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2025年 12月 07日
★まもなく発売となる、ちくま学芸文庫の12月新刊5点を列記します。 『知はいかにして「再発明」されたか――アレクサンドリア図書館からインターネットまで』イアン・F・マクニーリー/リサ・ウォルヴァートン(著)、冨永星(訳)、ちくま学芸文庫、2025年12月、本体1,500円、文庫判400頁、ISBN978-4-480-51266-6 『新版 日本の思想とは何か――現存の倫理学』佐藤正英(著)、ちくま学芸文庫、2025年12月、本体1,200円、文庫判240頁、ISBN978-4-480-51342-7 『日本仏教のこころ』渡辺照宏(著)、ちくま学芸文庫、2025年12月、本体1,300円、文庫判304頁、ISBN978-4-480-51334-2 『史料が語るビザンツ世界』和田廣(著)、ちくま学芸文庫、2025年12月、本体1,400円、文庫判392頁、ISBN978-4-480-51340-3 『街に戦場あり』寺山修司(著)、森山大道/中平卓馬(写真)、ちくま学芸文庫、2025年12月、本体1,200円、2025年12月、文庫判272頁、ISBN978-4-480-51338-0 ★『知はいかにして「再発明」されたか』は、『Reinventing Knowledge: From Alexandria to the Internet』(Norton, 2008)の訳書(日経BP社、2010年)の文庫化。帯文によれば「現代世界をつくった壮大なる知の歴史。6つの制度に着目し、そのダイナミクスを描き出す」と。6つの制度というのは、図書館、修道院、大学、文芸共和国、専門分野(ディシプリン)、実験室。巻末特記によれば「文庫化にあたっては全面的に訳文を見直し、改訂を施した」とのことです。文庫版訳者あとがきのほか、長谷川一さんによる解説「過去の声を聴く、ふたたび」が加えられています。長谷川さんの解説は親本の解説「過去の声を聴く」に若干の修正を加えて再録し、さらに5頁強の追記があります。著者のマクニーリーとウォルヴァートンはともに米国の歴史学者。 ★『新版 日本の思想とは何か』は、東京大学名誉教授の佐藤正英(さとう・まさひで, 1936-2023)さんの単独著(筑摩選書、2014年)の改訂新版。帯文に曰く「日本人はいかなる思想を持って生きてきたのか。この問いを生涯をかけて追究した日本倫理思想史家による、遺著にして最終到達点」。新たに加わった巻末解説は神奈川大学教授の上原雅文さんによるもの。上原さんによれば、肉筆遺稿の入力や本文の校訂など、複数の方々の尽力により本書の出版が実現したとのことです。 ★『日本仏教のこころ』は、仏教学者の渡辺照宏(わたなべ・しょうこう, 1907-1977)さんの単独著の文庫化。まず筑摩書房版『日本の仏教』の第15巻として1967年に刊行され、その後、同じく筑摩書房の『渡辺照宏著作集』第4巻(1982年刊)に収録されました。版元紹介文に曰く「源流たる仏陀の教えから遠ざかってきた日本の仏教。〈日本的霊性〉への自賛に疑義を呈し、原典研究の厳正な眼をもって、その精神形成史を追う」。巻末に宮坂宥勝さんによる「後記」が収められていますが、これは著作集第4巻に収録されていたものの再録です。 ★『史料が語るビザンツ世界』は、筑波大学名誉教授の和田廣(わだ・ひろし, 1940-2024)さんが2006年に山川出版社より上梓した単独著の文庫化。版元紹介文によれば「千年におよぶビザンツ帝国の歴史の中で、人々はどのような生を送ったのか。皇帝、宦官から異民族まで、貴重な史料の数々を通してその実像に迫る」。資料として、巻頭にカラー図版8頁、あとがきに続いて帝国領地図(初期、中期、後期)とビザンツ帝国官職略図(初期、中期、後期それぞれの支配体制)が付されています。また巻末からの横組付録として、人名索引、史料索引、略年表、ビザンツ皇帝一覧、コンスタンティノープル総主教一覧、文献一覧、史料解題、が添えられています。 ★『街に戦場あり』は、巻末特記によれば本書は、朝日新聞社の雑誌「アサヒグラフ」に1966年9月16日号から12月30日号まで全16回にわたって連載された「街に戦場あり」を文庫化したもの。「当時、B4判の誌面にアレ・ブレ・ボケの画像と、事実ともフィクションともつかないテキストとを並置し、写真と文章が同じ重さで読まれるルポルタージュとして発表された、今や神話と化したこの連載全編を文庫オリジナルとして復刊」(カバー表4紹介文より)。解説は静岡大学准教授の堀江秀史さんがお書きになっています。同名の単行本『街に戦場あり』(天声出版、1968年)は寺山さんの著書として上記連載とそれ以外のテクストも収録したもので、連載時より写真掲載数は減っているそうです。この単行本版の復刻版と英訳ルーズリーフなどを合わせたコレクターズボックス『寺山修司、街に戦場あり』が禅フォトギャラリーから2013年に出版されたこともありました。 ★最近出会いのあった既刊書を列記します。 『吉本隆明・赤羽淑(往復)書簡』晶文社、2025年11月、本体2,500円、A5判変型簡易製本並製128頁、ISBNなし 『慵斎叢話――朝鮮王朝前期の士大夫が綴る博学の書(2)』成俔(著)、野崎充彦(訳注)、東洋文庫:平凡社、2025年10月、本体4,200円、B6変型判上製函入376頁、ISBN978-4-582-80929-9 『宮脇綾子――アップリケ、つくる悦び』別冊太陽編集部(編)、別冊太陽「日本のこころ」:平凡社、2025年10月、本体2,400円、A4変型判並製136頁、ISBN978-4-582-92328-5 『柚木沙弥郎 旅の手帖――布にめざめたインドの旅』柚木沙弥郎(著)、平凡社、2025年10月、本体2,800円、B6変型判上製240頁、ISBN978-4-582-83992-0 ★『吉本隆明・赤羽淑(往復)書簡』は、赤羽淑書簡52通、吉本隆明書簡〈未投函〉3通、間宮幹彦「解題」を収録。版元紹介文に曰く「吉本隆明氏に関する書簡は、『吉本隆明全集37巻』『同38巻』に収録した書簡のほかに、実はまだ正確には中世日本文学研究者・赤羽淑宛の未投函書簡3通が残されておりました。しかし、これは同時に川上春雄宅に残されていた赤羽淑の著者宛書簡50余通とともに読まなければならないものと思われ、「吉本隆明全集38巻」への未投函書簡3通の収録を断念いたしました。市販はいたしませんが、赤羽淑書簡と吉本隆明未投函書簡3通を一冊にまとめた冊子を作成いたします」。販売は版元直販のみ。購入方法は書名のリンク先でご確認いただけます。 ★『慵斎叢話(2)』は全3巻の第2巻。巻四から巻七まで、130篇を収録。完結篇となる第3巻は今月発売済。こちらは巻八から巻十までを収録。東洋文庫次回配本は2026年1月発売、『尹致昊日記(9上)1925-1929年』『尹致昊日記(9下)1930-1931年』の二分冊。『宮脇綾子』は、「別冊太陽」の「日本のこころ」シリーズ第328弾。アップリケ作家の宮脇綾子(みやわき・あかこ, 1905-1995)さんの「多彩な作品、道具や布きれ、多数のスケッチなどから、悦びにあふれた創作の現場に迫る」(版元紹介文より)。『柚木沙弥郎 旅の手帖』は、染色家・柚木沙弥郎(ゆのき・さみろう, 1922-2024)さんが「1970年代から80年代にかけて4度にわたり訪れたインドの旅」(版元紹介文より)の紀行文。「鋭い観察眼と豊かな感性で異国の文化を捉えた、ヨーロッパ編〔『柚木沙弥郎 旅の手帖――中世美術に憧れて』2024年8月刊〕に続く旅の記録の第2弾」(同)。なお東京オペラシティのアートギャラリーでは展覧会「柚木沙弥郎 永遠のいま」が12月21日まで開催されています。美しい作品の数々は見る者の心をとらえて離しません。
by urag
| 2025-12-07 22:37
| ENCOUNTER(本のコンシェルジュ)
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