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2026年 05月 10日
★最近出会いがあった新刊を列記します。 『Noy's Magical Sounds(ノイズ・マジカル・サウンズ)』caffeine house(著)、誠光社、2026年4月、本体2,000円、四六判並製328頁(コデックス装縦開き)、ISBN978-4-9911149-8-4 『シラー戯曲傑作選 群盗 戯曲と悲劇』フリードリヒ・シラー(著)、本田博之(訳)、ルリユール叢書:幻戯書房、2026年4月、本体5,400円、四六変型判上製512頁、ISBN978-4-86488-345-0 『絓秀実セレクション1 増補新版 花田清輝 砂のペルソナ』絓秀実(著)、書肆子午線、2026年4月、本体3,600円、四六判上製368頁、ISBN978-4-908568-56-5 『声を上げる自由――インドの民主主義と文化と国家について』ラヴィーシュ・クマール(著)、倉田夏樹(訳)、作品社、2026年4月、本体3,200円、四六判並製280頁、ISBN978-4-86793-143-1 https://sakuhinsha.com/politics/31431.html 『現代思想2026年5月号 特集=ニューロダイバーシティ ――脳/神経の多様性をめぐる思想』青土社、2026年4月、本体1,800円、A5判並製230頁、ISBN978-4-7917-1496-4 『海の幕末日本――測量・海図・海防』後藤敦史(著)、人文書院、2026年4月、本体3,500円、四六判並製280頁、ISBN978-4-409-52099-4 『増補版 パフォーマンス研究――演劇と文化人類学の出会うところ』リチャード シェクナー(著)、高橋雄一郎(訳)、人文書院、2026年4月、本体5,500円、A5判上製362頁、ISBN978-4-409-10049-3 『第二次世界大戦再考』小関隆/藤原辰史/駒込武/林田敏子/岡田暁生(著)、レクチャー第二次世界大戦を考える:人文書院、2026年4月、本体2,000円、四六判並製148頁、ISBN978-4-409-51124-4 『「宝子」の叫び――胎児性水俣病を生きる』加藤タケ子/小林繁/野澤淳史(編著)、藤原書店、2026年4月、本体3,000円、A5判並製320頁、ISBN978-4-86578-494-7 『「教室」をひらく〈普及版〉――新・教育原論』中内敏夫(著)、藤原書店、2026年4月、本体5,500円、A5判並製520頁、ISBN978-4-86578-495-4 『「アジア」はどう語られてきたか〈増補新版〉――近代日本のオリエンタリズム』子安宣邦(著)、藤原書店、2026年4月、本体3,000円、四六判並製312頁、ISBN978-4-86578-496-1 ★『Noy's Magical Sounds(ノイズ・マジカル・サウンズ)』は、イラストレーターのcaffeine houseさんが誠光社ウェブサイト編集室で連載されていたコミック作品に大幅に加筆を施し一冊にまとめたもの。帯文に曰く「気の合うメンバーを集め、演奏会場を探し、レコードをプレスしてフライヤーを印刷、それらを知り合いの店に委託し、流通させる。何をするにもプラットフォームに規定、搾取されてしまう昨今、ささやかな自己表現やスモール・コミュニティをフィジカルな次元へと取り戻せ! ディティールへの偏愛に満ちた描き込みに目を見張る、異色のグラフィック・ノベル」。幻想的で温かい、とても素敵な作品です。造本設計は太田明日香さん、あとがき「I bring you to underground」は小田晶房(Hand Saw Press Kyoto)さんによるもの。 ★『群盗 戯曲と悲劇』は、〈ルリユール叢書〉第59回配本、78冊目。帯文に訳者解説の文言を補いつつ引いておくと、本書は「若きシラーが一夜にして名声を確立した衝撃のデビュー作。自由への渇望を描く「疾風怒濤」の最高傑作が蘇る。1781年に匿名で自費出版された『群盗 戯曲』と、熱狂を生んだ82年のハンマイム劇場用改稿版『群盗 悲劇』の両版を収録。本邦初訳の「初版序文」も加え、天才劇作家の原点に迫る決定版」。同叢書での「シラー戯曲傑作選」の第4弾です。既刊は、2021年10月『ヴィルヘルム・テル』本田博之訳、2023年8月『メアリー・ステュアート』津﨑正行訳、2023年8月『ドン・カルロス/スペインの王子』青木敦訳。岩波文庫版『群盗』(久保栄訳、1958年)が品切の現在、タイミングの良い新訳の登場です。 ★『絓秀実セレクション1』は、文芸批評家の絓秀実(すが・ひでみ, 1949-)さんの単独著で現在入手困難となっている書目を復刊するセレクションの第一弾。巻末特記によれば1982年に講談社より刊行された『花田清輝 砂のペルソナ』に、『群像』誌2022年3月号掲載の論考「花田清輝の「党」」を増補して再刊するもの。著者による「増補新版あとがき」、文芸評論家の長濱一眞(ながはま・かずま, 1983-)さんによる解説、さらに特別付録として著者への長編インタビュー「『花田清輝 砂のペルソナ』の頃」が加わっています。インタビューの聞き手は長濱さんと書肆子午線の春日洋一郎さん。なお、「増補新版あとがき」によれば「旧版における明確な誤植・誤記、若干の言い回しを訂正した以外は、旧版のママである。付論についても、大幅な修正はないが、若干の加筆訂正はほどこしてある」とのことです。 ★『声を上げる自由』は、インドのジャーナリスト、ラヴィーシュ・クマール(Ravish Kumar, 1974-)のヒンディー語の著書『話さなければならない』(2019年)の英訳『The Free Voice: On Democracy, Culture and the Nation』(増補改訂版、2024年)の全訳。ヒンディー語原典は適宜参照されています。帯文に曰く「世界最大の民主主義国家の言論に、いま何が起こっているのか――? ラモン・マグサイサイ賞(「アジアのノーベル賞」とも称される賞)を受賞した、インドで最も勇敢なジャーナリストが、現代インド社会を論じる最重要書」。解説「ジャーナリズムを捨てたメディア」は、アジア経済研究所研究員の湊一樹(みなと・かずき, 1979-)さんによるもので、版元さんのnoteで読むことができます。 ★『現代思想2026年5月号』の特集は「ニューロダイバーシティ」。版元紹介文に曰く「当事者運動に端を発し、いまや広く人口に膾炙しつつある「ニューロダイバーシティ(神経多様性)。〔…その〕概念の歴史と意義、現状を様々な角度から総覧する」。広野ゆいさんと村中直人さんによる討議「凸凹な石垣としての社会へ」に始まり、2篇のエッセイと15本の論考が収められています。5月末には6月臨時増刊号「総特集=フェミニズムから問う(仮)」と6月通常号「アラビア哲学」が発売予定です。 ★人文書院の直近の新刊より3点。『海の幕末日本』は「海の攻防をめぐり複雑かつ激しく揺れ動いた政治過程を、おもに大阪湾を舞台に海の視点から描き出し、新たな幕末史像を提示する画期作」(帯文より)。「海は、日本とせかいを「つなげる」。しかし、外国との関係を制限していた江戸時代の日本は、海の彼方から来る船を「防ぐ」必要があった。本書の課題は、この「つなげる」と「防ぐ」という相異なる海の両側面から、幕末日本の国際環境と国内情勢との双方を分析することにある」(序章、14頁)。著者の後藤敦史(ごとう・あつし, 1982-)さんは京都橘大学文学部准教授。近年の著書に『阿部正弘――挙国体制で黒船来航に立ち向かった老中』(戎光祥選書ソレイユ:戎光祥出版、2022年)があります。 ★『増補版 パフォーマンス研究』は、ニューヨーク大学名誉教授で演出家のリチャード シェクナー(Richard Schechner, 1934-)が、1982年から1993年にかけて発表してきた論考5本「行動の再現」「演技者(パフォーマー)と観客の変化と変容」「宇宙(コスモス)を闊歩する――ラームナガルのラームリーラーと移動、信仰、政治、場所」「ワヤン・クリと植民地主義の外縁(マージン)」「儀礼のゆくえ」を日本独自編集でまとめ、著者による「日本語版序文」を添えて1998年に翻訳出版したもの。今般さらに2篇の論考「地球のエンドゲーム――楽観論に固執して」(2019年)と「パフォーマンスの第四世界を目指して」(2022年)を加えて、増補版として再刊されました。「増補版訳者あとがき」では著者の次の言葉が紹介されています。「週末的な状況にあっても私たちがパフォーマンスを止めないのは、タイタニックと共に海の藻屑となる=世の終わりを受容するためではなく、パフォーマンスが人々をエンパワーし、次世代に希望を繋げるからだ」(346頁)。 ★『第二次世界大戦再考』は、シリーズ「レクチャー第二次世界大戦を考える」の第2弾。帯文に曰く「ポスト第二次世界大戦レジームが機能不全を呈する今、あらためて人物に着眼し大戦経験を再考する。人物で見る第二次世界大戦の諸相、総力戦・ジェノサイド・未完の戦争」。藤原辰史「ナチス「飢餓計画」をめぐる人びと」、駒込武「台湾人にとっての戦争経験と戦後経験――植民地支配に翻弄された生と死」、林田敏子「キッチン戦線――第二次世界大戦期イギリスにおける主婦の戦い」、岡田暁生「リヒャルト・シュトラウスってまだ生きていたの?」の4論考を収録。 ★藤原書店の4月新刊は3点。『「宝子」の叫び』は、「胎児性水俣病患者たちの声をまとめた本」(「はじめに」より)。帯文に曰く「母の胎内で有機水銀を浴び“水俣病“患者として生まれてきた人びと。水俣病が「公式確認」された1956年以降も垂れ流され続けた毒により、逃げることのできない被害をこうむり、文明の負の面を一身に背負った彼らは今、60~70代。彼らの「生の声」、そして彼らの生活の場をつくり、寄り添い、支え続けてきた人びとの歩みの全記録。いまだ終わらぬ「水俣事件」を問う」。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。現政権の環境相や官僚が患者に対して不誠実な言動に及んだことがつい最近も報道されたばかり。新刊台で注目を集めるのではないかと想像します。 ★『「教室」をひらく〈普及版〉論』は、一橋大学名誉教授で教育学博士の中内敏夫(なかうち・としお, 1930-2016)さんが著作集第1巻として1998年に上梓された書目の復刊。「中内敏夫の“教育原論”三部作『学力と評価の理論』(国土社、1971年)『教材と教具の理論』(有斐閣ブックス、1978年)『指導過程と学習形態の理論』(明治図書出版、1985年)を再編集し、教育研究の新しいパラダイムとして目標・評価一体論を提起した名著(『中内敏夫著作集』第一巻、藤原書店、1998年)が、今、甦る」(カバーソデ紹介文より)。巻頭に、和光大学名誉教授で教育学者の太田素子(おおた・もとこ, 1948-)さんによる「普及版によせて」が加わっています。太田さんは中内さんについて「本人が亡くなるまで追い求めていたのは、現場の実践家とともにつくり上げてゆく「制作」の技術知としてえの教育学であった」(i頁)と評価しておられます。 ★『「アジア」はどう語られてきたか〈増補新版〉』は、子安宣邦(こやす・のぶくに, 1933-)さんが2003年に上梓した著書の増補新版。「日本の「アジア」認識の歴史を問い直」す(帯文より)もので、巻頭には「増補新版に寄せて」、巻末には特別収録として「「歴史の共有体」としての東アジア――東アジア共同体をめぐって」が加わっています。後者は著者と崔文衡さんとの共著『歴史の共有体としての東アジア――日露戦争と日韓の歴史認識』(藤原書店、2007年)から再録されています。
by urag
| 2026-05-10 22:01
| ENCOUNTER(本のコンシェルジュ)
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