
画像は上から、川田喜久治『地図』初版本、その搬送用ケース、そして一番下が、昨年(2003年)3月から5月にかけて東京都写真美術館で開催された川田喜久治写真展「世界劇場」のカタログです。
初版本のブックデザインは杉浦康平さん、パッケージデザインは石尾利郎さんによる力作。付録には大江健三郎さんが寄せたテクストを印刷したペーパーが一葉入っています。昭和40年(1965年)に初版1000部が発行され、そのうち実際に流通したのはもっと小部数だったと聞いています。
幻の写真集の呼び声高く、古書価格は非常に高額です。造本も凝っていて、すべてのページが観音開きになっています。原爆ドームの壁のシミ、トーチカ、戦没者の遺品など、黒々としたモノクロ写真が戦争の狂気を抉り出します。収録作のすべてをサムネイルで展覧会カタログ「世界劇場」において見ることができます。
お客様や書店様からのお問い合わせがしばしばあるのであらためてご説明いたしますが、このたび月曜社ではこの名作『地図』の新版を製作中です。印刷製本に工夫を要するので、様々なテストを繰り返しながら進めているところです。収録作や総観音開きは変わりませんが、初版にあった「たとう(内函)」や搬送用ケース(外函)の仕様、そして付録が一新される予定です。刊行時期はまだはっきり確定できませんが、決定次第、ホームページや当ブログでご報告いたします。
川田さんは写真家としての半世紀にわたる功績を認められ、平成15年度芸術選奨文部科学大臣賞を先般(2004年3月)受賞されたばかりです。