★ジョルジョ・アガンベンさん(著書『アウシュヴィッツの残りのもの』『バートルビー』『瀆神』『思考の潜勢力』『到来する共同体』)
「ホモ・サケル」シリーズ第Ⅱ部第5巻の『Opus Dei. Archeologia dell'ufficio. Homo sacer II, 5』(Bollati Boringhieri, 2012)の訳書が以文社さんからまもなく発売となります(5月24日取次搬入予定)。オプス・デイ(神のわざ)は「典礼」を意味するカトリック教会の専門用語です。
オプス・デイ――任務の考古学
ジョルジョ・アガンベン著 杉山博昭訳
以文社 2019年5月 本体3,800円 四六判上製viii+264頁 ISBN978-4-7531-0353-9
帯文より:なぜ、倫理は義務となったのか? カント以来の現代倫理に導入された、負債と徳性に基づく「義務」の無限性。キリスト教における任務=聖務、典礼への考察を通じて、当為(べき)と命令(せよ)から構成される存在の統治を明らかにする、ジョルジョ・アガンベン「ホモ・サケル」シリーズの1冊。
目次:
端書
1 典礼と政治
閾
2 秘儀から効果へ
閾
3 任務の系譜学
閾
4 ふたつの存在論、あるいは、いかに義務は倫理になったのか
閾
註
訳者あとがき
端書より:「任務という概念は、存在論のカテゴリーと実践をめぐるカテゴリーの決定的な変換を指し示す。この変換の重要性についてはさらなる評価がまたれる。ただ任務のもとで存在と実践は、言い換えるなら、人間が在ることと人間が為すことは、不分明なひとつの圏域に入る。この圏域のなかで、存在は実際的効果にとって解体されるだけに留まらない。完全なる循環性のもと、存在は在らなければならないものであり、かつ、存在は在るものでなければならなくなる。有為性と実効性が存在論的パラダイムを定義するのは、この意味においてである。世俗的プロセスをかいして、このあらたなパラダイムは古代哲学のパラダイムに取って代わるだろう。つまるところ、在ることについてもはたらくことについても、今日のわたしたちが手にする表象は実効性のほかになにもない。これが本書の提示する考察の主題である。現実とはたんに有効ななにかである。現実とは統治するものである。現実とは効力のあるものである。現実とは任務をして、官僚のつつましい服装や祭司の栄光に満ちた法衣のもとに、倫理学だけでなく形而上学の規則さえも完全に転倒させてしまうほどの効果を上げるものである」(iii-iv頁)。
★大谷能生さん(著書『貧しい音楽』)
新曜社さんより単独著と共著が今月同時発売されました。内容紹介文や目次は書名のリンク先でご確認いただけます。
平成日本の音楽の教科書大谷能生著
新曜社 2019年5月 本体1,600円 四六判並製288頁 ISBN978-4-7885-1613-7
まえがきより:この本では、おもに平成時代の音楽の教科書をたどりながら、また、随時、文部科学省の「教育指導要領」を参考にしながら、その内容を確認し、わたしたちの「音楽」と「教科書」というものがどのように関係しているのか、そして、それをどのように使えば、つまり、それをどのように教えて、あるいはどのように教われば、「音楽」を自分たちのものとして演奏したり、聴くことができるようになるのか。そんなことについて考えてみることを、ひとつの目標にしました」(6~7頁)。
身体と言葉(ことばとからだ):舞台に立つために──山縣太一の「演劇」メソッド山縣太一+大谷能生著
新曜社 2019年5月 本体1,500円 四六判並製240頁 ISBN978-4-7885-1612-0
山縣太一(チェルフィッチュ)さんのまえがきより:誰もが身体を使って生きています。言葉の葉っぱも身体から生えます。そして演劇では言葉と身体は音や明かりや舞台美術よりも大事なんです。そんな僕のたどりついた演劇の可能性を本にしました。この本は僕の演劇のパートナー、僕の表現の理解者である大谷能生さんといっしょに作りました」(3~4頁)。
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