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2025年 11月 02日
★最近出会いのあった新刊を列記します。 『ソシュールとインド――構造主義の源流を求めて』川村悠人(著)、人文書院、2025年10月、本体2,800円、四六判並製240頁、ISBN978-4-409-03143-8 『ネクロポリティクス――死の政治学』アシル・ンベンベ(著)、岩崎稔/小田原琳(訳)、人文書院、2025年10月、本体4,500円、四六判上製340頁、ISBN978-4-409-04129-1 『枢軸――ベルリン・ローマ・東京 一九一九—一九四六年』ダニエル・ヘディンガー(著)、清水雅大(監訳)、山本晶子/山根徹也(訳)、人文書院、2025年10月、本体8,000円、A5判上製522頁、ISBN978-4-409-51109-1 『フランス論2.0』大浦康介(著)、2025年10月、本体2,700円、四六判並製224頁、ISBN978-4-409-14072-7 『日米関係からみた昭和の日本――なぜ日本はアメリカと戦ったのか』草原克豪(著)、藤原書店、2025年10月、本体3,600円、四六判上製424頁、ISBN978-4-86578-476-3 『「新しい市民協働」を拓く――ハーバーマス、ロールズ、センの思想から考える』向井清史(著)、藤原書店、2025年10月、本体2,200円、四六変型判上製232頁、ISBN978-4-86578-477-0 『絹と日本人――日常着として、きもの暮らし六十年』中谷比佐子(著)、藤原書店、2025年10月、本体2,200円、A5変型判並製184頁+カラー口絵16頁、ISBN978-4-86578-475-6 『ゲマインシャフトとゲゼルシャフト――純粋社会学の基本概念』テンニエス(著)、重松俊明(訳)、中公クラシックス、2025年10月、本体2,300円、新書判336頁、ISBN978-4-12-160187-2 『公共デザイン学入門講義――コミュニティセンスを生む演出術』権安理(著)、作品社、2025年10月、本体2,000円、46判並製192頁、ISBN978-4-86793-115-8 『クマタカ生態モノグラフ』クマタカ生態研究グループ(編著)、平凡社、2025年10月、本体6,800円、B5変型判並製432頁、ISBN978-4-582-54270-7 『正宗敦夫文集――ふぐらにこもりて(2)』財団法人正宗文庫(監修)、小川剛生(編注)、東洋文庫:平凡社、2025年9月、本体4,400円、B6変型判上製函入456頁、ISBN978-4-582-80928-2 ★人文書院さんの10月新刊より4点。目次詳細は各書名のリンク先でご確認いただけます。『ソシュールとインド』は、「ソシュールの言語思想とインド文法学の言語思想の二つを比較検討し、両思想には間違いなく通底するものがあることを明示しようと試みる。そして、のちに構造主義と呼ばれることになる思想体系をソシュールのもとで育むことになった、あるいはそれを発展させる動力となった素材の一つとして、インドのサンスクリット文法家であるパタンジャリやバルトリハリの言語思想というものがあった可能性を、一定の確度をもって開きたい」(序論、16頁)。著者の川村悠人(かわむら・ゆうと, 1986-)さんは広島大学教授。 ★『ネクロポリティクス』は、南アフリカのウィットウォータースランド大学教授をつとめるカメルーン出身の政治理論家アシル・ンベンベ(Achille Mbembe, 1957-;ムベンベとも)によるフランス語の著書『Politiques De L’Inimitié』(Éditions La Découverte, 2016)の英訳で、仏語版の増補改訂版でもある『Necropolitics』(translated by Steven Corcoran, Duke University Press, 2019)の全訳。宇野邦一訳『黒人理性批判』(講談社選書メチエ、2024年)に続く2冊目の訳書です。「この本が目指しているのは、わたしが暮らしは当たら射ているアフリカから(しかし同時に、たえまなく見渡している世界の他の部分から)わたしたちのこの時代を批判するという課題に寄与することである。この時代とは、ミリタリズムと資本の盾に守られながら、人間が移動し世界がグローバル化していく時代のことだ。そして、その帰結として、民主主義からの退出(あるいは民主主義の転倒)を体験している時代のことだ」(第一章、23頁)。 ★「生を死の権力〔ネクロポリティクス〕に隷属させている現代の形態が、抵抗と犠牲とテロルの関係を深刻に書き換えている〔…〕。生が死の権力に隷属させられている現代の形態を説明するには、生の権力の概念では不十分である〔…〕。わたしは、この現代世界において、できるだけ多くの人間を破壊し、死-世界を生み出すために武器が動員されるさまざまなあり方を説明するために、ネクロポリティクスという概念、あるいは死の権力という概念を提示した。「死-世界」とは、社会的生存の新奇で特異な形態であり、そこでは法外な数の人口が、生ける死者という地位を与えられる生存条件に服している」(第三章、149頁)。 ★『枢軸』は、ライプツィヒ大学グローバル動態研究センター研究員で歴史家のダニエル・ヘディンガー(Daniel Hedinger)さんの著書『Die Achse : Berlin-Rom-Tokio 1919-1946』(C. H. Beck, 2021)の全訳。帯文に曰く「ファシズムのグローバルヒストリー。新たな社会的・文化的・地政学的秩序を構想した枢軸国。ファシズムの引力は、いかにして世界をかつてないほどの大規模戦争に引きずり込んだのか。従来の一国史、二国間関係史の枠組みでは捉えきれなかった、枢軸の形成・拡大と世界大戦に至るプロセスを鮮やかに描いた巨編」。『フランス論2.0』は、京都大学名誉教授の大浦康介(おおうら・やすすけ, 1951-)さんによる「複眼的アプローチにより「フランスらしさ」のゆくえをさぐる」(帯文より)試み。柔らかい文体で、フランス人気質、フランス文化、フレンチ・フェミニズムへの理解を助けてくれます。 ★藤原書店さんの10月新刊は3点。目次詳細は各書名のリンク先でご確認いただけます。『日米関係からみた昭和の日本』は、文部省の局員や大臣官房審議官を歴任し、現在は拓殖大学名誉教授をつとめる草原克豪(くさはら・かつひで, 1941-)さんが「昭和百年を振り返りつつ、日本の針路を展望」(帯文より)したもの。『「新しい市民協働」を拓く』は「既存の組織形態や地域の垣根を越えて育ちつつある「新しい市民協働」に注目し、市民的公共圏の担い手としての可能性を問う。ハーバーマス、ロールズ、センを援用しつつ、「新しい市民協働」の運動・組織・分配のあり方を思想的・理論的に明確化」(帯文より)と。著者の向井清史さんは名古屋市立大学名誉教授。『絹と日本人』は、「きものと日本人による文化的知恵」(略歴より)の普及に長年尽力されている中谷比佐子(なかたに・ひさこ, 1936-)さんが、絹の歴史ときもの文化を語ったもの。「きものというのは、着ることによって自分自身を知り、素材によって暮らしや自然とどうつながっているのかを知り、きものの模様や色に意味をもたせた先人たちの想いを受け、そして手仕事をする人に対してどのように心を通わせるのかを学ぶものだ」(まえがき、1~2頁)。 ★中公クラシックスの新刊1点。テンニエス『ゲマインシャフトとゲゼルシャフト』は、河出書房版『世界思想教養全集(19)ドイツの社会思想』(1963年)所収からの切り出し。巻頭解説「社会学史上最も重要な概念」は大澤真幸さんによるもの。版元紹介文に曰く「ゲマインシャフト(親密な共同体)の時代に、ゲゼルシャフト(公共世界)の時代がつづく――。社会の二類型を定式化し、文化は前者から後者へと発展すると捉える。1887年の初版刊行以来、社会学の発展に大きな影響を与えた、コミュニティ論の古典。縮約版」。省略されているのは、第二篇「本質意志と選択意志」の第二章「対立の解明」、第三篇「自然法の社会学的基礎」の第二章「法における自然的なもの」です。付録「結論と外観」は全9節のうち第7節のみ訳出されています。 ★大澤さんはこう書いています。「任意の人間の社会はゲマインシャフト性とゲゼルシャフト性を含んでいる〔…〕二つの力の配分には多様性があるが、ゲゼルシャフト的な側面を完全に排除したゲマインシャフトもなければ、ゲマインシャフト的な基礎をまったくもたないゲゼルシャフトも存在しない。〔…〕この二律背反的な状態が極端に先鋭化して現れるようになったのが近代社会ではないか」(viii頁)。既訳(全訳)には、岩波文庫上下巻の杉之原寿一訳『ゲマインシャフトとゲゼルシャフト――純粋社会学の基本概念』がありますが、現在は品切。上巻が1957年12月初刷で最終重版は2012年12月40刷、下巻が1957年12月初刷で最終重版は2013年5月37刷です。岩波書店のウェブサイトに載っている書影は2011年春のリクエスト復刊時のもの。当時は復刊後の翌年に上巻、翌々年に下巻が重版となったわけでした。 ★作品社さんの10月新刊より1点。『公共デザイン学入門講義』は、「公共を「難しい議論」ではなく、日常の風景や人とのつながり、身近なモノの工夫から考える(=デザイン)。豊富な体験、事例、写真、図やイラストでたどる、公共空間・まちづくり・地域活性化の最前線。思想と実践をつなぐ入門書」(帯文より)。目次詳細は、版元ドットコムの単品頁で確認できます。著者の権安理(ごん・あんり)さんは立教大学准教授。著書に『公共的なるもの』(作品社、2018年)があります。 ★平凡社さんの新刊既刊より2点。『クマタカ生態モノグラフ』は「生物多様性に富む森林生態系の指標種であるため、研究の発展が望まれているが、調査がきわめて困難なクマタカの生態の全貌を知ることができる最新研究論集」(帯文より)。「40年余のフィールドワークの成果を集積」とのこと。平凡社さんでの類書には2023年3月刊、若尾親『クマタカ生態図鑑』があります。『正宗敦夫文集(2)』は、東洋文庫の第928弾。全2巻完結。第1巻は2024年7月刊でした。第2巻は「地元岡山の歌人・儒者たちの研究、近世和歌史講義、備前焼への愛着」(帯文より)。発売済の次弾は10月刊、成俔『慵斎叢話――朝鮮王朝前期の士大夫が綴る博学の書(2)』野崎充彦訳注。12月刊は成俔『慵斎叢話(3)』。
by urag
| 2025-11-02 17:23
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