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2019年 08月 14日

注目新刊:江川隆男『すべてはつねに別のものである』河出書房新社、ほか

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★江川隆男さん(訳書:ブレイエ『初期ストア哲学における非物体的なものの理論』)
『アンチ・モラリア』(河出書房新社、2014年)に「つながるような論文、またこの書物の成果を部分的により展開した論文を集めたもの」(あとがきより)だという『すべてはつねに別のものである――〈身体ー戦争機械〉論』を河出書房新社さんより上梓されました。書名は、アントナン・アルトーのテクスト「なぜ私は病気なのか」(1947年;『アルトー後期集成Ⅲ』所収、河出書房新社、2007年)の末尾の2行「何も決定的ではない、/すべてはつねに別のものである」から採られているとのことです。

すべてはつねに別のものである――〈身体ー戦争機械〉論
江川隆男著
河出書房新社 2019年8月 本体2,900円 46判上製264頁 ISBN978-4-309-24921-6

目次:
序文
Ⅰ 現前と外部性――非-論理の革命的思考について(書き下ろし)
 序論――〈非-論理〉の唯物論はいかにして可能か
 [Ⅰ:問題提起] 発生する変形的諸要素
  ――どのように言語から媒介的特性を除去することができるか
 [Ⅱ:問題構成] 図表論的総合
  ――いかにして言語から言表作用を抽出することができるか
 [Ⅲ:問題実現] 観念の非-言語的力能
  ――身体の一属性として言表を作用させること
 結論に代えて――革命機械としての哲学
Ⅱ 哲学あるいは革命
 ニーチェの批判哲学――時間零度のエクリチュール(2008年)
 機械論〔マニシスム〕は何故そう呼ばれるのか
  ――フェリックス・ガタリ『アンチ・オイディプス草稿』(2010年)
 脱領土性並行論について――ガタリと哲学(2012年)
 〈脱-様相〉のアナーキズムについて(2015年)
 脱-様相と無-様相――様相中心主義批判(2015年)
 ディアグラムと身体
  ――図表論的〔ディアグラマティク〕思考の系譜について(2015年)
 破壊目的あるいは減算中継――能動的ニヒリズム宣言について(2016年)
 最小の三角回路について――哲学あるいは革命(2017年)
 論理学を消尽すること――ニーチェにおける〈矛盾-命令〉の彼岸(2018年)
 〈身体-戦争機械〉論について――実践から戦略へ(2019年)
あとがき

帯文より:スピノザとドゥルーズ=ガタリをつきぬける孤高の哲学者によるおそるべき触発。無-媒介、非-存在、非-論理、無-様相としての〈来るべき民衆〉を生成させる絶対的な〈外〉の哲学。

推薦文:次世代の哲学者から圧倒的支持! 近藤和敬氏「スピノザに導かれて進む内在主義の荒涼たる極北」。平尾昌宏氏「この明晰な狂人の言葉なき歌を作動させよ!」。堀千晶氏「自由意志を焼き尽くす《無調》の戦争機械=哲学」。小林卓也氏「乱流する〈反-思考〉がすべてを破壊し変形する」。

あとがきより:「『アンチ・モラリア』の出版前に書いた三論文と出版後に書いた七論文を選定し、それらを「第Ⅱ部」に纏め、また「第Ⅰ部」には書き下ろしのかなり長い論文を入れた。〔…〕第Ⅱ部の既発表の諸論文に関して言うと、若干の文字の修正以外、ほぼ手を加えていない。というのも、そられは、つねに完全性のなかで発表されたものだからである。〔…〕第Ⅰ部の「厳然と外部性」について言うと、このテーマは、ほぼ15年前から少しずつ考え続けてきたものである。この問題の部分がこうした著作において実現できたことを喜びに思っている」。

本文より:「哲学は、今日の人文科学と称されるものの一分野に絶対に収まる思考ではない。哲学は、一つの科学でも学問でもない。哲学は、同じ意味において絶対に形而上学ではない。哲学は、つねに価値転換と意味変形を使命としたむしろ〈反-思考〉それ自体である。その限り哲学は、つねに革命的思考を、すなわち非-加速的な系譜学的逆行を選択するであろう。哲学は、たしかに概念の形成を使命とするが、それ以上に概念を武器にするのである。哲学は、絶えず〈来るべき民衆〉が万民に放つ矢である」(「現前と外部性」86頁)。

★柏倉康夫さん(訳書:マラルメ『詩集』)
限定120部(番号入)の私家版として、アルベール・カミュ『結婚』の訳書を上梓されました。底本は1950年のガリマール版。「窪田啓作、高畠正明両氏の既訳があるが、あえて自分なりの翻訳をこころみた」(訳者あとがき)とのことです。フランス図書さんで販売されています。

結婚
アルベール・カミュ著 柏倉康夫訳
柏倉康夫発行 上野印刷所印刷 2019円7月 頒価本体1,000円 A5判並製90頁 ISBNなし

★川合全弘さん(訳書:ユンガー『追悼の政治』『労働者』『ユンガー政治評論選』)
京都産業大学法学会の紀要「産大法学」で、昨年から今年にかけて連載されていた論考「一軍人の戦後――岩畔豪雄と京都産業大学」が全3回で完結しました。岩畔豪雄(いわくろ・ひでお:1897-1970)は昭和期の陸軍少将で評論家。著書に『世紀の進軍シンガポール総攻撃――近衛歩兵第五連隊電撃戦記』(潮書房、1956年;光人社NF文庫、2000年)、『戦争史論』(恒星社厚生閣、1967年)、『科学時代から人間の時代へ』(理想社、1970年)、『昭和陸軍 謀略秘史』(日本経済新聞出版社、2015年)などがあります。川合さんの論考では、京都産業大学史の文脈の中で岩畔豪雄の事績を掘り起こしつつ、京産大への岩畔の寄与、とりわけ世界問題研究所の創設と、同所長在職中に書かれた二冊の大著『戦争史論』『科学時代から人間の時代へ』とを、「敗戦国日本の軍人による大戦省察の持続的努力の優れた成果として見直すこと」(上篇「はじめに」より)が試みられています。下篇では「岩畔の戦争概念を、近代兵学史上の三人の先行者、すなわちクラウゼヴィッツ、ルーデンドルフ、石原莞爾の戦争概念と比較することによって、それ独自の意義を解明」(下篇3頁)することも試みられています。

「一軍人の戦後――岩畔豪雄と京都産業大学(上)」(「産大法学」第50巻第1・2号所収、京都産業大学法学会、2018年1月)
「一軍人の戦後――岩畔豪雄と京都産業大学(中)」(「産大法学」第51巻第1号所収、京都産業大学法学会、2018年4月)
「一軍人の戦後――岩畔豪雄と京都産業大学(下)」(「産大法学」第53巻第2号所収、京都産業大学法学会、2019年7月)

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by urag | 2019-08-14 18:09 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
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