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2026年 06月 22日

注目新刊:『ニコラウス・クザーヌス著作集(上・下)』平凡社、ほか

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★最近出会いのあった新刊既刊を列記します。

中世思想原典集成(第Ⅱ期4)ニコラウス・クザーヌス著作集(上)』ニコラウス・クザーヌス(著)、上智大学中世思想研究所(編訳・監修)、2026年5月、本体22,000円、A5判上製752頁、ISBN978-4-582-73437-9
中世思想原典集成(第Ⅱ期5)ニコラウス・クザーヌス著作集(下)』ニコラウス・クザーヌス(著)、上智大学中世思想研究所(編訳・監修)、2026年5月、本体22,000円、A5判上製800頁、ISBN978-4-582-73438-6
フランス思想におけるイスラエル/パレスチナ』西山雄二/渡名喜庸哲/長坂真澄(編著)、読書人、2026年6月、本体2,300円、新書判448頁、ISBN978-4-911492-03-1
ミシェル・フーコー『監獄の誕生』の50年――刑罰はなぜ刑務所収容という形態を取るのか』佐藤嘉幸(編著)、読書人、2026年6月、本体1,500円、新書判並製224頁、ISBN978-4-911492-02-4
インターセクショナリティと関係精神分析――人種、ジェンダー、セクシュアリティをめぐる新たな視点』マックス・ベルキン/クレオニー・ホワイト(編)、北村隆人(監訳)、森真治/関理江/山岡亜里紗(訳)、人文書院、2026年6月、本体5,000円、四六判並製398頁、ISBN978-4-409-34067-7
北方のディスクール』ベアント・ブルンナー(著)、奥山裕介(訳)、人文書院、2026年6月、本体4,500円、四六判並製320頁、ISBN978-4-409-54089-3
グローバル・イスラーム――宗教とテクノロジーの150年』ナイル・グリーン(著)、黒田彩加(訳)、人文書院、2026年5月、本体2,800円、四六判並製248頁、ISBN978-4-409-42027-0
ローザ・パークスの反抗的な人生』ジーン・セオハリス(著)、坂下史子(訳)、人文書院、2026年5月、本体5,000円、四六判並製480頁、ISBN978-4-409-51122-0

★まず平凡社さんの5月既刊書から。『ニコラウス・クザーヌス著作集』上下巻は、シリーズ「中世思想原典集成」第Ⅱ期の、2018年『トマス・アクィナス 真理論』上下巻、2022年『アンセルムス著作集・書簡集』に続く完結編となる、第4巻と第5巻。上巻は「代表作『知ある無知』とその批判への反批判『知ある無知の弁明』を含む11編の本邦初訳論考群、ほか9編の新訳論考を集成する空前の著作集」(帯文より)。下巻は「イスラーム理解/批判からキリスト教真理を位置づける『コーランの精査』ほか収録」(版元紹介文より)。下段に掲出しますが、国文社さんが廃業された後、既訳書は入手しづらくなっていただけに、今回の全2巻は意義ある成果ではないでしょうか。目次および訳者名を転記します。

上巻目次:
総序|八巻和彦
知ある無知|佐藤直子(訳)
知ある無知の弁明|川﨑えり(訳)
推測について|八巻和彦(訳)
隠れたる神についての対話|島田勝巳(訳)
神の探求について|島田勝巳(訳)
神の子であることについて|島田勝巳(訳)
光の父の贈りもの|島田勝巳(訳)
精神に関する無学者の対話|八巻和彦(訳)
秤の実験に関する無学者の対話|八巻和彦(訳)
ヨハネ福音書の理解についての返答|徳田安津樹(訳)
相等性について|徳田安津樹(訳)

下巻目次:
神学的補足|芝元航平(訳)
緑柱石|矢内義顕(訳)
始原について|大野岳史(訳)
コーランの精査|矢内義顕(訳)
ボール遊びについての対話|辻内宣博(訳)
可能現実存在についての対話|佐藤直子(訳)
観察者への指針あるいは非他者について|佐藤直子(訳)
知恵の狩猟|芝元航平(訳)
神学綱要|川﨑えり(訳)
索引(聖句引照索引、人名・固有名索引)

◎クザーヌス既訳書(単独著に限る)

1966年07月『知ある無知』岩崎允胤/大出哲(訳)、創文社
1972年02月『隠れたる神』大出哲/坂本尭訳(訳)、創文社
1987年06月『可能現実存在』大出哲/八巻和彦(訳)、国文社(アウロラ叢書)
1992年01月『非他なるもの』松山康國(訳)、塩路憲一(訳注)、創文社(ドイツ神秘主義叢書7)
1993年10月『光の父の贈りもの』大出哲/高岡尚(訳)、国文社(アウロラ叢書)
1994年11月『学識ある無知について』 山田桂三訳、平凡社ライブラリー
2000年08月『クザーヌス』坂本堯/酒井紀幸/岩田圭一(訳)、教文館(キリスト教神秘主義著作集10;収録作「神の子であることについて」「神を見ることについて」「観想の極致について」「知恵の狩猟について」)
2001年07月『神を観ることについて 他二篇』八巻和彦訳、岩波文庫(収録作「神を観ることについて」「オリヴェト山修道院での説教」「ニコラウスへの書簡」
2002年11月『神学綱要』大出哲/野澤建彦(訳)、国文社(アウロラ叢書)

★次に読書人さんの6月新刊2点。『フランス思想におけるイスラエル/パレスチナ』は、編者序文によれば「フランスの思想家・作家が第二次世界大戦後から今日に至るまで、イスラエル/パレスチナの歴史的・政治的な状況や問題に対していかに応答してきたのか、という論点から構成され」た論文集。「思想家たちの各論」「二〇〇〇年以後の時評」の2部構成で、日本人研究者による論考15本とフランスの学者の論考5本の論文を収録。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。第1部ではサルトル、メルロ=ポンティ、カミュ、ネエル、リクール、ブランショ、レヴィナス、ハティビ、ドゥルーズ、デリダが論じられます。

★『ミシェル・フーコー『監獄の誕生』の50年』は、2025年11月1日に東京大学本郷キャンパスで開催された国際シンポジウム「刑罰はなぜ刑務所収容という形態を取るのか――フーコー『監獄の誕生』刊行50年周年」を書籍化したもの。「刑罰はなぜ刑務所収容という形態を取るのか」「監獄情報グループと『監獄の誕生』」「『監獄の誕生』への手びき」の3部構成で8本の発表を収録。『耐え難いもの――監獄情報グループ資料集1』(人文書院、2025年6月)を編んだ歴史家でフーコー・センター所長を務めたフィリップ・アルティエール(Philippe Artières, 1968-)の発表が第二部に含まれています。

★最後に人文書院さんの5~6月新刊より。『インターセクショナリティと関係精神分析』は、『Intersectionality and Relational Psychoanalysis: New Perspectives on Race, Gender, and Sexuality』(Routledge, 2020)の訳書。「人種、性的指向、階級、性別などの複数の属性が絡み合うクライエント。関係精神分析と交差性〔インターセクショナリティ〕を架橋し、差別や抑圧の現実に向き合う、これからの臨床を提言する」(帯文より)。「クィア・アイデンティティ」「女性の性的搾取」「移民体験」「臨床理論」の4部構成で9本の論考を収録しています。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。

★『北方のディスクール』は、ドイツの文化史家ベアント・ブルンナー(Bernd Brunner, 1964-)の著書『Extreme North: A Cultural History』(Norton, 2022)の全訳。帯文に曰く「北欧のユートピズムから白人至上主義へ――「北」という幻想がもたらした光と闇の歴史」。ブルンナーの既訳書には、『熊――人類との「共存」の歴史』(伊達淳訳、白水社、2010年、新版2026年3月)、『月――人との豊かなかかわりの歴史』(山川純子訳、白水社、2012年)、『水族館の歴史――海が室内にやってきた』(山川純子訳、白水社、2013年、新装版2019年)があります。

★『グローバル・イスラーム』は、米国の歴史家ナイル・グリーン(Nile Green, 1972-)の著書『Global Islam: A Very Short Introduction』(Oxford University Press, 2020)の訳書。「世界を動かす「イスラーム」の正体は、一つではない。19世紀後半から始まった近代的グローバリゼーションは、伝統的なイスラームに代わり、国境を越えて競合する無数の「グローバル・イスラーム」を生み出した。通信と組織のメカニズムから読み解く、全く新しい宗教史」(帯文より)。

★『ローザ・パークスの反抗的な人生』は、米国の歴史学者ジーン・セオハリス(Jeanne Theoharis)の単独著第一作『The Rebellious Life of Mrs. Rosa Parks』(Beacon Press, 2013/2015)の全訳。「「バスの座席を譲るのを拒んだ、老いて疲れたヒロイン」それは、作り上げられた都合の良い「神話」に過ぎない。彼女は、逮捕される20年以上前から、そしてその後も40年以上にわたって人種差別、警察の暴力、不当な権力と闘い続け、公民権運動とブラック・パワー運動の時代を架橋する体現者であった。物静かな「公民権運動の母」という偶像から脱却し、自由のための闘争に献身した生涯に迫る」(帯文より)。


by urag | 2026-06-22 01:53 | ENCOUNTER(本のコンシェルジュ) | Comments(0)


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