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2026年 05月 17日
★最近出会いのあった新刊を記します。 『現代の夢解きの本』タデウシュ・コンヴィツキ(著)、菅原祥(訳)、ルリユール叢書:幻戯書房、2026年5月、本体4,900円、四六変型判上製504頁、ISBN978-4-86488-346-7 ★『現代の夢解きの本』は、ルリユール叢書第60回配本、79冊目。ポーランドの作家タデウシュ・コンヴィツキ(Tadeusz Konwicki, 1926–2015)がワルシャワの出版社Iskryから1963年に公刊したポーランド語の小説『Sennik współczesny』の全訳。帯文に曰く「20世紀ポーランド文学・映画界の巨星コンヴィツキの代表作にして、不条理な状況下での実存の不安を深く抉り出す東欧文学の幻の傑作長編小説がついに本邦初訳で登場」。ルリユール叢書次回配本は6月発売予定、エティエンヌ・ド・グレーフ『夜はわが光』梅澤礼訳。 ★過去に購入していた書目で、紹介するタイミングを逸していた注目既刊書(2025年11月~2026年3月)を列記します。 『完全版 ダークウェブ・アンダーグラウンド――社会秩序を逸脱するネット暗部の住人たち』木澤佐登志(著)、イースト・プレス、2026年3月、本体1,900円、四六判並製312頁、ISBN978-4-7816-2542-3 『懐疑 知識 照明――ラテン語対訳 ヘンリクス『定期討論のスンマ』a.1,q.1&q.2』加藤雅人(訳著)、関西大学出版部、2026年3月、本体2,500円、A5判上製232頁、ISBN978-4-87354-810-4 『人間論――付)ラ・フォルジュ『注解』』ルネ・デカルト(著)、山田弘明/竹田扇(訳)、知泉学術叢書:知泉書館、2026年2月、本体6,500円、新書判上製616頁、ISBN978-4-86285-455-1 『ペンと剣 増補新版』エドワード・W・サイード/デーヴィッド・バーサミアン(著)、中野真紀子(訳)、里山社、2025年12月、本体2,300円、B6変型判並製320頁、ISBN978-4-907497-24-8 『2030 来たるべき世界』エマニュエル・トッド/オードリー・タン/モニカ・トフト/三牧聖子/大野博人/越智光夫/佐橋亮/錦田愛子(著)、朝日新書、本体900円、新書判並製280頁、ISBN978-4-02-295360-5 『時間と自由』ベルクソン(著)、平井啓之(訳)、白水Uブックス「思想の地平線」、2026年3月、本体1,600円、新書判並製270頁、ISBN978-4-560-48011-3 『虹の解体――世界はなぜ美しいのか』リチャード・ドーキンス(著)、福岡伸一(訳)、ハヤカワ文庫NF、2025年11月、本体1,760円、文庫判608頁、ISBN978-4-15-050620-9 ★『完全版 ダークウェブ・アンダーグラウンド』は、文筆家の木澤佐登志(きざわ・さとし, 1988-)さんが2019年1月に上梓したデビュー作論考集を増補して再刊するもの。帯文に曰く「ネットの向こう側」の不道徳な領域を描き出すポスト・トゥルース時代のノンフィクション」。合計で25000字を超えるという3篇の補論「思想をもたない日本のインターネット」「現実を侵食するフィクション」「1984年の亡霊」が加えられ、さらに新たなあとがきも付されています。帯には『チ。』の作者、魚豊さんの推薦文も記載されており、書名のリンク先でご確認いただけます。 ★完全版あとがきより引きます。「読書は既存のネットワークから私たちを半ば強制的に切断する。しかし書物は、私たちを孤独にするだけではない。書物は互いに参照し合い、書物同士のネットワークを形成している。〔…〕書物を開き、読むという行為は、インターネットとは異なる別様のネットワークに接続し、参与することを意味するのではないか。〔…〕本を読むたびに、読み直すたびに、異なるネットワークに接続され、そうすることで読者の内的なネットワークも更新されていく」(296頁)。「ある種の書物は、私の脳に対して少量の幻覚剤のように機能=作動する。〔…〕私は書物を開きながら、こことは異なるもうひとつのネット=ウェブを幻視する」(299頁)。 ★『懐疑 知識 照明』は、副題にある通り、13世紀のスコラ哲学者「ガンのヘンリクス」の著書『定期討論のスンマ』の第1項第1問「人間は何かを知りうるか」および第2問「神の照明なしに人間は何かを知りうるか」の羅和対訳と注釈と解説を一冊にまとめたもの。「ヘンリクスの『定期討論のスンマ』冒頭の知識論は、アリストテレス、アウグスティヌス、キケロなどを通じて伝えられたさまざまな懐疑的議論を取り上げつつ、デカルトに先立って、中世スコラ哲学においてはじめて、知識の可能性や確実性のぎんみを考察の出発点とした『スンマ』(大全)として、記念されるべきなのである」(解説、7頁)。訳者の加藤雅人(かとう・まさと, 1955-)さんは関西大学名誉教授。著書に『ガンのヘンリクスの哲学』(創文社、1999年;現在は講談社の「創文社オンデマンド叢書」で入手可能)などがあります。 ★『人間論』は、知泉学術叢書の第42弾。カバー表4紹介文に曰く「デカルト哲学における「人間」は、精神と身体の両側面から把握されてはじめて捉えられる存在であり、その思想における身体論の核心を示すのが、『人間論』(1664年)である。加えて本書には、『人間論』とは別の時期に執筆された未完草稿『人体の記述』、医師ラ・フォルジュによる『注解』(本邦初訳)を収録」と。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。同叢書の次回配本は、今月末発売予定の、ピーコ・デッラ・ミランドラ『人間の尊厳について』伊藤博明訳、と予告されています。 ★『ペンと剣 増補新版』は、エドワード・W・サイードにデーヴィッド・バーサミアンがラジオ番組で連続インタヴューしたものをまとめた『The Pen and the Sword』(2010年)の訳書(1998年、クレイン;ちくま学芸文庫、2005年)に加筆訂正して、再刊したもの。文庫本からの再単行本化です。カバー表4紹介文に曰く「分断が進む世界への絶望に抗うために、広い視野で希望を見出すサイードの思想。西洋中心の価値観に異議を唱え、アカデミズムの枠を越えて政治に声を上げた人物像を浮かび上がらせる、サイードをこれから読む人にも最適な一冊。〔…〕自著をわかりやすい言葉で語り、パレスチナ問題に通ずる世界の構造を広い視野で捉え「和解と共生」への道を示すインタヴュー集」。 ★『2030 来たるべき世界』は、「ウクライナやガザでの戦争や分断、気候危機、生成AIの広がり、技術革新といった変化が同時に進むなかで、私たちが2030年ごろまでにどのような選択を迫られているのかを見つめ直そうという問題意識のもと、「朝日地球会議2025」に集った国内外の知性を一冊に編み上げたもの」(はじめに、4頁)。目次を転記しておきます。 目次: はじめに|永島学 1 エマニュエル・トッドが見通す世界の近未来 巻頭メッセージ「日本は米国の戦争に巻き込まれてはいけない」|エマニュエル・トッド 道徳なき西洋と「NO」と言えない日本|エマニュエル・トッド×三牧聖子×高久潤 ロングインタビュー「ヒロシマから見えた「西洋の敗北」以後」|エマニュエル・トッド 広島大学長が問う、核の非対称と”宗教ゼロ”時代の「日本の選択」|エマニュエル・トッド×越智光夫 「空想のナショナリズム」が世界を覆う。希望は?|エマニュエル・トッド×大野博人 2 “中堅国”としての日本は世界でどう輝くのか? AI時代に「民主主義」をどう守るか?|オードリー・タン 「勢力圏」再来の時代を、日本はどう生きるか?|モニカ・トフト 「力が正義」の時代をどう生きるか?|佐橋亮×錦田愛子×望月洋嗣 おわりに ★『時間と自由』は、白水Uブックスのレーベル内シリーズ「思想の地平線」の一冊。白水社での平井啓之訳の同書の刊行履歴をたどると、1965年刊:旧版『ベルグソン全集(1)時間と自由/アリストテレスの場所論』、1975年刊「《哲学思想》名著10選」『時間と自由』、1990年刊「イデー選書」『時間と自由』、1993年復刊『ベルグソン全集(1)時間と自由/アリストテレスの場所論』、2001年新装復刊『ベルグソン全集(1)時間と自由/アリストテレスの場所論』、2009年刊「白水Uブックス」『時間と自由』、そして今回の再刊、となります。訳文改訂の履歴は定かではありませんが、イデー叢書版の刊行の折の訳者あとがきが今回の新版でも収録されています。また巻末には三浦信孝さんによる「平井啓之先生の想い出」という一文が加わっています。 ★『虹の解体』は英国の進化生物学者リチャード・ドーキンス(Clinton Richard Dawkins, 1941-)の著書『Unweaving the Rainbow: Science, Delusion and the Appetite for Wonder』(1998年)の訳書(2001年、早川書房)の文庫化。帯文に曰く「進化論や物理学がもたらす「センス・オブ・ワンダー」を明快に説く。この宇宙を織りなす究極的な秩序とは? イデオロギーを排し事実を突きつめることはなぜ重要か? 科学論の金字塔」。文庫化にあたり、副題は「いかにして科学は脅威への扉を開いたか」から「世界はなぜ美しいのか」に改められ、新たに「文庫版訳者まえがき」が加わり、訳者あとがき「ドーキンスVSグールド」は単行本版から一部修正されて再録されています。
by urag
| 2026-05-17 19:26
| ENCOUNTER(本のコンシェルジュ)
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