【文芸・仏文】2022年04月14日取次搬入予定
誰も戻らない(アウシュヴィッツとその後 第1巻)
シャルロット・デルボー[著] 亀井佑佳[訳]
月曜社 本体2,400円 46判並製240頁 ISBN978-4-86503-129-4
「あなたたちは知っていただろうか、苦しみには限りがないということを。恐怖には境がないということを」。ナチスによる夫の銃殺後、自身の強制収容所体験を経て、作家となったフランス人レジスタンス女性シャルロット・デルボー。「文学は、とりわけ詩は、アウシュヴィッツを語らずして何を語るのか」――彼女にとって証言することは、その苦痛を、消えない傷を、詩の言葉によって見えるようにし、感じるようにすることだった。散文と詩を織り交ぜて戦後すぐに書かれ、約20年のあいだ公刊されずにいた本書には、生きて戻ることのないはずだった著者の切実な声と、戻らなかった者たちの声の残響が刻まれている。原著『Aucun de nous ne reviendra』 (Minuit, 1970)。
シャルロット・デルボー(Charlotte Delbo, 1913–1985)フランスの作家。レジスタンス活動を理由に夫とともにフランス警察に逮捕され、ゲシュタポに身柄を引きわたされる。アウシュヴィッツ強制収容所より解放後、享年71歳で病没。主な著書に、『アウシュヴィッツの唄』(篠田浩一郎訳、『全集・現代世界文学の発見6 実存と状況』所収、學藝書林、1970年;本訳書『誰も戻らない』の原著初版1965年版の全訳)、『アウシュヴィッツとその後』(全3巻、1970~1971年;第1巻『誰も戻らない』本訳書)など。
亀井佑佳(かめい・ゆか, 1986–)フランス文学・哲学研究。立命館大学大学院文学研究科人文学専攻哲学専修博士前期課程修了。翻訳に、シャルロット・デルボー「生きている者たちへの祈り――『アウシュヴィッツとその後(2)無益な知識』より」(『多様体』第3号〔特集:詩作/思索〕所収、月曜社、2020年)ほか。論文に、「強制収容所における「恥ずかしさ」の考察――デルボー、レヴィナス、アガンベン」(『立命館哲学』第32集所収、立命館大学哲学会、2021年)。