フェアを開いたりしていますし、
フタバ図書チェーンでは古書の買取もしているのです。
これらの動向には、品切絶版本をも併売することで集客力を高めるという目的があるだろうと思います。と同時に、「
ブックオフ」に象徴されるような、成長し続ける新古書市場を見据えて、新刊書店が対抗戦略を考えているのではないかとも推理できます。
「新刊と古書の併売は出版社への営業妨害だ」と認識している人々にとって、こうした情勢はどう見えているのでしょうか。アマゾンを快く思わないように、平安堂に対しても違和感を抱くのでしょうか。恐らく平安堂長野店の古書コーナーは、品切絶版本を中心とした品揃えになっているだろうことが予想できます。新刊コーナーと同じ書目を扱って競合させてもあまり面白くないはずですから。
新刊と古書を併売することは、書店側が在庫管理と販売管理の手間を厭わなければ、これから拡大していっていいはずの「売場改革」の一手段になると思います。出版人としてではなく、一読者、一利用者として、本屋さんがますます魅力的な場所に変わっていくことを切に望んでいます。