ウェブサイト「ele-king」のBook Reviews欄に、月曜社9月刊、ダヴィッド・ラプジャード『
壊れゆく世界の哲学――フィリップ・K・ディック論』(堀千晶訳)に対する、三田格さんによる
書評が掲載されました。「ディックが神学を情報論的に読み替えていく作業も、キリスト教がこの世界を模造世界と捉えた最初のSF小説みたいなものだったと考えることでディックにとっては自然な流れだったラプジャードは考える。この世界を情報の流れとして認識すると、それを遮断しようとするのが権力であり、ディックの場合でいえば帝国主義の体現であるリチャード・ニクソンのパラノイアぶりに対抗し、情報を正確に受容するためには壊れてしまった自分を治す作業が必要だということになる。それが妄想であり、そうした妄想が相互に干渉し合っている状態を「世界」として認識するのだと」と評していただきました。