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2025年 07月 06日
★まもなく発売となる、ちくま学芸文庫の7月新刊4点を列記します。 『マンダラの密教儀礼』森雅秀(著)、ちくま学芸文庫、2025年7月、本体1,500円、文庫判338頁、ISBN978-4-480-51311-3 『敗戦日記』渡辺一夫/串田孫一/二宮敬(編)、ちくま学芸文庫、2025年7月、本体1,400円、文庫判352頁、ISBN978-4-480-51309-0 『京劇――「政治の国」の俳優群像』加藤徹(著)、ちくま学芸文庫、2025年7月、本体1,600円、文庫判464頁、ISBN978-4-480-51308-3 『人類はどこから来て、どこへ行くのか』エドワード・O・ウィルソン(著)、斉藤隆央(訳)、ちくま学芸文庫、2025年7月、本体1,700円、文庫判448頁、ISBN978-4-480-51306-9 ★『マンダラの密教儀礼』は、1997年に春秋社より刊行された単行本の文庫化。「インド・チベット密教や日本密教の世界観が凝縮されたマンダラ。〔…〕どのように制作され、どのように用いられるのか。数々のマンダラ作品やサンスクリット文献を軸に、密教儀礼の核心に迫る。仏教図像学の第一人者による貴重な書」(表4紹介文より)。新たに加わった巻末の「文庫版自著解説 視点の発見」によれば「〔文庫化にあたり〕訂正は誤字や単純な間違いなどにとどめた」とのことです。著者の森雅秀(もり・まさひで, 1962-)さんは現在、金沢大学人間社会研究域教授。ご専門は仏教学、比較文化学。近年の著書に『マンダラの新しい見方』(法蔵館、2024年5月)があります。 ★『敗戦日記』は、仏文学者で評論家の渡辺一夫(わたなべ・かずお, 1901-1975)さんの没後に発見された「敗戦日記」(1945年3月1日~8月18日)、「続敗戦日記」(1945年8月18日~11月22日)に、関連テクスト15編と、作家で哲学者の串田孫一(くしだ・まごいち, 1915-2005)さん宛の書簡を添えて、1995年に博文館深謝より刊行された『渡辺一夫 敗戦日記』の文庫化。巻末特記によれば「文庫化にあたっては、改題の上、口絵写真を増やし、串田孫一「戦争との戦い『渡辺一夫 敗戦日記』」を収録した。明らかな誤りは適宜正した」とのことです。追加された串田さんの随筆は丸善のPR誌『學鐙』1996年2月号が初出。巻末にはさらに宮下志朗さんによる「解説に代えて」が加わっています。 ★『京劇』は、2002年に中央公論新社の中公叢書の1冊として刊行され、サントリー学芸賞を受賞した書籍の文庫化。「本書は清朝期に京劇が成立し、日清・日中戦争や国共内戦、文化大革命を経て現代に至るまでの歩みを、主要な俳優たちの波乱の人生と共に活写する。〔…〕漢詩・漢文とは異なる「小伝統」としての京劇から歴史を照射することで、民衆の感覚に根差した生き生きとした近代中国像が浮き彫りになる」(カバー表4紹介文より)。著者の加藤徹(かとう・とおる, 1963-)さんは現在、明治大学教授。近年の著書に『漢文で知る中国 名言が教える人生の知恵』(NHK出版、2021年)があります。 ★『人類はどこから来て、どこへ行くのか』は、2013年に化学同人より刊行された訳書の文庫化。原著は『The Social Conquest of Earth』(Liveright, 2012)です。「私たち人間と他の動物たちとを隔てるものとはいったい何か。〔…〕人間を人間たらしめた決定的な要因とは果たして何だったのか。「真社会性」に注目し、専門とする生物学のみならず、考古学、歴史学、人類学、進化心理学など多分野の成果を結集させた果敢な試み」(カバー表4紹介文より)。巻末には巌佐庸さんによる解説「社会性の進化――アリを参考にヒトを理解する」が加わっています。エドワード・O・ウィルソン(Edward O. Wilson, 1929-2021)は米国の昆虫学者、生物学者。ちくま学芸文庫ではウィルソンの著書をこれまでに2点刊行しています。『人間の本性について』(岸由二訳、1997年)、『バイオフィリア――人間と生物の絆』(狩野秀之訳、2008年)。いずれも現在は品切。 ★最近出会いのあった新刊を列記します。 『目に見えない世界の旅――ペルーのシャーマンが語る聖なる植物の癒やし』ハチュマク/デビッド・L・キャロル(著)、北村京子(訳)、作品社、2025年6月、本体3,600円、四六判並製392頁、ISBN978-4-86793-096-0 『ゲーム作家 小島秀夫論――エスピオナージ・オペラ』藤田直哉(著)、作品社、2025年6月、本体2,700円、四六判並製352頁、ISBN978-4-86793-099-1 『文藝 2025年秋季号』河出書房新社、2025年7月、本体1,400円、A5判並製520頁、雑誌07821-08 ★『目に見えない世界の旅』は、スペイン系ペルー人のシャーマン、ハチュマク(Hachumak:本名Jorge Flores Araoz)と、米国の著述家で脚本家のデビッド・L・キャロル(David L. Carroll)の共著『Journeying through the Invisible: The Craft of Healing With, and Beyond, Sacred Plants, as Told by a Peruvian Medicine Man』(Harper Wave, 2022)の全訳。「世界中から大きな注目を集めるアヤワスカなど神聖な植物と儀式、シャーマンの世界観、シャーマニズムがもてはやされることの問題……ペルーのシャーマン自らが語る、霊的世界の実態」(帯文より)。「自らがシャーマンになるまでの道のりを明かし、植物薬の儀式がどのように展開されるのか、儀式中の身体・精神に何が起こるのかなどが詳細に語られる」(カバーソデ紹介文より)。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。 ★『ゲーム作家 小島秀夫論』は、巻頭の「はじめに」に曰く「全世界で六〇〇〇万本以上の売り上げを誇る『メタルギア』シリーズの生みの親であり、『DEATH STRANDING』などで芸術選奨文部科学大臣賞をゲームクリエイターとして史上二人目に受賞したゲームデザイナー・小島秀夫と、彼の作品についてである。特に、小島が監督・脚本・ゲームデザインなどを本格的に手掛けた、いわゆる「A KOJIMA HIDEO GAME」やそれに準じる作品を中心に論じていく」(9頁)。「ゲームデザイン、システム、主題、物語などのゲーム作品についての分析と、小島秀夫という人間そのものの作家論を往還するのが、本書の方法論である」(10頁)。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。 ★『文藝 2025年秋季号』は、特集「戦争、物語る傷跡」。鼎談1本(小林エリカ×永井玲衣×奈倉有里「「語りたい、でも忘れたい」――終わらない記憶と対話」)、創作5篇(村田沙耶香、柴崎友香、町屋良平、芦沢央、高橋地由)、エッセイ5篇(宮地尚子・清水加奈子、五所純子、太田ステファニー歓人、マユンキキ、大前粟生)、読書ノート1篇(齋藤美衣「傷跡をまなざすための読書」)、論考1本(信田さよ子「被害と傷、そしてトラウマ」)。連載7本のうち、新規が2本(いとうせいこう「難民移民モノローグ」、岸政彦「犬は人生――犬は飛行機」)で、最終回が1本(朝吹真理子「ゆめ」)。
by urag
| 2025-07-06 02:33
| ENCOUNTER(本のコンシェルジュ)
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