★最近出会いのあった新刊既刊を列記します。
『
ヨーロッパの地理哲学』マッシモ・カッチャーリ(著)、上村忠男(訳)、講談社選書メチエ、2025年1月、本体2,050円、四六判並製288頁、ISBN978-4-06-538160-1
『
メイジー・チェンのラストチャンス』リサ・イー(著)、代田亜香子(訳)、作品社、2025年1月、本体2,200円、46判並製248頁、ISBN978-4-86793-070-0
『
文藝 2025年春季号』河出書房新社、2025年1月、本体1,350円、A5判並製472頁、雑誌07821-02
★『ヨーロッパの地理哲学』は、イタリアの思想家で政治家のマッシモ・カッチャーリ(Massimo Cacciari, 1944-)の著書『Geofilosofia dell'Europa』(Adelphi, 1994; quinta ed., 2008)の全訳。カバー表4紹介文に曰く「ヨーロッパは、いかにして自らを「ヨーロッパ」として同定するに至ったか。古典古代のテクストに準拠しつつ、中世から近代、現代にいたるさまざまなヨーロッパ像と突き合わせながら丹念に読み解く労作」。
★『未来からの遺言/被爆太郎伝説』は、編集室水平線の新シリーズ『伊藤明彦の仕事』全6巻の第1回配本。帯文に曰く「生涯で2000人を超える被爆者を訪問し、1000人以上の「声」を聴きとり録音した、稀有な人物の仕事を網羅するシリーズ、第1巻」。伊藤明彦(いとう・あきひこ, 1936-2009)さんは元長崎放送記者。
★作品社の新刊より2点。『映画監督 ドン・シーゲル』は、映画評論家の吉田広明(よしだ・ひろあき, 1964-)さんによる「40年にわたりハリウッドでアクション映画、犯罪映画を撮り続けた職人監督のキャリアと主題を詳細に辿る、モノグラフの名手による書き下ろし長篇評論」(帯文より)。詳細なフィルモグラフィー付。
★『メイジー・チェンのラストチャンス』は、中国系アメリカ人三世の作家、リサ・イー(
Lisa Yee, 1959-)さんの小説『Maizy Chen's Last Chance』(2022年)の訳書。シリーズ「金原瑞人選モダン・クラシックYA」の1冊です。原著はニューベリー名誉賞を受賞しています。
★雑誌新刊より2点。『文藝 2025年冬季号』では、町屋良平、滝口悠生、倉本さおりの三氏による座談会「文芸批評は断絶したか――小説の死後の未来」に注目。司会は文筆家の水上文さん。書肆侃侃房のウェブ連載マガジン「web侃づめ」に掲載された、町屋良平さんによる「
小説の死後──(にも書かれる散文のために)── 序文」について触れるところから座談会が始まっています。
★『季刊 農業と経済 2024年秋号』の特集「本気の有機農業「25%」実現にむけて」は、版元紹介文に曰く「日本の有機農業や自然循環型農業の豊かな歴史のなかで培われてきた思考や技術を継承しつつ、現代的・世界的な課題や論点も踏まえたうえで、農と食からの社会システム転換および消費側の意識改革の必要性を含めて、「本気」の有機農業の拡大について検討する」と。