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2026年 03月 09日
★まず、まもなく発売となるちくま学芸文庫3月新刊5点を列記します。 『現代世界における日常生活』アンリ・ルフェーヴル(著)、森本和夫(訳)、ちくま学芸文庫、2026年3月、本体1,500円、文庫判400頁、ISBN978-4-480-51348-9 『社会学の技法』ハワード・S・ベッカー(著)、進藤雄三/宝月誠(訳)、ちくま学芸文庫、2026年3月、本体1,700円、文庫判480頁、ISBN978-4-480-51352-6 『ファシズムの解剖学』ロバート・パクストン(著)、瀬戸岡紘(訳)、ちくま学芸文庫、2026年3月、本体1,900円、文庫判608頁、ISBN978-4-480-51350-2 『虚偽論入門』アレックス・C・マイクロス(著)、須原一秀(訳)、ちくま学芸文庫、2026年3月、本体1,300円、文庫判336頁、ISBN978-4-480-51347-2 『ウィトゲンシュタイン〔増補新版〕――言語の限界』飯田隆(著)、ちくま学芸文庫、2026年3月、本体1,600円、文庫判480頁、ISBN978-4-480-51349-6 ★『現代世界における日常生活』は、現代思潮社より1970年に刊行された、フランスの社会学者アンリ・ルフェーヴル(Henri Lefebvre, 1901-1991)の『La Vie quotidienne dans le monde moderne』(Gallimard, 1968)の訳書の文庫化。訳者はすでに逝去しており、「文庫化にあたり、明らかな誤りは適宜訂正した」(巻末編集部特記)とのことです。文庫版解説として山本千寛さんによる「ユートピアン、現代社会を定義する」が加えられています。学芸文庫でのルフェーヴルの既刊書には、今回の新刊と同じ訳者による『都市への権利』(2011年)があります。 ★『社会学の技法』は、恒星社厚生閣より2011年刊行された、米国の社会学者ハワード・S・ベッカー(Howard S. Becker, 1928-2023)の『Tricks of the Trade: How to Think about Your Research While You're Doing It』(University of Chicago Press, 1998)の全訳の文庫化。宝月さんによる「文庫版訳者あとがき」には「訳文の見直しや人名などの表記の統一や修正をおこない、できるだけ読みやすくなるように努めた」とのことです。ベッカーの訳書は複数ありますが、文庫化されるのは本書が初めてです。 ★『ファシズムの解剖学』は、桜井書店より2008年に刊行された、米国の政治学者で歴史家のロバート・パクストン(Robert O. Paxton, 1932-)の『The Anatomy of Fascism』(Knopf, 2004)の訳書の文庫化。親本と同様に、原著附録の文献案内である「Bibliographical Essay」は割愛されています。ごく短い「文庫版訳者あとがき」が付されています。巻末編集部特記によれば「文庫化にあたり、明らかな誤りは適宜訂正した」とのことです。 ★『虚偽論入門』は、昭和堂より1983年に刊行された、カナダの政治学者アレックス・C・マイクロス(Alex C. Michalos, 1935-)の『Improving Your Reasoning』(1st edition, 1970; 2nd edition, 1980)の訳書の文庫化。訳者はすでに逝去しており、「文庫化にあたり、明らかな誤りは適宜訂正し、固有名詞など一部表記を現代的なものに改めたほか、各章・節の見出しに原語の表記を付記した」(巻末編集部特記)とのことです。東京大学大学院准教授の植原亮さんによる「解説と読書案内」が加えられています。 ★『ウィトゲンシュタイン〔増補新版〕』は、「ちくま学芸文庫版あとがき」によれば「1997年にシリーズ「現代思想の冒険者たち」の1冊として講談社から出版され、そのあと2005年に新装版が出たものに、わずかの改訂を加え、補章「21世紀のウィトゲンシュタイン」を付け加えたものである。ただし、「読書案内」は、現在簡単に手に入るものを中心にして、完全に書き直した」と。同シリーズからは複数の書目が各社で文庫化されてきたのは、周知の通りです。 ★次に、最近出会いのあった新刊を列記します。共和国さんの久しぶりの新刊、東洋文庫の既刊、作品社さんの新刊および復刊、月刊「現代思想」3月号です。 『わたしはどこに』片山郷子(著)、共和国、2026年2月、本体1,800円、四六判並製208頁、ISBN978-4-911729-03-8 『クレムスの曲がりくねる時間』クラウディオ・マグリス(著)、二宮大輔(訳)、共和国、2026年1月、本体2,200円、四六変形判上製144頁、ISBN978-4-907986-28-5 『尹致昊日記(9上)1925-1929年』尹致昊(著)、木下隆男(訳注)、東洋文庫:平凡社、2026年1月、本体4,500円、B6変型判上製函入364頁、ISBN978-4-582-80931-2 『尹致昊日記(9下)1930-1931年』尹致昊(著)、木下隆男(訳注)、東洋文庫:平凡社、2026年1月、本体4,300円、B6変型判上製函入272頁、ISBN978-4-582-80932-9 『かたちのない民藝をもとめて』表萌々花(著)、作品社、2026年3月、本体2,700円、四六変型判並製232頁、ISBN 978-4-86793-131-8 『私たちが刈り取った男たち』ジェスミン・ウォード(著)、石川由美子(訳)、作品社、2026年2月、本体2,700円、四六判並製288頁、ISBN978-4-86793-134-9 『李箱作品集成 増補新版』李箱(著)、崔真碩(編訳)、作品社、2026年2月、本体5,400円、46判上製432頁、ISBN978-4-86793-132-5 『川辺の風景 新装版』朴泰遠(著)、牧瀬暁子(訳)、作品社、2026年1月、本体5,400円、46判上製440頁、ISBN978-4-86793-129-5 『現代思想2026年3月号 特集=〈野生〉とのつきあい方――狩猟文化、家畜化の歴史から現代のクマ問題まで』青土社、2026年2月、本体1,800円、A5判230頁、ISBN978-4-7917-1494-0 ★『わたしはどこに』は、小説家で詩人の片山郷子(かたやま・きょうこ, 1937-)さんの作品集。帯文に曰く「完全に視力を喪失した作者自身の不安な日常を描く最新作「わたしはどこに」のほか、代表作「ガーデナの家族」、出色の短篇「柿の木」を併録。「網膜色素変性症」という困難に翻弄されつつ、失明者として文字をつむぐ稀有な作品集」。『クレムスの曲がりくねる時間』はシリーズ「境界の文学」の最新刊。イタリアの作家で文学研究者のクラウディオ・マグリス(Claudio Magris, 1939-)の短篇集『Tempo curvo a Krems』(Garzanti, 2019)の全訳。トリエステを舞台にした5作品「管理人」「音楽のレッスン」「クレムスの曲がりくねる時間」「文学賞」「ロザンドラ谿谷――外・日中」を収録。 ★『尹致昊日記(9上)1925-1929年』『尹致昊日記(9下)1930-1931年』は、平凡社「東洋文庫」の第931番と第932番。全11巻予定の、第9分冊上下巻です。帯文によれば、上巻は「1926年6月の李朝最後の皇帝純宗の御第葬以後、総督府の支配体制は固まり、朝鮮の日本化が進む。朝鮮YMCAは太平洋問題調査会を通じて朝鮮の独自性を維持する道を模索するが……」。下巻は「世界恐慌下の1930年、朝鮮は空前の豊作飢饉に喘ぐ。朝鮮YMCAの農村改良運動は破綻し南北地域対立へ発展。翌31年、満州事変が勃発すると日本の軍国主義の渦に巻き込まれていく」。次回配本は今月3月発売予定、柿沼陽平訳注『岳麓書院蔵秦簡 「為吏治官及黔首」訳注――秦の官吏かくあるべし』。 ★作品社さんの新刊既刊4点。『かたちのない民藝をもとめて』は、まもなく発売。写真家の表萌々花(おもて・ももか, 1998-)さんによる、「訪れた土地の民藝品や手しごとの源流をたどるなかで触れた人々の祈りや想いを綴った、約十年の旅の記録」。メキシコ、ベトナム、モロッコ、エチオピア、ケニア、アイスランド、スペインなど。カラー写真多数。美しい造本設計は山口日和さんによるものです。 ★『私たちが刈り取った男たち』は、米国の作家ジェスミン・ウォード(Jesmyn Ward, 1977-)の回想録『Men We Reaped』(2013年)の訳書。「最愛の弟をはじめとする、五人の親しい男たちの相次ぐ早世。自身と家族たち、仲間たちの苦悩と苦闘。そして、アメリカ南部で黒人として生きていくことの困難。全米図書賞を二度受賞した、現代アメリカ文学最重要の作家による、痛切なメモワール」(帯文より)。別刷附録として、青木耕平さんによる解説「未来と過去が交わるところ――ジェスミン・ウォードの幽霊たち」がPDFで公開されています。 ★『李箱作品集成 増補新版』は、2006年刊の訳書の増補復刊。巻末に加わった「増補新版への訳者あとがき」によれば、「復刊するに当たり、訳文と訳註と解説を改めて見直して加筆・修正したが、李箱の代表作である朝鮮語詩「烏瞰図」(1934年)を新たに翻訳・収録した」とのこと。帯文はこうです。「朝鮮を代表するモダニズム文学者にして、京城のモダンボーイ。難解、天才、異常……謎多き作家・李箱(イ・サン)の全貌を明らかにする作品集、待望の復刊」。李箱(イ・サン, 1910-1937)はソウル生まれの作家。1936年に渡日、翌年に思想犯の嫌疑で警察に拘禁。釈放後に病没、26歳の若さでした。 ★『川辺の風景 新装版』は、2005年刊の訳書の新装復刊。巻末には「新装版のための訳者あとがき」が加わっています。「植民地朝鮮・ソウルの下町、清渓川(チョンゲチョン)の川辺に生きる市井の人々を活写する、全五十章の壮大なパノラマ。精緻な描写で庶民の哀歓を綴った韓国近代文学の金字塔、待望の新装復刊」。著者の朴泰遠(パク・テウォン, 1909-1986)はソウルに生まれ、日本に留学し、朝鮮戦争の折に北朝鮮に渡った作家。来月(2026年4月)には、平凡社より自伝的小説『小説家仇甫氏の一日』(山田佳子訳)が発売予定。挿絵は李箱によるもの。 ★『現代思想2026年3月号 特集=〈野生〉とのつきあい方』は、「「野生」をキーワードに、生態学、人類学から倫理、文学まで多様な視点からこの思想的課題への応答を模索する」(版元紹介文より)。中沢新一さんのインタヴューや、奥野克巳さんと渡邉悟史さんによる討議のほか、15篇の論考を収録。目次詳細は誌名のリンク先でご確認いただけます。今月3月末発売予定の4月号の特集は「教育は誰のためか――特別支援教育・いじめ問題・子どものメンタルヘルス…」と予告されています。
by urag
| 2026-03-09 03:48
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